【2023年版】おすすめの電気自動車(EV)を紹介!「価格・航続距離」を徹底チェック

おすすめEV

手頃な価格で購入できる軽自動車の電気自動車(EV)が発売されるなど、EVがより身近な存在になってきました。エンジン車からEVへの買い替えを検討している人も多いことでしょう。自動車ジャーナリストの国沢さん監修のもと、現在購入可能なEVを「価格」「航続距離」などの項目ごとにチェックしながらEV DAYS編集部が紹介します。

※この記事は2023年3月22日に公開した内容をアップデートしています。

 

 

 

 

EV購入時にチェックしたいポイントを解説

iStock画像 車とクエスチョンマーク

画像:iStock.com/AndreyPopov

 

車を選ぶときには「価格はどの程度か」「どんなシーンで使いたいのか」「どれくらいの頻度で使うのか」「どんなボディタイプが好きか」などの条件で購入を検討することが多いと思います。

しかし、EVの場合、それに加えて航続距離も重要な要素となります。また、同じ車種でもバッテリー容量がグレードによって異なっていたり、最近では数千回の繰り返し充電に耐える長寿命バッテリーを搭載する車種が登場したりと、これからは「バッテリー選び」の重要度も増してくるでしょう。

ここではEV購入時にチェックしておきたいポイントを「予算」「航続距離」「ボディタイプ」の3つに絞って紹介します。

 

チェックポイント①「予算」


車両価格だけを見ると、EVはガソリン車などに比べて割高に感じます。また、EVはこれから本格的に普及するため、価格帯ごとに購入可能な車種がある程度限られています。EVの購入やガソリン車からの買い替えを検討しているなら「予算」がとても重要になります。

ただし、EVは購入時に国や自治体の補助金を利用できる場合が多いほか、税金の優遇措置などもあります。車両価格がガソリン車などに比べて割高だとしても、それらを利用することで、通常の車両価格よりかなり安くEVを購入することが可能です。補助金や税制優遇措置について詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

また、電気を使って走るEVはガソリン車よりも走行コストがかからず、部品数が少ないのでメンテナンス代も安く済みます。車両価格が高くてもランニングコストが安いというメリットがあるのです。

 

 

チェックポイント②「航続距離」


次にチェックしたいのが「航続距離」です。航続距離とは、1回の満充電によって車が走行できる距離のことで、「一充電走行距離」とも言います。EVは同じ車種でも搭載されているバッテリーの容量などによって航続距離が異なり、それによって車両価格も変わってきます

たとえば、日産「リーフ」にはバッテリー容量が40kWhのモデルと60kWhのモデル(「リーフe+」)があり、航続距離は前者が322km、後者が450km。航続距離が長いほうが便利ですが、両者にはおよそ120万円の価格差があります。

安価なリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載する中国メーカーのEVの登場などにより、今後は容量の大きいバッテリーを搭載した車種の価格も安くなっていくと予想されます。使い方にもよりますが、現時点では40kWh以上のバッテリー容量がある車種を選ぶと「充電切れ」や「電欠」をあまり心配せずに使うことができるでしょう。

もっとも、ガソリン車などと同様に、EVの航続距離もカタログ値どおりにはいきません。冷暖房の使用やオーディオの再生などにも電気を消費するため、どの車種を選んでも実際の航続距離は感覚的にはカタログ値の7~8割程度だと考えたほうがいいでしょう。

 

 

チェックポイント③「ボディタイプ」


これから普及していくEVはガソリン車などに比べると車種がまだ少なく、選べるボディタイプがある程度限定されます

たとえば、軽乗用車のEVは日産「サクラ」と三菱「eKクロスEV」の2車種がありますが、いずれもヒンジドアのハイトワゴンのみです。EVのミニバンも2023年9時点で国内販売されていません。現在のEVの主流のボディタイプはSUVで、今後もこの傾向は続くと考えられます。

というのも、SUVは車高が高く、ボディ形状的に大きなバッテリーを搭載しやすいのです。また、重いバッテリーを床下に搭載することで走りが安定するといったメリットもあります。SUVはEVに限らず、現在もっとも人気の高いボディタイプだからという理由もあるでしょう。

予算を大きく引き上げれば、購入を検討している方が選べるボディタイプの種類も広がっていきますが、現状ではEVのボディタイプはある程度限定されることを理解しておいたほうがいいでしょう。

 

 

【価格帯で見るEV】このくらいの予算なら、何に乗れる?

