電気自動車(EV)は車両価格の高さがネックになりがちですが、最大130万円の補助金や減税措置により、実質的なコストは抑えられます。さらに自宅充電による維持費の安さや静かで優れた走行性能、災害時の電源活用など、そのメリットは多岐にわたります。本記事では専門家監修のもと、7つのメリットと4つのデメリットを徹底解説。航続距離や充電への誤解も解消します。後悔しないEV選びのために、まずはその真価を確認しましょう。
※この記事は2022年11月4日に公開した内容をアップデートしています。
EVとは?ガソリン車との違いとは?
はじめに、EVとガソリン車の最大の違いは、EVはエンジン=内燃機関を搭載していないことです。ガソリンなどの化石燃料はとても便利でパワフルなエネルギーですが、燃焼時に温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)や少量の大気汚染物質を排出することが避けられません。
また、エンジンの中でガソリンが燃焼する際に、音や振動が発生します。しかし、EVのエンジンにあたる電気モーターの動きはスムーズで、ガソリン車と比較して走行時の静粛性が高く、振動が少ない特徴があります。
こうしたそもそもの駆動原理の違いが、ガソリン車と比較した場合のメリット、そしてデメリットにも繋がっているのです。
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EVの7つのメリット
ここからはEVに乗ることのメリットを考えてみます。実際にEVを所有し、使っている経験からお話しすると、EVに乗るメリットには大きく分けて次の7つがあります。
(メリット1)ガソリン車より走行コストが低い

走行コストの低さもEVの大きなメリットです。自宅での普通充電(家充電)をメインに利用すれば、ガソリン代よりも電気代のほうが圧倒的に安くなります。
たとえば、イメージしやすいように、1万kmを走行した場合のガソリン車とEVの走行コストを比べてみましょう。カタログスペックではなく実際の燃費(電費)に近しいと思われる以下の条件で試算します。
〈図〉1万kmを走行した場合のコストの比較
ご覧のように、結果はガソリン車の走行コストが10万3230円、EVの走行コストが5万1646円。両者の走行コストを比較すると、じつに2倍の差です。
また、家充電は、給油のためにガソリンスタンドに行く手間も省いてくれます。頻繁に給油していた人はこうした点もメリットに感じられるはずです。
(メリット2)各種の補助金・減税が受けられる

走行コストだけではなく、EVは購入コストも低く抑えられます。たしかにガソリン車などに比べると車両価格は高めですが、EVは購入時に国などから補助金を受けられるメリットがあるのです。
国は「CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金)」を用意しており、EV購入時の補助額は2026年度で最大130万円です(ただし、4年間保有する義務が発生)1)。また、自治体がEVなどの環境性能に優れた車種への補助金を用意している場合もあります。
さらに、エコカーとして各種減税もあります。購入時および初回車検時にかかる自動車重量税は免税(100%減税)、自動車税もEVは登録翌年度分が概ね75%減税です。たとえば、日産「リーフ B7 G」をモデルケースに見てみると、133万8500円も優遇を受けられるのです。
〈表〉日産「リーフ B7 G」の購入時の補助金・減税例2)
| 項目 | 減税額(減税率) | 補助額 |
| CEV補助金 | ― | 129万円 |
| 自動車重量税 | 3万円(100%) | ― |
| 自動車税(登録翌年度) | 1万8500円(75%) | ― |
| 総額 | 133万8500円 | |
EVの場合、自動車税はガソリン車のもっとも安い区分(排気量1000cc未満)と同額の年額2万5000円となるので、減税期間が終わったあとも税負担は少なくて済みます。
なお、基本的に各種の補助金は予算上限に達すると受付終了となります。現在、申請を受け付けているのかどうかなど、詳細情報については以下の記事をご覧ください。
(メリット3)維持コスト・メンテナンスコストが低い

あまり知られていないことですが、EVはガソリン車よりもメンテナンスコストを低く抑えることができます。
エンジンを搭載していないため、当然ながらエンジンオイルの交換は必要なく、回生ブレーキが多用されることで、ブレーキパッドの消耗も少なく抑えられます。
オイル交換が不要なら、交換したオイルを廃棄物として処理する必要もありません。また、ブレーキが減りにくいというのは、粉塵(粒子状物質)の発生を減らせるということです。メンテナンスの手間やコストが省けるだけでなく、こうした面でもEVは環境にやさしいと言えます。
(メリット4)走行中の騒音や振動が少ない

