【2023年版】国産車から輸入車まで、プラグインハイブリッド車(PHEV)のおすすめ19車種を紹介

PHEV車種

電動化が進む自動車市場のなかで電気自動車(EV)と並んで注目されているのが、ガソリン車とEVの特徴を併せもつプラグインハイブリッド車(PHEV)です。国産車と輸入車のなかから2023年9月時点で購入できるおすすめの車種をリストアップしました。PHEVの最新事情やEVとの違いと併せて選び方を紹介します。

※この記事は2023年1月31日に公開した内容をアップデートしています。

 

 

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PHEVとHEV・EVを比較したときのメリット

EV充電の様子

画像:iStock.com/SouthWorks

 

まずは、ガソリン車からの買い換えなどPHEVの購入を検討しているなら、知っておきたい基礎知識を説明します。PHEVがHEV(ハイブリッド車)やEVとどのように違うのか、またHEVやEVと比較したときのPHEVのメリット・デメリットなど、具体的に見ていきましょう。

 

HEVと違い、PHEVは「外部から充電できる」


PHEVはエンジンとモーターで走るHEVの一種で、そのなかでもより大きなバッテリーを積み、外部から充電した電気でも走ることのできる車です。充電器に接続して充電するとき、プラグを挿すことから“プラグイン”ハイブリッドと呼ばれています。

〈図〉EVとPHEVの構造の違い

〈図〉EVとPHEVの構造の違い

 

PHEVはEVのようにバッテリーとモーターだけでなく、燃料タンクとエンジンも兼ね備えています。HEVとEVのそれぞれの特徴をいいとこ取りしたのがPHEVとも言えるでしょう。

 

 

PHEVのほうがHEVよりも走行コストが低い


一般的にエンジンとモーターで走るHEVはガソリン車よりも燃費性能が高く、走行コストを低く抑えることができます。また、ガソリン車に比べてリセールバリューも高い傾向にあります。こうした点が国内の自動車市場でHEVが人気を集めている理由です。

PHEVにはさらに、外部から充電した電気をバッテリーに蓄えEV走行距離を延ばせるメリットがあります。一般的に電気のみで走るEVはHEVより走行コストがかからないので、EVとして走行できる分、PHEVのほうが低コストの傾向にあるのです。

 

 

PHEVは災害時やアウトドアにも活用できる


また、国産車のPHEVのなかには最大出力1500WのAC100Vコンセントを車内に備えている車種や、V2H(Vehicle to Home)やV2L(Vehicle to Lord)に対応している車種もあります。HEVより大容量のバッテリーに蓄えられた電気を取り出すことができ、太陽光発電やV2Hと組み合わせて災害時の非常用電源として活用できるのは大きなメリットと言えます。

こうしたPHEVの外部給電機能は、家族や友人と山や川などに出かけ、大自然を楽しむアウトドアライフでも活躍します。車種によりますが、消費電力の合計が1500W以下なら複数の電化製品を同時に使えるので、ポータブル電源を持ち歩かずに済みます。

HEVでも1500Wコンセントが付いている車種はありますが、長時間電気を供給するためにはエンジンをかけなくてはなりません。エンジン音が出る点で夜間には周囲の迷惑になる可能性がありますが、一方、PHEVであれば、一晩くらいはエンジンをかけずに電気を供給することができます。

 

 

車両価格が高いデメリットも


一見するとメリットばかりが目につくPHEVですが、じつはいくつかデメリットもあります。そのひとつが「車両価格が高い」という点です。PHEVの動力系にはエンジンと燃料タンクだけでなく、バッテリーとモーターなどが組み込まれています。また、PHEVはHEVより容量の大きいバッテリーを搭載していますから、ガソリン車やHEVに比べると車両価格が高くなる傾向にあるのです。

ただし、PHEVはEVと同様に、環境への負荷が小さい「エコカー」や「低公害車」に交付される国のCEV補助金の対象車です。

東京都など一部の自治体からも補助金が出ることもあり、車種によってはHEVよりお金がかからないこともあります。詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

 

 

PHEVをおすすめしたい3タイプのユーザー

EV 充電の様子

画像:iStock.com/24K-Production

 

ここまで見てきたように、PHEVの特徴はEVともHEVとも異なります。PHEVに乗るのはどんな人が向いているのでしょうか。PHEVをおすすめしたいユーザーを3タイプに分けて紹介します。

