【2021年12月6日更新】二酸化炭素(CO2)などを排出しないので環境にやさしい、停電時には非常用電源としても活用できるなどメリットが多い電気自動車(EV)。とはいえ、同じクラスのガソリン車と比べた場合、価格が高めなので購入をためらっている人も少なくないでしょう。そこで活用したいのが、国や自治体が交付する補助金です。EVを購入する際に欠かせない補助金について、おもに個人向け制度の概要や利用条件などの基礎知識を紹介します。
この記事は2021年11月時点での情報を元に構成されています。
補助金の記載内容は、令和2年度補正予算事業も含めたEV、PHV・PHEV等への補助金に関する情報をまとめたものです。ご承知いただいたうえでお読みください。
(2021年11月追記)
■令和2年度補正予算事業における「経済産業省による補助金」と「環境省による補助金」の申請受付は、両方とも終了いたしました(経済産業省は9月9日、環境省は11月8日に受付終了)。
■2021年11月26日、経済産業省より令和3年度補正予算案として「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」が盛り込まれました。
詳しくは経済産業省のサイトでご確認ください。(※実際の制度実施には、国会での補正予算案の可決・成立が必要となります。)
- 【制度別】EVの補助金、いくらもらえる?
- 補助金を申請する際の4つの注意点
- 2021年、補助金の対象車種は?
- 診断チャートでわかる、国が交付する補助金はどれを選ぶべき?
- 国が交付する補助金の概要をチェック
- 自治体の補助金を賢く併用しよう
- パターン別・EV購入で利用できる補助金の総額シミュレーション
- V2HやV2Lを単体で導入する場合にも補助金は出る?
- 補助金を利用しEVを購入するなら早めの決断を!
注:本記事で「EV」と表現する場合、「BEV(Battery Electric Vehicle)」を意味しています。ハイブリット車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV・PHEV)や燃料電池自動車(FCV)とは区別しています。
〈図〉EV・PHVの補助金の概要
令和2年度補正予算事業における「経済産業省による補助金」と「環境省による補助金」の申請受付は、両方とも終了いたしました(経済産業省は9月9日、環境省は11月8日に受付終了)。11月10日現在、国の補助金事業としては「CEV補助金」のみが申請を受け付けています。
【制度別】EVの補助金、いくらもらえる?
EVを購入する際に欠かせない補助金について、特に気になるのは、やはり「補助金をいくらもらえるか」でしょう。EVの補助金にはいくつか種類があり、制度や実施している自治体により金額が変わります。まずは、補助金の基本構造を大づかみに捉えていきましょう。
EVの補助金の目的
国や自治体がEV(またはプラグインハイブリッド車(PHV・PHEV)、燃料電池自動車(FCV))の購入費用を補助する目的は、おもに環境への配慮です。たとえば環境省のホームページでは、補助金の目的を以下のように説明しています。
これらの補助金は、グリーン社会の実現を進めるため、電気自動車・燃料電池自動車等の導入拡大と同時に、再エネ電力を使用したゼロカーボンのライフスタイルの普及や、日常及び非常時の両方で活用できる充放電設備/外部給電器の普及を促進することを目的としています。
■出典:環境省ホームページより
つまり、補助金を交付してEVの普及を促進することにより、環境にやさしい社会の実現を目指すのが狙いというわけです。環境にやさしい社会を実現させる手助けになるわけですから、EVを購入する際には、積極的にこれらの補助金を利用すべきでしょう。
国と自治体、2種類の補助金を併用するのが基本
EVの購入時に利用できる補助金は、国と自治体から交付されています。2021年5月現在、国の補助金は次の3つとなっています。なお、従来からのCEV補助金と環境省の補助金は、個人のほか地方公共団体や企業も受給対象となっています。
〈表〉国の補助金の種類1)、2)、3)
交付元 | 事業名称 | 受給対象 |
経済産業省 (令和3年度予算) |
クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金(CEV補助金)事業 | 個人、民間事業者(法人)、地方公共団体 |
環境省 (令和2年度補正予算) |