EVに乗って感じるのは走行中の静かさです。モーターやインバーターが発する「ヒューン」という音がわずかに聞こえるだけで、ガソリン車のような騒音はありません。さらに良いのは振動も少ないことです。音や振動が少ない車は疲れにくいです。遠方に出かけても意外なほど体の疲労が少ないのです。
力強い加速もEVの魅力です。ガソリン車は、エンジンの回転数をある程度上げないと加速できませんが、モーターは走り出した瞬間に最大の回転力(トルク)を発生するため、アクセルを少し踏むだけでスムーズ&滑らかに加速します。さらに踏み込めば、スポーツカーのような加速感を楽しむこともできます。
音が静かで振動が少なく加速も力強い、というのは、ガソリン車の場合は高級車の特徴でした。これらの要素をすべて備えるEVは、本質的に従来の高級車に近い車と言えるでしょう。
〈図〉EVオーナー179人へのアンケート調査

※EV DAYS編集部オリジナル調査(2024年)。選択肢から上位3つを複数選択。1位=3pt、2位=2pt、3位=1ptで換算。合計ポイントの高い順に表示。
(メリット5)災害時の電源として使える

EVは「走る蓄電池」とも言われていて、容量が非常に大きいバッテリーを搭載しています。
たとえば、一般家庭の消費電力量を1日平均で8.7kWh3)とした場合、バッテリー容量55kWhの日産「リーフ B5」なら、家庭で使う電力量の約6日分の電力量を蓄えられるバッテリーを搭載しているのです。住宅に設置される定置型の蓄電池の容量が多くても10kWh程度であることを考えると、その大きさがおわかりいただけると思います。
この大容量バッテリーは、非常時の電源として活用することができます。EVから電気を取り出す外部給電器(V2L)があれば、V2Lのコンセントに家電などを直接繋ぐことが可能です。また、「V2H(Vehicle to Home)」と呼ばれる充放電機器を自宅に設置すれば、万が一停電が起きたとしても、自分が所有するEVを電源として、自宅内で電気が使えるようになるのです。
さらに、日産の新型「リーフ」をはじめとする多くのEVは、車内にAC100Vのコンセントを装備するなどV2L機能を備えているので、外部給電器がなくても非常時や屋外レジャーの電源としてEVを活用することが可能です。
参考資料
3)東京電力ホールディングス「平均モデルの電気料金」
【おすすめ情報】V2Hを自宅につけるなら、電気のプロにおまかせ!
東京電力グループのTEPCOホームテック株式会社では、V2Hの設置工事はもちろん、補助金申請などもワンストップで行うことができます。詳しく知りたい方は以下をクリックしてみてください。
(メリット6)「エネルギー意識」が高まる

EVに乗っていると自然と「エネルギー意識」が高まります。
充電ひとつ取ってみても、「深夜の電気代が安いのはなぜか」「この電気はどのように作られたのか」と考えるようになります。
また、EVはガソリン車以上に走り方で燃費(電費)が変化します。急加速を繰り返せば、たちまちバッテリー残量が少なくなり、エアコンのオン・オフによっても残りの電力量で走れる距離が変わるのです。
「回生ブレーキ」もエネルギーを意識させてくれる機能のひとつです。回生ブレーキとは、減速する際のエネルギーでモーターを発電機として使いバッテリーに充電する、電動車ならではのシステムのこと。つまり、長い坂道を下ると、走るほどにバッテリー残量が増えていきます。これは、エンジン車では体験できない感覚です。
EVDAYS編集部でも、日産「リーフ e+」(60kWh)で富士山の五合目から麓まで下る検証をした際、回生ブレーキによってバッテリー残量が約8%も回復したことがありました。
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(メリット7)「ゼロ・エミッション」で走れる
従来の車はエンジンを搭載し、ガソリンなどの化石燃料を燃やして走っています。温室効果ガスとして代表的なCO2を排出しながら走ることは避けられません。
一方、EVはエンジンではなくモーターで走ります。化石燃料は使わないので、CO2だけでなく、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素化合物)、PM(粒子状物質)などの大気汚染物質を出さないことから、ZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)とも呼ばれます。
走行中のゼロ・エミッションは、EVならではの強みであり、最大のメリットです。EVが普及することによって車の走行による大気汚染や地球温暖化を抑えることができるのです。
もっともいくら走行中はゼロ・エミッションでも、「車を走らせる電気を火力発電所で作っていたら意味がない」との意見もあります。さらに、EVはバッテリーを製造するときに多くのCO2を発生させるという見方もあります。しかし、現在は太陽光発電など再生可能エネルギーによる発電や製造時の脱炭素化が進んでいます。あらゆる段階でカーボンニュートラルの実現を目指して進んでいるのが、今の世界の潮流です。
〈図〉ガソリン車とEVの違い

