太陽光発電×EV×V2Hを組み合わせる。導入のメリットと基礎知識

太陽光発電×EV×V2H

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を所有している人の中には「太陽光発電とV2Hを併せて導入しようか迷っている」という人もいるのではないでしょうか。EV・PHEVに加えて太陽光発電とV2Hを導入すると、災害対策や電気代の節約の面でもメリットがあるとされています。そこで、太陽光発電とV2Hをセットで導入する際に知っておくべき基礎知識を解説します。

 

太陽光発電×EV×V2Hを導入するメリットは?

はじめに、太陽光発電とV2Hについて簡単に説明します。太陽光発電とは、自宅の屋根の上などに太陽光パネルを設置して、電気を作り出す発電システムのことです。

〈図〉V2Hがある場合・ない場合の違い

〈図〉V2Hがある場合・ない場合の違い

 

一方、V2Hとは「Vehicle to Home」を意味し、EVPHEVと住宅をつないで電気のやりとりをできるようにするシステムのことです。V2H機器そのものに電気を貯める蓄電機能はありませんが、EV・PHEVと住宅をつなぐことで、EV・PHEVの大容量バッテリーから住宅へ電気を送ることを可能にし、EV・PHEVを蓄電池として活用することができるようになります。また、機種によっては電力会社から送られる電気や、自宅の太陽光発電で作られた電気を、条件に合わせて賢く振り分けることもできます。

EV・PHEVユーザーが太陽光発電とV2Hを導入するメリットは大きく4つあります。以下で詳しく説明します。

 

 

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格安かつ短時間でEV・PHEVを充電できる

EVに充電するイメージ

画像:iStock.com/coldsnowstorm

 

EV・PHEVを所有している人が太陽光発電システムを導入すると、自宅に設置した太陽光発電からEV・PHEVにいわば「格安」で充電できるようになります

最近、全国的に電気代の値上がりが話題になっていますが、電力会社から買う電気に比べ自宅で発電した電気は格安ですので、車の充電にかかる電気代を安く抑えることができるのです。

さらにV2H機器を導入すると、機種によっては、より短い時間でEV・PHEVに充電することができます。一般的なEV・PHEV充電用コンセントの出力は3kWですが、V2H機器は最大2倍(6kW)の出力で充電できる「倍速充電機能」が搭載されています。

たとえば、現在のV2H市場でもっとも一般的なモデルであり、トップシェアを誇るニチコンのV2H機器「EVパワー・ステーション」で日産「リーフ」(40kWh)をフル充電する場合、V2Hの倍速充電機能を使えば、最短8時間とスピーディーに充電できます1)

 

 

 

住宅全体の光熱費が下がる

光熱費のイメージ

画像:iStock.com/SeiyaTabuchi

 

前述のように、自宅に太陽光発電とV2Hを設置すると、太陽光発電による電気でEV・PHEVを充電できるだけではなく、EV・PHEVから自宅へ電気を供給することもできるようになります

昼間に太陽光発電で作った電気をEV・PHEVに貯め、夜間にEV・PHEVから自宅へ電気を供給することによって、夜間も電力会社から購入する電気の量を抑え、さらに電気代を節約することも可能になります。

 

 

災害時にも安心して電気を使うことができる

災害のイメージ

画像:iStock.com/shironagasukujira

 

災害時の停電の際にも、昼間は太陽光発電で作られた電気で、夜間はEV・PHEVから給電された電気で、普段とほとんど変わらない生活を送ることが可能です。

非常用電源としては、家庭用の定置型蓄電池も普及し始めていますが、EVやPHEVのバッテリーはそれよりもはるかに大容量です。車種によってバッテリー容量は異なりますが、停電時でも家庭の電力を数日間以上供給できるとされています。

 

 

家庭用蓄電池よりもコスパがいい

コストパフォーマンスのイメージ

画像:iStock.com/erdikocak

 

一般的な家庭用定置型蓄電池の容量は、4〜12kWh程度が主流です。一方EV・PHEVのバッテリーの容量はこれよりも大きく、たとえば日産のEV「リーフ」のベースグレードでは40kWh、上位グレードの「e+」では60kWhです。V2Hを導入すると、このような大容量バッテリーを家とつなぎ、蓄電池の代わりにすることができます。

さらに蓄電池の容量あたりの導入コストが、家庭用定置型蓄電池よりもEV+V2H機器の方がおトクなケースが多いです。一般的にV2H機器の本体価格は55万〜100万円程度で、設置工事の費用を合わせると90万〜130万円程度です。EV・PHEVは車種によって値段もバッテリー容量もさまざまですが、日産「リーフ」のベースグレード(40kWh)を例にして考えると、車両本体価格が約400万円のため、EV購入費用とV2Hの設置費用を合わせても、バッテリー容量1kWhあたりの単価は約12.2万〜13.2万円という計算になります。

