【図解】「PHEV・PHV(プラグインハイブリッド車)」とは? EVやHVとの違いを解説

PHEVとは

“電気で走る車”を選ぶ際、「電気自動車(EV)」以外の選択肢として挙がるのが「プラグインハイブリッド車(PHEV・PHV)」です。とはいえ、その特徴やEVとの違いがはっきりわからないという人も多いのではないでしょうか。そこでこれらの言葉の意味やメリットを解説。2021年12月時点で、国内で購入できる人気車種についても紹介します。

 

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PHEV・PHVとは「外部から充電できるハイブリッドカー」のこと

istock画像 充電の様子

iStock.com/ Cineberg

 

PHEVとEVの仕組みの違い

PHEV・PHV(プラグインハイブリッド車)はHV(ハイブリッド車)の一種で、その中でも外部から充電できるHVのことを指します。外部から充電する際、コンセントに“プラグを挿す(Plug-in)”ことから、このように表現されます。

PHEVとEVの違いは動力にありますが、厳密な定義としては、EVは“電気を動力にして動く車両=電動車両”全般を指すためPHEVもEVに含まれます。ただ、一般的にはバッテリーの電気だけを使ってモーターで走る車「BEV(Battery Electric Vehicle」)」をEVと呼ぶことが多く、本稿でもBEVをEVとして扱っています。一方PHEVは、燃料タンクとエンジンによる動力も持ち合わせているのが特徴。また、エンジンで発電してバッテリーを充電しながら“電気自動車”として走行を続けることもできます。

PHEVとEVの仕組みの違い

 

PHEVとHVの違い

前述どおり、PHEVはHVの一種です。ガソリンで動くエンジンと電気で動くモーターを搭載しているという点では、これまでに多く流通してきたHVと変わりません。

ただし、一般的なHVとは2つの大きな違いがあります。1点目は「外部電源から直接充電が可能なこと」です。一般的なHVの場合、ガソリンなどの化石燃料のみをエネルギー源としていましたが、PHEVは電気もエネルギー源にできる、ということです。

PHEVとHVの違い

 

2点目は、従来のHVと比較して「バッテリー容量が格段に大きい」ということです。従来のHVが搭載している駆動用バッテリーは1kWh前後の車種が多いですが、PHEVの場合、おおむね10~20kWh前後のバッテリーを搭載している車種が主流です。

PHEVとEVのメリットとデメリット

EVの特徴として「走り出しがスムーズ」「加速がいい」といった乗り心地のよさや、走行コストの安さが挙げられます。一方、PHEVは、バッテリーを使い切っても、エンジンで走行可能です。遠出した際に充電切れの不安がなくなり、充電時間のロスも回避できます。

<表>PHEVとEVのメリットとデメリット

  PHEV EV
メリット ・エンジンとモーターのどちらでも走行が可能
・エンジンでも走れるため、充電時間が短くて済む
・短距離の場合、電気だけで走れるため、走行コストが安い
・電気で走行している間は、騒音や振動が少なく、加速もスムーズ
・大容量バッテリーを積んでいる
・走行コストが安い
・走行中の騒音や振動が少なく、加速もスムーズ
デメリット ・EVに比べてバッテリー容量が小さい
・エンジンで走行する場合、走行コストが割高になる
・長距離ドライブの場合、充電スポットに寄ることになり、充電時間が給油よりも長めにかかる

 

PHEVとPHVは同じ意味

プラグインハイブリッド車の略字として、PHEVとPHVという2つの言葉が使われることがあります。どのような違いがあるのか、疑問に思われるかもしれませんが、PHEVとPHVは動力の仕組みとしては同じ意味。後者はおもにトヨタが今まで使っており、「プリウスPHV」や「RAV4 PHV」は車種名となっています。

 

 

[国産・輸入車]2021年国内で買える人気の「PHEV・PHV」車種一覧

並んだ車

iStock.com/ Tramino

 

PHEVの大きなメリットは、EV特有のスムーズな乗り心地を享受しながら、エンジンでも走れることです。日本で購入できる代表的な車種について、「国産車」「輸入車」に分けてそれぞれ紹介します。燃費やEV走行換算距離(等価EVレンジ)なども参考にしてください。

 

以下、メーカーを50音順で表示しています。

 

l.国産車編

HVは特に日本で発展した車でしたが、PHEVとなるとまだまだ車種が少なく、特に国産車は車種が限られます。その代表的なモデルを4つ紹介します。

 

i.トヨタ「RAV4 PHV」1)

