電気自動車(EV)の維持費は年間いくら? ガソリン車と比較して安いの?

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電気自動車(EV)はガソリン車に比べると走行コストが安いイメージがあります。また、税金も減免されるので、「維持費」も安く抑えることが可能と言われています。実際のところ、走行コストをはじめ、税金、保険料など、EVを維持する費用はどれくらい必要なのでしょうか。ガソリン車との比較を交えて、EVを所有するためにかかる「維持費」を解説します。

※この記事は2021年10月12日に公開した内容をアップデートしています。

 

 

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EVの維持費の内訳は? それぞれいくらかかる?

車を所有するには、車両本体価格などの購入費用だけではなく、車を維持していくためのさまざまなコストが継続的に発生します。このコストを「維持費」と言います。車の維持費には、大きく分けて次の3つがあります。

 

維持費の内訳①走行コスト

istock画像 EV車充電

画像:iStock.com/Nicholas77

 

走行コストとは、車を走らせるためにかかるお金のことです。おもに燃料代(EVの場合は充電代)を指しますが、広い意味ではメンテナンス代(車検代、法定点検代)、消耗品代(エンジンオイルやタイヤ、ワイパーなどの交換費用)も含まれます。

メンテナンス代は、おもに「車検時の諸費用」「法定点検費用」の2つです。このうち、車検(自動車検査登録制度)は車が道路運送車両法に定められている保安基準に適合しているかどうかを一定期間ごとに確認するための検査。一方、法定点検(定期点検)は劣化したり不具合を起こしたりする箇所を事前にチェックし、故障やトラブルが起きないようにするための点検・整備です。

乗用車の場合、車検の有効期限は新車登録から初回の検査が3年間、以降は2年間となります。法定点検は「12カ月点検」と「24カ月点検」があり、それぞれ点検項目数が異なります。24カ月点検は車検時に合わせて行う場合がほとんどです。

車検時の諸費用や法定点検費用は、依頼する業者によって価格に幅があります。かなり差があるので注意しておきたいポイントと言えるでしょう。

EVの場合も、ガソリン車と同じようにメンテナンス代や消耗品代はかかりますが、エンジンがないためエンジンオイルは不要ですし、回生ブレーキを利用するのでブレーキパッドの減りも少ないなど、消耗品代はかなり安く済みます。また、同じ走行距離ならば燃料代(充電代)は安く済むことが多いでしょう。とくに自宅で充電する場合は、コストがかなり安くなります。

 

 

〈チェックポイント〉1万km走ったときのEVの充電代はいくら?

istock画像 走行中

画像:iStock.com/georgeclerk

実際にEVの燃料代(=充電代)を試算してみましょう。ここでは、自宅で充電する人を想定して、電費(燃費)が6.0km/kWh、充電料金が31円/kWh、走行距離は年間1万kmと仮定しました。

〈図〉EVの1年間の充電代

〈図〉EVの1年間の充電代


このように、EVを走らせるために必要な年間の充電代は5万1646円となります。

なお、ガソリン車を1万km走行させたときの燃料代は10万9890円ですので、いかにEVの走行コストが安いことがわかるでしょう(ガソリン車の試算詳細はコチラ)。

 

 

維持費の内訳②税金

istock画像 車とお金

画像:iStock.com/amphotora

 

車を所有することでかかる税金は、車の購入時に納める「環境性能割」、新車登録時と車検時に納める「自動車重量税」、毎年1回納める「自動車税」の3種類があります。

このうち、車の維持費に当たるのは「自動車重量税」「自動車税」の2つです。

「自動車重量税」は、新車登録時に3年分をまとめて支払い、その後は2年ごとにある車検時に支払うことになります。2年ごとにある車検時の支払い(エコカー減税対象外の場合)は、1t未満の軽量コンパクトカーは1万6400円、一般的な乗用車なら2万4600円(1.5t以下)から3万2800円(2t以下)が目安です1)

このほか、2年ごとにある車検時には印紙代もかかります。正式には「自動車検査登録印紙」といい、検査にかかる手数料のことです。車検の方法により金額は異なり、乗用車は1400~2200円です2)

一方、「自動車税」は排気量に応じて税額が決まり、毎年支払う必要があります。税額は2万5000円(排気量1.0L以下)から11万円(6.0L超)まで10段階です。排気量2.5L超から3.0L以下の車で5万円ですから、およそ3万円から5万円と考えておけばいいでしょう3)

