新茶とうなぎを求めて。Audi Q4 スポーツバック e-tronで春の浜名湖EV旅

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温かくなって行楽気分が盛り上がるなか、草花は色づき、新茶の季節が訪れようとしています。春の香りに誘われて、花と食を添えた上質なEVの旅へ出かけてみましょう。目的地は浜名湖。Audi Q4 スポーツバック e-tronを相棒に、バッテリーの持ちを検証しながら彩り豊かな旅路へとアクセルを踏みます。

 

静岡県浜松市へは、都心からなら約3時間半の道のりだ。途中、東名高速か新東名を選ぶことになるが、ナビが試算する到着予想時刻に大差ないのであれば、Q4 スポーツバック e-tronの旅路には新東名を選ぶことをおすすめする。

 

バッテリー容量は82kWhで、航続距離は公証594km(WLTCモード)を謳う。出発時点でのバッテリー残量は80%だったが、都心から約260kmの道のりなら途中充電は不要でじゅうぶんたどり着ける目算だ。

 

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美しいクーペシルエットとしなやかな走りを備えた「Q4 スポーツバック e-tron」

 

走行距離0km/バッテリー残量80%

新東名に設定された120km/hという国内最高速の制限速度でこそ、EVらしいトルクフルな走りを活かせるというものだ。楽しいドライビングはロングドライブのひとときを有意義なものにしてくれる。

Q4 スポーツバック e-tron

 

ルーフラインを低めに押さえた伸びやかなプロポーションと、大地を踏みしめるようにしつらえた20インチホイールの大径タイヤが醸し出すスポーティなルックスを裏切ることなく、欧州の名門らしいしなやかな走りが堪能できる。

運転席の写真

 

コンソールはアウディならではのMMI(Multi Media Interface)。世代を重ねてずいぶんと進化したが、タッチパネルばかりに頼ることなく、物理スイッチを駆使して操作を行うコントロールはシンプルで好感が持てる。シートの座り心地もほどよい硬さで疲れにくく、ドライバーは運転に集中ができる。

ラゲッジの写真

 

また特筆すべきはリアのラゲッジ容量で、クーペスタイルのスポーツバックでも535Lの大容量を確保。クーペではないベースモデルより15L大きい。また後席も足もとが広く取られていて、家族4人での旅路も楽にこなせることだろう。

 

美しい桜と世界中の花を集めた、「はままつフラワーパーク」

 

走行距離258km/バッテリー残量26%

はままつフラワーパークの写真

 

アウディのEV戦略における屋台骨を担うモデルなだけあって、堅実な作り込みに感心するばかりの3時間半だった。やがて浜松市に入ると、都内より心なしか気温が少し高いように感じる。温暖な気候を存分に目で楽しむためにまず訪れたのが「はままつフラワーパーク」だ。

はままつフラワーパークの写真

 

約30万m2という広大な敷地に、約3000種を数える四季折々の花が出迎えてくれる。色づくのはまさに春の時期。訪れたこの日は、梅園の斜面にスイレンが咲き誇っていた。

はままつフラワーパークの藤の写真

 

4月からはフジが見ごろを迎える。また園内の桜並木は県内有数のお花見スポットとして人気だ。なかでも浜名湖畔の自然の地形を活かして作られた「桜とチューリップの庭園」は、世界一美しいとも評される、みごとなもの。

はままつフラワーパークの温室の写真

 

音楽と水のハーモニーが美しい大噴水ショーを隔てて、エントランスから反対に位置する巨大な温室「クリスタルパレス」は、季節ごとに展示が入れ替わる。エリアごとにテーマが変わり、世界中の珍しい草花が楽しめる。

桜やフジ、クリスマスイベントの時期には夜間開園も行われる。また現在は「人・自然・テクノロジーの架け橋~レイクハマナデジタル田園都市~」をテーマに掲げた、「浜名湖花博2024」が開催中だ。花や緑とともに、デジタルアートやスマートモビリティを体感できる。

 

施設名 はままつフラワーパーク
住所 静岡県浜松市中央区舘山寺町195
電話番号 053-487-0511
営業時間 9:00~17:00(3~9月)
休園日 無休(12月29日〜31日は臨時休園)
入園料 大人1000円、小中学生500円~(3~6月)
Webサイト

https://e-flowerpark.com

 

職人の手わざを見学でき、ここだけのグルメも楽しめる「うなぎパイファクトリー」

 

走行距離269km/バッテリー残量24%

春華堂の外観

 