再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボンライフ・ワークスタイル先行導入モデル事業 | 個人、民間事業者(中小企業)、地方公共団体 |
経済産業省 (令和2年度補正予算) |
災害時にも活用可能なクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金 | 個人 |
これらは、どれかひとつしか利用することができません。また受給できる金額の上限や交付条件が異なります。各補助金の概要と交付条件については、 後ほど詳しく紹介します。
各自治体が交付する補助金は、自治体ごとに上限額や交付条件が異なります。また、すべての自治体が補助金を交付しているわけではありません。基本的には現在お住いの自治体の補助金を申請することになりますので、まずは、お住まいの自治体のホームページなどで概要を確認しましょう。
〈図〉EVの補助金の構造
参考資料
1)次世代自動車振興センター「CEV補助金のご案内」
2)環境省「令和2年度第3次補正予算に盛り込まれた「再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボンライフ・ワークスタイル先行導入モデル事業」等の補助要件等について」
3)経済産業省「「クリーンエネルギー自動車の導入補助金」について」
2021年、EVの補助金は上限80万円
上記のように「国の補助金」と「自治体の補助金」があるEVの補助金ですが、2021年5月現在、ひとつの制度でもらえる金額の上限は、環境省の補助金で80万円となります。
3つある国の補助金の最大金額は下記のとおりです。
〈表〉国の補助金の上限額
CEV補助金 | 42万円 |
環境省の補助金 | 80万円 |
経済産業省の補助金 | 60万円 |
(2021年12月6日追記)
2021年11月26日に経済産業省から発表された令和3年度補正予算案によると、経済産業省の補助金は上限80万円を予定しております。
※国会での補正予算案の可決・成立後に実施となります。
さらにEVの補助金は、国と自治体2つの補助金を併用することも場合によっては可能です。つまり、住んでいる地域や条件により、80万円を超える補助金をもらえる場合もあるのです。国の補助金と自治体の補助金の両方とも受給できれば、EV購入費用の負担が大きく軽減されます。
なお、国の補助金と自治体の補助金の併用例については、 後ほど具体的な例を挙げて紹介します。
補助金を申請する際の4つの注意点
EV購入時に欠かせない補助金ですが、申請を検討するにあたり注意すべき点もいくつかあります。事前に知っておきたい4つの注意点を紹介します。
(1)交付条件や金額は毎年変わる
国と自治体、どちらの補助金も、交付条件や限度額が毎年更新されます。ネット検索で表示される記事は、情報が古いままになっている場合もあるので、申請を検討する際には、国や自治体のホームページで最新情報をチェックしましょう。
(2)申請の受付は先着順となる
国と自治体、どちらの補助金も、事前に決められた予算の範囲内で交付されます。そのため、ほとんどの場合、申請の受付は先着順となります。受付期間内だからといって、必ず補助金を受給できるわけではない点に注意しましょう。
(3)中古車、新古車の購入は対象外となる
国と自治体、どちらの補助金も、基本的に補助金の交付対象は新車の購入に限られます。いわゆる“新古車”を含め、中古のEVを購入する場合は補助金が交付されない点に注意しましょう。
(4)EVの購入だけでは補助金を受給できない場合もある
たとえば経済産業省の補助金は、交付条件に充放電設備(V2H)/外部給電器(V2L)の「同時購入」が含まれており、EVの購入だけでは補助金をもらうことが原則できません。また、自治体が交付する補助金でも、同様の条件を設けている場合があります。詳しくは、お住いの自治体のホームページなどをご確認ください。
【あわせて読みたい記事 】
▶︎「【2021年版】V2Hの補助金は上限いくら? 国や自治体の制度、注意点を解説」
(ポイント)補助金を利用する際には、まずディーラーに相談しよう
国と自治体、どちらの補助金も申請の手続きは、かなり複雑になっています。もちろん、個人で申請することも可能ですが、ある程度の知識がなければ、スムーズに申請を済ませることは難しいでしょう。
そこでおすすめしたいのが、ディーラーに相談することです。最新情報の提供や申請に必要な知識のアドバイスが受けられるほか、ほとんどの場合、補助金の申請も代行してくれます。EV購入の際には、事前に補助金に関する質問や相談をするようにしましょう。
2021年、補助金の対象車種は?
