【図解】FIT(固定価格買取制度)とは? 太陽光発電の売電の仕組みを解説

FITとは

再生可能エネルギーを固定価格で買い取ってくれるFIT制度。太陽光発電の導入を検討する方は必ず知っておきたい制度です。また、すでに導入している方にとってはFIT制度の適用期間が過ぎた「卒FIT」後の動向も気になるところ。そこでこの記事では、FIT制度とは何なのか、仕組みや背景を解説。さらに、卒FITによって発生する利用者への影響とその対策についても紹介します。

【最新情報】FIT制度での買取総額は年間2817億円!

公式サイト(固定価格買取制度 情報公表用ウェブサイト)で公開された最新情報によるとFIT制度下で住宅用太陽光発電で発電された余剰電力が電力会社によって買い取られた金額は年間で2,817億円に上ります(2020年度)。 


発電形態 2020年度年間買取額(億円)
太陽光発電
(10kW未満/
主に住宅用)
2817.3
太陽光発電
(10kW以上/
事業用)
23458.7
風力発電設備 2018.7
水力発電設備 1042.5
地熱発電設備 189.2
バイオマス発電 5015.9
合計 34542.3

 

 

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FIT制度の仕組みと歴史

FIT制度の仕組みと歴史

画像:iStock.com/ilyast

 

まずはFIT制度の仕組みと歴史を解説します。

 

FIT制度とは「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」

FIT制度とは、経済産業省が2012年7月に開始した「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」のことです。FITという名前は「Feed-in Tariff(フィード・イン・タリフ)」の頭文字を取っており、日本語に訳すと「固定価格買取制度」を意味します。海外ではかなり以前から導入されています。

この制度は、再生可能エネルギーからつくられた電気を、電力会社が“一定価格”で“一定期間”買い取ることを国が保証する制度です。FIT制度の対象となる再生可能エネルギーは、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電の5つ。自宅の発電設備としては太陽光発電がほとんどです。

〈図〉FIT制度の仕組み

〈図〉FIT制度の仕組み

 

FIT制度が始まった目的とその背景

では、なぜこのFIT制度が開始されたのでしょうか。FIT制度の目的は、再生可能エネルギーの普及です。FIT法にも「エネルギーの安定的かつ適切な供給の確保及びエネルギーの供給に係る環境への負荷の低減」と書かれているように、その背景には、国内におけるエネルギー自給率の低さや地球温暖化対策などのエネルギー問題が関係しています。

〈図〉主要国の一次エネルギー自給率比較(2018年) 1)

〈図〉主要国の一次エネルギー自給率比較(2018年)

 

経済産業省資源エネルギー庁によると、2018年の日本のエネルギー自給率は11.8%で、これはOECD(経済協力開発機構)に加盟する35カ国中34位です。日本のエネルギー自給率は2010年の時点では20.3%でしたが、さまざまな要因が重なり大幅に低下しました。なかでも日本の一次エネルギーの大部分を占める化石燃料に至っては、中東やオーストラリアなど海外からの輸入に9割以上頼っています。

エネルギー資源を輸入に頼りすぎると、国際情勢の影響で安定したエネルギー供給をできなくなるリスクや輸入によって経済的な損失が出る可能性もあります。エネルギー自給率の向上は日本の課題となっており、その解決策のひとつとして再生可能エネルギーによる発電に注目が集まっています。

〈図〉世界の二酸化炭素排出量(2018年) 2)

〈図〉世界の二酸化炭素排出量(2018年)

 

また、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料を利用する火力発電は、温室効果ガスであるCO2の排出量も多く、環境保護の観点から問題視されています。実際に日本は2018年、温室効果ガスの排出量が世界で5番目に多い国でした。再生可能エネルギーなら、CO2など温室効果ガスを排出せず、環境にも配慮できるためその点でも日本国内での活用が注目されているのです。

しかしながら、再生可能エネルギーの発電設備の設置には、まだ大きなコストが発生します。そこで生まれたのがFIT制度です。FIT制度によって一定期間の売電収入を保証することで、一般家庭や事業者もコストを回収する目処が立ち、再生可能エネルギーを導入しやすくなりました。こうして再生可能エネルギーの普及を促進することが、FIT制度の狙いなのです。

 

 

FIT制度の仕組み

再生可能エネルギーで発電した電気は、どのような流れで電力会社に買い取られるのでしょうか。FIT制度の仕組みを説明します。

太陽光発電などの再生可能エネルギーで発電し、宅内で自家消費されなかった分の余剰電力は、電線を通じて電力会社に送られ、電力会社はそれを法令で定められた価格・期間で買い取ります。この買取に要する費用は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」によってまかなわれています。