 

おすすめタイプ①自宅充電ができる環境にある人


外部からバッテリーに充電できるPHEVは、自宅などに設置した普通充電器で日常的に充電を行い、なるべく多くEV走行し、バッテリー残量が少なくなったらエンジンで走るというのが基本的な使い方です。そのため自宅で充電できることが基本となるでしょう。

 

 

おすすめタイプ②移動距離が1日60km未満の人


前述のように長距離EV走行ができるPHEVは一般的にHEVより走行コストが低くなる傾向があります。EV走行するからこそPHEVの良さを発揮できるわけですから、1日の走行距離がその車種のEV走行距離の範囲内に収まる人がPHEVに向いていると言えます。

おもな国産車のPHEVのEV走行距離は57〜95kmで、平均すると80km強です。実際の航続距離がスペックの約7割とすると、1日の走行距離が60km未満の人はEV走行のみで移動できるので、走行コストを抑えることが可能になります。

 

おすすめタイプ③キャンプに出かけるのが趣味の人


PHEVはバッテリーから電気を取り出して、災害時やアウトドアなどで「動く蓄電池」として使うことができます。とくに家族や友人とキャンプ場に行くことの多い人はPHEVがおすすめです。キャンプ場には充電器が設置されていない場合がまだ多く、EVで遠方のキャンプ場に出かけるなら計画的に経路充電する必要が出てきます。

しかし、PHEVならバッテリー残量が少なくなってもエンジンで走行できるため充電スポットの心配もなく、しかも「チャージモード」にすれば充電もできるため、キャンプ場でも心置きなく電化製品を活用して楽しむことができるでしょう。

 

 

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【国産・輸入車】国内で買えるPHEVの主要車種をラインナップ

ここからは、日本国内で購入できるPHEVにどんな車種があるのかを「国産車編」「輸入車編」に分けて紹介していきましょう。

 

Ⅰ.国産車編


輸入車と比較した場合、国産車のPHEVならではの特徴となるのが、バッテリー容量の大きさとEV走行距離の長さです。また、価格も輸入車よりも比較的安くなっています。2023年9月時点で購入できるおもな国産PHEVの車種を紹介します。

 

以下、メーカーを50音順で表示しています。

 

i.トヨタ「RAV4 Z」

トヨタ「RAV4 Z」

 

トヨタ「RAV4」1)は、オフロード車らしいスタイルで人気となっているクロスオーバーSUVのパイオニア的存在です。PHEVの登場当初は「RAV4 PHV」という名称で、「RAV4」とは別モデルとされていましたが、現在は最上級グレードの「Z」をPHEVとしてラインナップ。艶ありブラックのエクステリアパーツや専用デザインの19インチアルミホイールでスタイリングも差別化がはかられています。

「RAV4 Z」はシリーズのハイパフォーマンス仕様車としての役割も担っており、2.5L直列4気筒エンジンに高出力のフロント&リヤモーターを備え、システム最高出力は306PS(225kW)。0-100km/h加速は6.0秒とスポーツカー並みです。急速充電には対応していませんが、「RAV4 Z」は購入時に国の補助金が増額される給電機能付きです。また、EV走行距離が95kmに達するのは大きな魅力でしょう。

 

ボディサイズ 全長 4600mm x 全幅 1855mm x 全高 1695mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 18.1kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
95km
価格(税込) 563万3000円

 

 

ii.トヨタ「ハリアー Z」

トヨタ ハリアー

 

「RAV4」と基本的なメカニズムを共有しながら、都会的で流麗なデザインが目を引くSUVが「ハリアー」です。PHEVのラインナップでは「RAV4」が先行しましたが、2022年9月に「ハリアー」にもPHEVモデルの「ハリアー Z」2)が追加されました。

306PS(225kW)のシステム最高出力を発揮するプラグインハイブリッドシステムは「RAV4 Z」と共通。また、車種名に「PHEV」と入らず、最上級グレードのひとつとしてPHEVがラインナップされているのも「RAV4」と同じです。トヨタがPHEVを最上級グレードのひとつとしたことは、「もはやPHEVは特別な車ではない」というメーカーによるメッセージなのかもしれません。

 

