【最新版】電気自動車(EV)のSUV一覧 国産・輸入車の人気車種をチェック

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電気自動車(EV)はこれから本格的に普及する段階にあり、まだそれほど車種は多くありません。しかし、EVに乗るなら、やはり自分好みのスタイルの車を選びたいものです。なかでも気になるのは、ガソリン車において高い人気を集める「SUV」でしょう。EVにはどんな種類のSUVがあるのでしょうか。2022年9月現在、日本で購入できるSUVタイプのEVを紹介します。

※この記事は2021年9月14日に公開した内容をアップデートしています。

 

 

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EVのSUVって少ないの? 2022年の概況を解説!

SUVは「スポーツ・ユーティリティー・ビークル」の略で、さまざまな用途に応える多目的車のことです。ミニバンやワゴン車のように広々とした室内と荷室をもち、日常利用の使い勝手がいいことから、ガソリン車などでは非常に高い人気を集めています。

このSUV人気は電気自動車(EV)においても同じです。ガソリン車に比べるとEVの車種はまだそれほど多くありませんが、欧州や中国などのEVが比較的普及している市場では、EV全体の半数程度をSUVタイプが占めています1)。まずは2022年現在の「EVのSUV」の概況を見ていきましょう。

 

 

EVのSUVは増加中、今後も増えていく

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画像:iStock.com/Roman Stasiuk

 

日産「アリア」、トヨタ「bZ4X」、スバル「ソルテラ」などのSUVタイプのEVが新たに登場し、2022年9月現在、国産メーカーが販売しているSUVタイプのEVは5車種になりました。

国産メーカーのEV(一人乗りなどを除く)が軽自動車のEVを含めても10車種未満ですから、かなりSUVタイプの割合が高いと言えるでしょう。今後は日本の車メーカーからSUVタイプのEVが続々と登場することが予想されています。

また、欧州などではSUVが乗用車の主流になりつつあり、EVでも前述のように半数程度をSUVタイプが占めています。日本で販売される輸入車でもSUVタイプのEVが増えてきました。

ガソリン車からEVへの転換が進むにしたがって、来年、再来年と、さまざまなメーカーからSUVタイプのEVが販売されるのは間違いなさそうです。

 

 

EVのSUVならではのメリットとは?

istock画像:EV

画像:iStock.com/Chesky_W

 

SUVタイプのEVが今後増えていくと予想されるのは、SUVの人気が高いためだけではありません。車自体の仕組みとして、もともと「EV」と「SUV」は相性がいいのです。

車高の高いSUVは、走行中の安定性ではセダンやハッチバックよりもやや劣ります。しかし、車高が高ければ、床下にバッテリーを搭載するスペースを確保することができます。重量が重たいバッテリーを床下に置くことで、車の重心が低くなり、それによって走行中の安定性を高めることができるというわけです。

また、SUVはハッチバックなどに比べて車体が大きく、より容量の大きなバッテリーを積むこともできます。大きなバッテリーを搭載する車は、航続距離(1回の充電で走行できる距離)が長くなることに加え、パワーを高める点でも有利です。このように、SUVタイプのEVにはさまざまなメリットがあります。

 

 

EVのSUVにも「2WD」と「4WD」がある

istock画像:SUV種類

画像:iStock.com/algre

 

もともとSUVは山道などの悪路を走るためにつくられた4WD(4輪駆動)のオフロード車を日常利用に適した形に進化させたものです。ただし、現在はSUVも街乗りをメインとする場合が多いため、2WD(2輪駆動)だけの車種も少なくありません。

現在販売されているSUVタイプのEVにも「4WD」「2WD」の2種類があります。また、「4WD」「2WD」の両方を設定して購入者が選択できるようになっている車種もあります。

 

 

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【国産・輸入車】EVのSUVラインナップ

2022年9月現在、SUVタイプのEVにはどのような車種があるのでしょうか。日本で購入できるSUVタイプのEVを「国産車」「輸入車」に分けてそれぞれ紹介します。

 

以下、メーカーを50音順で表示しています。

 

Ⅰ.EVのSUV[国産車編]

日本の車メーカーが販売するSUVタイプのEVは、2022年9月現在、リースのみの車種も含めて5車種あります。

ⅰ.日産「アリア」

日産アリア

 