次に気になるのは、購入を検討しているEVが補助金の対象になるかどうかでしょう。環境への配慮が目的に実施されている補助金の制度では、どのような車が対象になるのか、国の制度をベースに紹介します。
補助金がもらえるエコカーの種類
国や自治体がエコカーの購入を補助する主な目的は環境への配慮です。そのため、CO2の排出量がゼロもしくは少ない車が補助の対象となります。2021年の時点では、EVのほか、PHV・PHEV、FCVなどが、補助金の対象となる車種に含まれる場合が多いです。ハイブリッド車(HV)は、補助金の対象とならない点に注意しましょう。
各種類の車の具体的な車種(国産車)は下記のとおりです。なお、下記で挙げた車種も、制度によっては対象外となる点にご注意ください。
〈表〉補助金の対象となるエコカーの車種一覧
EV(普通自動車) | ・日産 リーフ ・ホンダ Honda e ・マツダ MX-30 EVモデル ・レクサス UX 300e など |
PHV・PHEV(普通自動車) | ・トヨタ プリウス PHV ・トヨタ RAV4 PHV ・ホンダ CLARITY PHEV ・三菱 アウトランダー PHEV ・三菱 エクリプス クロス PHEV など |
FCV | ・トヨタ MIRAI ・ホンダ CLARITY FUEL CELL など |
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▶︎「【図解】「EV(電気自動車)」とは?|HV・PHV・FCVとの仕組みの違いを解説」
(ポイント)同じ車種でも適用される補助金額が違う場合がある
車種を確認する際に気をつけておきたいのが、「同じ車種でも補助金の金額が違う場合がある」ということです。
たとえば日産リーフの場合、バッテリー容量が60kWhの「リーフe+ 」は、経済産業省の補助金では60万円、環境省の補助金では80万円が交付されるのに対し、バッテリー容量が40kWhのベーシックグレードは、経済産業省の補助金では55万2000円、環境省の補助金では73万6000円となるなど、同一車種でもグレードによって金額が異なります。
車種やグレードによる補助金額の計算は複雑なほか、制度によっても計算方法が異なります。購入を検討している車種が国の補助金の対象になるかどうかや、どれくらい補助金が交付されるのかを知りたい場合は、下記のウェブサイトが役立ちます。
診断チャートでわかる、国が交付する補助金はどれを選ぶべき?
令和2年度補正予算事業における「経済産業省による補助金」と「環境省による補助金」の申請受付は、両方とも終了いたしました(経済産業省は9月9日、環境省は11月8日に受付終了)。11月10日現在、国の補助金事業としては「CEV補助金」のみが申請を受け付けています。
従来からのCEV補助金と環境省が交付する補助金、経済産業省が交付する補助金は、3つのうちひとつしか選ぶことができません。そこで3つを比較してみましょう。
3つの補助金を比較した場合、上限額がもっとも高いのは環境省の補助金です。
〈表〉EV購入で利用できる補助金の上限額
名称 | 上限額 |
CEV補助金 | 42万円 |
環境省 | 80万円 |
経済産業省 | 60万円 |
金額だけでみれば、環境省の補助金がもっとも魅力的といえます。次に、3つの補助金の主な交付条件を比較してみましょう。
〈表〉EV購入で利用できる補助金の交付条件比較
交付条件 | CEV補助金 | 環境省 | 経済産業省 |
再エネ100%電力調達 | ー | 必須 | ー |
V2H/V2Lの購入 | ー | オプション | 必須※ |
モニター協力 (期間) |
ー | 必須 (4年度) |
必須 (2年度) |
※車載コンセント(1500W/AC100V)から電力を取り出せる給電機能がある車両については、車両自体に外部給電器の機能が搭載されているとみなすことができるため、充放電設備(V2H)/外部給電器(V2L)を購入しなくとも補助金の対象となります。詳しくは次世代自動車振興センターのウェブサイトをご覧ください。
このうち、大きなポイントとなるのが「再エネ100%電力調達」と「V2H/V2Lの購入」です。EVの新規購入だけで補助金の申請ができる従来からのCEV補助金に対し、環境省の補助金は、電力会社が提供する「再エネ電力メニュー」に契約するなどいくつかの方法で「再エネ100%電力調達」の条件を満たすことが必須条件となっています。また、経済産業省の補助金はEVとあわせてV2HまたはV2Lの新規導入が原則必須となっています。