ただし、EVにおいては、「自動車重量税」は新車登録時と初回車検時が免税(100%軽減)、「自動車税」は新車登録年度の翌年度分が75%軽減されます。

税金に関しては、以下の記事で説明しています。より詳しく知りたい方は読んでみてください。

 

 

 

維持費の内訳③保険料

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画像:iStock.com/kazuma seki

 

車の保険には、任意加入の「自動車保険(任意保険)」と法律で加入が義務づけられている「自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)」の2種類があります。

●任意保険
任意とは「その人の意思に任せる」という意味ですが、自動車事故の被害者の救済を目的とした自賠責保険は最低限の対人賠償の補償しかなく、物損(対物)や同乗者(自身の車に乗っていた人)への補償もありません。そのため、もしもの備えをしておく必要があるので、実際には大半の人が任意保険に加入します

任意保険の保険料は、車の型式ごとの事故発生状況や支払い保険料などを参考に、損害保険料率算出機構が設定する「型式別料率クラス」4)に基づいて決まります。EVかガソリン車かではなく、車種やグレードによって決まるのです。

そのため、同クラスのEVとガソリン車とを比較した場合、車両価格の高いEVのほうが保険料も高くなる傾向があります。もっとも、保険会社が「エコカー割引」「電気自動車割引」などを用意しているので、EVは「保険料の3%」や「1000円割引」といった恩恵が受けられる場合もあります。

●自賠責保険
一方、自賠責保険は保険料が一律で、EVもガソリン車も同額となります。地域により多少違いがありますが、保険料は次の車検分まで車検時に一括で支払うのが一般的です。

離島・沖縄県を除く地域の場合、乗用車なら新車購入時は初回車検までの3年分(36カ月)で2万3690円、以後は車検ごと(24カ月分)で1万7650円となっています5)

 

 

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EVの維持費は、年間1万km走行で「15万円弱〜20万円強」

istock画像 EV車

画像:iStock.com/AlessandroPhoto

 

それでは、EVを所有するための維持費は年間でいくらかかるのでしょうか。

今回は、2023年度に購入したと仮定。購入初年度(〜2024年3月)を0年度目として計算し、次の年度(2024年4月からの1年間)を1年度目として定めます。0年度目の税金等は初期費用に含まれますので、購入の翌年度以降の1〜5年度目までの維持費をランニング費用として試算してみました。

なお、今回EVの試算の条件は、下記のとおりです。

項目 設定
車両 乗用車
車両価格 400万円程度
車両重量 1.6t
年間の走行距離 1万km
消耗品費 なし(※)

※不定期で発生するため。

 

【備考】自動車重量税はエコカー減税により初回車検時までは免税されます。任意保険料は「新規6等級、30歳以上、車両保険なし、1年間契約」の内容で初回契約を行い、毎年等級が上がっていくものと仮定します。また、任意保険の金額はソニー損保のネット見積もり(インターネット割引分を除く)を参考としました。

 

Ⅰ.1年度目(EV)

 

項目 有無 金額
自動車税(年1回) 6500円(75%軽減)
自動車重量税(車検毎) 0円
自賠責保険(車検毎) 0円
印紙代(車検毎) 0円
任意保険(1年) 7万円
法定点検費用 2万円
車検時諸費用(法定点検含む) 0円
走行コスト(充電代) 5万1646円
総額   14万8146円

 

Ⅱ.2年度目(EV)

 

項目 有無 金額
自動車税(年1回) 2万5000円
自動車重量税(車検毎) 0円
自賠責保険(車検毎) 0円
印紙代(車検毎) 0円
任意保険(1年) 5万7000円
法定点検費用 2万円
車検時諸費用(法定点検含む) 0円
走行コスト(充電代) 5万1646円
総額   15万3646円

 

Ⅲ.3年度目(EV、車検実施)

 

項目 有無 金額
自動車税(年1回) 2万5000円
自動車重量税(車検毎) 0円(免税)
自賠責保険(車検毎) 1万7650円
印紙代(車検毎) 1600円
任意保険(1年) 5万円
法定点検費用 0円
車検時諸費用(法定点検含む) 4万円
走行コスト(充電代) 5万1646円
総額   18万5896円