日産のEVといえば多くの人が「リーフ」をイメージすると思いますが、2022年5月、新たに日産のEVラインナップに加わったのがSUVタイプの「アリア」2)です。539万円~という価格的にも、日産のフラッグシップEVと位置づけられています。

「アリア」は未来を感じさせる外観とラウンジのように広い室内が特徴で、バッテリー容量は標準グレードの「B6」が66kWh、上位グレードとなる「B9」が91kWhです。

 

ボディサイズ 全長4595mm×全幅1850mm×全高1665mm
駆動方式 FWD/4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 66kWh/91kWh
航続距離 470km(WLTCモード)~最大610km(WLTC自社測定値)
価格 539万円~

 

 

ⅱ.マツダ「MX-30 EV MODEL」

マツダ「MX-30 EV MODEL」

 

マツダ「MX-30 EV MODEL」3)は、小さな観音開き式のリアドアを採用するなど、非常にスタイリッシュかつユニークなレイアウトをもつSUVタイプのEVです。

バッテリー容量が大きなEVは1回の充電でより長い距離を走れるので便利ですが、車重が重くなり、車両価格も高くなりがちです。「MX-30 EV MODEL」はその点を考えて、容量35.5kWhのバッテリーを積んでいるのが特徴です。通勤や買い物など、主に日常利用をする人に向いている車と言えるかもしれません。2022年10月の商品改良では、AC1500W/AC150W電源、V2Hの給電機能が追加されています。2022年10月現在、予約販売を開始、発売は11月初旬以降を予定しています。詳細情報については、公式サイトをチェックしましょう。

 

ボディサイズ 全長4395mm×全幅1795mm×全高1565mm
駆動方式 FWD
乗車定員 5名
バッテリー容量 35.5kWh
航続距離 256km(WLTCモード)
価格 451万円〜

 

 

ⅲ.レクサス「UX300e」

レクサス「UX300e」の海外仕様車

レクサス「UX300e」の海外仕様車

 

トヨタのプレミアムブランド「レクサス」には“大きい車”というイメージがあるかもしれませんが、「UX300e」4)は非常にコンパクトなSUVタイプのEVです。全高1550mm以下に抑えられているので、都市部の立体駐車場にも対応しています。

また、コンパクトSUVながら内外装ともに美しい仕上がりで、ボディカラーやインテリアカラー、オプションなどの選択肢が多いのもプレミアムブランドのレクサスならでは。レクサスは「UX300e」をレクサス初のバッテリーEVと位置づけています。

 

ボディサイズ 全長4495mm×全幅1840mm×全高1540mm
駆動方式 FWD
乗車定員 5名
バッテリー容量 54.4kWh
航続距離 367km(WLTCモード)
価格 580万円〜

(2022年10月4日時点の数値)

 

 

ⅳ.トヨタ「bZ4X」

トヨタ「bZ4X」

 

トヨタ「bZ4X」5)はスバルと共同開発したEV専用プラットフォーム(車の骨格部分)を採用したSUVタイプのEVです。専用プラットフォームにより、EVならではのなめらかで扱いやすい走行性能と、本格的SUVの走破性を実現し、エクステリアのデザインからも非常にSUVらしい魅力が感じられます。

「bZ4X」の国内販売はリースのみとなっていて、「長く安心してEVを利用していただきたい」というメーカーの考えから、個人ユーザーにはサブスクリプションサービス「KINTO」を通じて提供されています(法人にはトヨタレンタリース店またはトヨタモビリティーサービスを介して提供)。

 

ボディサイズ 全長4690mm×全幅1860mm×全高1650mm
駆動方式 FWD/4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 71.4kWh
航続距離 487~559km(WLTCモード)
メーカー参考価格 600万円~(リースのみ)

 

 

ⅴ.スバル「ソルテラ」

スバル「ソルテラ」

 

スバル「ソルテラ」6)は、トヨタ「bZ4X」と車の基本部分が共通化された兄弟車です。両車種ともに2WDと4WDが用意され、ボディサイズも同じ。ただし、エクステリアとインテリアのデザインは異なり、とくに「ソルテラ」は車体のフロント部分にシームレスな造形のヘキサゴンモチーフを配置しているのが特徴です。

