レクサスUX300e 日本の美意識あふれるプレミアムEVの実力

レクサスUX

街中でもひときわ特別な存在感を誇るレクサス。“上質”という言葉を体現するそのクルマにはファンも多いものです。今回注目するのは、レクサス初の電気自動車(EV)となる「UX300e」。モータージャーナリスト・まるも亜希子さんがその真価に迫ります。

1989年にアメリカで誕生し、高級ブランドとしての地位を築いてから2005年に日本上陸を果たしたレクサス。ホテルのような店舗や丁寧な接客で、販売やアフターサービスにも「一流のおもてなし」を貫き、その世界観とともに日本発のプレミアムカーを世に送り出してきました。

そんなレクサスが初めて投入した電気自動車(EV)が、今回レポートするUX300eです。どんなところにレクサスらしさが表現されているのか、乗り味や使い勝手はどうなのか。じっくりチェックしたいと思います。

レクサスUX300e

 

eチャージバナー

 

●Check1:エコノミカル

500kmで2200円/月が目安。普通充電約14時間で満充電

レクサスUX300e

電気の使い方とやりくりを工夫することによって、維持費の節約にもつながるのがEVの魅力のひとつです。

UX300eは街中や高速道路に設置されている急速充電器と、自宅にも設置できる200Vの普通充電器で充電することができます。出力50kWの急速充電器を利用した場合は、約50分で75%、約80分で満充電に。出力6kWの普通充電器の場合は、約7時間30分、車両に付属しているケーブルを使用する約3kWの場合は、約14時間で満充電になります。

レクサスUX300e 内装

家庭で充電する場合の電気代は、1kWhあたり31円(全国家庭電気製品公正取引協議会の公表情報参照 )と考えると、500km走行するのに約2200円となります。ガソリン代と比べると、かなりランニングコストが抑えられるのではないでしょうか。

※電力量料金のみの金額です。基本料金・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金は加味していません。

さらに自宅に太陽光発電を取り入れたり、電気を賢く使う習慣をつけたりすることによって、家計だけでなく地球環境にもやさしく走れると、よりうれしくなりそうですね。

なお、「EV・PHV充電サポート」カードに入会すると、全国約22,000基の充電器がキャッシュレスで利用可能。カードの発行手数料は1650円。基本料金が月額1100円(税込)で普通充電が使い放題の「定額プラン」と、基本料金なしで普通充電2.75円(税込)/分を都度払いする「従量プラン」があります。どちらも、急速充電は16.5円(税込)/分で利用可能です。

●Check2:プライス

ベーシックモデルは580万円。やや高めだが、補助金・減税も加味したい

レクサスUX300e

実はこのUX300eには、ひと足早く発売されたガソリンモデルとハイブリッドモデルがあります。

ベーシックグレードで希望小売価格を比べると、ガソリンモデルが397万3000円〜(税込)、ハイブリッドモデルが432万9000円〜(税込)、EVモデルが580万円〜(税込)なので、その差に驚いてしまうかもしれませんね。

でも、EVはクリーンエネルギー車(CEV)として補助金が受けられます。交付条件を満たす必要はありますが、UX300eの場合、国(環境省)から80万円、さらに東京都の場合は環境省補助併用時に60万円が交付されるなど、国や自治体の補助金をあわせると最大100万円以上になることもあります。

さらに、購入時と1回目の車検時にかかる重量税が免除されるほか、購入翌年度の自動車税が75%減税となります。また65歳以上であれば、対歩行者衝突被害軽減ブレーキ機能とペダル踏み間違い急発進抑制装備機能がついた車両が対象となる「サポカー補助金」で10万円が補助されますので、活用したいですね。

 

 

eチャージバナー

 

●Check3:ユーティリティ

随所で見られるレクサス・クオリティ。快適性と効率性を両立

レクサスUX300e 内装

室内の快適性を高めようとすると、電気を多く消費することになり、どうしてもその分だけ航続可能距離が短くなってしまうのがEVの悩ましいところでした。でも、UX300eは室内の快適性と効率のよい電力使用を両立するよう工夫されています。

たとえばエアコンとシートヒーターが協調し、より少ないエネルギーで従来と同等の暖かさを確保。シートヒーターは運転席・助手席・後席(左右)に標準装備されています。また高出力でコンパクトな電気式水加熱ヒーターを設定して、速暖性と低電費に貢献しています。

レクサスUX300e 内装

レクサスのSUVで最もコンパクトなボディサイズのため、室内空間は後席がややタイトなスペースとなりますが、前席はゆったり。UX専用のインフォテインメントシステムコントローラーを用いてナビやオーディオを操作する際に、アームレストがちょうどよい高さに設定してあるなど、リラックスできる配慮が感じられるのは、さすが「おもてなし上手」なレクサスらしいところです。