つまり、「再エネ電力メニュー」に契約する意思があるなら環境省の補助金を選ぶ、V2H/V2Lを導入する意思があるなら経済産業省の補助金を選ぶのが、それぞれ最善策ということになります。どの補助金を選ぶのがよいかを診断する簡単なチャートを作成したので、検討の際に役立ててください。
〈図〉EV購入時に利用すべき補助金診断チャート
【あわせてチェックしたい】再エネ電力メニュー「アクアエナジー100」について知りたい方へ
▶︎「水力発電100%の電気 アクアエナジー100」
国が交付する補助金の概要をチェック
令和2年度補正予算事業における「経済産業省による補助金」と「環境省による補助金」の申請受付は、両方とも終了いたしました(経済産業省は9月9日、環境省は11月8日に受付終了)。11月10日現在、国の補助金事業としては「CEV補助金」のみが申請を受け付けています。
EV購入の補助金申請は、ディーラーが代行してくれる場合が多いとはいえ、自分でもある程度の概要を理解しておいたほうが、相談しやすくなります。そこで、EV購入時に利用できる補助金の軸となる、国が交付する補助金の概要を紹介しましょう。
(1)CEV補助金
国が交付する補助金のなかでも代表的な存在となるのが、次世代自動車振興センターが運営する「クリーンエネルギー自動車導入事業」の予算から交付される「CEV(クリーンエネルギー自動車)補助金」です。
地球温暖化や大気汚染の原因となる、自動車の有害な排出ガスの排出量低減に貢献するクリーンエネルギー自動車の普及を目的に、次世代自動車振興センターが認定するEVやPHV、FCVの購入費用の一部が補助されます。
補助金の上限額は?
CEV補助金の上限額は、令和2年度と同様以下のとおりです。
〈表〉対象となる車の補助金の上限額
種類 | 上限額 |
EV | 42万円(給電機能:有) |
PHV | 22万円(給電機能:有) |
FCV | 210万円(給電機能:有) |
EVの場合、上限額は42万円ですが、実際に交付される補助金の金額は購入するEVの車種・グレードのほか、給電機能の有無などによって変わります。また、補助の対象外となる車種もある点に注意しましょう。下記に、補助金額の一例を紹介します。
〈表〉主なEVの補助金額(CEV補助金の場合)
メーカー・ブランド名 | 車両名 | メーカー希望小売価格(税込) | 補助金額 |
レクサス | UX 300e versionC | 580万円 | 42万円(給電機能:有) |
日産 | リーフ e+ G | 499.84万円 | 42万円(給電機能:有) |
マツダ | MX-30 EV Highest Set | 495万円 | 23.3万円(給電機能:無) |
ホンダ | Honda e | 451万円 | 35万円(給電機能:有) |
※同車種でもグレードにより補助金額が異なる場合があります
上記以外に対象となる車種や補助金の額については、次世代自動車振興センターが公表している資料に詳しい記載があります。
補助金の交付条件は?
CEV補助金の申請に必要な条件は以下の2つです。
条件①一定期間内に購入した新車であること
令和3年度の補助金の場合、令和3年2月20日~令和4年2月18日の間に新規登録(新規検査届出)されたEV(またはPHV、FCV)が対象となります。いわゆる“新古車”を含む中古車の購入費用は補助金の対象とならない点に注意しましょう。
条件②購入したEV等を一定期間手放さないこと
CEV補助金を利用し購入したEV等は、4年(一部の車両は3年)は保有することが義務付けられています。やむを得ない事情で手放す場合でも、次世代自動車振興センターに届出をしないと、補助金の全額返納を求められます。
国が交付するほかの補助金に比べ上限額が低いものの、申請に必要な条件が少ないうえに緩やかなことが、CEV補助金の特徴となります。
(2)環境省が交付する補助金
環境省の補助金は、「再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボンライフ・ワークスタイル先行導入モデル事業」の予算から交付されます。
名称からもわかるように、この事業の目的はゼロカーボン(CO2の排出量ゼロ)社会を目指すことです。その観点から、EVやPHV、FCVの普及はCO2排出量削減に貢献するため、購入費用の一部が補助されるわけです。また、EVやPHV、FCVの購入を条件に、V2Hの導入(購入・設置)費用の一部も補助されます。
補助金の上限額は?
