
5人乗りの登録車(普通自動車)として世界初の量販EVとなる「リーフ」が3世代目を迎え、見た目も中身も全面的に刷新されました。先進的なクロスオーバースタイルとなり、パワートレーンにもまったく新しいものが与えられ、これまでネックだったヒートマネジメントも万全に対策されています。発売を前にひとあし早く、その走りをまずは追浜のテストコース「グランドライブ」で岡本幸一郎さんが試乗して確認してきました。
2010年12月に誕生して大いに話題となった初代「リーフ」は、多くのユーザーにEVのすばらしさを伝えた。2017年にモデルチェンジした2代目は、基本構成を初代から受け継ぎながらアップデートを図り、2019年にはバッテリー容量を大幅に増大した「リーフe+」も加わった。そして2025年6月、3代目「リーフ」がワールドプレミアされた。
ハッチバックからクロスオーバーへ。スタイリングは先進的に一変
その姿は、「これがリーフ!?」と思わずにいられないほど斬新で驚かされた。初代と2代目の2ボックスのハッチバックスタイルから一転して、日産EVのフラッグシップである「アリア」のコンパクト版のような先進的なクロスオーバースタイルにガラリと変わっていた。

ファストバックとされたおもな理由は空力向上のためで、Cd値(空気抵抗係数)はわずか0.26を達成したという。全長が2代目より120mmも短くなったことで、流麗ながら凝縮感のある、これまでの日本車にはない独特の雰囲気をかもしている。全幅のみ微増も取り回しのよさは変わらず、機械式立体駐車場にも対応する。最小回転半径は19インチタイヤ装着車でも5.3mとなかなか小回りもきく。

「アリア」のデザインは評価が高いものの、もう少し小さいほうがいいという声も少なくなかったところ、まさしく3代目「リーフ」はそういうクルマになる。ご参考まで、「アリア」と比べると235mm短く、40mm狭く、105mm低い。

3代目「リーフ」は見た目とともに中身も全面刷新されている。基本骨格も刷新され、これまでの内燃エンジン車にも用いられていた「Bプラットフォーム」から、「アリア」と共通のEV専用の「CMF-EVプラットフォーム」となったのも大きなポイントだ。
和の要素を取り入れた、モダンで使いやすいインテリア

プラットフォームの刷新により従来は車内にあった空調ユニットがボンネット下のモータールームに配置されたことで前席の足元が広々と開放的になり、後席のフロアもセンタートンネルがなくフラットになるなど、車内の居住性が大幅に向上している。

インパネプッシュボタン式シフターの採用により、前席では容易にウォークスルーできるようになったのもうれしい。

横方向に広げたフローティングデザインとなるインパネには、12.3インチのデュアルスクリーンを統合したモノリススタイルのデザインを採用している。メーターの背景デザインには、日本の建築思想である「縁側」を含めた最大5種類が用意され、64色が選べるアンビエント照明も設定されている。
Googleを駆使した最新のインフォテインメントシステムが与えられたのも、3代目「リーフ」の大きなポイントのひとつだ。ワイヤレスApple CarPlayおよびAndroid Auto、Nissan Connectサービス、車内Wi-Fiが利用可能なほか、10スピーカーや前席ヘッドレスト内蔵スピーカーを搭載し、没入感のあるサウンド体験を実現したというBOSE Personal Plusプレミアムオーディオも用意されるなど、インフォテインメント系も充実している。これについてはいずれの機会にあらためてレポートしたい。

頭上に調光パノラミックガラスルーフが設定されたのも新しい。赤外線(IR)反射コーティングの採用による高い遮熱効果を誇り、電子制御によりガラスの透明度を変えることもできるようになっている。

パワーテールゲートが設定されたのももちろん大歓迎だ。荷室容量は後席を立てた状態で最大420Lと十分。さらに必要とあればルーフレールに、日産ディーラーでも購入できるアクセサリーのクロスバーを取り付けることもできる。
V2LもV2Hも完備。充実の蓄電池利用とバッテリーマネジメント

日産のEVとして初めて車内に100V AC電源のコンセントが2つ搭載されたのも3代目のポイントのひとつ。また、V2L機能については、普通充電ポートにコンセント内蔵のV2Lアダプターを接続することでも、最大1500Wの電力供給が可能。室内と荷室の車内コンセント合計で1500W、外部利用のV2Lアダプターで1500Wと合計3000Wまで使えることにも注目だ。もちろん車から自宅に電力を供給するV2Hにも対応する。

パワートレーンには、高出力化と小型化、静粛性を両立し、さらにモーター、インバーター、減速機を一体化した3in1のEVパワートレーンが採用された。バッテリーは78kWhと大容量で最高出力160kW(218ps)、最大トルク355Nmというスペックとなる。なお、2026年2月にはバッテリー容量55kWhの「B5」というエントリーグレードも追加される予定だ。