トヨタ「RAV4 PHV」

 

1994年に初代モデルを発売して以来、クロスオーバーSUVのパイオニアとして支持を得てきた「RAV4」のPHEVモデル。3種類の4WDによる優れた走行性能とSUVらしい力強さと洗練さを融合したデザインが特徴です。また、バッテリー容量が18.1kWhもあり、モーターのみで走れるEV走行距離が95kmに達するのも魅力でしょう。ただし、急速充電には対応していません。

 

 

ii.トヨタ「プリウスPHV」 2)

トヨタ「プリウスPHV」

 

1997年に世界初の量産ハイブリッドカーとして誕生した、プリウスのPHEV。バッテリー容量は8.8kWhでプラグインハイブリッドシステムの効率化によりEV走行距離は60km(WLTCモード)と十分。ガソリンで走っても燃費は30km/L(WLTCモード)を超えるなど低燃費が特徴です。ルーフにソーラーパネルが付き、太陽光で発電した電気を充電することができる「ソーラー充電システム」がオプション設定されています。また、急速充電にはオプションで対応しています。

iii.三菱自動車「アウトランダー」PHEVモデル 3)

三菱自動車「アウトランダー」PHEVモデル

 

世界約60か国で販売している三菱自動車の主力モデル。今秋日本で発表された新型は、モーター出力の向上とバッテリー容量の増大により、いっそうの力強い走りとEV走行距離が伸長されました。具体的にはバッテリー容量が13.8kWhから20kWhへ増え、EV走行距離も87km(WLTCモード)と大幅に延びました。また、プラットフォームの一新とコンポーネントの一体化、そして一部のグレードではレイアウトの最適化によって3列7人乗りを実現しており、利便性も向上しました。2021年度のグッドデザイン賞も受賞しています。急速充電の受入可能最大電力が向上したことで、充電時間の短縮が期待できるのもうれしいところです。

iv.三菱自動車「エクリプス クロス」PHEVモデル 4)

三菱自動車「エクリプス クロス」PHEVモデル

 

アウトランダーPHEVと同様に、ツインモーター4WD方式のPHEVシステムを採用。スタイリッシュなクーペフォルムとSUVの機動力を融合させた一台で、新型は伸びやかで流麗なフォルムながら、SUVとしてのダイナミズムを高めたデザインとなっています。バッテリー容量は13.8kWhでEV走行距離は57.3km(WLTCモード)となっており、急速充電にも対応しています。

 

 

 

ll.輸入車編

2021年12月現在、輸入車メーカーが日本で販売するPHEVは国産車よりも車種が豊富です。その中から代表的なモデルを6車種紹介します。

 

以下、メーカーを50音順で表示しています。

 

i.BMW「330e M Sport」5)

BMW「330e M Sport」

 

スポーツセダンの金字塔「BMW 3 シリーズ」に、同社の革新的な電動化技術「eDrive」を導入したモデル。BMWならではの卓越した運動性能と高い環境性能を両立し、走り出しから快適な加速感を楽しむことができます。バッテリー容量は12kWhでEV走行距離は58km(WLTCモード)となっています。

ii.BMW「X5 xDrive45e」6)

BMW「X5 xDrive45e」

 

電気モーターだけのゼロ・エミッションで走るEV走行距離で79.2km(WLTCモード)を達成した「X5 xDrive45e」。この航続可能距離に大きく貢献したのが、すべてのテクノロジーを巧みに連携させる「インテリジェント・エネルギー・マネジメント・システム」です。電気モーターと内燃エンジンを相互に制御し、パフォーマンス向上と最大限の効率化を果たしました。バッテリー容量は24kWhでEVである初代リーフと同容量の大きさです。ちなみに、日本では発売されておりませんが、メルセデス・ベンツのフラッグシップであるSクラスのPHEV、「S580e」のバッテリー容量は28.6kWhでEV走行距離は100kmオーバーです。

iii.ポルシェ「カイエンE-ハイブリッド」7)

ポルシェ「カイエンE-ハイブリッド」

 

ポルシェのSUV「カイエン」において、サステナビリティとドライビングダイナミクスを融合させたPHEV。燃料消費量とエミッションの排出量を大幅に低減させる一方で、スポーツカーの雄・ポルシェならではの、シートに体が押し付けられるような強烈な加速を味わえます。バッテリー容量は17.9kWhとなっています。

iv.MINI「MINI COOPER S E CROSSOVER ALL4」8)