一方、家庭用定置型蓄電池の導入コストは、工事費用を含めて容量1kWhあたりの単価は平均13.9万円(2022年度)が目安とされています2)

EV・PHEVの場合には、移動手段という本来の車の価値がありますが、その価値を一切考慮せず1kWhあたりの蓄電池コストのみで比べても、家庭用定置型蓄電池よりもコストパフォーマンスがよいと言えるでしょう。

 

 

 

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太陽光発電×EV×V2Hの導入の手順と費用の目安

家のイメージ

画像:iStock.com/acilo

 

では、太陽光発電とV2Hを実際に導入するには、具体的にどのような設備が必要になるのでしょうか。導入の手順と費用の目安についてわかりやすく解説していきます。

 

太陽光発電の導入の手順


太陽光発電を導入するには、いくつかの機材が必要です。まず、太陽の光を電気に変える役割をもつ太陽光パネル(太陽電池モジュール)。次に、発電した電気を家庭で使えるようにするための「パワーコンディショナー」、配線をまとめる「接続箱」などが必要になります。

〈図〉太陽光発電導入の流れ

〈図〉太陽光発電導入の流れ

 

太陽光発電を導入する際の大まかな手順は、次のとおりです3)。まず、施工業者などに現地調査を依頼し、見積もりを提示してもらいます。正式に契約したら、業者が電力会社に対して、新しい太陽光発電を電力系統に接続するための申請を行います。さらに国へのFIT(固定価格買取制度)の申請も同時期に行います。自治体などへ補助金の利用を申請する場合には、その手続きも必要になります。

続いて、太陽光パネルやパワーコンディショナーなどの機材を用いて、住宅への設置工事を行います。屋根の上に太陽光パネルを設置する場合には、先に屋根に「架台」と呼ばれる枠組みを設置し、その上に太陽光パネルを並べて設置します。

必要な機材がすべて設置されると、電気の配線などの工事が行われ、竣工検査によって問題なく動作していることが確認されれば、住宅オーナーへ引き渡しとなります。

 

 

 

太陽光発電の導入費用の目安


一般的な住宅の屋根に搭載される太陽光発電の容量は3〜5kWが主流とされており、導入費用の目安は2022年設置の既築の場合、84.3万円(3kW)〜140.5万円(5kW)です4)。これらの費用には、パワーコンディショナーをはじめとする機材の費用と工事費も含まれています。

ただし、導入費用は目安であり、購入するメーカーや住宅の設置条件などによって異なる場合もあります。自宅に取り付ける場合の具体的な費用を知りたい場合には、施工業者などに正式に見積もりをとることをおすすめします。

 

 

 

V2Hの導入の手順

V2H導入に必要な機材は太陽光発電よりもシンプルで、V2H機器のみです。

〈図〉V2H導入の流れ

〈図〉V2H導入の流れ

 

V2Hを設置する場合、業者に依頼して、自宅を訪問してもらって現地調査を行い、見積もりを提出してもらいます。正式に契約した後、業者がV2H機器を発注し、納品されてから設置工事が始まるという流れです。V2H機器を家庭で使用するための電力申請も行います。申請は、施工業者側で代行してくれます。工事にかかる期間は概ね1日程度です。

 

 

 

V2Hの導入費用の目安


V2Hを導入する場合、費用はV2H機器の本体価格と工事費です。たとえばニチコン「EVパワー・ステーション」を購入する場合の費用は以下のとおりです。

 

〈表〉設置費用の一例

スタンダードモデル
(VCG-663CN3)
プレミアムモデル
(VCG-666CN7)
本体価格 54万7800円(税込) 98万7800円(税込)
工事費 約30万~40万円(税込)

※2023年9月時点

 

工事費は住宅と駐車場との距離など条件によって変動することに留意しましょう。これらを合計すると、V2Hの導入費用の目安は約85万〜140万円程度です。

導入費用はV2H機器のメーカーや機種、自宅の条件などによって異なります。正確な費用を知りたい場合には業者に見積もりを依頼するのがよいでしょう。

 

 

〈コラム〉V2Hと太陽光発電の導入に便利な多機能パワコン

V2Hと太陽光発電に加えて、蓄電池も導入して万全の災害対策をとりたいと考える人もいるかもしれません。しかし、V2H機器、太陽光発電、蓄電池といったそれぞれの機器はそれぞれ1台ずつのパワーコンディショナーを必要とします。これらを設置すると、変換ロスが都度生じるうえ、設置スペースも必要で住宅の外観を損なう恐れもあります。

〈図〉多機能型パワーコンディショナーの仕組み

〈図〉多機能型パワーコンディショナーの仕組み

 

そうした観点で導入をためらっている人におすすめなのが「多機能パワコン(パワーコンディショナー)」です。多機能パワコンは、1台でV2H機器、太陽光発電、蓄電池のパワーコンディショナーの機能を担うことができます。

