「V2H」主要メーカー3社の機器を紹介!選び方や効率的な使い方についても解説

V2Hを触る様子

電気自動車(EV)と自宅をつなぎ、災害時の非常用電源などに活用できる「V2H」に注目が集まっています。しかし、V2Hはまだ普及し始めたばかりですから、「どのメーカーのV2H機器を選べばよいのかわからない」という方も多いでしょう。そこで、V2H機器を選ぶ際のポイントと主要メーカーのラインナップ、さらに最新の多機能パワコンとセットで導入する方法などについて紹介します。

※この記事は2023年4月26日に公開した内容をアップデートしています。

 

 

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V2H選びのポイント。性能はどこまで必要?

V2Hで充電する様子

画像:iStock.com/sarawuth702

 

V2H機器のメーカーはそれほど多くありませんが、メーカーや製品ごとで性能や価格が異なります。V2H機器にはどのような種類があり、どんな点に注意して選べばいいのでしょうか。V2H導入のメリットと、V2H機器を選ぶときのポイントを紹介します。

 

V2Hを導入するメリットを簡単に解説!


まずV2Hを導入するメリットを整理しておきましょう。V2HはEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)のユーザーのみならず、社会的にも注目されていますが、その理由のひとつが災害対策です。

日本国内では近年、豪雨や台風などの自然災害が頻発しており、こうした災害時の停電では家庭の電気が復旧するまで最大で数日間かかる場合があります。しかし、V2Hを導入すればEV・PHEVのバッテリーが非常用電源となり、家に電気を供給することが可能になります。

そのほかにも「電気代の節約が期待できる」「EV・PHEVの充電時間を短縮できる」「太陽光発電の余剰電力を賢く使える」といったメリットがあり、V2Hシステムは暮らしのさまざまなシーンに役立ちます。詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

 

 

V2Hには「非系統連系」と「系統連系」の2つがある


ひと口にV2H機器と言っても性能の異なるいくつかのタイプがあります。なかでも最初に知っておきたいのが、V2H機器には大きく分けて「非系統連系」型と「系統連系」型の2つがあることです。

非系統連系型とは、家庭に電気を供給する方法がひとつの系統に限定されるV2H機器です。たとえば、太陽光発電を設置しているご家庭の場合、V2Hが扱う電気の系統は「EV・PHEVのバッテリーに蓄えられた電気」「電力会社から送られてくる電気」「太陽光発電でつくられる電気」の3系統となります。

しかし、非系統連系型のV2H機器はそのうちのひとつしか選ぶことができません。太陽光発電を導入していても、このタイプの機器を選ぶと太陽光発電でつくった電気を停電時にEV・PHEVのバッテリーに充電することができませんので注意が必要でしょう。


〈図〉非系統連系のイメージ(EVから家に給電する場合)

EVから家に給電する場合の非系統連系のイメージ図

 

それに対して、系統連系型のV2H機器は基本的に3つの系統の電気を同時に利用することが可能です。太陽光発電を導入しているご家庭の場合、昼間に発電された電気をEV・PHEVのバッテリーに充電しておき、夜間に家庭に給電するといったこともできます。

こうした系統連系型のV2H機器なら、大きな災害が発生して停電期間が数日に及んでも自宅で電気を使い続けることができるので、現在は系統連系型のV2H機器が主流となっています。


〈図〉系統連系のイメージ

系統連系のイメージ

 

 

「特定負荷型」と「全負荷型」では電気の使い方が違う


停電時に電気を供給できる範囲もV2H機器によって異なり、大きく分けて「特定負荷型」と「全負荷型」の2タイプがあります。

「特定負荷型」とは、停電時に使用したい電気の供給先(回路)が限定されるタイプのV2H機器のことです。あらかじめ設定した電気の送り先以外には電気を送ることができず、このタイプは停電時に電気を使用できる部屋や、使用できる機器などが限られています。

それに対して「全負荷型」のV2H機器は家全体に電気を送ることが可能です。EV・PHEVが搭載する大容量バッテリーの範囲内であれば、停電時に自宅にあるすべての電気を使うことができます。

〈図〉全負荷(左)と特定負荷(右)の違い

全負荷(左)と特定負荷(右)の違いをあらわす図

 

「停電時出力」が高いと停電時に多くの電気を使える

停電時ブレーカー

画像:iStock.com/Daria Kulkova

 