バッテリー容量は「bZ4X」と同様に「ソルテラ」も71.4kWhですが、航続距離は異なります。また、「bZ4X」の2WDの航続距離は559km(WLTCモード)である一方、「ソルテラ」の標準グレードの2WDは567km(WLTCモード)。もっとも、上位モデルの「ET-HS」グレードの航続距離は487km(WLTCモード)となっています。

 

ボディサイズ 全長4690mm×全幅1860mm×全高1650mm
駆動方式 FWD/4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 71.4kWh
航続距離 487~567km(WLTCモード)
価格 594万円~

 

 

Ⅱ.EVのSUV[輸入車編]

2022年9月現在、海外の車メーカーが日本で販売しているSUVタイプのEVは国産車よりも車種が豊富で、10車種以上あります。

ⅰ. アウディ「Audi e-tron」「Audi Q4 e-tron」

アウディ「e-tron」

アウディ「e-tron」

 

アウディのEVは「e-tron」7)シリーズとして販売されています。SUVタイプは6車種あり、比較的お手頃価格となっている「Audi Q4 e-tron」「Audi Q4 Sportback e-tron」、車両価格1000万円前後の「Audi e-tron」「Audi e-tron Sportback」、そしてハイパフォーマンスグレードの「Audi e-tron S」、「Audi e-tron S Sportback」というラインナップです。

 

アウディ「Audi e-tron Sportback 」

アウディ「Audi e-tron Sportback 」

 

「Audi Q4 e-tron」と「Audi e-tron」は、ともにスタンダードなSUVスタイルですが、「Audi Q4 Sportback e-tron」「Audi e-tron Sportback」はよりなめらかなルーフラインをもつ「SUVクーペ」と呼ばれるボディが特徴です。SUVの力強さとクーペの優雅さを融合させたスタイルと言えるでしょう。

 

アウディ「Audi Q4 Sportback e-tron 」

アウディ「Audi Q4 Sportback e-tron 」

 

また、「Audi e-tron」「Audi e-tron Sportback」系は「アダプティブエアサスペンション」と呼ばれる先進技術を全車に標準装備し、オプションでカメラ式ドアミラーの「バーチャルエクステリアミラー」も装着できるなど、プレミアムブランドらしい上級装備を備えています。

〈e-tron〉※( )はSportback

Audi e-tronボディサイズ 全長4900mm×全幅1935mm×全高1630(1615)mm
Audi e-tron Sボディサイズ 全長4900mm×全幅1975mm×全高1630(1615)mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 71kWh/95kWh
航続距離 335~423km (WLTCモード)
Audi e-tron価格 1070(1105)万円~
Audi e-tron S価格 1358(1397)万円~

 

〈Audi Q4 e-tron〉※( )はSportback

ボディサイズ 全長4590mm×全幅1865mm×全高1630(1615)mm
駆動方式 RWD
乗車定員 5名
バッテリー容量 82kWh
航続距離 576km(WLTCモード)
価格 599(688)万円~

 

 

 

ⅱ.ジャガー「I-PACE」

ジャガー「I-PACE」

 

ジャガー「I-PACE」8)は、SUVタイプのEVでありながら車体後部がなめらかな曲線を描き、一見するとクーペのような外観をもっています。これは「SUVクーペ」と呼ばれるスタイルです。

スタイリッシュな分だけ、ほかのSUVタイプのEVより室内や荷室がやや狭くなっており、「デザインのよさ」「スポーティな走り」を求める人に向いている車種と言えるかもしれません。

 

ボディサイズ 全長4695mm×全幅1895mm×全高1565mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 90kWh
航続距離 438km(WLTCモード)
価格 1005万円~

 

ⅲ.テスラ「モデルX」

テスラ「モデルX」

 

テスラの車は、運転席のスイッチ類がほとんどなく、操作の大半が大きなタッチパネルに集約されるなど、非常に先進的なのが特徴です。しかし、意外にSUVタイプの車種は少なく、2022年6月に「モデルY」が国内販売を開始するまでSUVタイプは「モデルX」のみでした。