市内のそこかしこにサイネージを見かける“春華堂”が目を引く。なにせ、春の花を愛でたばかりだ。春華堂は浜松が誇る銘菓「うなぎパイ」を製造・販売する老舗で、工場は「うなぎパイファクトリー」として一般公開されているという。

EVの充電設備

 

EVで訪れたなら、駐車場に充電設備を備えるスポットは魅力的だ。うれしいことに駐車場には最大50kWの急速充電器が備わり、充電カードやアプリのインストールが不要の従量課金制で、クレジットカードやQRコード決済で支払うという珍しいものだった。

うなぎパイ工場の様子

 

ファクトリーは常に盛況で、年間約70万人が訪れるという。コンセプトは、“職人とのふれあい”。うなぎパイを作る流れを間近で見ることができるのだ。実際、見学すると手仕事が多いことに気づく。焼き上げから袋詰めの作業を見学できる。約9000層(!)にも及ぶというサクサクのパイ生地はうなぎパイ職人の手わざで作られているそうで、見学不可。企業秘密なのだとか。

うなぎパイ見学ツアーの様子

 

予約不要の自由見学(無料)やコンシェルジュの案内付きツアー(要予約・無料)のほか、焼き立てのうなぎパイを食べられる「窯出しうなぎパイツアー」(要予約・500円/1名)も催行している。

うなぎパイカフェの様子

 

またファクトリー2階のうなぎパイカフェは、名産静岡茶など豊富なドリンクメニューとともに、スイーツや食事が楽しめるいこいの場所だ。なかでも「“まるで”うなぎパフェ」(1400円)は、イチ押しメニュー。うなぎパイミニをうなぎのヒレに、チョコレートアイスをうなぎの頭に見立てたキュートな見た目が印象的。

うなぎパイカフェのスイーツの写真

 

生クリームとチョコレートソース、イチゴソースの層の下に、フレッシュなバナナとオレンジ。トップのうなぎはチョコレートアイスだ。うなぎパイミニをヒレに見立てたサクサクの触感が楽しい。アイスや手作りされていて、クオリティの高さにきっと驚くはずだ。

うなぎパイ直売店の写真

 

直営売店も併設している。うなぎパイをはじめ、春華堂のお菓子が数多く並ぶ。知る人ぞ知る「徳用うなぎパイ」が並ぶ日もあるというが、人気ですぐに売り切れてしまうのだとか。

 

施設名 うなぎパイファクトリー
住所 静岡県浜松市中央区大久保町748-51
電話番号 053-482-1765
営業時間 10:00~17:30
定休日 火曜・水曜(詳しくは公式サイトをご確認ください)
Webサイト

https://www.unagipai-factory.jp

 

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世にも珍しいうなぎの刺身を食べさせてくれる「うな慎」

 

走行距離274km/バッテリー残量21%

うな慎の外観

 

うなぎパイが誕生したのは、浜名湖がうなぎの一大養殖地であるからにほかならない。浜名湖周辺をドライブすれば、うなぎの専門店が至るところにある。珍しい食べ方を選ぶなら、「うな慎」へ足を向けよう。

うなぎの刺身

 

ここでは、世にも珍しいうなぎの刺身(2100円)を提供している。薄造りにした白身は脂が乗っていて、ポン酢に浸すと表面にフワッと脂が広がる。臭みは皆無だ。ヒラメのエンガワにも似た芳純なうまみが口の中いっぱいにあふれる。うなぎは淡水で暮らす魚だから、刺身にするには何日も掛けて泥を吐かせる必要があり、さらに薄造りにするためには熟練の技術が求められるという。その手間たるや大変なもので、提供するお店はごくわずかということにも頷ける。

うな重の写真



シメはやはり、お重で。上うな重(3600円)は関東風。フワフワに蒸されていて、しっかりと焦げ目を付けて焼きあげる。タレはあっさり目でくどすぎず、シャッキリと炊かれたご飯と実によく合い、軽い口当たりで箸が進む。ファンが多いというのも納得だ。

 

施設名 うな慎
住所 静岡県浜松市中央区馬郡町2476-227
電話番号 053-596-0303
営業時間 11:00~14:00、17:00~20:00
定休日 火曜・水曜

 

EV充電設備を有する温泉旅館「界 遠州」

 

走行距離288km/バッテリー残量18%

界の外観写真

 

2024年2月にリニューアルしたばかりの、浜名湖を望む温泉旅館「界 遠州」が旅の目的地だ。界は、星野リゾートのなかでも温泉に特化したブランド。全国に23施設あり、静岡にある3施設 のなかでも西側に位置する界 遠州では、お茶とうなぎ、そしてふぐも楽しめるというのだから、大人の旅先としては申し分ない。