前述のように、V2Hのメリットのひとつは停電時にEV・PHEVに蓄えた電気を家庭に給電できることですが、この自立運転時の最大出力(停電時出力)も機器選びのポイントのひとつでしょう。

停電時出力はV2H機器によって異なり、たとえば、代表機種のひとつであるニチコンの「EVパワー・ステーション®」シリーズの場合、スタンダードモデルの停電時出力が3kVA(キロボルトアンペア)未満で、上位機種のプレミアムモデルが6kVA未満となっています。

停電時出力の数値が大きいほど多くの電気を同時に使用できますが、3kVA未満でもスマートフォンの充電をはじめ、照明や冷蔵庫、エアコン(100V機器のみ)など、一般的な電化製品を動かすことのできる電力供給は可能です。

 

 

EVの利用頻度が高い人は「倍速充電機能」に注目


機種によりますが、V2Hは「倍速充電機能」によってEV・PHEVの充電時間を大幅に短縮することが可能です。一般的なEVユーザーが自宅に設置する充電用の200Vコンセント(出力3kW)と比較すると、最大2倍(6kW)の出力で充電することができます。

EV・PHEVを頻繁に利用し、200Vコンセントの充電速度では物足りない人にはうれしい機能と言えるでしょう。ただし、この機能に対応するV2H機器と対応しない機器があるので注意してください。また、EV・PHEV側でも6kWまで対応していない車種もあります。どちらの機能も確認するようにしましょう。

 

 

V2H機器の主要メーカー5製品の特徴を紹介

では、具体的にV2H機器にはどのような種類があるのでしょうか。経済産業省が交付するV2H充放電設備補助金(令和5年度)の対象機器1)を参考に、ニチコン、デンソー、東光高岳の主要3メーカーがラインナップする5つのV2H機器を紹介します(掲載はメーカー名の50音順)。

 

 

デンソー「V2H-充放電器」

デンソー

画像提供:デンソー

 

デンソーの「V2H-充放電器」は系統連系型・全負荷タイプのV2H機器です2)。倍速充電機能や太陽光発電を効率よく使える「グリーンモード」を搭載するなど機能が充実しています。

住まいにマッチするメタリックグレーのカラーリング、充電ケーブルをスッキリ収納するケーブルガイド(別売オプション)など、外観や使い勝手のよさにこだわっているのが特徴です。

 

本体価格(税込) オープン価格
タイプ 系統連系型
停電時の電力供給 全負荷型
停電時出力(電圧) 6kVA未満(100/200Ⅴ)
倍速充電 対応
グリーンモード 対応
リモート操作 スマホアプリでの操作が可能
停電時の起動方法 手動
保証期間 5年
サイズ 幅809mm×高さ855mm×奥行337mm(突起物除く)
重量 約91kg
対応車種 メーカーサイト参照

 

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東光高岳「SmanecoV2H」

東光高岳

画像提供:東光高岳

 

EV用の急速充電器でシェアトップの電気機器メーカー、東光高岳が販売する「SmanecoV2H」は、急速充電器の技術を生かして開発されたV2H機器です3)。電力系統とEV・PHEVのバッテリーからの電気を切り替えて使用する非系統連系型のシンプルなモデルですが、主要メーカーのV2H機器のなかでは本体サイズが比較的コンパクトで、駐車場に設置しやすいという特徴があります。

 

本体価格(税込) オープン価格
タイプ 非系統連系型
停電時の電力供給 全負荷型(特定負荷も可)
停電時出力(電圧) 3kW(100/200Ⅴ) ※短時間(2分以内):6kW
倍速充電 非対応(最大3kW)
グリーンモード 非対応
リモート操作 非対応
停電時の起動方法 手動
保証期間 1年
サイズ 幅580mm×高さ742mm×奥行310mm(突起物除く)
重量 約80kg(コネクタ含まず)
対応車種 メーカーサイト参照

 

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ニチコン「EVパワー・ステーション® スタンダードモデル」

ニチコン

画像提供:ニチコン

 

ニチコンの「EVパワー・ステーション®」シリーズは現在のV2H市場でもっとも一般的なモデルとなっており、約9割というトップシェアを誇ります。なかでも、比較的廉価モデルと言えるのがこちらの「スタンダードモデル」。系統連系型でグリーンモードにも対応していますので、太陽光発電と併用したい場合もより効率的に電気を使うことが可能となっています4)