環境省が交付する補助金の上限額は、以下のとおりです。
〈表〉対象となる車の補助金の上限額
種類 | 上限額 |
EV | 80万円 |
PHV | 40万円 |
FCV | 250万円 |
EVの場合、上限額は80万円ですが、実際に交付される補助金の金額は車種やグレード、設備によって変わります。また、補助の対象外となる車種もある点に注意しましょう。下記に、補助金額の一例を紹介します。
〈表〉主なEVの補助金額(環境省の場合)
メーカー・ブランド名 | 車両名 | メーカー希望小売価格(税込) | 補助金額 |
レクサス | UX 300e versionC | 580万円 | 80万円 |
日産 | リーフ e+ G | 499.84万円 | 80万円 |
マツダ | MX-30 EV Highest Set | 495万円 | 46.6万円 |
ホンダ | Honda e | 451万円 | 66.1万円 |
※同車種でもグレードにより補助金額が異なる場合があります
上記以外に対象となる車種や補助金の額については、次世代自動車振興センターが公表している資料に詳しい記載があります。
補助金の交付条件は?
環境省が交付する補助金を利用し、EV購入費用の補助を受けるために必要な条件は以下の4つです。
条件①家庭で使用する電気をすべて再生可能エネルギーにすること(再エネ100%電力調達)
環境省の補助金の交付条件で、いちばんの特徴となるのが「再生可能エネルギー」への切り替えです。
この場合の「再生可能エネルギー」とは、簡単にまとめると太陽光・風力・地熱・水力などを利用して発電した電気のことです。環境省が交付する補助金を申請するためには、家庭で使用する電気が、すべて再生可能エネルギーであることが条件となります。これを「再エネ100%電力調達」と呼びます。なお、再エネ100%電力調達に関する費用は補助の対象となりません。
再エネ100%電力調達を満たす方法としては、いくつか方法がありますが、各電力会社が提供する「再エネ電力メニュー」に契約することが一般的で国からも推奨されています。東京電力エナジーパートナーの場合、「アクアエナジー100」がこれに当たります。名前のとおり、水力100%とみなされる電気を提供するプランです。なお、再エネ電力メニューへ4年間加入することが補助金の条件となっております。
【あわせてチェックしたい】再エネ電力メニュー「アクアエナジー100」について知りたい方へ
▶︎「水力発電100%の電気 アクアエナジー100」
ちなみに、再エネ100%電力調達を満たすためには、「再エネ電力メニュー」の契約のほかに、「再エネ電力証書(グリーン電力証書等)」を購入する、という選択肢もあります。 「再エネ電力証書」を購入すると、電気の契約を再エネ電力メニューに変えなくても、環境にやさしい価値を持つ電力を使用しているとみなされるからです。
なお「再エネ電力証書」については証書の発行事業者である日本自然エネルギー株式会社のホームページを参照ください。
条件②一定期間内に購入した新車であること
2021年度の補助金の場合は、令和2年12月21日以降に新車新規登録(または新車新規検査届出)されたEV(またはPHV、FCV)が対象となります。いわゆる“新古車”を含む中古車の購入費用は補助金の対象とならない点に注意しましょう。
条件③「モニター制度」に参画すること
環境省が交付する補助金を受給するには、EVやPHV等や再エネ100%電力調達の実態調査(環境省が指定する方法〈WEBシステムへの入力等〉で毎月の消費電力量、電気自動車等の走行距離に関する情報などを報告)およびアンケート調査やPR活動などに、モニターとして参画しなければなりません。参画の期間は4年(度)となり、この間の上記調査やPR活動に協力しないと、補助金の返納を求められます。
条件④購入したEV等を一定期間手放さないこと
補助金を利用し購入したEV等は、原則として、4年(一部の車両は3年)は保有することが義務付けられています。やむを得ない事情で手放す場合は、事前に手続きが必要です。また、それぞれ補助金の返納が必要となります。
なお、環境省の補助金はEVの購入だけでなく、同時にV2HやV2Lを導入した場合に限り、購入や設置にかかる費用の一部もオプションとして補助されます。補助金の上限額は、下記のとおりです。
〈表〉V2H導入の補助金の上限額
設備費 | 機器購入費の1/2(上限75万円) |
工事費 | 40万円※ |
※発注された工事費等全てが補助対象になるとは限りません。
〈表〉V2L導入の補助金の上限額
設備費 | 機器購入費の1/3(上限50万円) |
なおV2Hの補助金についての詳細は、コチラをご参照ください。
(3)経済産業省が交付する補助金
経済産業省の補助金は「災害時にも活用可能なクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」という名目です。非常用電源としても使えるなど「災害時にも活用可能」な機能を備えていることから、EV、PHV、FCVの購入費の一部が補助されます。
補助金の上限額は?