充電設備の写真

 

手厚いEV充電設備が備わっていることは、星野リゾートならでは。6kWの普通充電仕様だ。1000円で24時間利用でき、宿泊予約後にアクティビティのように予約することができる。車寄せで荷物を預け、駐車場にある 充電設備でソケットを差し込んだら、あとは翌朝まで待つばかり。出立するころには満充電になっていることだろう。

茶葉の写真

 

館内に足を踏み入れると、煎茶の芳純で香ばしい香りが充満している。そこかしこに茶香炉があるのだ。そしてお茶を味わえる場所も多い。ウェルカムドリンクの2種類の冷茶と、部屋に持ち帰ることができる12種類もの茶葉が並ぶコーナーがあり、すべて静岡県産だという。

 

アクティビティからお風呂まで、たっぷりお茶を満喫できるステイ

ここには12種類のお茶が並び、館内で味わえる銘柄は合計で20種類以上あるという。同じ品種でも育った場所で味が変わり、さらにブレンドすることで、無限にバリエーションが広がる。一日にこれだけたくさん違うお茶を飲む機会はそうないだろう。

ラウンジの写真

 

コーナーの向かいにあるのが、「美茶楽ラウンジ」。界では、「ご当地楽」と称して各地の文化をアクティビティにする試みを行っている。今回は新茶を楽しむ趣向だ。うまみたっぷりの新茶を、クイズなどの余興を交えて楽しく味わえる。

緑茶作りの様子

 

お茶の持つ豊かな風味を存分に学ぶことができる趣向を経て、せっかくだから客室で実践してみようではないか。

客室の写真

 

客室は全室から浜名湖を望む絶好のロケーションだが、ぜひ泊まりたいのが「遠州つむぎの間」の特別室。浜松の伝統的な織物「遠州綿紬」がちりばめられ、親子3世代での宿泊も多い人気の部屋。部屋付き露天風呂も備えている。

客室にある浴室写真

 

リニューアルを経て、全室に「茶処リビング」が備えられたという。カウンタースペースにはIHヒーターが備わっており、大きなダイニングテーブルで多彩なお茶を淹れて心ゆくまで楽しむことができる。

露天風呂の写真

 

さらに温泉にもお茶の趣向が備わる。大浴場は2種類あり、朝晩で男女が入れ替わる。「華の湯」は「お茶玉風呂」と題し、桶でできた露天風呂に、お茶玉が浮かんでいる。対して「湖都の湯」は、露天風呂と檜造りの内風呂を設えたオーセンティックなスタイルだ。

 

うなぎのみならず、ふぐまで。彩り豊かな遠州の食

お茶と温泉を堪能したら、すっかり日も暮れていた。夕餉は特別会席の「ふぐうな会席」。その名の通り、ふぐとうなぎを楽しむ趣向だ。

会席料理の写真

 

先付けは「鰻とアボカドの山葵和え」。うざくに山葵とアボカドを和えた創作メニューで、濃厚さとシャキシャキ感のコントラストが鮮やか。メニューごとに新茶のペアリングが楽しめ、牧之原の「つゆひかり」と合わせる。深蒸しで甘みがありながら、あっさりとしたおいしさだ。煮物椀は蛤真薯(はまぐりしんじょ)にそら豆のかき揚げ。フワフワの真薯にカリッとしたかき揚げが好対照だ。桜の花の塩漬けを汁に沈めれば、春らしい華やかさが香る。

刺身の盛り合わせ写真

 

お次は見事な宝楽盛り。お造りはふぐの薄造りだ。遠州灘のとらふぐは、浜松の隠れたスペシャリティなのだという。タンパクながら濃密なうまみは、さすがのおいしさ。ポン酢のみならず、オリーブオイルや塩とも合わせられる。冷えたシャルドネあたりと合わせてもいいだろう。

下段の八寸は、「胡麻豆腐の香煎揚げ」「湯葉と小柱の木の芽和え」や「菜の花の利休和え」と、春らしい品が並ぶ。合わせるペアリングのお茶は遠州の「さえみどり」。クセがなくさっぱりとしていて、うまみたっぷり。多彩なおいしさに合う爽やかさと、奥に力強さを覗かせる端正な魅力を感じる。

鰻の白焼き写真

 

