【連載:オーナーズ世論調査Vol.8】EVユーザーの実態をアンケート調査から紐解く本企画。今回のテーマは「EVの改善希望点」について。EVオーナーのみなさんは、どんなところが気になっているのでしょうか?
最初は感動しても、慣れてくるといろいろと気になってくるのが人の性というもの。EVについても同じことがいえるかもしれません。ガソリン車とはひと味違う、最先端テクノロジーの結晶のような乗り味やスペックに心躍るのもつかの間。日常の足として使う日々に、気になるところもチラホラ出てくるに違いありません。
そんな仮説から、EVユーザー179人にこんな質問を投げかけてみました(※)。あなたが持っているEVに、改善してほしいところはありますか?
※調査方法/アンケートサイト「アイリサーチ」のシステムを利用したWebアンケート方式で実施
大半は「満足」。しかし充電と給電の改善希望の声多数
「とくにない」が大半なものの、「充電」「給電」の改善希望は無視できない多さ
まず、「とくにない」が圧倒的に多い結果になりました。EVの購入ユーザー満足度の高さが際立った印象です。つまり、EVはすでに大多数のドライバーにとってじゅうぶん満足できる乗り物に進化しているということでしょう。
しかしそんななかでも、「充電性能」がもっとも大きな改善希望のポイントのようです。バッテリーの電気を外部で使用できる「給電機能」も2位に付けていることから、一度の充電でもっと走ることができ、かつストレスのない外部給電をユーザーは望んでいると見ていいでしょう。
次いで「走行性能」「インテリア」という情緒的なスペックがランクイン。あまり多くのユーザーにとって不満が出ていないところを見ると、おおむね満足している分野といえそうです。言い換えれば、ガソリン車と遜色ないか、期待値以上の性能を示しているということ。
しかし、何かしらの改善希望を抱いているユーザーも多いという点は見逃すことができない事実。そこで、メーカーに改善希望を出せるとしたら、どんなことを伝えたいか、率直な意見を募ってみました。
【充電や給電に関する改善希望リクエスト】
「カートリッジ式の取り換え充電にできるとよいと思う。充電も手回し充電などでの緊急移動機能があるといい」(47歳男性・鹿児島県)
「充電時間を短くして走行距離を伸ばす。高速充電費用を安くする」(66歳男性・岩手県)
「1000kmは走ってほしい」(23歳女性・東京都)
「バッテリーの劣化をしないように性能アップをしてほしい」(48歳男性・神奈川県)
「猛暑の夏、エアコンを強く入れるとどんどん充電が減っていき不安になる。通常80%までしか充電しないが、夏は100%充電することが多い」(60歳女性・愛知県)
「災害時に車から電気が取れるとなるならもっと売れると思う。充電性能については、軽だからか、エアコンなどを付けると電力がかなり持っていかれるので、回収電力(回生)を増やしてほしい」(49歳女性・大阪府)
コメントをもらえたユーザーの大半は、充電や給電にまつわるコメントばかりでした。なかでも「航続距離は長く」「充電時間は短く」といったリクエストが多い印象です。しかしこの充電や給電はEVにおいてもっとも進化が顕著な分野。スペックの進化にあわせて、ユーザーの不満も減っていくことが予想されます。対して、充電や給電にまつわる声以外のリクエストはというと……。
【その他の改善希望リクエスト】
「ぱっと見でもっと格好よくしてほしいし、アクセルを踏み込んだ際のレスポンス性能を向上させてほしい」(65歳男性・山口県)
「安いものを希望します」(52歳男性・千葉県)
「車種を増やしてグレードも選びやすくしてほしい」(69歳男性・大阪府)
EVに対する改善希望点は、ユーザーが抱く期待の裏返し?
充電や給電に関するリクエストに一貫性はないものの、「もう少しこうだったらいいのに」という率直な願いが集まった印象です。前向きに捉えれば、既存のユーザーもEVのさらなる進化に期待しているといえるでしょう。
EVを街中で見かけるようになって久しいですが、日夜めざましい進化を遂げているジャンルです。「こういうスペックを待っていたんだ!」という一台が現れるのも、そう遠くない未来かもしれませんね。
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「連載:EVオーナーズ世論調査」