EVの4つのデメリット
ものごとにはメリットもあればデメリットもあるものです。メリットに比べれば数は少ないものの、EVにもガソリン車と比べて課題となっている点が存在します。代表的な4つのデメリット(電気自動車を選ぶ場合の留意点)を紹介しましょう。
(デメリット1)ガソリン車と比較すると、車種が少ない

スズキ「e ビターラ」、スバル「トレイルシーカー」、トヨタ「bZ4X」、日産「アリア」「サクラ」、ホンダ「N-ONE e:」、三菱「eKクロス EV」など、日本の自動車メーカーのEVも増えてきました。また、中国のBYDが格安のEVを次々と日本向けにリリースするほか、欧州メーカーも軒並みEVをラインナップしており、軽EVからSUV、ミニバンまでバリエーションも出揃い、4WDモデルも増えました。EV車種の選択肢は確実に広がってきています。
ただ、新車価格300万円台以下で購入できる車種は限られていて、まだまだガソリン車並みのラインナップとは言えません。今後、ラインナップはさらに広がるでしょうが、車種の充実度としてはあとひと息というところでしょう。
(デメリット2)充電に時間がかかる

わざわざガソリンスタンドに行かず、燃料を補充できるのはEVのメリットです。しかし、ガソリン車の給油が数分で終わるのに対し、EVの普通充電は数時間かかります。充電スポットにある急速充電器を利用する場合も30分が基準となっています。
ガソリン車のように「数分もあれば満タン」というわけにいかないのはEV購入を検討する人にはデメリットと感じるでしょう。
EVに乗り慣れたユーザーとしては、普通充電は「寝ている間に満タンにできる」から便利ですし、急速充電はロングドライブの休憩として過ごします。つまり、ガソリン車では当たり前だった「ガソリンタンクがほとんど空になるまで走って給油する」というスタイルから、「バッテリー残量を見ながら走り方や休み方を工夫する」といった、車の使い方の変化を受け入れることが大切になってきます。
充電に時間がかかるということよりも、こうしたライフスタイル変革を求められることが、ガソリン車の常識を基準とした場合のデメリットと言えるのかもしれません。
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(デメリット3)高速道路のSAで「充電渋滞」が起こることがある

ロングドライブの途中、高速道路のSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)の充電スポットで充電しようと思ったとしましょう。しかし、充電スポットの前には順番待ちのEVの列ができていて、1時間も待たされることに…。これが「充電渋滞」です。このようなことがGWやお盆・年末年始の混雑時に時折起こることがあります。
これはEVのデメリットというより、最適な充電インフラの整備に関する問題です。ただし、このような事態を極力起こさないため、近年は主要なSAでは高出力かつ複数口の急速充電器を設置する取り組みが急ピッチで進められています。
(デメリット4)EVを上手に活用するには充電の知識が必要

EVを上手に活用するには、電気や充電に関してある程度の知識があると安心です。
たとえば、自宅での充電時に出力3kWの普通充電器を使い、40kWhバッテリー搭載のEVを「バッテリー残量30%」から「バッテリー残量80%」まで、50%(20kWh)を充電するとします。その場合、頭の中で「20kWh÷3kW=6.67h」と計算し、「約6時間半の充電時間が必要だ」と判断しなければなりません。
〈図〉普通充電の計算式の例

外出先で急速充電器を使うなら別の考え方も必要になります。なぜなら、急速充電器は一般的に時間単位での課金になるからです。また、時間あたりの料金は同じでも、「出力50kWの急速充電器」と「30kWの急速充電器」では充電できる電力量が単純計算で6割も違います。
このように、実際に運用する場合、電気の単位(kWとkWhの違い)、電力の計算方法、充電器の性質などは最低限知っておく必要があります。ほとんどが中学校の理科レベルの知識ではあるものの、苦手意識がある人は苦労する可能性はあります。
「EVのデメリット」だと誤解されている3つのこと