[予算250万円程度]ガソリン車と遜色ない価格で購入できるリーズナブルな軽EV


EV選びは予算が大切とお話しましたが、実際のところ、どれくらいの予算があればEVを購入できるのでしょうか。まず数あるEVのなかでもっとも車両価格が安い「軽EV」から紹介します。

 

<軽EVの2車種>※メーカー50音順

車種 価格
日産「サクラ」 254万8700円〜1)
三菱「eKクロスEV」 254万6500円〜2)

※価格は各メーカーの公式サイトより。すべて税込価格です。

 

Ⅰ.日産「サクラ」 254万8700円~

日産「サクラ」

 

2022年6月に発売された「サクラ」は日産にとって初となる軽EVです。「X」「G」の2グレードが用意され、このうち価格の安い「X」グレードは254万8700円となっています。

ガソリン車の軽自動車と比べると少し高いと感じるかもしれませんが、約254万円という車両価格は従来の国産EVより100万円以上安くなっています。加えて、購入時に国や自治体の補助金などを利用すれば、ガソリン車と同等以上の安さで購入することが可能です。

ボディタイプは軽自動車で主流のハイトワゴンで、内外装のデザインに日産のフラッグシップEV「アリア」譲りの意匠が採用されています。全体的に軽EVとは思えない上質感があり、「サクラ」は事前の予想を大きく上回る台数を受注するほど人気を集めています。

 

 

Ⅱ.三菱「eKクロス EV」 254万6500円~

三菱 eKクロスEV

 

「eKクロス EV」は、三菱のSUVテイストのハイトワゴン・シリーズ「eKクロス」の一員として誕生した軽EVです。「G」「P」の2グレードが用意され、このうち価格の安い「G」グレードの車両価格は254万6500円となっています。

「eKクロス EV」は日産「サクラ」と基本メカニズムを共有する兄弟車で、性能面に大きな違いはありません。どちらもバッテリー容量は20kWhで、フル充電の航続距離は180km。航続距離が180kmと聞くと少し短いと思うかもしれませんが、買い物や送り迎えなど近距離走行が多い人には十分な性能です。

メカニズムは共通でも、デザインや車の特徴は「サクラ」と少し異なります。「サクラ」が日産のフラッグシップEV「アリア」譲りの上質感を打ち出しているのに対し、「eKクロス EV」はSUVテイストを前面に押し出している点が特徴です。同じ価格帯のEVの場合、こうしたキャラクターの違いに注目するのもいいかもしれません。

 

 

 

 

[予算500万円未満]比較的リーズナブル、でも、大満足なEVは?

普通車のEVのなかでは、比較的お手頃な価格で購入できるのが「予算500万円未満」の車種です。国産EVの代名詞的存在の日産「リーフ」から、ヒョンデ「IONIQ 5」やBYD「ATTO 3」といった輸入車まで、500万円未満で購入可能なEVを紹介します。

 

<500万円未満のEV車種例>※メーカー50音順

車種 価格
日産「リーフ」 408万1000円~3)
ヒョンデ「IONIQ 5」 479万円〜4)
BYD 「ATTO 3」 440万円~5)
プジョー「e-208」 469万4000円~6)
ホンダ「Honda e」 495万円~7)
マツダ「MX-30 EV MODEL」 451万円~8)

※価格は各メーカーの公式サイトより。すべて税込価格です。

 

Ⅰ.日産「リーフ」 408万1000円~

仕様が一部変更された2022年モデルの「リーフe+」

 

日産「リーフ」は2010年に普通車のEV市場の先陣を切って登場した国産EVの代名詞的車種で、現行モデルは2代目です。以前は300万円台から購入可能でしたが、2022年12月に価格改定が行われ、車両価格は標準グレード(X)で約408万円〜になりました。

