テスラ Model 3 新次元のクルマ体験がここに!感動をもたらすスペックとデザイン

テスラ モデル3

近年、世界中のクルマ好きたちが注目しているイーロン・マスク氏率いるテスラ社。そして、多くの日本のユーザーが注目しているのが価格改定を行なったModel 3でしょう。等身大の目線に定評のあるモータージャーナリスト・まるも亜希子さんは、この次世代車をどう見るのでしょうか? その実力をレポートします。

1960年代に世界で初めて排ガス規制を設けた歴史をもち、常に環境と人にやさしい政策を貫いているアメリカ・カリフォルニア州。21世紀に入って間もなく、そのカリフォルニア州を拠点として誕生したのが、テスラ社です。

コアテクノロジーとして掲げられたのは、バッテリー、独自のモーター、ソフトウェアの3つ。人類を化石燃料主義から脱却させることを目標に、最初から“エンジンを持たない”自動車メーカーとしてスタートしたのです。

今回はそんなテスラのエントリーモデルとして、最近価格が大幅に引き下げられたことでぐっと身近な存在になったModel 3をレポートします。

まるもさん

 

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●Check 1:エコノミカル

独自の充電器「スーパーチャージャー」で、短時間かつリーズナブルに充電

充電口

走行中にCO2を出さないのが電気自動車(EV)の大きな魅力ですが、1回の充電で走れる距離(航続可能距離)が実際200〜300km程度と、ガソリン車の1/3ほどとなってしまうのがネックでした。一方、航続可能距離が長いEVは、1回の充電にかかる時間も長いのが悩みのタネ。

テスラはそれを、独自の充電器である「スーパーチャージャー」を世界の主要都市を中心に建設することで解決しています。

駐車場 スーパーチャージャー

その最新版である最大出力250kWのスーパーチャージャーV3なら、バッテリー容量の約半分まで最短約15分で充電完了するとのこと。2021年8月6日時点で、日本には32カ所にスーパーチャージャーがあり、新規11カ所も準備中となっています。

なお、日本でもっとも普及している急速充電器「CHAdeMO」を利用するためのアダプターも用意されているので、スーパーチャージャーがない場所のドライブでも安心です。

スーパーチャージャーの利用料はメンテナンス費用等の変動をかんがみながら、定期的に更新されていくそうですが、2021年8月6日時点では500km走行分で約1800円。ガソリン代と比べると、かなりリーズナブルとなっています。

画面

そして、こうした日々のランニングコスト以外に、ソフトウェアが自動で更新されていくところも大きな魅力。通常クルマは、購入した瞬間から徐々に装備やパフォーマンスなどが古くなっていくものですが、テスラはスマホのように常に最新バージョンにアップデートされていきます。

自分が購入後に追加された新機能なども手に入るので、いつも最新で最良のクルマに乗り続けられるということなのです。それこそが、コストパフォーマンスも満足度も地球環境保護も叶えられる、真のサステナビリティかもしれません。

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●Check 2:プライス

憧れのテスラが400万円台に。補助金でもっと手頃に

テスラ モデル3

「テスラって、1000万円以上する高級車でしょ?」というイメージを抱いている方も多いと思います。

確かに少し前まではそうだったのですが、2021年2月にModel 3の日本価格が最大約156万円も大幅に引き下げられ話題を呼びました。2021年8月6日時点での価格は、ベースグレードの「スタンダードレンジ プラス」が444万円。中間グレードの「ロングレンジ」は524万円とかなりお買い得になっています。

テスラ モデル3

しかも、EVはクリーンエネルギー車(CEV)として補助金が受けられます。条件を満たす必要はありますが、Model 3の場合、国(環境省)から80万円、さらに東京都の場合は環境省補助併用時に60万円が交付されるなど、国や自治体の補助金を合わせると最大100万円以上になることもあります。

さらに、購入時と1回目の車検時にかかる重量税が免除されるほか、購入翌年度の自動車税が75%減税となります。

また65歳以上であれば、対歩行者衝突被害軽減ブレーキ機能とペダル踏み間違い急発進抑制装置機能がついた車両が対象となる「サポカー補助金」で10万円が交付されますので、活用したいですね。

 

 

●Check 3:ユーティリティ

デザイン、ユーモア、実用性、すべてを兼ね備えたスペック

操作パネル

乗車の手順からして、Model 3はこれまでの常識を覆してくれます。スマートフォンを操作するか、カードキーをBピラー(前席と後席の間にある柱)にかざすと解錠されます。

乗り込んでまず、誰もが驚くのは大きなタブレットのような15インチのタッチスクリーンと、それ以外にほぼスイッチなどが何もないスッキリとしたインテリア。

ライト点灯、ドアミラー調整、エアコンやワイパー作動、シートヒーターなど、車両に関するほとんどの操作はディスプレイでのタッチ操作です。もちろんナビやオーディオなどの操作もOK。タッチ操作が苦手な人は、音声認識の精度もアップしているとのことで、今回もナビ設定やエアコンの調整などが音声で簡単にできました。