MINI「MINI COOPER S E CROSSOVER ALL4」

 

MINIの国内ラインナップで唯一のPHEV。4輪駆動システムが、あらゆる路面で優れたグリップ力を発揮し、都市の街路と郊外の道、どちらも難なく走りこなすオールラウンダーモデルとなっています。考え抜かれたデザインと精密なエンジニアリングで、パワーと効率を両立しています。バッテリー容量は10kWhでEV走行距離は53km(WLTCモード)となっています。

v.メルセデス・ベンツ「A 250 e」9)

メルセデス・ベンツ「A 250 e」

 

メルセデス・ベンツのコンパクトモデル「Aクラス」初のPHEV。セダンとハッチバックの2種類から選べます。燃費を優先する「ECO」、快適性を優先する「Comfort」、モーターアシストによる力強い加速を実現する「Sport」、EV走行モードの「Electric」、バッテリーの充電レベルを維持しながら走行できる「Battery Level」など特性の異なる6タイプのモードを備えることで、ドライバーをサポート。走るスタイルに合わせて自由に設定を変更できます。輸入車のPHEVとしては初めて急速充電に対応していることも話題。バッテリー容量は15.6kWhでEV走行距離は72.1km(WLTCモード)となっています。

v.ランドローバー「レンジローバー PHEV P400e」10)

ランドローバー「レンジローバー PHEV P400e」

 

革新的なパワートレインを採用した、ランドローバー初のPHEV。先進的なインジニウムガソリンエンジンとモーターを組み合わせ、力強く洗練されたドライビングが可能となりました。状況に応じ、ガソリンエンジンとモーターを組み合わせるパラレルハイブリッド走行のほか、モーターのみで走るEVモード走行の2タイプが選択でき、燃費とバッテリー充電を最適化します。バッテリー容量は13.1kWhでEV走行距離は40.7km(WLTCモード)となっています。

 

 

PHEV・PHVオーナーのリアルな声を紹介

istock画像 EV車充電

iStock.com/ 3alex

 

EV DAYSが2021年11月にインターネットで実施したPHEVを所有するオーナー84名へのアンケートをもとに、購入の動機や充電についてなどリアルな声を紹介。その結果をグラフ付きで解説します(協力:ネオマーケティング、対象:20〜60代の男女)。

PHEVを購入した決め手は、ランニングコスト

PHEVを購入した決め手<図>

選択肢から上位3つを複数選択。そのうえで、1位=3pt、2位=2pt、3位=1ptで換算。合計ポイントの高い順に表示しています。

 

PHEVの購入理由で多かったのは、ランニングコストや環境面、災害時における利便性でした。また、PHEV特有のなめらかな乗り心地を魅力に感じる一方で、加速性能にはやや関心が薄い様子。生活を豊かにするための乗り物として、PHEVを活用しているオーナーが多いようです。

PHEVユーザーの8割以上が、週の半分以上自宅で充電している 

EVオーナー充電事情

 

PHEVを購入するにあたり気になるのが充電事情。オーナーに充電について聞いたアンケートでは、7割近いオーナーが「自宅でほぼ毎回充電をしている」と回答しています。週の半分以上自宅で充電しているオーナーを含めると、約85%の人が自宅充電を活用していることがわかりました。PHEVはガソリンでも走れるとはいえ、電気で走る方が乗り心地的にもコスト的にも優位です。自宅でこまめに充電をして、できるだけ電気で走るようにしているということかもしれません。

PHEVとEVの仕組みを理解すればメリットが見える

エンジンとモーターを併用するPHEVとモーターだけで動くEVは、動力や搭載バッテリー容量の大きさの違いによって、充電やランニングコストにおけるメリットが異なります。両者のパフォーマンスを最大限に活かすためにも、それぞれの特性をしっかり理解して自分のライフスタイルに合った車を選びましょう。

 

この記事の監修者
寄本 好則
寄本 好則

コンテンツ制作プロダクション三軒茶屋ファクトリー代表。一般社団法人日本EVクラブのメンバー。2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成。ウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開。電気自動車情報メディアや雑誌特集などに多く寄稿している。著書に『電気自動車で幸せになる』(Kindle)など。