バッテリー容量は40kWhと60kWh(「リーフe+」)があり、航続距離はそれぞれ322km、450km。いまでは性能面に目立った特徴はありませんが、初代の発売からすでに10年以上が経過していますから、その信頼性の高さが「リーフ」のポイントです。

 

【スペック確認はこちら!】
▶︎EV車種一覧ページ 日産「リーフ」

 

Ⅱ.ヒョンデ「IONIQ 5」 479万円~

ヒョンデ「IONIQ 5」

 

韓国の大手車メーカー「ヒョンデ」が2022年2月に国内受注を開始した「IONIQ 5(アイオニック ファイブ)」は、欧米の自動車の賞をいくつも受賞するなど世界的にも評価の高い一台です。

バッテリー容量が58kWhのベースグレードと72.6kWhの「Voyage」「Voyage AWD」「Lounge」「Lounge AWD」の計5グレードが用意され、58kWhのベースグレードの価格は479万円と500万円を切り、航続距離は498km。また、日本国内にディーラーを持たず、自社のウェブサイト及びアプリを通じたオンライン販売のみとなっているのも特徴的です(サブスクリプション型のカーリース「SOMPOで乗ーる」やカーシェアリング「Anyca(エニカ)」でも取り扱われています)。

このほか、ヒョンデは2023年秋に新型EV「KONA(コナ)」の発売を予定しています。「KONA」のボディは「IONIQ 5」よりひと回り小さく、日産「リーフ」と「アリア」の中間のサイズ感。バッテリー容量は48.6kWhで、400万円前後の価格と予想されています。

 

 

Ⅲ.BYD「ATTO 3」 440万円〜

BYD「ATTO 3」

 

中国・深セン発のEVブランド、BYDが2023年1月に発売した「ATTO 3(アットスリー)」は、日産「リーフ」の60kWhモデル「リーフe+」と同等以上の性能や機能をもちながら、440万円〜というリーズナブルな価格が魅力のコンパクトSUVです。劣化に強いリン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、V2H/V2Lに対応しているのもポイントでしょう。

「ATTO 3」は2023年6月28日付で国土交通省の認可を得て型式指定認証を取得したため、国のCEV補助金の上乗せ補助条件を満たし、従来の65万円から85万円の最大補助額を受けられることになりました。

なお、BYDは「ATTO 3」に続き、2023年9月20日にハッチバックのコンパクトEV「DOLPHIN(ドルフィン)」を日本で販売開始しました。コンパクトといっても、最大5人が乗車可能ですから使い勝手がよく、「ATTO 3」と同様に長寿命バッテリーのリン酸鉄リチウムイオン電池を採用。363万円〜という価格も魅力です。

 

 

IV.プジョー「e-208」 469万4000円~

プジョー「e-208」

 

フランス車のプジョー「e-208」は、日産「リーフ」よりもひと回り小さいコンパクトカーのEVです。登場当初は300万円台から購入可能でしたが、原材料の価格高騰などのコスト上昇にともなって2022年夏以降は何度か価格が改定され、現在はエントリーモデルの「アリュール」で469万4000円〜となっています。

バッテリー容量は50kWhで、航続距離はコンパクトカーのEVとしては比較的長い395km。値上げにより当初のようなお手頃感は薄れましたが、依然として手の届きやすいEVです。なお、「e-208」は2023年7月に本国で大幅改良が行われていますから、まもなく日本仕様も新型に切り替わるでしょう。

 

 

V.ホンダ「Honda e」 495万円~

ホンダ「Honda e」

 

「Honda e」はキュートなデザインが特徴のホンダ初の量産EVです。全面液晶のインストルメントパネルやデジタルドアミラーを装備するなど、デジタルガジェットのような先進性を持ちますが、最大の特徴は街乗りの使いやすさを追求した後輪駆動の都市型EVであることです。

そのためバッテリー容量は35.5kWhと小さく、航続距離は259km。近距離移動用なので買い物や送り迎えなどの用途に絞れば使いやすいEVでしょう。価格は495万円〜。