ただし、スタンダードモデルは系統連系型ではあるものの、停電時に太陽光発電で発電した電気を家庭やEV充電に使うことはできないので注意が必要です。

また、スタンダードモデルは停電時出力が3kVA未満の特定負荷タイプです。停電時に電気を送る部屋や設備があらかじめ決まっているご家庭ならスタンダードモデルが適しているかもしれません。

 

本体価格(税込) 54万7800円 
タイプ 系統連系型
停電時の電力供給 特定負荷型
停電時出力(電圧) 3kVA未満(100Ⅴ)
倍速充電 対応
グリーンモード 対応
リモート操作 非対応(本体スイッチのみ)
停電時の起動方法 手動
保証期間 2年
サイズ 幅809mm×高さ855mm×奥行337mm(突起物除く)
重量 88kg
対応車種 メーカーサイト参照

※3.7mケーブル品の場合。7.5mケーブル品は60万2800円。


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ニチコン「EVパワー・ステーション® プレミアムモデル」

ニチコン「EVパワー・ステーション® プレミアムモデル」

画像提供:ニチコン

 

ニチコンのラインナップのなかで、「スタンダードモデル」の上位機種となるのが「EVパワー・ステーション® プレミアムモデル」です。系統連系型でグリーンモードなどに対応している点は「スタンダードモデル」と同じですが、「プレミアムモデル」は停電時に家全体に電気を送れる全負荷タイプで、停電時出力は6kVA未満です4)

また、「プレミアムモデル」は専用のアプリを使ってV2Hをスマホやタブレットで操作したり運転状況を確認したりすることも可能です。

 

本体価格(税込) 98万7800円
タイプ 系統連系型
停電時の電力供給 全負荷型
停電時出力(電圧) 6kVA未満(100/200Ⅴ)
倍速充電 対応
グリーンモード 対応
リモート操作 スマホアプリでの操作が可能
停電時の起動方法 手動
保証期間 5年
サイズ 幅809mm×高さ855mm×奥行337mm(突起物除く)
重量 91kg
対応車種 メーカーサイト参照

 

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ニチコン「新型 EVパワー・ステーション®」

ニチコン

 

️2024年3月に発売されるのが、最上位モデル「EVパワー・ステーション® VSG3-666CN7」です5)。「プレミアムモデル」の性能を向上させた上で、小型・軽量化を実現しています。

機能面では、停電が発生した場合、EVやPHEVなどに接続されていると自動で家への給電を開始する機能を追加。現行モデルで必要な切り替えスイッチや12Vケーブルを用いての起動操作は不要となっており、いざというときに慌てなくていい構造になっています。

また、パワーユニット(パワーコンディショナ)とプラグホルダをセパレート化したうえに、パワーユニットは壁掛タイプと据置タイプ、プラグホルダは壁掛タイプとポールタイプを用意し、さまざまな設置方法が可能に。小型・軽量化が実現され、設置の自由度と使い勝手が格段に向上しました。「プレミアムモデル」より価格は上がっていますが、その分の価値は十分にあるモデルといえるでしょう。

 

本体価格(税込) 140万8000円
タイプ 系統連系型
停電時の電力供給 全負荷型
停電時出力(電圧) 6kVA未満(100/200Ⅴ)
倍速充電 対応
グリーンモード 対応
リモート操作 スマホアプリでの操作が可能
停電時の起動方法 自動
保証期間 10年
サイズ

パワーユニット:幅470mm×高さ620mm×奥行200mm(突起物除く)
プラグホルダ:幅160mm×高さ355mm×奥行160mm(突起物除く)

重量

パワーユニット:29.4kg(壁掛時合計)/30.5kg(据置時合計)
プラグホルダ:8.5kg(壁掛時合計)/12.2kg(据置時合計)

対応車種

 

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V2Hと太陽光発電や蓄電池を同時に使うときのポイント

太陽光発電がのった屋根

画像:iStock.com/Marc_Osborne

 

V2Hは太陽光発電や蓄電池と併用すると、より効率的な充電や給電が行えるほか、災害時などに余裕をもって電気を使え、電気代の節約効果もより期待することができます。ただし、それらのシステムを賢く運用するにはいくつかのポイントがあります。

 