経済産業省が交付する補助金の上限額は、以下のとおりです。
〈表〉対象となる車の補助金の上限額
種類 | 上限額 |
EV | 60万円 |
PHV | 30万円 |
FCV | 250万円 |
EVの場合、上限額は60万円ですが、実際に交付される補助金の金額は購入するEVの車種・グレード、設備によって変わります。また、補助の対象外となる車種もある点に注意しましょう。下記に、経済産業省が交付する補助金額の一例を紹介します。
メーカー・ブランド名 | 車両名 | メーカー希望小売価格(税込) | 補助金額 |
レクサス | UX 300e versionC | 580万円 | 60万円 |
日産 | リーフ e+ G | 499.84万円 | 60万円 |
ホンダ | Honda e | 451万円 | 49.6万円 |
※同車種でもグレードにより補助金額が異なる場合があります
上記以外に対象となる車種や補助金の額については、次世代自動車振興センターが公表している資料に詳しい記載があります。
補助金の交付条件は?
経済産業省が交付する補助金を利用し、家庭向け(個人)のEV購入費用の補助を受けるために必要な条件は以下の4つです。
条件①充放電設備(V2H)または外部給電器(V2L)を同時購入すること
経済産業省が交付する補助金は、充放電設備(V2H)または外部給電器(V2L)を車と同時に購入することが条件となります。2021年度の補助金の場合は、令和2年12月21日以降に発注・購入、工事開始されたV2HやV2Lが対象となります。
ちなみに、車載コンセント(1500W/AC100V)から電力を取り出せる給電機能がある車両については、車両自体に外部給電器の機能が搭載されているとみなすことができるため、充放電設備(V2H)/外部給電器(V2L)を購入しなくとも補助金の対象となりますので留意しましょう。
補助金の上限額は以下のとおりです。
〈表〉V2H導入の補助金の上限額
設備費 | 機器購入費の1/2(上限75万円) |
工事費 | 40万円※ |
※発注された工事費等全てが補助対象になるとは限りません。
〈表〉V2L導入の補助金の上限額
設備費 | 機器購入費の1/3(上限50万円) |
なおV2Hの補助金についての詳細は、コチラをご参照ください。
条件②一定期間内に購入した新車であること
2021年度の補助金の場合は、令和2年12月21日以降に新車新規登録(または新車新規検査届出)されたEV(またはPHV、FCV)が対象となります。いわゆる“新古車”を含む中古車の購入費用は補助金の対象とならない点に注意しましょう。
条件③「モニタリング調査」に参画すること
経済産業省が交付する補助金を受給する人は、EV等とV2HやV2Lを活用した地域防災への貢献の実態調査などに、モニターとして参画しなければなりません。また、お住いの地域で災害等が生じた場合には、可能な範囲での協力を求められる場合があります。参画の期間は2年(度)となり、この間毎年1回程度の調査や活動に協力しないと、補助金の返納を求められます。
条件④購入したEV等を一定期間手放さないこと
補助金を利用し購入したEV等は、原則として、4年(一部の車両は3年)は保有することが義務付けられています。やむを得ない事情で手放す場合は、事前に手続きが必要です。また、それぞれ補助金の返納が必要となります。
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自治体の補助金を賢く併用しよう
EV購入の補助金は、国と自治体の2カ所から受給することができます。さらに自治体の補助金は、都道府県と市区町村の補助金を併せた、いわゆる“二重取り”ができる場合もあります。
自治体が交付する補助金の交付条件や上限額は、自治体ごとに異なります。一例として、東京都の「電気自動車等の普及促進事業(EV・PHV車両)」(令和3年度)から交付される補助金を紹介しましょう。
東京都の「電気自動車等の普及促進事業(EV・PHV車両)」は、車から排出されるCO2の削減を図るため、EV等を導入する人に対して、費用の一部を助成することを目的としたものです。令和2年度の助成額はEV・PHVともに個人の場合30万円でしたが、令和3年度は助成額が増額されました。
〈表〉電気自動車等の普及促進事業(EV・PHV車両)の個人の場合の概要(令和3年度)