 

 

VI.マツダ「MX-30 EV MODEL」 451万円~

MX30

 

「MX-30 EV MODEL」はSUVタイプのスタイリングをもつマツダにとって初の量産EVです。内装にコルクやペットボトルなどサスティナブルな素材を用いており、ドアにはセンターピラーのない観音開きの「フリースタイルドア」が採用されています。

2022年10月に一部改良が行われ、バッテリー容量35.5kWhと航続距離256kmに変更はありませんが、ラゲッジルームにAC1500Wコンセント、フロントコンソール用にAC150Wコンセントがそれぞれ追加設定されました。また、V2H/V2L機能も追加され、自然災害の多い地域にお住まいの方や、アウトドアライフを楽しみたい人にとって、こうした外部給電機能はうれしいポイントでしょう。

 

 

 

[予算500万円以上]高くても性能のいい車に長く乗りたい人向けの高性能EVは?

EVの購入やガソリン車からの買い替えを検討している人には「高くても性能のいいEVに長く乗りたい」と考えている方もいることでしょう。世界市場を見ても売れ筋のEVは500万〜600万円台の車種となっており、メーカーもこの価格帯の車の開発にもっとも力を注いでいます。500万円以上のEVにはどんなものがあるのでしょうか。日本で購入できる500万〜600万円台のEVを中心に紹介します。

 

<500万円以上のEV車種例>※メーカー50音順

車種 価格
アウディ「Q4 e-tron」 638万円~9)
テスラ「モデルY」 563万7000円〜10)
トヨタ「bZ4X」 600万円~11)
日産「アリア」 539万円~12)
BMW「iX1」 698万円~13)
フォルクスワーゲン「ID.4」 514万2000円~14)
ボルボ「EX30」 559万円~15)
メルセデス・ベンツ「EQB」 822万円~16)

※価格は各メーカーの公式サイトより。すべて税込価格です。

 

Ⅰ.アウディ「Audi Q4 e-tron」 638万円~

アウディ「Audi Q4 e-tron」

 

アウディ「e-tron」シリーズには「高性能だけど、車両価格が高いEV」というイメージがあったかもしれません。しかし、「e-tron」シリーズの第3弾として登場した「Audi Q4 e-tron」は638万円〜と、そうしたイメージを覆す価格となっています。

コンパクトSUVなので、ボディサイズは日産「アリア」などとほぼ同じです。バッテリー容量は82kWh、航続距離はアウディのEVで最長となる594km。同等のサイズとメカニズムを持ち、クーペSUVスタイルの「Audi Q4 Sportback e-tron」もラインナップされます。こちらの車両価格は730万円~。

 

 

Ⅱ.テスラ「モデルY」 563万7000円〜

テスラ「モデルY」

 

世界のEV市場をリードするテスラにおいて、SUVタイプのエントリーモデルとなるのが「モデルY」です。航続距離507kmのRWDモデルと、航続距離595kmとなるデュアルモーターAWDの「パフォーマンス」、605kmの「ロングレンジ」がラインナップされます(バッテリー容量は非公開)。

車両価格は600万円を切りますが、テスラの代名詞ともいえる先進運転支援システム「オートパイロット」の上級版「エンハンスト オートパイロット」や、最上級版「フルセルフドライビング ケイパビリティ」といったオプションは、それぞれ43万6000円、87万1000円となっていますので注意しましょう。

テスラはその時々の市況などに合わせて車両価格がよく変更されます。2023年9月時点での価格は約563万円~ですが、購入の際には公式サイトで価格をよく確認したほうがいいかもしれません。

 

 

Ⅲ.トヨタ「bZ4X」 600万円~

トヨタ bZ4X

 

トヨタ「bZ4X」はスバルと共同開発されたSUVタイプのEVです。メーカー参考価格としてFWD(前輪駆動)が600万円と発表されていますが、2023年9月時点で「bZ4X」はリース販売のみで、個人ユーザーにはサブスクリプションサービス「KINTO」を通じて提供されます。