EVにネガティブな印象を抱いている人は少なくありません。購入価格が高い、航続距離が短い、充電スポットが少ない…。このような思い込みなどから「EVに乗るのはハードルが高い」と考える人が多いようです。しかし、購入価格は補助金や減税措置で抑えられますし、最近のEVは航続距離も短くないのです。
〈表〉「デメリット」だと誤解されることが多いEVの情報一覧
| 誤解されている情報 | 正確な情報 |
| 購入価格が高い | 現在は250万円前後で購入できる軽EVもあるほか、性能のよい普通車EVも価格は下がっている。各種補助金を活用すればガソリン車より安価なケースもある。 |
| 航続距離が短い | 航続距離が500km以上の車種も少なくない。また、日常的に1日で300km以上走るような車の使い方をする人やケースは多くない。 |
| 充電スポットが少ない | 全国の公共充電スタンド数は4万口以上で増加傾向。また、家充電する場合は外部の充電スポットの利用頻度自体が低い。 |
購入価格が高い→補助金などで購入価格を抑えられる
元々、EVの価格は高価だったのは事実です。たとえば、数年前までは航続距離が400km以上の車種を選ぶ場合、バッテリー容量も60kWh以上が必要で、600万円以上の高級車のレンジに入っていました。
しかし、近年は軽EV(航続距離200~300km程度)なら価格は250万円台~ですし、普通車のEV(航続距離400km以上)のボリュームゾーンは400万~600万円しますが、最も安価な車種なら300万円台~です。高級車ばかりではなく、手が届く車種が増えていると言えるでしょう。
さらに、EVの場合、最大130万円の国の補助金がある(車種により補助額は異なる)ほか、自治体からも補助金が出るケースがあります。また、税制の優遇もあるので、実質的なユーザー負担額はより少なくなり、車種によっては同格のハイブリッド車(HEV)やガソリン車より安くなるケースもあるでしょう。
EVにはガソリン車と比べてランニングコストが抑えられるメリットもあるので、トータルで考えると一概に「高い買い物」とは言えないのです。
航続距離が短い→航続距離500km以上の車種も少なくない
ひと昔前まで「EVは航続距離が短くて使い物にならない」と言われていました。しかし、現在は事情が異なります。
代表的なモデルである日産「リーフ B5」(55kWh)の航続距離は521km、トヨタ「bZ4X Z」(74.69kWh)の航続距離は746kmに達します。片道300km以上を走るようなケースを除き、途中で何度も充電しなければならないような不便さはありません。実際にEVに乗ってみれば、日本の平均的なマイカーの使い方の場合、外出先で急速充電をする機会はそれほど多くないことがわかります。
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充電スポットが少ない→全国に4万3000口以上ある
また、公共の場所にある充電スポットも着々と増えています。経済産業省によれば、公共用のEV充電スタンドは2025年3月末時点で全国に約4万3000口が設置されており、内訳は急速充電器が約1万2000口、普通充電器(目的地充電)が約3万1000口となっています4)。
一方、ガソリンスタンドは近年減少の一途を辿っており、経済産業省の調査によれば同時点で約2万7000カ所です5)。充電器は“口数”ですから、1カ所に複数ある場合もあるので一概に比較できませんが、それでも設置数は少なくないことがわかるでしょう。
また、EV充電の基本は自宅充電ですから、これらの充電スポットはサブ的な位置づけです。つまり、そもそもガソリンスタンドと比較する意味がそこまで大きくないのです。
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現時点でもメリットは多い。今後の進化にも期待しよう
ここまで読んでくださった人は、きっとEVの購入や所有に少しでも興味のある人でしょう。実際に購入を前向きに考えている人かもしれません。もし、ご自宅に充電器を設置できる環境であれば、「ぜひ一度、所有してみてください!」と背中を押したいと思います。EVがよく指摘される航続距離や充電スポットの問題は、実際に使ってみると「誤解だった」「工夫すれば気にならない」などと気づけることがほとんどです。
最もネックとなるのは、今までの日本では選べる車種が少ないことでした。しかし、選択のバリエーションはかなり広がってきましたし、今後もさらにEV車種が増えていくことは間違いありません。自分が本当に欲しいと思えるEVの登場を待つのも選択肢のひとつです。これからますます、EVの進化に注目し、期待してください。
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