焼き物はパリッと見事に焼き上げた「鰻の白焼き」で、少し甘いオリジナルの「星野しょうゆ」と合わせて。揚げ物は「ふぐ唐揚げ」。ホクホクでうまみたっぷりだ。同じ白身の魚が続く献立で、好対照を描くキャラクターに起伏の妙を感じる。

うな丼の写真

 

食事はうなぎの土鍋ご飯。うなぎの頭や骨・尻尾を日本酒で出汁に取り、醤油やみりんなどを加えたこだわりの“共だれ”で焼き上げられ、さっぱりと食べられるが、うなぎの力強い風味が存分に生きている。木の芽がたっぷり散らされて、春らしい気品に満ちている。

 

おや、こんなところまで。寝ても覚めてもお茶尽くし

バーラウンジの様子

 

食後は「美茶楽ラウンジ」でバータイムだ。題して「おちゃけ」。お茶とお酒をかけた造語で、季節のカクテルやモクテルを提供する無料サービスだ。

バーラウンジの様子

 

天竜茶を漬け込んだジンに、桜のシロップを加え、トニックウォーターとともに軽くステア。桜の花びらとリキュールを少しドロップすれば、春らしいカクテルの完成だ。ウッディーなトップノートと、遅れて訪れる桜の香り。ピリッとスパイシーな雰囲気もあり、柔らかさを想像していたら、いい意味で裏切られた。

食事の写真

 

翌朝。「お茶箱朝食」は、文字通り茶箱で提供される。開けると茶葉が敷き詰められているのだ。朝からお茶の香りに包まれるという心くばりだ。遠州ならではの三ヶ日産のみかんジュースで喉を潤し、湯葉のあんかけに銀鮭の西京焼きなど、彩り豊かな王道の和朝食に箸が進む。浜名湖汁と称したあさりたっぷりのみそ汁はコンロにかけた鍋で提供される。胃の腑に染み渡るおいしさだ。

 

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EVと新茶。“新鮮さ”という共通項が生む、マリアージュの旅路

 

走行距離0km/バッテリー残量100%

出発までたっぷりと普通充電ができたQ4 スポーツバック e-tronのバッテリーインジケータは、100%という数字を示していた。

満足感を覚えたのは、満充電によるものだけではないだろう。「王道なのに、あたらしい。」が界のテーマだという。ひとつひとつのエッセンスが上質であることに加え、ところどころのアクセントとして一興加えているところが心憎い。

界ホテル外観

 

遠州の旅は、あっという間に区切りを迎えた。清々しい草花に触れ、春ならではの新茶と豊かな食を堪能する遠州の旅路は、みずみずしさに満ちあふれた体験だった。旅の体験とEVとの親和性を感じられたのは、旅先も乗り物が属するジャンルも「新鮮である」という共通項が背景にあるのかもしれない。それは大人の琴線に触れる、五感を刺激するマリアージュの旅。EVで訪れる春の遠州には、予想を超えて豊かな体験が待っているはずだ。

 

施設名 界 遠州
住所 静岡県浜松市中央区舘山寺町399-1
電話番号 050-3134-8092
Webサイト

https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaienshu/

 

撮影:平安名栄一

 

今回の旅のお供:Q4 Sportsback 40 e-tron S line

Q4 Sportsback 40 e-tron S lineの写真

 

SUVの力強さとクーペスタイルの美しさを併せ持つ、クリーンな一台。全長4590mm、全幅1865mmというサイズ感は、日本の道路事情によく合う。ハンドリングもよく手懐けられていて、力強い加速を誇る。街乗りからハイウェイドライブまでそつなくこなしてくれることだろう。クーペスタイルながら、広々とした室内とラゲッジルームを有している点はEV専用設計ならでは。WLTCモードで594kmの航続距離を誇り、最大94kWのCHAdeMO急速充電に対応する。

 

 

 

〈スペック表〉

全長×全幅×全高 4590mm×1865mm×1600mm
車両重量

2100㎏

バッテリー総電力量 82kWh
一充電走行距離 594km(WLTCモード)
電費 145Wh/km(WLTCモード)
最高出力 150kW
最大トルク 310Nm
駆動方式 RWD
税込車両価格 758万円

 

※本記事の内容は公開日時点での情報となります

 

 

この記事の著者
吉々是良
吉々是良

(株)reQue代表取締役。寺院住職との兼業編集ライター。自動車メーカーのタイアップ広告やオウンドメディアで執筆するほか、紀行文やテクノロジー関連、相続分野を得意とする元情報誌編集部員。欧州車を中心に、愛車遍歴約20年で10台を乗り継ぐ。