バッテリー容量は71.4kWh、航続距離は559km。日常使いには十分で、1回の充電で走行できる距離はアウディ「Q4 e-tron」やテスラ「モデル3」にも引けを取りません。

 

 

Ⅳ.日産「アリア」 539万円~

日産 アリア

 

初代「リーフ」から日産が10年以上にわたって積み重ねてきたEV開発のノウハウと技術を惜しみなく注ぎ込んだ新型EVとして、2022年5月に登場したのが「アリア」の標準グレード「B6」です。

未来を感じさせるインテリアとエクステリア、それでいて随所に使われた「桜」や「組子」といった和のテイスト、ラウンジのような室内など、デザイン面を見ても日産の自信がうかがえます。

「B6」のバッテリー容量は66kWhで、航続距離は470km。なお、バッテリー容量が91kWhの「B9」や、4WDモデルの「e-4ORCE(イー・フォース)」の発売も予定されていましたが、2023年9月時点では標準グレードの「B6」も受注を停止しています。気になる方は公式サイトをチェックしてみてください。

 

 

V.BMW「iX1」 698万円〜

BMW「iX1」

 

BMWはEV専用モデルの「iX」に加え、「iX1」「iX3」「i4」「i5」「i7」と、エンジン車とボディを共用するEVを多数ラインナップしています。なかでも、もっとも新しく、価格も698万円〜ともっともお手頃なのが、コンパクトSUV「X1」のEV版となる「iX1」です。

全長4500×全幅1835×全高1625mmのボディサイズはボルボ「XC40 Recharge」やBYD「ATTO 3」などに近く、バッテリー容量66.5kWh、航続距離465kmもそれらの車種と同等。ただし、「iX1」は2モーターの4WDのみとなっています。

「iX1」はアダプティブクルーズコントロールなどの運転支援機能も充実。モデルとしては「iX1 xDrive30」の1機種となりますが、モダンな「XLine」にスポーティな「M Sport」と、内外装のテイストを選択可能です。

 

 

 

VI.フォルクスワーゲン「ID.4」 514万2000円〜

フォルクスワーゲンID.4

 

フォルクスワーゲン「ID.4」は、同社のEVブランド「ID」の日本導入第一弾として2022年11月に登場したEV専用モデルです。全長4585mm×全幅1850mm×全高1640mmのボディサイズは日産「アリア」とほぼ同じで、室内は後席の足元も広々としています。

エントリーグレードの「Lite」と上位グレードの「Pro」の2タイプがあり、「Lite」は最高出力125kWのモーターに52kWhのバッテリーを組み合わせ、航続距離は435km。「Pro」は同150kWのモーターに77kWhのバッテリーを組み合わせ、航続距離は618kmです。

「Lite」と「Pro」はEVシステムだけでなく装備にも大きな違いがあり、「Pro」には専用エクステリアやパノラマガラスルーフ、パワーシート、パワーテールゲート、20インチタイヤなどが標準装備されます。

 

 

VII.ボルボ「EX30」 559万円

ボルボ「EX30」

 

ボルボ「EV30」は2023年8月に発表されたばかりの新型EVであると同時に、ボルボ史上最小のSUVです。これまでラインナップされてきた「C40 Recharge」「XC40 Recharge」の2台のEVが エンジン車との共通プラットフォームだったのに対し、「EV30」はEV専用プラットフォームを採用しているのが大きな特徴です。

2023年9月時点で日本仕様はバッテリー容量69kWh、航続距離480km(WLTPモード)の1タイプのみですが、本国にはより安価なリン酸鉄リチウムイオンバッテリー仕様もあり、価格面でもバッテリー寿命の面でもこちらの日本導入が期待されるところでしょう。とはいえ、559万円という価格は日産「リーフe+」と同等程度。それでいて航続距離が長く、ボルボらしい先進安全装備も次世代型が搭載されています。

なお、既存の「C40 Recharge」と「XC40 Recharge」の2台は2023年3月にマイナーチェンジを実施し、駆動方式がFWDと4WDから、RWDの1タイプへと変更されています。

 

 

VIII.メルセデス・ベンツ「EQB」 822万円〜

メルセデス・ベンツ「EQB」

 