運転席

また、停車中や充電中に車内で楽しめるコンテンツが充実しているのも、テスラ車に共通しています。

CEOのイーロン・マスク氏がユーモア好きだということもあり、好きな絵が描けるスケッチブックや、いつでもクリスマス気分が楽しめるサンタモード、ナビ画面の地図が火星になってしまうモード、作曲ができるアプリなどもあって、どんどん使ってみたくなるのです。

極め付けは、シートに座る際や、ウインカーの音が「おなら」の音になるブーブークッション。今回も一瞬にして車内が爆笑に包まれたのでした。こんな楽しい演出も、テスラ人気の隠れた理由かもしれません。

運転席

あまりにシンプルなインテリアなので、収納は少ないかなと思いきや、昨今のマストアイテムである除菌スプレーまですっぽりと入る深さのボックスや、大きなドアポケットなど、十分すぎるスペースがあります。ワイヤレス充電も2つ分、USBポート(Type-C)も前後席にさりげなく備わります。

ラゲッジ

トランクスペースは前方と後方にあり、合わせて649L という大容量。後席を倒すこともできるので、セダンでありながらも大きな荷物が積めるのがうれしいところです。

●Check 4:エモーショナル

なめらかな加速が気持ちいい。安定感も抜群で安心なドライブを

テスラ モデル3

最高速・加速力・航続距離・駆動方式が異なる、3タイプが用意されているModel 3。速さと航続距離は適度な性能を備えながらコストパフォーマンスが高い「スタンダード プラス」。十分な速さを持ち、できるだけ長距離を走りたい人のための「ロングレンジ」。そして驚異的な速さが魅力の「パフォーマンス」。「ロングレンジ」と「パフォーマンス」はAWD(4輪駆動)、「スタンダード プラス」は後輪駆動となっています。

 

〈表〉3タイプのスペック

項目 スタンダード プラス ロングレンジ パフォーマンス
最高速 225km/h 233km/h 261km/h
0-100km/h加速 5.6秒 4.4秒 3.3秒
航続距離※ 448km 580km 567km

※WLTPモード

今回は「ロングレンジ」を走らせましたが、あまりの静かさ、なめらかさ、速さに新時代のクルマであることを実感させられました。

テスラ モデル3

4つのタイヤでしっかりと路面を捉えて、前後ホイールのトルクを独立してコントロールするため、カーブなどでも安定感が続きます。頭上は大きなガラスルーフで、後席の視界も開放感でいっぱい。カメラ・レーダー・超音波センサーで周囲を見守り、制御する「オートパイロット」を作動させると、ハンドル操作とアクセル、ブレーキ操作をサポートしてくれるので、ロングドライブもラクで安心。

スマートフォンから操作すれば、自動で車庫から出し入れできる機能も搭載されており、これらも新機能が登場したり改良されたりすれば、自動でアップデートしていきます。

 

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●Check 5:ハウスベネフィット

2種類の充電設備。「ウォールコネクター」設置時は充電口を考えて

給電

テスラでは家庭での充電用に、最大9.6kWの高出力を誇る専用の「ウォールコネクター」という充電器が用意されています。Model 3の充電口は左リヤフェンダーあたりにあるので、設置する際には使いやすい場所を考慮したいですね。

また、ウォールコネクターの設置が難しかったり、既存の充電用コンセントがある場合には、コンセントから充電できる「モバイルコネクター」も用意されています。ウォールコネクターは200V対応、モバイルコネクターは100V/200Vのコンセント対応です。

なお、車両のバッテリーに蓄えられた電気を家庭で使うことができる「V2H」には、残念ながら対応していません。

別次元のクルマ体験を。購入後、新しい出逢いにワクワクできるのも魅力

テスラ モデル3

「テスラはクルマというよりデジタル家電だ」という感想をよく聞きますが、その半分は正解であり、半分は不正解だと、最新のModel 3に乗って実感しました。

流れ去る景色を楽しみながら、胸のすくような爽快感で満たされる走りは、間違いなくクルマでしか味わえない感動です。でもその感動に至るまでのプロセスは、最新のデジタル家電そのもの。

既存のクルマとは別次元なので、テスラを運転した人はまるでクルマの形をしたスマートフォンを手にしたように感じるのかもしれません。

いわゆる販売店を持たず、いっさいの広告も打たず、すべてウェブ注文でスタートし、納車方法にも直接自宅に納車される「配送」という選択肢があり、誰にも会わずにオーナーになれるクルマであるところも新感覚です。

購入後もどんどん改良されて、ある日突然新しい機能が増えたり、その中に隠しコマンドでクルマがダンスをするといったサプライズが仕込んであったり。「次はどんなことが起こるのだろう?」とワクワクできるのがテスラだと感じました。Model 3は日本の道でも扱いやすいボディサイズで、価格も使い勝手も身近な1台だと思います。

●家庭と暮らしのハマり度 総合評価

総合評価

 

 

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。

 

この記事の監修者
まるも 亜希子
まるも 亜希子

カーライフ・ジャーナリスト。映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツに参戦するほか、安全運転インストラクターなども務める。06年より日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。女性パワーでクルマ社会を元気にする「ピンク・ホイール・プロジェクト」代表として、経済産業省との共同プロジェクトや東京モーターショーでのシンポジウム開催経験もある。