「モデルX」はSUVタイプでありながらレーシングカーのような加速性能を備えており、また、オプションで「3列シート」が選べるのも特徴です9)。ただし、3列目はやや狭いので、子ども用、荷物用あるいは緊急用と考えておいたほうがいいかもしれません。

 

ボディサイズ 全長5057mm×全幅1999mm×全高1680mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5~7名(オプション含む)
バッテリー容量 非公表
航続距離 536~560km(推定)
価格 未定
(参考)北米価格 $112,590〜(2022年9月30日時点)

※値は概算値です。寸法は車両のオプションやその他の要因によって変わります。

 

ⅳ.テスラ「モデルY」

テスラ「モデルY」

 

テスラ「モデルY」10)は、セダンタイプの「モデル3」をベースにしたSUVタイプのEVです。前述の「モデルX」が全長5000mm超と大型だったのに対し、「モデルY」の全長は4700mm程度。テスラにとって初めてのミドルサイズSUVとなります。

ポイントは643.8万円~という価格です。兄弟車の「モデル3」が約596万円だということを考えると、やや割高に感じますが、同じSUVの「モデルX」は1000万円超の高級車。「モデルY」は手が届きやすくなったテスラのSUVと言えるかもしれません。

 

ボディサイズ 全長4751mm×全幅1921mm×全高1624mm
駆動方式 RWD/4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 非公表
航続距離 507~595km(WLTCモード)
価格 643万8000円~(2022年9月30日時点)

※値は概算値です。寸法は車両のオプションやその他の要因によって変わります。

 

ⅴ.プジョー「e-2008」

プジョー「e-2008」

 

プジョーはフランスの車メーカーで、コンパクトカーやスポーティなSUVを数多くラインナップしています。「2008」もプジョーが販売するSUVタイプの車のひとつで、その2代目モデルに設定されたのがEVの「e-2008」11)でした。

506万円という価格を考えると、「e-2008」はSUVタイプの輸入EVのなかでもっとも手が届きやすく身近な車種です。以前の航続距離は360km(WLTCモード)でしたが、2022年4月に仕様変更を発表し、現在は380km(WLTCモード)に延びています。

 

ボディサイズ 全長4305mm×全幅1770mm×全高1550mm
駆動方式 FWD
乗車定員 5名
バッテリー容量 50kWh
航続距離 380km(WLTCモード)
価格 506万円~

 

 

ⅵ.DSオートモビル「DS 3 クロスバック E-TENSE」

DSオートモビル「DS 3 クロスバック E-TENSE」

 

DSオートモビルはプジョー、シトロエンと同じ企業グループのステランティスに属し、フランスの文化を自動車で表現するブランドとして誕生しました。都会的でラグジュアリーなデザインを特徴としています。

「DS 3 クロスバック E-TENSE」12)はプジョー「e-2008」と基本的なプラットフォームを共有しているコンパクトSUVのEVです。ただし、デザインはよりラグジュアリーで、とくにホワイトレザー仕上げの内装はハイブランドのアパレルを彷彿とさせます。

 

ボディサイズ 全長4120mm×全幅1790mm×全高1550mm
駆動方式 FWD
乗車定員 5名
バッテリー容量 50kWh
航続距離 398km(JC08モード)
価格 542万円~

 

ⅶ. Hyundai「IONIQ 5」

Hyundai「IONIQ 5」

 

「IONIQ 5」13)は韓国の大手車メーカー「Hyundai(ヒョンデ)」が2022年5月に国内受注を開始したSUVタイプのEVです。以前は「ヒュンダイ」として知られていましたが、約12年ぶりに日本乗用車市場に再参入したのを機にブランド名を「ヒョンデ」にあらためました。

「IONIQ 5」は幾何学的なエクステリアデザインが特徴ですが、室内はリビングルームのようなフラット空間となっています。

注意したいのはヒョンデが日本国内にディーラーをもっていないことです。「IONIQ 5」の販売は自社のウェブサイトおよびアプリを通じたオンライン販売のみとなっています(サブスクリプション型のカーリース「SOMPOで乗ーる」やカーシェアリング「Anyca(エニカ)」でも取り扱われています)。

 

ボディサイズ 全長4635mm×全幅1890mm×全高1645mm
駆動方式 RWD/4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 58kWh/72.6kWh
航続距離 498~618km(WLTC自社測定値)
価格 479万円~

