積水ハウスの設計士が「おひさまエコキュート」を選んだ理由

アイキャッチ

〈連載「新電化生活、はじめました」第9回〉太陽光発電の普及とともに、昼間につくった電気を上手に活用する給湯機「おひさまエコキュート」への注目度も高まっています。今回はご自宅を建てられた積水ハウスの設計士・山井さんにインタビュー。設計のプロから見た「おひさまエコキュート」の良さを伺いました。

 

新電化バナー

 

インタビューに答えてくれたのは山井洋平さん・咲さん

今回訪れたのは、群馬県高崎市にある山井洋平(ようへい)さんと咲(さき)さんのご自宅。洋平さんご自身が設計して建てられ、2024年12月に入居されたばかりです。陽の光が降り注ぐ、こだわりが詰まったリビングで迎えていただきました。

キッチンで談笑する夫婦

 

お住まい 群馬県高崎市
家族構成 ご夫婦+お子さん3人
導入方法 新築時に導入
導入設備 太陽光発電(4kW
蓄電池(7kWh)
・おひさまエコキュート
入居時期 2024年12月

 

「おひさまエコキュート」を導入しない選択肢はなかった

山井さん夫婦が並んで話す様子

積水ハウス入社11年目を迎える(2025年1月時点)山井洋平さん

 

積水ハウスで戸建住宅の設計士として、日々住宅と向き合っている洋平さん。もともと太陽光発電や蓄電池、おひさまエコキュートに関して深い造詣をお持ちです。お住まいを新築される前からおひさまエコキュートの良さを感じていたと言います。

洋平さん「仕事柄、お客さまにご説明するために、太陽光発電に関連する情報は自分でも深く調べていたんです。すると、オール電化にするなら、太陽光発電・蓄電池・おひさまエコキュートをセットで導入しない理由が、私の中では見当たりませんでした。いざ自宅を新築する段になり、おひさまエコキュートの導入を決めたのは至極自然な流れでしたね」

咲さん「私たちの住んでいるエリアは都市ガスではなくプロパンガスですので、家を新築する際はオール電化にしようという話は以前からしていたんです。以前の家は戸建の賃貸だったのですが、冬はガス代だけで月1万円くらいかかっていました。そんな中で、主人から家への要望を聞かれた際、月々の固定費が気になるから、光熱費が抑えられるようにしてほしいと伝えました。そこから先は家の設計を含めてすべてお任せです。プロに任せるのが一番だなと(笑)」

洋平さん「どういう家にしたいのか、やりたいことやイメージを言ってもらえれば、後はその要望を具現化した提案をするのが我々プロの仕事ですから(笑)。あとはいくつかの提案の中からご希望に一番合うものを選択してもらえればよいだけです。

導入コストが唯一のネックでしたが、太陽光発電とおひさまエコキュートについては、コストを回収できる算段がついていました。自宅の仕様を決める際はそれらを当然入れるものとして設計を始めました。蓄電池については現状コスト回収は難しいですが、月々の出費を抑える目的で導入しましたね」

iPadに映った図面を指差す様子

洋平さんが仕事の合間をぬって2時間ほどで書き上げたというご自宅の設計図

 

 

新電化バナー

 

最大の強みは、導入者だけが加入できる電気料金プラン「くらし上手」

家の側面に置かれたエコキュート

おひさまエコキュートは、なるべく直射日光を避けられる位置に設置されている

 

ただ、“オール電化に適した高効率の電気給湯機”という意味では、通常のエコキュートも選択肢に挙がるはず。そこで山井さんに伺ったところ、おひさまエコキュートにした最大の理由は、電気料金プランにあったと言います。

洋平さん「大前提として、おひさまエコキュートは太陽光発電とセットで、効率よく昼間にお湯を沸かしてくれます。これだけでも十分優秀なのですが、私がおひさまエコキュートを導入した最大の理由は『くらし上手』という東京電力エナジーパートナーの電気料金プランを選べるからです。

『くらし上手』は電力量料金が120kWhまで定額料金です。さらに120kWhを超えた分は従量課金になるのですが、その場合も時間帯を選ばず単価は30.72円/kWhで固定されます。通常のエコキュートの場合の『スマートライフ』プランですと、深夜(午前1〜6時)以外は35.76円/kWhです。通常、電気を使うのは起きている時間帯ですから、これなら安心して使えますよね」