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、文字通り再生可能エネルギーを促進するべく、電気を利用するすべての人から集められたお金です。私たちの毎月の電気料金に含まれており、1kWhあたりの単価は毎年決められ、全国一律となっています。ちなみに、2021年5月分から2022年4月分までの単価は3.36円/kWhとなっています。

〈図〉FIT制度の仕組み

〈図〉FIT制度の仕組み

 

一般家庭の太陽光発電におけるFIT制度

前述の通り、FIT制度の対象となる再生可能エネルギーは、太陽光発電や風力発電、水力発電などいくつかありますが、自宅の発電設備としては太陽光発電がほとんどです。特に太陽光発電は、再生可能エネルギーのなかでも比較的高い価格で買い取ってもらえます。

FIT制度の買取期間は、一般家庭に設置されることが多い容量10kW未満の太陽光発電の場合、10年間です。つまり、シンプルに「太陽光発電を設置してから10年間、一定の価格で電気を買い取ってもらえる制度」として理解すればいいでしょう。

なお、買取価格は年度によって異なり、再生可能エネルギーの普及に伴って年々下がり続けています。価格の推移は以下の通りです。

〈表〉太陽光発電(10kW未満)に対する買取価格の推移(1kWhあたりの税込買取価格) 3)

  10kW未満(太陽光単独) 10kW未満(ダブル発電)
  出力制御対応機器設置義務なし 出力制御対応機器設置義務あり 出力制御対応機器設置義務なし 出力制御対応機器設置義務あり
2009年度 48円 39円
2010年度 48円 39円
2011年度 42円 34円
2012年度 42円 34円
2013年度 38円 31円
2014年度 37円 30円
2015年度 33円 35円 27円 29円
2016年度 31円 33円 25円 27円
2017年度 28円 30円 25円 27円
2018年度 26円 28円 25円 27円
2019年度 24円 26円 24円 26円
2020年度 21円
2021年度 19円
2022年度※ 17円※

※調達価格等算定委員会「令和3年以降の調達価格等に関する意見」において取りまとめられた内容

 

 

卒FITとは。2023年度までには全国で約165万件に到達

istock画像 卒FITとは

画像:iStock.com/Nuthawut Somsuk

 

FIT制度を理解したところで、次は「卒FIT」について解説します。

卒FITとは、「10年の買取期間が過ぎてFIT制度の適用が終了すること」

前述したように、FIT制度には適用期間が設けられており、容量10kW未満の太陽光発電の場合、期間は10年間と定められています。「卒FIT」とは、その期間を過ぎてFIT制度が満了することです。卒FITを迎えると、一般的に買取価格が大幅に下がってしまうため、余剰電力を売って以前と同じような収入を得ることが難しくなります。

 

住宅用太陽光のFIT買取期間終了をめぐる最新事情

太陽光発電を設置していて卒FITを迎えた家庭や、近い将来に卒FITが控えている家庭は非常に多いです。経済産業省の調べによると、2019年の11月、12月だけで約53万件もの家庭が、卒FITを迎えています。さらに2023年度までの累計では約165万件、容量にして670万kWにも上る家庭の太陽光発電が、卒FITを迎える見込みです。太陽光発電を導入している多くの家庭が、卒FIT後に向けて対策の検討が必要となります。

〈図〉FITを卒業する住宅用太陽光発電の推移(年別、累計) 4)

〈図〉FITを卒業する住宅用太陽光発電の推移(年別、累計)

 

また、FIT制度は2012年7月から開始した制度ですが、卒FITを迎える人は2019年11月から出てきています。「適用期間は10年のはずでは?」と疑問に感じた人も多いかもしれません。これはFIT制度の先駆けとなる「太陽光発電余剰電力買取制度」が2009年11月より始まっており、FIT制度へ統合されたのが理由です。

太陽光発電余剰電力買取制度とは、太陽光発電で生み出された電気を、電力会社が一定期間、一定価格で買い取ることを義務づけた制度です。特に2009年以降2012年までは、住宅用で比較的高い買取価格が設定されていたため、世界と比較しても日本は住宅用太陽光発電が進んだ国のひとつでした。FIT制度と同様、住宅用太陽光発電の場合の買取期間は10年と定められています。FIT制度との統合後も買取期間は引き継がれたため、早い人は2019年11月から卒FITを迎えているのです。

卒FITのタイミングは家庭によって異なる

卒FITのタイミングは、各家庭のFIT制度の適用開始時期に左右されます。周りが卒FITを迎えないからといって、自分の家庭もそうとは限らないので気をつけましょう。容量10kW未満の太陽光発電における、適用開始年度ごとの満了年度は以下の通りです。