 

 

 

ⅷ.ボルボ「C40 Recharge」

ボルボ「C40 Recharge」

 

ボルボは北欧スウェーデンの車メーカーで、安全性に対する意識が高いことで知られています。いまではどの車にも採用されている「3点式シートベルト」もボルボが開発したもので、その特許を占有せずに他の自動車メーカーに無償で公開したエピソードがあります。そのボルボの日本向けモデルとしては初のピュアEVが「C40 Recharge」14)です。ボルボらしく、充実した先進安全装備や運転支援技術が標準で備わっています。インフォテイメントも充実していて、世界で唯一、GoogleアシスタントやGoogleマップが車内で利用できます。

「C40 Recharge」はSUVタイプのEVで、最低地上高が高く確保されていますが、ルーフラインがリアに向けて緩やかな曲線を描いて下がっていく、クーペスタイルを採用しています。前後に2つのモーターを配置するツインモーター仕様と、前輪を駆動するシングルモーター仕様が用意されています。なお、ボルボのEVモデルはオンライン販売のみの扱いとなっています。

 

ボディサイズ 全長4440mm×全幅1875mm×全高1595mm
駆動方式 FWD/4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 69kWh/78kWh
航続距離 484~502km(WLTCモード)
価格 599万円~

 

ⅸ.ボルボ「XC40 Recharge」

ボルボ「XC40 Recharge」のツインモーター仕様車

ボルボ「XC40 Recharge」のツインモーター仕様車

 

「XC40」はカジュアルでスポーティなスタイリングなどから、日本におけるボルボのベストセラーになっているコンパクトSUV。そのEV版が「XC40 Recharge」15)です。ボルボにとって「C40 Recharge」に続く日本で2車種目のEVになります。

「XC40 Recharge」も「C40 Recharge」同様、ツインモーター仕様とシングルモーター仕様の2モデルがあります。どちらもパノラマガラスサンルーフやGoogle搭載のインフォテイメントを標準装備するなど、装備が充実しています。
バッテリー容量や航続距離も「C40 Recharge」と同じですが、「XC40 Recharge」の車両価格はそれより20万円安い579万円。人気モデルのEV版だけにこちらも要注目の車種と言えます。

 

ボディサイズ 全長4440mm×全幅1875mm×全高1650mm
駆動方式 FWD/4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 69 kWh/78kWh
航続距離 484~502km(WLTCモード)
価格 579万円〜

 

ⅹ.ポルシェ「タイカン 4 クロスツーリスモ」

タイカン クロスツーリスモ

 

スポーツカーブランドのポルシェにとって初のEVとなる「タイカン」のクロスオーバーSUVモデルとして登場したのが「タイカン 4 クロスツーリスモ」16)です。クロスオーバーとは、SUVのなかでも舗装道路に重点を置いた乗用車に近い車種のことです。

「タイカン 4 クロスツーリスモ」は、単に「タイカン」の外観をSUVテイストにしただけでなく、車体後部の形状を変更して荷室を拡大し、名実ともにSUVに仕上げているのが特徴です。

 

ボディサイズ 全長4974mm×全幅1967mm×全高1409mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 93.4kWh
航続距離 470km(WLTPモード)
価格 1364万円~

 

 

 

ⅺ.メルセデス・ベンツ「EQA」「EQB」「EQC」

EQA

メルセデス・ベンツ「EQA」

 

「メルセデスEQ」はメルセデス・ベンツのEVシリーズのサブネームです。「EQ」に続くアルファベットの「A」「B」「C」は車格を表しています。また、メルセデス・ベンツのSUVモデルは車種名の最初に「GL」の2文字がつき、ラインナップされている車種は「GLA」「GLB」「GLC」といった名称になっています。

この「GLA」「GLB」「GLC」の3車種をそれぞれベースにしたメルセデス・ベンツのEVが「EQA」17)「EQB」18)「EQC」19)です。

 

メルセデス・ベンツ「EQB」

メルセデス・ベンツ「EQB」

 