レクサスUX300e 内装

ラゲッジ容量は、UXのガソリンモデルと同等の310L(ハイブリッドは268L)。後席が6:4分割で倒せるようになっており、倒せばゴルフバッグの積載も可能です。ハンズフリーパワーバックドアは、今回試乗した「Version C」にはオプションでしたが、上級グレードの「Version L」には標準装備されています。 

レクサスUX300e 内装

 

●Check4:エモーショナル

サーキットで鍛え抜いたモデルのEV化。走りはさらに上質に

レクサスUX300e

もともとUXは、世界一過酷と言われるドイツのニュルブルク・リンクサーキットで走り込んだSUV、トヨタ・C-HRとプラットフォームなどを共用するモデルのため、走りの気持ちよさに関して高い評価を得ていました。

EVであるUX300eでは、さらに重量物の前後偏りがなくなったことや低重心化したことで、コーナリング性能は高性能スポーツカー並みを実現しています。

レクサスUX300e

そして、市街地などを低中速で走っているときには、上質で静かな乗り味が強調されますが、いざ高速域まで加速をはじめると、アクティブサウンドコントロールが加速フィーリングとリンクするような音を演出。高揚感が高まり、クルマと一体になったかのような心地よさが堪能できます。「ノーマル」「スポーツ」「エコ」と3つのドライブモードも、違いがわかりやすくなっています。

ひとつ注意したいのは、フロア下にバッテリーを搭載しているため、UX300eの最低地上高は一般的なSUVよりも低い140mm。大きな段差や深い雪道などには注意したほうがよさそうです。

レクサスUX300e

また、ドライブを特別な時間にしてくれるのは、UX300eの丁寧で美しいインテリアのおかげでもあります。レクサスは日本上陸当初から、竹や和紙など「和」の伝統的な素材や技法を取り入れてきましたが、今回もさりげなくダッシュボードやシートに和紙や刺し子刺繍、柔道や剣道の道着に由来する縫い目などを表現。とてもモダンで洗練されていながら、どこかホッと落ち着くインテリアとなっています。

レクサスUX300e 内装

 

eチャージバナー

 

●Check5:ハウスベネフィット

自宅の停電時にも安心なAC電源はうれしいポイント

レクサスUX300e

UX300eの充電口は、急速充電用が左リヤフェンダー、普通充電用が右リヤフェンダーに設置されています。これから自宅に充電器を設置する場合には、位置を考慮するといいですね。標準装備の普通充電ケーブルは7.5mですが、オプションで15mのケーブルも用意され、どちらもラゲッジのアンダーボックスに収納できるようになっています。

レクサスUX300e

また、スマホに「LEXUS smartG-Link」アプリをダウンロードしておけば、家の中からバッテリー残量を確認したり、充電中であれば充電完了までの時間を把握できたり、あらかじめエアコンを稼働させて快適な室温にしておくことも可能。もちろん充電スポットの検索もできるので、空き時間を利用して探すことができます。

なお、災害時に自宅が停電した際などに、クルマの大容量バッテリーに貯めた電気を家に給電し、電化製品などを使えるようにする「V2H」には、残念ながら対応していませんが、AC100V・1500Wのアクセサリーコンセントはラゲッジ内に標準装備されています。

レクサスUX300e 内装

 

EVならではの「おもてなし」も感じられる美しい1台

レクサスUX300e

欧州のプレミアムブランドが続々とEVを投入する中で、日本の伝統的な技法や美意識を取り入れた、日本発のプレミアムEVと言えるモデルがUX300eです。

レクサスならではの「おもてなし」にもEVの特徴が生かされており、日常をグレードアップしたい人にぴったり。バッテリー総容量は54.4kWhで一充電あたりの航続可能距離は367km(WLTCモード)と、ちょっと遠くまでのドライブにも出かけやすく、最小回転半径が5.2mと小回り性能も優秀なので、運転しやすさを求める人にもオススメです。

●家庭と暮らしのハマり度 総合評価

総合評価

 

 

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。

 

この記事の監修者
まるも 亜希子
まるも 亜希子

カーライフ・ジャーナリスト。映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツに参戦するほか、安全運転インストラクターなども務める。06年より日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。女性パワーでクルマ社会を元気にする「ピンク・ホイール・プロジェクト」代表として、経済産業省との共同プロジェクトや東京モーターショーでのシンポジウム開催経験もある。