 

Ⅳ.4年度目(EV)

 

項目 有無 金額
自動車税(年1回) 2万5000円
自動車重量税(車検毎) 0円
自賠責保険(車検毎) 0円
印紙代(車検毎) 0円
任意保険(1年) 4万9000円
法定点検費用 2万円
車検時諸費用(法定点検含む) 0円
走行コスト(充電代) 5万1646円
総額   14万5646円

 

Ⅴ.5年度目(EV、車検実施)

 

項目 有無 金額
自動車税(年1回) 2万5000円
自動車重量税(車検毎) 2万円
自賠責保険(車検毎) 1万7650円
印紙代(車検毎) 1600円
任意保険(1年) 4万7000円
法定点検費用 0円
車検時諸費用(法定点検含む) 4万円
走行コスト(充電代) 5万1646円
総額   20万2896円

 

このように、1万km走行するための充電代を加えると、EVの維持費は年間約15万円弱から20万円強となります。すでにガソリン車に乗っている人ならEVの維持費が安いことがわかると思います。なお、充電代を除いたときの維持費は年間約10万円弱〜15万円強です。

 

 

ガソリン車vs.EV。維持費を比較してみた!

istock画像 EV車充電

画像:iStock.com/3alexd

 

ガソリン車よりEVの維持費のほうが安いと言われても、実際に数字を比べてみないとわかりづらい…という方もいるでしょう。

そこで、上記のEVと同クラスのガソリン車をモデルとして、年間にかかる走行コスト、年ごとの維持費をそれぞれ計算してみます。

ガソリン車の走行コストはEVより2倍以上高い


まずガソリン車の燃料代を見ていきましょう。燃費を15km/L、ガソリン価格を165円/Lとし、EVと同様に、走行距離は年間1万kmとします。その結果、ガソリン車の燃料代は1年間で次のようになりました。

〈図〉ガソリン車の1年間の燃料代

〈図〉ガソリン車の1年間の燃料代

 

EVは5万1646円でしたので、ガソリン車の走行コスト(燃料代)はEVに比べて2倍以上高いことになるわけです。

 

 

ガソリン車の年間維持費はいくら?


次にやはりEVと同じように、1年間にかかる走行コストに税金や保険料、メンテナンス代を加えたガソリン車の年間維持費について、2年目から5年目までそれぞれ年ごとに紹介します。

なお、今回ガソリン車の試算の条件は、下記のとおりです。

項目 設定
車両 乗用車/排気量2.0L
車両価格 250万円程度
年間の走行距離 1万km
車両重量 1.4t
消耗品費 エンジンオイル交換(年1回)

※エコカー減税非対象車

 

ガソリン車の任意保険は、前述のようにEVかガソリン車かではなく、車種やグレードで決まります。そのため、車両価格の安いガソリン車のほうが保険料が安くなる場合があります。それを踏まえたうえで、ガソリン車の維持費を見てみましょう。

 

【備考】ガソリン車はエンジンや変速機など複雑な機構を搭載しているので、EVに比べて定期交換が必要な消耗品も多くなります。しかし、現在は新車時に3年または5年分のメンテナンス料金をおトクなパックにした「メンテナンスパック」に加入するのが一般的です。また、故障時には新車保証が適用され、5年目までに大きな負担が発生する可能性は低いと考えられるため、ここではエンジンオイル交換以外の部品交換等のメンテナンス代を除外しています。また、任意保険の金額はEV同様の条件でソニー損保のネット見積もりを参考としました。

 

Ⅰ.1年度目(ガソリン車)

 

項目 有無 金額
自動車税(年1回) 3万6000円
自動車重量税(車検毎) 0円
自賠責保険(車検毎) 0円
印紙代(車検毎) 0円
任意保険(1年) 6万円
法定点検費用 2万円
車検時諸費用(法定点検含む) 0円
エンジンオイル交換代 5000円
走行コスト(ガソリン代) 10万9890円
総額   23万890円

 

Ⅱ.2年度目(ガソリン車)

 

項目 有無 金額
自動車税(年1回) 3万6000円
自動車重量税(車検毎) 0円
自賠責保険(車検毎) 0円
印紙代(車検毎) 0円
任意保険(1年) 4万7000円
法定点検費用 2万円
車検時諸費用(法定点検含む) 0円
エンジンオイル交換代 5000円
走行コスト(ガソリン代) 10万9890円
総額   21万7890円