EQシリーズは2019年7月に国内販売を開始した「EQC」を皮切りに、2021年4月に「EQA」、2022年7月には「EQB」と年を追うごとに拡張しています。特徴もそれぞれ違い、「EQA」は日本の道路環境でも取り回しのよいコンパクトSUVながら、デザインはクーペのようにスタイリッシュ。それとは対象的に、「EQB」はスクエアなボディラインの本格的オフロード風です。「EQC」にはミドルサイズのSUVらしい広い室内空間と高級感があります。

 

EQC

メルセデス・ベンツ「EQC」

 

「EQA」「EQB」「EQC」に共通するのは、シームレスで近未来的なデザインでありながら、操作性・取り回しは既存のガソリン車などに慣れ親しんだ人でも違和感なく扱えるものとなっていることです。なお、ミッドサイズSUVの「EQC」はもちろんですが、コンパクトSUVに分類される「EQB」も3列シートの7人乗りなので、ミニバンのように利用することも可能です。

 

〈EQA〉 

ボディサイズ 全長4465mm×全幅1835mm×全高1610mm
駆動方式 FWD
乗車定員 5名
バッテリー容量 66.5kWh
航続距離 423km(WLTCモード)
価格 733万円~

 

〈EQB〉

ボディサイズ 全長4685mm×全幅1835mm×全高1705mm
駆動方式 FWD/4WD
乗車定員 7名
バッテリー容量 66.5kWh
航続距離 468~520km(WLTCモード)
価格 788万円~

 

〈EQC〉

ボディサイズ 全長4770mm×全幅1885mm×全高1625mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 80kWh
航続距離 400km(WLTCモード)
価格 960万円~

 

ⅻ.BMW「iX」

BMW「iX」

 

2021年に発売されたBMW「iX」20)は、コンパクトなハッチバックの「i3」以来、じつにBMWにとって7年ぶりのEVです。「i」シリーズはEVを表し、「X」シリーズはSUVのことです。「iX」はBMW初のSUVタイプのEVともなるわけです。

BMWといえばフロントの「キドニーグリル」が有名ですが、「iX」のキドニーグリルの大きさはBMWのラインナップで最大といってよく、その上のヘッドライトも従来のBMWに比べてスリムなデザインになっています。インテリアではステアリングホイールが六角形にデザインされていて、これもBMW初だそうです。

SUVタイプのEVとしては大型で、さまざまな先進機能が充実していますが、その分価格はかなりお高めです。いい車に長く乗りたいという人にはおすすめかもしれません。

 

ボディサイズ 全長4955mm×全幅1965mm×全高1695mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 76.6kWh/111.5kWh
航続距離 450~650km(WLTCモード)
価格 1075万円~

 

xiii.BMW「iX3」

BMW「iX3」の欧州仕様車

BMW「iX3」の欧州仕様車

 

BMW「iX3」21)は、前述の「iX」と同時に日本で発表されたミドルサイズSUVのEVです。「iX」は次世代を見据えて開発されたEV専用モデルですが、それに対して、「iX3」は人気シリーズの「X3」に新たに追加されたEV版という違いがあります。

エクステリアは「X3」のデザインを踏襲し、ボディサイズやホイールベースもほぼ同じ。ただし、キドニーグリルやリヤスポイラーなどにブルーのアクセントカラーが入っているので、外見からも通常のBMW「X3」とは異なるモデルだということがわかります。

日本で販売されているのは、現時点では「iX3 M Sport」グレードのみ。「iX3 M Sport」のバッテリー容量は80kWhで、航続距離は508km(WLTCモード)となっています。

 

ボディサイズ 全長4740mm×全幅1890mm×全高1670mm
駆動方式 RWD
乗車定員 5名
バッテリー容量 80kWh
航続距離 508km(WLTCモード)
価格 862万円~

 

 

 

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どうやって選ぶ? EVのSUV選びのポイントとは

2022年9月現在、SUVタイプのEVは増えているものの、バリエーション豊富と言えるまで多くはありません。そのため、予算によって購入できる車種がだいたい決まります

たとえば、補助金を加味しないで、予算が500万円前後までの場合は、ヒョンデ「IONIQ 5」、プジョー「e-2008」、マツダ「MX-30 EV MODEL」の3車種になります。予算を600万円未満に引き上げれば、アウディ「Q4 e-tron」、DSオートモビル「DS 3 クロスバック E-TENSE」、スバル「ソルテラ」、日産「アリア」、ボルボ「C40 Recharge」「XC40 Recharge」、レクサス「UX300e」と、一気に選択肢が広がります。