多機能パワコンを活用すると、太陽光発電・蓄電池・V2H間をすべて直流でつなぐため変換ロスを抑えられ、EVで外出したときも蓄電池があるため、太陽光発電でつくった電気をしっかり貯めて、自家消費を最大化することができます。都心の住宅で設置スペースが限られる場合などにも最適です。

商品の種類はまだ多くありませんが、現在、ニチコンやパナソニックから商品がリリースされています5)6)。また、東京電力ホールディングスは2022年3月、太陽光発電、蓄電池、EVの3つの電源を制御するパワーコンディショナーを含む「多機能パワコンシステム」の共同開発について公表しました7)。このシステムでは、AIを活用して家全体の電気の使い方を上手にコントロールするため、電気代を最小化するなどの効果が期待されます。

 

 

【おすすめ情報】V2Hを自宅に導入するなら、電気のプロにおまかせ!

東京電力グループのTEPCOホームテックでは、V2Hの設置工事はもちろん、必要に応じ電気契約容量の変更提案、補助金の申請などもワンストップで行うことができます。また、「エネカリ」というサービスを利用すれば、初期費用0円で導入することも可能です。詳しく知りたい人は以下のサイトをご覧ください。

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太陽光発電×EV×V2Hを導入するときの留意点

EV・PHEVユーザーが太陽光発電とV2Hを導入することには、いくつものメリットがあることがわかりました。その一方で、導入の際に留意しておきたいのは、以下で説明する2点です。

 

補助金を活用して導入費用を抑える

補助金のイメージ

画像:iStock.com/William_Potter

 

太陽光発電やV2Hの導入における最大のハードルは機器の購入や設置工事にかかる費用です。しかし、これらはカーボンニュートラルに貢献できるシステムであることから、一定の条件の下、国や自治体からそれぞれ補助金が交付されています。こうした補助制度を活用すれば導入費用を抑えることができますが、決められた要件を満たし、募集期間内に申し込む必要があります。

たとえば、V2H導入には国による補助金を利用することができます。2023年度の上限額は機器購入費と工事費をあわせて115万円となっていました。

 

〈表〉補助金の上限額

項目 金額
V2H機器の購入費 上限75万円(補助率1/2)
設置工事費 上限40万円

※「令和4年度補正予算」および「令和5年度当初予算」で実施している国の「V2H充放電設備・外部給電器の導入補助事業」について、多数の交付申請があり、5月23日時点で予算額を超過しました。そのため、申請受付を終了しています。詳細はこちらをご確認ください。

 

また、自治体で独自の補助金を交付している場合もあります。場合によっては国の補助金と併用できるので、こちらもぜひ活用しましょう。たとえば東京都の場合は、V2H導入の補助金として通常上限50万円、太陽光発電やEV・PHEVが揃っている場合は上限100万円の交付が受けられます8)。ただし、こちらも国の補助金と同様に交付の条件があるので、ご注意ください。

補助金の申請と聞くと難しいイメージがあると思いますが、設置を請け負う施工業者がサポートしてくれるケースが多いので、導入の際に相談してみるとよいでしょう。

 

 

以下の記事で太陽光発電やV2Hを導入する際の補助金について詳しく説明しているので、併せてご覧ください。

 

 

V2H対応の車種を選ぶ

PHEVのイメージ

 

注意したいのは、すべてのEV・PHEVがV2Hに対応しているわけではないことです。これからEV・PHEVを購入するという人で、将来V2Hの導入を検討したい場合には、車種を決める際に注意しましょう。また、V2H機器のメーカー・機種によって、接続できるEVやPHEVの車種が異なる点にも注意が必要です。

 

〈表〉V2Hに対応するEV・PHEVの一例

日産 サクラ、リーフ、アリア
三菱 eKクロスEV、エクリプス クロスPHEV、アウトランダーPHEV、MINICAB-MiEV
トヨタ bZ4X
レクサス RZ450e、UX300e
ホンダ Honda e
マツダ MX-30 EV MODEL、CX-60 PHEV
スバル ソルテラ
メルセデス・ベンツ EQE、EQS

※2023年6月時点のニチコン(EVパワー・ステーション)対応車種の場合

 

V2Hに対応したEV・PHEVの車種については、以下の記事でより詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

 

 

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太陽光発電・V2Hを組み合わせてエコでおトクなEVライフを

EV・PHEVと太陽光発電・V2Hを併せて導入すると、災害対策を強化できるほか、電気代を抑えるのにも役立つことがわかりました。導入でもっとも気になる費用は、補助金制度を活用するなどして抑えることもできますが、毎月定額のサービス利用料を支払うことで、初期費用0円で利用できるサービスも登場しています。購入だけでなく定額利用なども選択肢としてしっかり検討するようにしましょう。

 

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この記事の著者
EV DAYS編集部
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