雨・雪の日のEV充電は安全?知っておきたい3つのルールと対処法

EV(電気自動車)をお持ちの方や、これからEVを購入される方のなかには、雨や雪の日の充電について不安を感じる方もいるかもしれません。「濡れた状態で充電しても大丈夫?」「感電のリスクはないの?」といった疑問を持つのは当然です。EVと充電設備は雨天等での使用も想定して設計されており、適切な手順を守れば安全に充電できます。ただし、最低限のルールを知っておくことが重要です。雨や雪の日の充電に関する対応について解説します。

 

 

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雨や雪の中でも、EVを充電しても大丈夫?

画像:iStock.com/SimonSkafar

 

まず、雨の中のEVの充電が大丈夫かどうかといえば、その答えは「大丈夫」。雪でも同様に「大丈夫」です(ただし、後述しますが、一定の基準を超える場合は注意が必要です)1-3)。そのおもな理由は、EVも充電設備も、一般的に雨や雪の中での充電も考慮して設計されているからです。

 

急速充電の場合

大きな電圧や電流が流れる急速充電器に関しては、EVに急速充電器の充電ケーブルをつなぐときには電気が通っていません。充電ケーブルをつないだ後に、EVと急速充電器の間で通信を行って、それから充電を開始します。つまり、原則として、人が充電ケーブルに触っているとき、電気は通っていないのです。

 

 

普通充電の場合

自宅などでの普通充電に関しては、充電ケーブルやEV側の充電ポートは雨でも感電しないようにできています。

もちろん充電用コンセントも一般的に防水仕様となっています。そのため、EVを販売する自動車メーカーや、充電設備を販売する設備メーカーも、みな一様に「雨や雪の中でも充電できます」と説明しています。もちろん車が故障することもありません。

とはいえ、電気を使うものですから、何をしてもいいというわけではありません。より安全に充電するために最低限の守るべきルールはいくつかあります。このあと、それを紹介します。

 

 

 

EV充電時に守るべき3つのルール

① 濡れた手で作業をしない

雨や雪の中でのEVの充電で、感電を防ぐには、濡れた手で作業しないことが重要です。

いくら機器が感電しないように設計されていても、充電コネクタやプラグ、充電ポート、それぞれの接続部(端子)や、充電用コンセントなどに濡れた手で触れるのは危険な行為です。ですから、もしも手が濡れていたら、乾いた布で手を拭いてから作業しましょう。

また、乾いた布で拭くときは、手だけではなく、濡れた充電コネクタ、プラグ、充電ポート、充電用コンセントも拭くことをお忘れないように。

〈図〉EV充電に関する各部名称

 

その中でも、特に注意してほしいのが充電用コンセントです。充電用コンセント自体は防水仕様になっていますが、その内部は常に電気が通っていますので、濡れた手で触らないようにしましょう。また、充電ケーブルのプラグを抜き差しするときも、濡れた手で行わないことが重要です。

「それでも心配だ」と思うのであれば、作業の際に電気を通さない絶縁性のゴム手袋を使うのがいいでしょう。ゴム手袋を装着した状態で充電作業を行うことで、感電のリスクはより小さなものとなります。雨や雪の日用に、EVのグローブボックスに用意しておくのがおすすめです。

 

 

② 特定のシチュエーションではEV充電を避ける

画像:iStock.com/Angelo F-

 

雨中の充電は可能と説明しましたが、それでも危険が大きすぎるため、やめたほうがよい状況もあります。それが暴風雨や雷雨です。あまりに雨風が強すぎると、いくら布で拭いても、すぐにビショビショに濡れてしまいます。また、雷が聞こえたときも充電はやめましょう。もしも、充電中に雷が鳴ったら、車や充電ケーブルに近づかないようにしましょう。

また、充電ポートに水が溜まってしまったときや、充電用コンセントが水没しているときも、当然、充電はできません。特に充電用コンセントの水没は漏電の可能性があるのでブレーカーをOFFにして近づかないほうがよいでしょう。

なお、大雪や厳寒などで充電ポート周りが凍結し充電コネクタの抜き差しができないときは、故障の原因にもなりますので無理に動かそうとはせず、解凍してから操作を行うようにしましょう。

〈表〉EV充電をやめたほうがよい状況

・暴風雨や雷雨のとき

・雷が鳴り始めたとき

・充電ポートに水が溜まっているとき

・充電用コンセントが水没しているとき

・充電ポートなどが凍結しているとき

 

 

③ 心配なら、感電を防ぐためのアイテムや機器を準備する

雨や雪の中のEVの充電で感電を防ぐためのアイテムとして挙げるなら、真っ先におすすめなのが、絶縁性のゴム手袋です。1000円程度から購入可能な安価なアイテムでありながら、高い安心を得られることでしょう。また、EVの充電ポートを雨から守る、充電ポートカバーがあれば、さらに安心度は高まります。自動車メーカーの純正品(オプション)もあれば、サードパーティ製品もあります。自分の車に使いやすいグッズを探すとよいでしょう。

日産リーフ用の充電ポートカバー

 

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正しい知識で悪天候時の充電に備えよう

雨や雪の中でのEVの充電に対して、不安を感じる人も多いはず。もちろん、電気を使っていますから「100%安全」とは言いきれません(ただしこれは、可燃性の液体であるガソリンを扱う場合でも同じだといえます)。とはいえ、守るべきは「濡れた手で作業しない」「暴風雨、雷の時は充電しない」などの最低限のルールだけです。どの車メーカーも、極端な悪天候などを除いて「雨や雪の中で充電してもまったく問題ない」と説明しています。

正しい知識を持って適切に対処すれば、雨や雪の日でも安心してEVを充電できます。本記事で紹介したポイントを覚えておき、快適なEVライフを送りましょう。

 

 

※本記事の内容は公開日時点での情報となります

 

この記事の監修者
鈴木 ケンイチ
鈴木 ケンイチ

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。