〈表〉FIT制度適用開始年度とFIT制度満了年度一覧

FIT制度適用開始年度 FIT制度満了年度
2009年度 2019年度
2010年度 2020年度
2011年度 2021年度
2012年度 2022年度
2013年度 2023年度
2014年度 2024年度
2015年度 2025年度
2016年度 2026年度
2017年度 2027年度
2018年度 2028年度
2019年度 2029年度
2020年度 2030年度
2021年度 2031年度

 

卒FITによるデメリットと影響

〈図〉住宅用太陽光発電導入件数 5)

〈図〉住宅用太陽光発電導入件数

 

卒FIT後に発生する最大のデメリットは、買取価格が下がり売電収入が以前より大幅に減ってしまうことです。買取価格は太陽光パネルなどの設備費や工事費の足元の価格に基づいて算出されます。FIT制度施行により太陽光発電は一気に普及し、太陽光パネルなどの価格が下がり続けています。つまり買取価格もどんどん安くなっています。卒FIT後の買取価格は電力会社によって異なりますが、2021年12月現在では、7〜9円程度であるケースが多いです。

 

 

卒FIT後の余剰電力はどうする? 2つの対策方法を紹介

卒FIT後の対策として最も代表的なのが、これまで売電していた余剰電力を、なるべく自家消費できるようにすることです。

余剰電力を自家消費することで電気の自給自足が進めば、電力会社から購入する電気が少なくなるため、毎月の電気代を抑えられ経済的です。つまり、卒FIT後の買取単価よりも、電力会社から購入する電気代の単価のほうが一般的に高いため、その差額が経済的メリットとなるのです。では、余剰電力を自家消費するには、どのような方法があるのでしょうか。詳しくご紹介しましょう。

① EVやエコキュート、蓄電池などの自家消費機器を導入する

基本的な対策として、これまで別のエネルギーで使用していた機器を、電気で動作するように置き換える方法があります。例えば、ガソリン車をEV(電気自動車)やPHEV・PHV(プラグインハイブリッド車)に買い換え余剰電力を充電に活用するといったことです。

また、東京電力エナジーパートナーが新たに提案する「新電化パッケージ」のひとつである給湯器「おひさまエコキュート」を活用するのもおすすめです。エコキュートは空気の熱を利用してお湯を沸かす高効率な機器であり、一般的には夜間の電気を使う夜間蓄熱式の給湯器です。それに対し「おひさまエコキュート」は太陽光で発電した電気を使って昼間に沸き上げる自家消費促進型の新しいタイプのエコキュートです。太陽光発電と非常に相性がよいのも特徴です。卒FIT後の余剰電力を効率的に活用したい人は、ぜひ検討してみてください。

おひさまエコキュート

 

▶「おひさまエコキュート」について詳しく知りたい方はこちら

もうひとつの方法は、蓄電池に電気を貯めておくことです。これにより太陽光で発電できない夜や雨の日にも、貯めておいた電気を自宅に戻して活用できます。たとえば、昼は太陽光の電気、夜は貯めておいた電気で生活に必要な電気をまかなえば、電気の自給自足はより進みます。

② EVリフォームをして、EVから自宅に電力を供給

また、EVやPHEVに乗っている方なら定置型蓄電池の代わりにV2Hを活用するのがおすすめです。

V2Hとは「Vehicle to Home」の略称で、EVに搭載されている大容量バッテリーに蓄えられた電気を、自宅に戻して有効活用する考え方を指しています。V2H機器はその橋渡しの役割を担っており、EVと自宅をV2H機器で接続すると、お互いの電気を行き来させることが可能になります。

最近のEVやPHEVのバッテリーは、数百kmもの長距離走行にも耐えうるほどの容量を備えています。そのため車種によっては家庭で必要になる電気を最大5日分程度(※)供給できる場合もあります。EVやPHEVのバッテリーは定置型蓄電池に比べ容量が数倍から数十倍も大きいため、災害時の非常用電源としても極めて優秀です。
※1日の使用電力量を10kWhと仮定した場合

〈図〉V2H導入時の電気の流れ

〈図〉V2H導入時の電気の流れ

 

余剰電力の活用方法は以下の記事で詳細に解説しているのでぜひご覧ください。

 

【あわせて読みたい記事】
▶︎「卒FIT後の余剰電力はどうする?」

 

太陽光発電を設置している人は、自分に合った卒FIT対策をお早めに

FIT制度は、自宅に太陽光発電を検討している方もすでに設置している方にも、重要な制度です。特に卒FITでは、FIT制度によって少なくない売電収入を得ていた家庭の場合、家計の見直しが必要になる可能性も考えられます。FIT制度や卒FITの仕組みを正しく理解して、将来を見据えた計画的な家計を設計していきましょう。

 

この記事の著者
EV DAYS編集部
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