また、1000万円以上の予算があるなら、アウディ「e-tron」やジャガー「I-PACE」、テスラ「モデルX」などもっと幅広く選べることになります。

ただし、予算の制限がない状態でSUVタイプのEVを選ぶなら、次のようなポイントを基準に選びましょう。

ポイント① バッテリー容量

istock画像 EV車充電

画像:iStock.com/supergenijalac

 

EVの特徴のひとつと言えるのが、やはりバッテリーです。SUVタイプのEVは、比較的バッテリー容量が大きい車種が多いので、日常使いとしては問題ないでしょう。あとは、ロングドライブをよくするかどうか、というライフスタイルとの相性を基準にしてもいいかもしれません。

なお、バッテリー容量によってグレードが異なる車種もあります。ガソリン車の場合、装備でグレードを選ぶところですが、EVはバッテリー容量に注目しましょう。

 

 

ポイント② 駆動方式

istock画像 走行中のEV

画像:iStock.com/y_carfan

 

雪深い地域などの悪路が多い地域に住んでいる場合、あるいは週末に悪路が多い地域に行くことが多い場合、「4WD」であるかどうかも重要なポイントです。SUVはオフロード車を原点とする車ですが、最近は日常利用の街乗りを考えてつくられていることもあり、「2WD」しか設定されていない車種もあるからです。

もし積雪地に住んでいるなら、4WDも設定されている日産「アリア」やスバル「ソルテラ」、アウディ「Q4 e-tron」などを選んだほうがいいかもしれません。

 

 

メーカーによっては、販売方法が特殊な場合に注意

istock画像 並ぶ車

画像:iStock.com/jetcityimage

 

新車購入はディーラーに行って商談するものと考えている人が多いと思いますが、EVでは特殊な方法で販売するメーカーが増えています。たとえば、その代表的なものがオンライン販売です。

オンライン販売というとテスラを思い浮かべますが、本記事でご紹介したEVでも、テスラのほかにヒョンデやボルボがオンライン販売のみとなっています。このうち、ボルボは売買契約や決済をディーラーで行いますが、ヒョンデは完全オンライン販売です。また、トヨタ「bZ4X」のように、サブスクリプションのみで提供するケースもあります。

このように、従来とは違う方法で車を販売するメーカーが増えてきていますから、車を「オンラインで購入する」ことに抵抗があるかどうか、この点は多少注意が必要なポイントとなるでしょう。

 

 

今後、SUVタイプは増える見込み。楽しんで車種を選ぼう

2022年現在、SUVタイプのEVはガソリン車などに比べてまだ車種が少なく、「これだ!」という1台が見つからない方もいるかもしれません。

しかし、日本に比べてガソリン車からEVへのシフトが進んでいる欧州では、各セグメント(車のサイズ)の車種をEVに置き換える動きが加速しています。

また、中国の大手車メーカー「BYD」は2023年初めからSUVタイプを含めた3車種のEVを日本で順次発売すると発表しました22)。BYDのEVが搭載するリン酸鉄リチウムイオン電池は、従来のリチウムイオン電池よりも安価で安全、長寿命で、車両価格もお手頃になると予想されます。

この流れに乗る形で、今後は日本のメーカーもさまざまなSUVタイプのEVを発売していくかもしれません。リン酸鉄リチウムイオン電池を採用するメーカーが増えれば、ガソリン車に比べてEVの車両価格が高い原因となっているバッテリーの価格も、これからどんどん下がっていくかもしれません。

SUVタイプのEVを購入したいと思っている人は、いま販売されている車種を検討するとともに、これから販売される車種にも期待してください。

 

 

 

 

この記事の監修者
国沢光宏
国沢 光宏

自動車ジャーナリスト。自動車評論家。現在多くの媒体で執筆活動をしているほか、ラジオ日本とFM群馬でラジオのパーソナリティも行い、車選びからドライビングテクニック、業界ニュースなど、広く深い知識をもつ。運営しているブログサイトでは、専門家も参考にしたくなる、新鮮で豊富な情報を発信している。