助成対象者 | 東京都内に住所を有する個人 | |
助成対象 | EV、PHVの本体費用 | |
助成額(EV・PHVの場合) | 通常 | 環境省補助併用時 |
45万円 | 60万円 | |
主な要件 | ・初度登録された日において、経済産業省の「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」の対象車両になっていること。 ・初度登録日から申請受付日までの期間が1年以内であること。 ・自動車検査証における「使用の本拠の位置」が東京都内であること。 |
東京都が交付する補助金の場合は、環境省の補助金と併用することで、さらに補助金額がアップすることが大きな特徴となっています。さらに、お住いの市区町村の補助金も併用できる可能性があります。都内にお住まいでEVの購入を検討されている人は、複数の補助金を積極的に併用すべきでしょう。
東京都の補助金の詳細についてはこちらをご参照ください。
なお、その他の自治体の補助金に関しては、各自治体が独自に定めているため、個別に確認が必要となります。お住いの地域の補助金制度については、次世代自動車振興センターのホームページに掲載されている「全国の地方自治体の補助制度・融資制度・税制特例措置」で調べることもできますが、最新情報や詳細を知りたい場合は、各自治体へお問い合わせください。
パターン別・EV購入で利用できる補助金の総額シミュレーション
令和2年度補正予算事業における「経済産業省による補助金」と「環境省による補助金」の申請受付は、両方とも終了いたしました(経済産業省は9月9日、環境省は11月8日に受付終了)。11月10日現在、国の補助金事業としては「CEV補助金」のみが申請を受け付けています。
最後に、具体的に交付される補助金額と自己負担額のシミュレーションしてみましょう。シミュレーションで仮定するEVの条件は以下のとおりです。
パターン①EVのみを購入する場合(東京都足立区在住)
EVのみを購入する場合、国の補助金は「CEV補助金」になります。上図のEVの場合、CEV補助金は上限である42万円が交付されます。さらにCEV補助金は、お住いの自治体の補助金と併用することが可能です。
ここでは例として、東京都足立区にお住まいの方がEVのみを購入する場合に交付される補助金の総額と実質自己負担額をシミュレーションします。
500万円(車体価格) ―{42万円(CEV補助金)+45万円(東京都の補助金)+10万円(足立区の補助金)} =403万円(実質負担額)
必要な条件をすべて満たしていれば、総額で97万円の補助金が交付されることになります。なお、足立区の補助金の詳細についてはこちらをご参照ください。
パターン②EVを購入し、再エネ電力メニューへ切り替える場合(神奈川県海老名市在住)
自宅の電気料金メニューを再エネ電力メニューへ切り替えを行う場合、国の補助金は「環境省の補助金」を受給できます。上図のEVの場合、上限の80万円が交付されます。さらに環境省の補助金は、お住いの自治体の補助金と併用することが可能です。
ここでは例として、神奈川県海老名市にお住まいの方がEVを購入し、再エネ電力メニューに切り替える場合に交付される補助金の総額と実質自己負担額をシミュレーションします。
500万円(車体価格) −{80万円(環境省の補助金)+15万円(海老名市の補助金)} =405万円(実質負担額)
この場合、神奈川県ではEV購入に利用できる補助金が現状ないため、海老名市の補助金のみと併用する形になります。必要な条件をすべて満たしていれば、総額で95万円の補助金が交付されることになります。なお、海老名市では、太陽光発電施設への補助金制度もあるため、これを機に検討してみるのもよいでしょう。海老名市の補助金の詳細についてはこちらをご参照ください。
パターン③EVとV2Hを同時購入する場合(東京都杉並区在住)
(1)再エネ電力メニューに切り替えない
EVとV2Hを同時購入し、「再エネ電力メニューに切り替えない」場合、国の補助金は「経済産業省の補助金」になります。上図のEVの場合、EVに対する補助金は上限の60万円が交付されます。
また、経済産業省の補助金はV2H/V2Lの同時購入が条件となっています。例として、ニチコン製のV2H「EVパワー・ステーション(プレミアムモデル)」の導入費用総額(本体価格・工事費)は約125万円で、補助金は79.9万円です。さらに経済産業省の補助金は、お住いの自治体の補助金と併用することが可能です。
