ジープ レネゲード4xe。たくましさと愛嬌を備えたPHEV

ジープ レネゲード4xe。たくましさと愛嬌を備えたPHEV

ジープといえば、4×4(フォーバイフォー:4輪駆動車)の代名詞として、クルマ好きのみならず浸透しているアメリカンブランド。伝統のオフロードメーカーが未来に向けて出した回答例が、レネゲードです。ワイルドさを巧みにデザインにも取り入れながら、取り回しやすいサイズ感と気の利いた装備を有していることから 人気に。初のプラグインハイブリッドモデルはどんな出来なのか、モータージャーナリスト・まるも亜希子さんが見立てます。

アメリカ軍の軍用車をルーツとして、1941年からずっと本格4×4のSUV専門メーカーとして歩んできたのがジープです。道なき道を進むワイルドな姿をイメージする人も多いように、時代の要求に応えてモダンなデザインや快適装備、先進の安全装備などを取り入れつつ、一貫しているのはオフロード性能には手を抜かないということ。ジープ最小モデルとして、街乗りにも適しているレネゲードも同様です。

ジープ レネゲード4xe

 

そんなジープの理念を貫きつつ、ブランド初のプラグインハイブリッド車として登場したレネゲード4xe。いったいどんなクルマに仕上がっているのか、使い勝手も含めてチェックしたいと思います。

ジープ レネゲード4xe

 

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●Check1:エコノミカル

充電の工夫次第でEVとしても乗れてしまう

11.4kWhのリチウムイオン電池に蓄えた電力で、エンジンを停止したモーター走行ができるレネゲード4xe。最大航続距離は48km(WLTCモード)なので、ご近所のドライブならガソリンを使わずに走行でき、自宅や街中に設置された普通充電器(200V)で繰り返し充電すれば、常に電気だけで走ることができます。ロングドライブをする際には、バッテリーがなくなってしまってもハイブリッド車として走行できるので安心。状況に応じて賢く、便利に使えるのがPHEVのエコノミカル なところです。

ジープ レネゲード4xe

 

急速充電には対応していないので、自宅での充電がメインとなります。自宅で充電する場合の電気代は、1kWhあたり31円(全国家庭電気製品公正取引協議会の公表情報参照 )と考えると、500km走行するのに約3300円となります。ガソリン代が高騰している昨今、比べるとかなりランニングコストが抑えられますね。さらに太陽光発電を取り入れたり、電気を賢く使う習慣を身につけたりすることによって、家計だけでなく地球環境にも貢献できるのが魅力です。
※電力量料金のみの金額です。基本料金・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金は加味していません。

また、外出先で普通充電器を使う場合は、メーカーや車種に関係なく入会できる充電カードを持っていると便利です。料金の一例として、e-Mobility Powerの充電サービス「普通充電プラン」では、月会費が1540円(税込)、利用料が2.75円/分(税込)となっています(2021年11月現在)。

●Check2:プライス

割高なハイグレードモデルも、補助金活用でおトク感が

レネゲード4xeはすべて4WDで、今回試乗した「Trailhawk 4xe」が515万円、「Limited 4xe」が510万円となっています。ガソリンモデルのレネゲードはFFの「Limited」が372万円、4WDの「Trailhawk」が397万円なので、比べるとちょっと割高に感じてしまうかもしれませんね。でも、レネゲード4xeはクリーンエネルギー車(CEV)の補助金対象となっており、交付条件を満たしていれば、国(経産省)の令和3年度補正予算案における補助見込み額(暫定)では40万円となっています。さらに、地方自治体からも補助金を受けられる場合があり、東京都では45万円と高額です。購入検討時に最新の補助金情報について確認してみてください。

ジープ レネゲード4xe

 

また、購入時と1回目の車検時にかかる重量税が免除されるほか、購入翌年度の自動車税が75%減税。こうした維持費が抑えられるのは嬉しいところですね。

 

 

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●Check3:ユーティリティ

ワイルドなのに快適。日本車に匹敵する収納の豊富さ

全長4.3m弱とコンパクトなボディですが、リチウムイオン電池は後席の下に搭載されているので、室内空間はガソリンモデルと遜色なく、ファミリーでも十分な広さが確保されています。8.4インチのオーディオナビゲーションシステムや6スピーカーが標準装備で、シートは電動調整式。後席にはカップホルダー付きのセンターアームレストが備わり、ゆったりと過ごすことができます。

ジープ レネゲード4xe

 

収納スペースも豊富で、深めのセンタートレイや小物入れにもなるカップホルダー、シートバックポケットなどがあり、助手席のシート下も収納ボックスになっています。試乗車では素敵な迷彩柄の車検証ケースが納められていました。

ジープ レネゲード4xe

 