ポイント①グリーンモードの有無を確認する


「グリーンモード」とは太陽光発電の自家消費を優先するモードのことです。太陽光発電の発電量と家庭内の電力使用量を比較し、太陽光発電の発電量が家庭内の使用量より多い場合は余った電気をEV・PHEVに充電したり、少ない場合は足りない分の電気を電力会社から買ったりといった切り替えを自動で行ってくれます。

このグリーンモードにはすべてのV2H機器が対応しているわけではありません。なかには非対応のモデルもありますから、太陽光発電とV2Hを同時に導入する際はよく確認したほうがいいでしょう。

 

 

ポイント②メーカー間の互換性をチェックする


V2H機器のメーカーと太陽光発電や蓄電池のメーカーが異なる場合は、導入前に機器同士に互換性があるかどうかをチェックしておくと安心です。施工業者に依頼するとき、異なるメーカー同士でもきちんと動作するかを念のため確認してもらうといいかもしれません。

 

 

多機能パワコンとセットでV2Hを導入する方法も!

多機能パワコン

 

V2Hと太陽光発電、蓄電池を組み合わせて使いたい場合、「多機能パワコン」とセットで導入すると災害などの非常時にさまざまな電源から家庭へ継続的に電気を供給することができます。東京電力ホールディングスとダイヤゼブラ電機が共同開発した多機能パワコンシステムを例に、そのメリットなどについて紹介しましょう。

 

そもそも「多機能パワコンシステム」とは?


パワコンとは、パワーコンディショナの略称です。EV・PHEVのバッテリーや家庭用の蓄電池に貯められる電気、太陽光発電でつくられる電気はすべて「直流」ですが、家庭で使うためには「交流」に変換しなければなりません。直流から交流へ、あるいは交流から直流へ電気を変換する機器がパワコンです。

従来はV2H、太陽光発電、蓄電池にそれぞれパワコンが必要でしたが、多機能パワコンは1台でその役目を担います。V2H・太陽光発電・蓄電池間をすべて直流でつなぐため、変換ロスを抑えられ効率が良いのが特徴です。そのためニチコンやパナソニックなどからも新製品が発売されています。

 

V2H、太陽光発電、蓄電池を併用するメリット


V2H、太陽光発電、蓄電池を同時に導入すると、EV・PHEVのバッテリーと蓄電池が停電時の電気をバックアップするので、災害などの非常時に安定した電源を確保できます。また、EVで外出したときも家には蓄電池があるため、太陽光発電でつくった電気をしっかり貯め、自家消費を最大化することができます。自然災害への備えとして安定した電源を確保できるだけでなく、日々の電気代の節約も期待できるわけです。


〈図〉多機能パワコンシステムの概要

〈図〉多機能パワコンシステムの概要

 

東京電力ホールディングスなどが共同開発した「多機能パワコンシステム」6)は、パワーコンディショナ、V2Hユニット、蓄電池ユニットの3つの機器で構成されており、上記のメリットに加えて「パワコンが3つの電源からの入力に対応し、非常時にも継続的に電力供給」「蓄電池に加えてV2Hの充電・給電をAI制御することで電気料金を最小化」といったさまざまな特徴をもっています。️

 

 

 

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V2H機器は補助金を利用しておトクに導入しよう

V2H機器を選ぶときには、どこまでの機能を求めるのかといった範囲をしっかりと見極めることが大切です。V2H機器には系統連系型と非系統連系型、特定負荷タイプや全負荷タイプなどの種類があります。これらの違いを理解したうえで、ライフスタイルに合ったV2H機器を選び、エネルギーを効率よく活用しましょう。

また、国や一部の自治体からは補助金が出ますので、販売・施工業者に必ず相談を行いましょう。詳しくは、以下の記事をご覧ください(注:2024年1月現在、国のV2H補助金(2023年度分)は終了しています。ただし、2024年4月から2024年度分のV2H補助金が開始される予定です)。

 

 

【おすすめ情報】V2Hを自宅に導入するなら、電気のプロにおまかせ!

東京電力グループのTEPCOホームテックでは、V2Hの設置工事はもちろん、必要に応じ電気契約容量の変更提案、補助金の申請などもワンストップで行うことができます。また、一括購入だけでなく、「エネカリ」というサービスを利用すれば、初期費用0円で導入することも可能です。詳しく知りたい方は以下のサイトをご覧ください。

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この記事の著者
EV DAYS編集部
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