 

Ⅲ.3年度目(ガソリン車、車検実施)

 

項目 有無 金額
自動車税(年1回) 3万6000円
自動車重量税(車検毎) 2万4600円
自賠責保険(車検毎) 1万7650円
印紙代(車検毎) 1600円
任意保険(1年) 4万円
法定点検費用 0円
車検時諸費用(法定点検含む) 4万円
エンジンオイル交換代 5000円
走行コスト(ガソリン代) 10万9890円
総額   27万4740円

 

Ⅳ.4年度目(ガソリン車)

 

項目 有無 金額
自動車税(年1回) 3万6000円
自動車重量税(車検毎) 0円
自賠責保険(車検毎) 0円
印紙代(車検毎) 0円
任意保険(1年) 3万9000円
法定点検費用 2万円
車検時諸費用(法定点検含む) 0円
エンジンオイル交換代 5000円
走行コスト(ガソリン代) 10万9890円
総額   20万9890円

 

Ⅴ.5年度目(ガソリン車、車検実施)

 

項目 有無 金額
自動車税(年1回) 3万6000円
自動車重量税(車検毎) 2万4600円
自賠責保険(車検毎) 1万7650円
印紙代(車検毎) 1600円
任意保険(1年) 3万8000円
法定点検費用 0円
車検時諸費用(法定点検含む) 4万円
エンジンオイル交換代 5000円
走行コスト(ガソリン代) 10万9890円
総額   27万2740円

 

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結論! EVのほうがガソリン車より維持費が相当安い

istock画像 車と電卓

画像:iStock.com/akiyoko

 

ここまで算出してわかったのは、同クラスの車種同士で比較した場合、EVのほうが安いのは「自動車税」と「自動車重量税」。ガソリン車のほうが安くなる可能性が高いのは「任意保険」の保険料だということです(車両価格が安いため)。

ただし、EVとガソリン車の維持費の最大の違いは、やはり走行コストです。ガソリン車の維持費は年間約21万円から27万円強。EVが15万円弱から20万円強なので、トータルで見るとやはりEVの維持費のほうが相当安いといえます。

〈図〉EVとガソリン車の年間維持費の比較

〈図〉EVとガソリン車の年間維持費の比較

 

消耗品の不安…バッテリーの交換は必要なの?

istock画像 EV車バッテリー

画像:iStock.com/kynny

 

上記の維持費には消耗した部品の交換代は含まれていません。この部品交換において、EVがガソリン車と大きく異なるのが劣化を心配されるバッテリーを搭載していることです。バッテリーは高価ですから、交換すれば維持費は一気に上がります。

EVのバッテリーはどれくらいで劣化するのでしょうか。また交換が必要になった場合、費用はいくらぐらいかかるのでしょうか。

 

8年以内ならバッテリー容量約70%を保証してくれる


結論から言うと、バッテリー交換の心配はあまりしなくても大丈夫でしょう。たしかに、EVではスマートフォンと同じリチウムイオンバッテリーが主流なので、劣化はします。ただ、交換が必要になることはまずないと考えていいと思います。

一例を挙げると、現行型の日産リーフ(40kWhと60kWh)の場合、電池の容量性能を12セグメントに区切られた容量計で表示していますが、「正常な使用条件下において新車登録から8年間または160,000kmまでのどちらか早い方において、容量計が9セグメントを割り込んだ(=8セグメントになった)場合、修理や部品交換を行い9セグメント以上へ復帰する」ことを保証しています。6)(※日産ではセグメントごとの容量は公表していませんが、9セグメントで約70%前後と推定されます)

これだけの長期保証をつけているのは、バッテリーの品質に対する自信のあらわれとも言えるでしょう。また、購入後8年や走行距離16万kmというと、もう車の買い替えを考える時期になりますので、現実的にバッテリーを交換する機会はほぼないと思われます。

 

 

 

ちなみに初期費用は…? 車両価格、税金、充電設備の相場を紹介

istock画像 車の横で握手

画像:iStock.com/DragonImages

 