ラゲッジルームはほぼスクエアな開口部で、奥行きもありフラット。後席が4:2:4の3分割で倒せるので、フレキシブルに使えます。付属の充電ケーブルがすっきりと収まるスペースがないのは残念なところですが、アウトドアやレジャーの荷物もしっかり積める広さとなっています。

●Check4:エモーショナル

遊び心たっぷり。パワフルな走りも魅力的

走り出す前に、エクステリアやインテリアを眺めているだけでも、楽しい気分になってくるのがレネゲード4xe。それは、運転席に座ったりバックドアを開けたりするたびに、いろんなところにジープの遊び心が感じられるからです。たとえば、フロントガラスの端っこをよくよく見ると、ジープの祖先である幌タイプのイラストが隠れていたり、バックドアを開けるとジープ伝統の「7スロットグリル」をモチーフとしたアイコンがあしらわれていたり 。

ジープ レネゲード4xe

 

テールランプのデザインも、アメリカ軍御用達の燃料運搬タンク「ジェリカン」と同じマークがモチーフになっているなど、デザインに込められた想いを知るほどに、愛着が湧いていくクルマです。

代表的なジェリカン。※写真はイメージです

代表的なジェリカン。※写真はイメージです

 

そして走行性能は1.3Lターボエンジン+モーターの相乗効果で、レネゲード史上最強。試乗車のTrailhawkはさらに、最高出力が239ps(Limitedは191ps)とパワフルになり、マッド&スノータイヤを履いて、最低地上高が210mm確保されているという(Limitedは170mm)、よりオフロードを走るのが楽しくなるような仕様です。今回は少しだけ砂の上を走って、ぐにゃぐにゃとした路面をぐいぐいと捉える頼もしい走りを堪能しました。4WDモードダイヤルを回すだけで、「SAND(砂)/MUD(泥)」や「ROCK(岩)」など状況に最適な4WD制御が簡単に得られるので、どんな道も突き進める余裕はさすがジープです。

ジープ レネゲード4xe

 

また、ジープは基本的にほとんどのモデルが4WDですが、レネゲード4xeはEV走行時にはリアモーターのみで走る後輪駆動となるので、静かで軽やかな走りがちょっと新鮮。アクセルをググッと強く踏み込むとエンジンが始動して4WDになるため、必要なところではしっかりと重厚な安定感が得られるのも魅力です。

ジープ レネゲード4xe

 

こうした走行モードはスイッチでも任意に切り替えることができ、「HYBRID」「ELECTRIC」「E-SAVE」の3つがあります。そのうち「E-SAVE」はバッテリー消費を抑えて走ることができるモードで、たとえば深夜に帰宅するので住宅周辺になったらEV走行で静かに走りたい、という場合にスイッチを押せば、昼間はバッテリーをなるべく使わずに走ることができます。

 

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●Check5:ハウスベネフィット

満充電までは4時間。タイマーも利用可能

レネゲード4xeの充電口は、左リアフェンダーに設置されています。右リアフェンダーはガソリンを入れる給油口です。これから自宅に充電器を設置する場合には、使いやすい位置を考慮するといいですね。充電ケーブルは200V用が装備されており、満充電までは約4時間となっています。

ジープ レネゲード4xe

 

タイマーで充電時間の予約ができるので、自宅の電気料金プランで電気代がお得な時間帯があればそこに合わせて充電したり、外出予定までに満充電になるように設定したりと、便利に使えます。

ワイルド!しかもかわいい。活用の幅も◎

4×4専門メーカーとして長い歴史を持ち、現代に必要な快適性や安全性も取り入れながら、その信念を貫いているジープというブランドそのものに、まず魅力を感じます。レネゲードはその中でも、市街地で扱いやすいサイズや遊び心のあるデザインなど、都市部に住む人たちにも身近なモデル。PHEVが登場したことで、環境への配慮が求められる時代にもフィットし、さらに魅力的になったと感じます。

ジープ レネゲード4xe

 

また、電気の力が加わったことをプラスにして、走行性能がよりパワフルになり、室内の静かさなど快適性もアップしているのが嬉しいポイント。普段は電気でエコなドライブを楽しみ、レジャーなどでは思いっきりワイルドな走りを堪能する、メリハリのあるカーライフが手に入る1台です。

●家庭と暮らしのハマり度 総合評価

総合評価

 

 

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。

 

この記事の監修者
まるも 亜希子
まるも 亜希子

カーライフ・ジャーナリスト。映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツに参戦するほか、安全運転インストラクターなども務める。06年より日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。女性パワーでクルマ社会を元気にする「ピンク・ホイール・プロジェクト」代表として、経済産業省との共同プロジェクトや東京モーターショーでのシンポジウム開催経験もある。