メルセデス・ベンツ「EQB」は、コンパクトSUV「GLB」のEV版です。ガソリンモデルと基本設計は共通ですが、EVでは希少な3列シートの7人乗りモデルとして人気を集めています。

「EQB 250」と4WDの「EQB 350 4MATIC」の2グレードがあり、バッテリー容量はどちらも66.5kWh。航続距離はそれぞれ520km、468kmです。各種の先進運転支援システムも装備され、価格は「EQB 250」が822万円、「EQB 350 4MATIC」は906万円となっています。

大人数が乗れる3列シートを搭載するため、ボディサイズは全長4685×全幅1835×全高1705mmとコンパクトSUVとしては全長が長めですが、ミドルクラスSUVのトヨタ「ハリアー」よりは短いので、相対的には比較的コンパクトと言えるでしょう。

 

 

 

 

4WDのEVのおすすめ車種は?

4WDには雪道や悪路走行に強いイメージがあるかもしれません。いわゆる「生活四駆」と呼ばれる車です。しかし、EVの場合はトルクフルなEVのパワーをタイヤが受け止めるために四輪駆動としている場合が多いです。つまり「走りのための四駆」というわけです。

そのため、4WDのEVはスポーツモデルが中心で、高価格な車種が多くなっています。そのなかでも比較的手の届きやすい車種を以下の記事で紹介していますので、興味がある方は読んでみてください。

 

 

100万円以下で購入できる中古EVのおすすめ車種は?

充電中のEV

画像:iStock.com/joel-t

 

ここまで見てきてわかるように、軽EVを除く多くのEVは車両価格が400万円以上します。市場全体のボリュームゾーンも500万〜600万円台ですから、エンジン車からの買い替えを躊躇する人も多いかもしれません。その場合、中古車のEVを購入する方法もあります。

EVは年式が新しい車種が多いので中古価格が比較的まだ高く、また新車のように補助金も利用できないのであまりおトク感はありません。ただし、発売から10年以上が経過し、販売台数も多い日産「リーフ」は別です。価格も安いので、EV購入検討層の選択肢のひとつになるはずです。

中古価格が安いと「バッテリーが劣化しているのでは?」と思うかもしれませんが、日産は「リーフ」のバッテリーに「8年間または走行距離16万km」の容量保証をつけています17)。5年落ちの「リーフ」でも大きな性能低下を心配せず乗ることができるでしょう。

また、仮にバッテリー性能が低下していても、EVを近距離専用の車と割り切れば長い航続距離は必要なくなります。買い物や送迎などの普段使いに限定すれば、バッテリーの保証期間が過ぎた初期型の「リーフ」を100万円以下で購入して乗ることも可能になります。

※新車登録から8年間または走行距離16万kmまでのどちらか早い方。24kWhバッテリー搭載車は5年間または10万kmまで。

なお、最近はお手頃価格のテスラ「モデル3」も中古車市場に増えてきましたが、テスラ車はメンテナンス面が未知数で、整備費用が高額になる可能性があります。また、正規ディーラーを持たないため整備拠点が少ないという面もあります。価格だけではなく、そうしたデメリットも理解したうえで総合的に検討したほうがいいでしょう。

 

 

 

EV購入時には補助金の申請受付終了見込み時期に注意

EVの購入やガソリン車からの買い替えを具体的に検討している人でしたら、必ず利用したいのが国や自治体の補助金です。2023年度の国のEV補助金の一例を挙げると、軽EVは55万円、日産「アリア」は85万円となっています18)。国の補助金に加えて地方自治体からの補助金もあるため、地域や条件によってはEVの購入時に100万円以上を補助されることもあります

注意する必要があるのは、予算には上限があり、補助金の申請が多い場合は早めに予算が消化されるケースがあることです。いま新車の納期が全体的に長くなっていますから、EV購入を検討しているなら、補助金の予算が消化される前に行動したほうがいいでしょう。

 

 

 

【航続距離で見るEV】1回の満充電で長く走れるのは?