過去2世代にはバッテリーのヒートマネジメントが空冷だったが、3代目では万全の対策が施されたのも大きな改善点のひとつ。これで夏場や高負荷走行時の急速充電速度の制限、冬場に充電速度が上がらなかったりした問題も解消するはずだ。
具体的には、バッテリーパックに冷却液を循環させる間接液冷方式を採用するほか、車載充電器から発生する熱を利用してバッテリーを温めたり、バッテリーやモーターの熱をエアコンの暖房に活用したりするなど、熱を可能な限り有効活用することで高効率化を図り、クルマ全体の冷熱システムを一括制御する熱エネルギーマネジメントシステムを新たに採用する。

充電性能も進化し、最大150kWの急速充電に対応する。ちなみに、バッテリーの安全性についても、「リーフ」は15年にわたり市場において高い信頼性を実証している。3代目もその誇れる伝統を受け継いでくれるよう期待したい。
3世代にわたって磨かれた走り。乗りやすさは極上
モーターはこれまでと同じく永久磁石型同期モーターで、コイルには丸線よりも密接して巻くことができる平角線を採用する。気になる航続距離は、空力性能の高い18インチアルミホイールを装着する「X」グレードで、最大702㎞と一気に700kmを超えるというからビックリだ。

そんな3代目「リーフ」に、追浜の「グランドライブ」で乗ってまず感じたのも、やはりパワートレーンの進化だ。乗りやすく、静かで、振動もなく、これまで見受けられたモーターが発するキーンという音も3代目では聞こえなくなっている。

ドライバビリティの高さもかなりのものだ。絶対的な速さを追求したクルマではないとはいえ、十分な性能を備えているので不満はなく、文字どおり、意のままに走って曲がって止まれて、挙動が自然でどこにもカドがない。加減速時にカクンと不意に首が振られるようなこともないので、クルマ酔いしにくくなるはずだ。

乗り心地やハンドリングもよくなっているのには、リアサスがビーム式からマルチリンク式となるCMF-EVプラットフォームの採用と、日本向けの独自のサスペンションチューニングや、コラムアシストからラックアシストになった電動パワステなどが効いているに違いない。

日本の道路の特性に合わせて乗り心地を重視したという足まわりはしなやかで、公道を想定してところどころに起伏や継ぎ目や段差の設けられた路面でも衝撃が伝わってこない。ステアリングを切ったときの反応にも応答遅れがなく、電動パワステのフィーリングもスッキリとしていて、より乗りやすさを印象づけている。
使い勝手も乗りやすさもバツグンな仕上がりの“メインストリームEV”

以下について、今回はテストコースでの試乗なので確認できていないが、3代目「リーフ」にはいろいろ新しい機能が盛り込まれた。カーナビには目的地までのルート情報から先読みしてバッテリー温度を自動制御しエネルギー効率を高める「ナビリンクバッテリーコンディショニング」という機能が新たに採用された。さらに「インテリジェントルートプランナー」を使うと、リアルタイムの交通状況やバッテリー残量に応じた最適な充電スポットを案内してくれる。

運転支援機能は、プロパイロット1.0が標準で、2.0がオプション設定されている。加えて、前走車との適切な車間距離を保つべくブレーキを制御する「インテリジェント ディスタンスコントロール」が設定されている。

全体的に完成度は非常に高く、気になるところもなく、快適で乗りやすく、便利な機能も充実している。コンセプトどおり「メインストリームEV」として、3代目「リーフ」はより日々の生活で不満なく使えるように大きく進化をとげていることがうかがえた。
撮影:宮越 孝政
日産リーフ B7 G
| 全長×全幅×全高 | 4360mm×1810mm×1550(1565)mm |
| ホイールベース | 2690mm |
| 車両重量 | 1920kg |
| 最小回転半径 | 5.3m |
| モーター種類 | 交流同期式 |
| 最高出力 | 160kW(218ps)/4400-11700rpm |
| 最大トルク | 355Nm(36.2kgf・m)/0-4300rpm |
| バッテリー種類 | リチウムイオン |
| バッテリー総電圧 | 353V |
| バッテリー総電力量 | 78kWh |
| 一充電走行距離 | 685(670)km |
| 電費(交流電力量消費率) | 133(137)Wh/km |
| 駆動方式 | FWD |
| サスペンション | 前ストラット 後マルチリンク |
| タイヤサイズ | 235/45R19 |
| 税込車両価格 | 599万9400円 |
( )内はプロパイロット2.0装着車
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