これからEVに乗りたいと考えている人は、年間にかかる維持費だけではなく、EVを購入するための初期費用についても知りたいことでしょう。そこで最後に、車両本体価格の相場や利用できる補助金、充電設備の設置費用などを簡単に紹介します。

 

500万円未満の予算で購入できるEVが拡大中


EVは販売車種が少なく、車両価格が高くなりがちなのがネックでしたが、車両価格が500万円未満で購入できる車種も多くなってきました。価格面で注目すべきなのは、2022年6月に発売された軽EV(サクラ、eKクロス EV)で200万円台からとなっています。軽EVは軽自動車と同じ扱いとなるため、税金も普通車と比較すると安くなります。

 

 

EVの初期費用は車両本体価格プラス約16万円


それでは、EV購入時の初期費用はどれくらいかかるのでしょうか。日本国内で購入できるEVのうち、車両本体価格が比較的安い車種を例に、初期費用を項目別に一覧にしたのが下記です。

〈表〉EVを新車購入した際の初期費用

項目 金額
車両価格 400万円
自動車税(※1) 1万2500円
自動車重量税 0円(免税)
環境性能割 0円(非課税)
自賠責保険(※2) 2万4190円
法定費用+代行費用(印紙代を含む) 5万円
自動車任意保険(1年) 7万円
購入時総額 415万6690円

※1. 9月購入を想定し、半年分の費用として算出。
※2. 37カ月契約で算出。

 

車両本体価格が約400万円のEVの場合、EVは税制優遇があるため、税金や諸費用を含めて初期費用は16万円以内で済むことがわかると思います。

条件次第で総額100万円以上の補助金が交付される


EVを新車で購入するときには、EVの普及促進のために国や自治体が交付する補助金の活用が欠かせません。2023年6月現在、国に申請できる補助金には「CEV補助金」があります。

「CEV補助金」の補助金の金額は、「最大85万円」となっており、いくつか条件があるほか、購入する車種やグレードによっても交付される金額が変わってきます。

それに加えて、自治体の補助金もあります。たとえば、東京都の補助金はベースが45万円で、再エネ100%電力契約で60万円、太陽光発電導入で75万円へ増額されます。条件次第で合計で100万円以上の補助金を受け取ることも可能なので、ガソリン車より割高なEVも購入しやすくなります。

 

【備考】補助金はあくまでも期間限定の事業であり、予算が超過すれば補助金を申請できなくなります。また、予算状況によっては申請受付期限が前倒しされる場合もあります。詳しい内容を知りたい場合は以下の記事をご覧ください。

 

 

自宅に充電器を設置する費用は10万円程度~

istock画像 EV車充電

画像:iStock.com/SimonSkafar

 

忘れてはいけないのが充電器の設置費用です。EVは自宅充電が基本となりますから、そのコストも考えておく必要があります。

設置費用は充電器の種類、分電盤から充電器を設置する車庫までの距離などで異なりますが、10万円程度からと考えておくといいでしょう。

 

 

ライフスタイル次第でEVの維持費の安さは大きなメリットになる

2023年現在、徐々に販売されるEVの車種は多くなってきましたが、車両価格も補助金なしではまだお手頃とは言えない車種が多いのは事実でしょう。

そうしたなかで大切なのは、自分がどのように車を使っているのか、どのように使いたいのかを再認識することです。

よく長距離移動をする人なら、EVより航続距離の長いガソリン車を選んだほうがいいのかもしれません。しかし、通勤や家族の送り迎え、休日にドライブするといった使い方なら、EVの使い勝手のよさや走行コストを含めた維持費の安さが大きなメリットとなります。

自動車メーカーは引き続きEVの車種拡大を目指し、新型車の発売を準備しています。ミニバンのEVなど現在はラインアップされていない車種も今後発売される可能性は十分にあります。

まずは、自分がどのように暮らしていて、その生活のなかでどのように車を使っているのかを考えてみてください。近い将来、より積極的にEVを選ぶ時代がやってくるはずです。

 

 

この記事の監修者
桃田 健史
桃田 健史

日本自動車ジャーナリスト協会会員。専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。ウェブ媒体、雑誌での執筆のほか、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組や海外モーターショーの解説も担当。著書に『エコカー世界大戦争の勝者は誰だ』(ダイヤモンド社)、「IoTで激変するクルマの未来」(洋泉社)など。