メルセデス・ベンツ「EQS」

メルセデス・ベンツ「EQS」

 

ここまで価格を中心に車種を紹介してきましたが、価格より性能面が気になるという人もいることでしょう。なかでもEV購入を検討している人から「航続距離が短い」という心配の声をよく聞きます。

しかし、現在のEVは搭載するバッテリーの容量が大きく、性能も向上しており、ほとんどの車種が1回の満充電で200〜600kmの走行が可能になっています。航続距離が200kmあれば、買い物や送り迎え、近場のドライブではまったく問題ありません。また、航続距離600kmなら、かなりのロングドライブでも途中で充電することなく走り続けることができます。

メーカーが公表している数値をもとに「航続距離が600km以上あるEV」をリストアップしました。なお、航続距離を測定するモードが車種により異なりますので、あくまで目安としてご覧ください。

 

<航続距離が600km以上あるEV例>※メーカー50音順

車種 バッテリー容量 航続距離
テスラ「モデル 3 ロングレンジ」 非公開 629km(WLTPモード)19)
テスラ「モデル S」 非公開 634km(WLTPモード)20)
ヒョンデ「IONIQ 5 Voyage/Lounge」 72.6kWh 618km(WLTCモード自社測定値)4)
BMW「i4 eDrive40」 83.9kWh 604km(WLTCモード)21)
BMW「i7 xDrive60」 105.7kWh 650km(WLTCモード)22)
BMW「iX xDrive50」 111.5kWh 650km(WLTCモード)23)
フォルクスワーゲン「ID.4 Pro」 77kWh 618km(WLTCモード)14)
メルセデス・ベンツ「EQE 350+」 90.6kWh 624km(WLTCモード)24)
メルセデス・ベンツ「EQS 450+」 107.8kWh 700km(WLTCモード)25)

 

ご覧のように、上位にはテスラやBMW、メルセデス・ベンツといった高級車のEVが並びました。これはテスラや欧州のプレミアムメーカーのEVが国産車のEVの2倍前後の容量のバッテリーを搭載しているからです。

テスラ「モデル S」やBMW「i7」「iX」、メルセデス・ベンツ「EQE」「EQS」は1000万円超の高級車ですが、購入予算がかかっても航続距離を伸ばしたいという人には、こうした車種がおすすめかもしれません。

 

 

 

自分の「予算」と「ライフスタイル」に合ったEVを見つけよう

車を見る男性

画像:Jasen Wright – stock.adobe.com

 

日本国内で購入できるEVをさまざまな条件で紹介しましたが、EV購入を検討中の方に知っておいてほしいのは「EVはガソリン車やハイブリッド車と購入する際の検討ポイントが異なる」ことです。

EVはガソリン車と比べて航続距離が短いため、長距離移動の多い人はバッテリー容量の大きいEVを選んだほうがいいでしょう。逆に買い物や送迎などの普段使いが多い人は、価格が安くてバッテリー容量が小さいEVで十分です。EVはガソリン車より車種が少ないですから、こうしたポイントを押さえることが重要となります。

国や自治体の補助金を利用すれば100万円台で購入できる軽EVが登場したことで、EVがより身近な存在になってきました。2023年10月に開催される「ジャパンモビリティショー2023(旧・東京モーターショー)」では、ホンダ「N-VAN」のEVモデルや、トヨタ・スズキ・ダイハツの共同プロジェクトによる軽EVバンなど商用タイプの軽EVが公開される見込みです。今後は軽EVの選択肢も増えていくと予想されます。

EVは日々進化しており、これからも安価で性能のいい車種がどんどん発売されることでしょう。補助金を含め、EVに関する最新の情報に耳を傾け、自分の予算とライフスタイルに合ったEVを探してみてください。

 

この記事の監修者
国沢光宏
国沢 光宏

自動車ジャーナリスト。自動車評論家。現在多くの媒体で執筆活動をしているほか、ラジオ日本とFM群馬でラジオのパーソナリティも行い、車選びからドライビングテクニック、業界ニュースなど、広く深い知識をもつ。運営しているブログサイトでは、専門家も参考にしたくなる、新鮮で豊富な情報を発信している。