ここでは例として、東京都杉並区にお住まいの方がEVとV2Hを同時購入し、再エネ電力メニューに切り替えない場合に交付される補助金の総額と実質自己負担額をシミュレーションします。
{500万円(車体価格)+125万円(V2H導入費)} −{60万円(経済産業省のEV補助金)+79.9万円(経済産業省のV2H補助金)+45万円(東京都のEV補助金)+10万円(杉並区のV2H補助金)} =430.1万円(実質負担額)
この場合、東京都では実質的に国と併用できるV2Hの補助金がなく※1、反対に杉並区ではEVの購入に利用できる補助金がありません。そのため、東京都のEV補助金、杉並区のV2H補助金と併用する形になります。必要な条件をすべて満たしていれば、総額で最大194.9万円もの補助金が交付されることになります。
また、同じ条件のもと、再エネ電力メニューに切り替えを検討する場合には、金額が異なります。
(2)再エネ電力メニューに切り替える
上記と同じく、東京都杉並区にお住まいの方がEVとV2Hを同時購入し、「再エネ電力メニューに切り替える」場合、国の補助金は「環境省の補助金」になります。上図のEVの場合、EVに対する補助金は上限の80万円が交付されます。
環境省の補助金も、EVと同時購入したV2H/V2Lへ補助金が交付されます。こちらの金額は経済産業省の補助金と変わらないため、ニチコン製のV2H「EVパワー・ステーション(プレミアムモデル)」の補助金は79.9万円です。
再エネ電力メニューに切り替える場合に交付される補助金の総額と実質自己負担額のシミュレーションは下記のとおりです。
{500万円(車体価格)+125万円(V2H導入費)} −{80万円(環境省のEV補助金)+79.9万円(環境省のV2H補助金)+60万円(東京都のEV補助金)+10万円(杉並区のV2H補助金)} =395.1万円(実質負担額)
再エネ電力メニューに切り替えない場合と同じく、東京都では実質的に国と併用できるV2Hの補助金がなく※1、反対に杉並区ではEVの購入に利用できる補助金がありません。そのため、東京都のEV補助金、杉並区のV2H補助金と併用する形になります。
また、東京都のEV補助金は、環境省の補助金と併用することで金額が60万円へ増額されます。したがって、必要な条件をすべて満たしていれば、総額で最大229.9万円もの補助金が交付されることになります。
杉並区の補助金の詳細についてはこちらをご参照ください。
なお、経済産業省・環境省のV2H補助金については、上限の金額を紹介しています。工事費の審査等により上記の金額が交付されない場合もあります。
【あわせて読みたい記事】東京都のV2H補助金を知りたい方へ
▶︎「【2021年版】V2Hの補助金は上限いくら? 国や自治体の制度、注意点を解説」
V2HやV2Lを単体で導入する場合にも補助金は出る?
EVを購入する際に、EVを非常用電源として活用するために役立つ充放電設備(V2H)/外部給電器(V2L)の購入を検討している方も多いと思います。その場合には、EVとV2HまたはV2Lを同時期に購入することをおすすめします。何故なら、国の補助金はV2HまたはV2Lだけの購入では交付されないからです。
たとえば、環境省と経済産業省の補助金は、どちらもEVとV2HまたはV2Lを同時に購入することで、V2HまたはV2Lの購入費用の一部が(V2Hの場合は設置費用の一部も)補助対象となります。
▶︎V2Hについては詳しくはこちらをご覧ください。
▶︎V2Hの補助金について詳しくはこちらをご覧ください。
EVの購入日から一定期間以上離れた日付でV2HやV2Lを購入した場合も、補助の対象から外れてしまう点に注意しましょう。
なお、自治体によってはV2HまたはV2Lのみの購入や設置にかかる費用を補助する制度を設けている場合もあります。詳しくは、お住いの自治体にご確認ください。
補助金を利用しEVを購入するなら早めの決断を!
EV購入に際し、費用を軽減させる補助金の利用は必須といえます。しかし、補助金はいつでも申請できるわけではありません。特に環境省と経済産業省の補助金は、早期に受付終了となる可能性が高いため、申請が遅れると受給できない場合があります。EVの購入を本格的に検討しているなら、早めにディーラーに相談することをおすすめします。