咲さん「家計をやりくりする上で、光熱費をあらかじめ計算できる点はかなり大きいです。子どもの成長に伴って使う量は増加すると思いますが、出費がある程度固定されて想定できるというのはとてもうれしいです」

洋平さん「私たちが家を建てたとき、おひさまエコキュートは通常のエコキュートより価格は高く、導入コストの差額は10万円程度でした(※1)。でも、『くらし上手』で電気代を試算したところ、約2年(※2)でその差をペイできるようなのです。つまり、2年目以降はシンプルにプラスになるということですね」

※1:メーカーや地域、条件によって導入コストは異なります
※2:期間は試算条件などにより変わる場合があります

インタビューを受ける咲さん

 

 

太陽光パネルの容量を4kWにした理由

家の外観画像

山井さんのご自宅は瓦一体型の太陽光パネルを使用しているので、デザイン性が損なわれないところもポイント

 

ちなみに、設計士ならではの視点として、太陽光発電の容量についても伺ってみました。平家で遮蔽物のない山井さんのご自宅なら、4kW以上の容量も載せられたはず。この容量に決めた理由は何だったのでしょうか?

洋平さん「うちは建坪が40坪程度なのですが、発電量と消費電力量、そして蓄電池の容量でバランスが取れるのが、4kWくらいだと経験則でわかっていたんです。設計する際、消費電力量は居住人数ではなく、間取りや床面積を元に計算しますが、50~60坪を越える戸建住宅の場合は4kWだと少し足りないかもしれません。

ただ、もう少し容量を増やしてもいいかなと思ったのですが、6kWを超えると発電した電気を交流に変換するパワーコンディショナー(パワコン)という機器が2つ必要になるんですよね。パワコンの交換時期は約10年ですが、4kWなら交換する際に1つで済むと思って。あとは、それ以上だと屋根の1面に乗らなくなるのも理由です」

 

新電化バナー

 

入居後1ヵ月で実感。電気代高騰に対する大きな一手に

インタビューを受ける山井さん

「投資という意味でも、太陽光発電とおひさまエコキュートはかなり回収率が高いと思っています」と山井さん

 

最後に、ずばり太陽光発電とおひさまエコキュートをセットで導入するメリットを伺いました。

洋平さん「最大のメリットは、やはり電気代の高騰に対する直接的な解決策である点ですよね。私のお客さまにもよくお話するのですが、電気ってちょっと変わった商品なんです。通常の買い物は買う量が多ければ多いほど単価は下がりますよね。でも、電気は量が多いほど一般的に単価は上がるんです。

だからこそ、電気代を抑えるためには、電気を買う量を少なくすることが大切です。太陽光発電を導入すれば、自家消費する分、買う電気の量はもちろん減らせますし、オール電化にしておひさまエコキュートにすれば、ガス代の基本料金分を削減できるだけでなく、『くらし上手』で電気料金単価も抑えられる可能性があります。また、もし今後さらに電気代が上がった場合でも安心です。

ちなみに、導入タイミングは早いほうが良いと思いますよ。電気代は高くなっているので、自家消費が増えれば増えるほどおトクになりますし、売電価格も年々下がっています。導入後10年は『FIT(固定価格買取制度)』で余った電気を買い取ってもらえますが、2024年度の10kW未満の場合は16円/kWhとなっています。これは10年前と比較すると20円/kWhほども下がっているのです」

咲さん「12月に入居したばかりですが、現時点ですでにメリットは実感しています。夕方までには7kWhの蓄電池がフル充電されているので、電気を買う量はかなり抑えられている印象です。また、エコキュートだとシャワーの水圧が下がると聞いたのですが、個人的にはそんなに気にならなかったですね。むしろ水圧が強ければ強いほど水道代が増えることにもつながりますので、その点もメリットだととらえています(笑)」

タッチパネルを操作する様子

取材時は午前11時半時点で蓄電池は41%充電されていた。

 

※本記事の内容は公開日時点での情報となります



この記事の著者
EV DAYS編集部
EV DAYS編集部