ボディサイズ 全長 4740mm x 全幅 1855mm x 全高 1660mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 18.1kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
93km
価格(税込) 620万円

 

 

iii.トヨタ「プリウス Z」

トヨタ「プリウスPHEV」

 

トヨタ「プリウス Z」3)は、PHEVのプリウスとして3世代目となるモデルです。現行車は前モデルに比べ、より低く、よりワイドになったスタイリッシュなデザインに加え、2.0Lエンジンと組み合わせたプラグインハイブリッドシステムをトヨタとして初採用したことに特徴があります。

システム最高出力164kW(223PS)、0-100km/h加速6.7秒のパワフルさも目を引きますが、特筆すべきはEV走行距離が従来型に比べ50%以上も向上したとされることでしょう。また、第2世代から導入された「ソーラー充電システム」装着モデルでは、1年間で走行距離約1200km分に相当する電力を生み出します。

 

ボディサイズ 全長 4600mm x 全幅 1780mm x 全高 1430mm
駆動方式 FF
乗車定員 5名
バッテリー容量 13.6kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
87km
価格(税込) 460万円

 

 

iv.マツダ「CX-60 PHEV」

マツダ「CX-60 PHEV」

 

マツダ「CX-60」は、メーカー側が「ラージ商品群」と呼ぶ新世代グローバルモデルの第1弾として2022年に登場した新型クロスオーバーSUVです。新開発された後輪駆動プラットフォームに直列6気筒エンジンを搭載するなど話題性の高い車種で、ガソリンモデルとディーゼルモデルのほか、モーターの出力が控えめな「マイルドハイブリッド」を搭載したディーゼル、そしてPHEVが設定されています。

PHEVモデル4)は、2.5L直列4気筒ガソリンエンジンにモーターを組み合わせた「i-ACTIV AWD」と呼ばれる後輪駆動ベースの4WDで、トルクコンバーターではなく多板クラッチ式の8段ATを採用している点もユニークです。最大出力1500WのAC100Vコンセントを備え、急速充電やV2Hにも対応するなど、PHEVに求められる機能の多くを搭載。類まれなFRベースのSUVと言えます。

 

ボディサイズ 全長 4740mm x 全幅 1890mm x 全高 1685mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 17.8kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
75km
価格(税込) 609万9500円~

 

 

v.三菱「アウトランダー PHEV」

三菱「アウトランダー PHEV」

 

PHEVのSUVとして先鞭をつけた三菱「アウトランダー PHEV」5)の現行モデルは、2021年12月にフルモデルチェンジした2世代目です。国内仕様はPHEVだけに絞られ、「三菱=PHEV」のイメージをより強固なものにしています。前モデルよりモーターの出力向上やバッテリーの容量拡大など、さらに力強い走りを実現し、航続距離を延長して電動車としての魅力も大幅に向上しています。

高速道路の同一車線運転支援機能「MI-PILOT(マイパイロット)」が搭載され、長距離走行や渋滞時の疲労が低減されるのはうれしいポイント。万が一のSOSコールのほか、スマホでバッテリーの走行可能距離の確認ができ、充電完了通知も受けられる、快適なドライブをサポートする「MITSUBISHI CONNECT」も魅力です。

新開発プラットフォームに搭載されるプラグインハイブリッドシステムは、2.4L直列4気筒エンジンと高出力のフロント&リヤモーターの組み合わせ。1500WのAC100VコンセントやV2Hにも対応し、20kWhの大容量バッテリーを生かした機能も充実しています。なお、給電機能のある「アウトランダーPHEV」は国の補助金が増額される対象車種です。

 

ボディサイズ 全長 4710mm x 全幅 1860mm x 全高 1745mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5~7名
バッテリー容量 20kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
83~87km
価格(税込) 484万1100円~

 

 

vi.三菱「エクリプス クロス」PHEVモデル

三菱「エクリプス クロス」PHEVモデル

 

三菱「エクリプス クロス」6)は「アウトランダー」の弟分にあたるコンパクトSUVです。当初のガソリンモデルから2019年にディーゼルモデルを追加しますが、2020年の大幅改良時にディーゼルを廃止してPHEVをラインナップ。現在はPHEVが主力モデルとなっています。

パワートレインは先代「アウトランダーPHEV」ゆずりの2.4Lエンジン+ツインモーター4WD方式のPHEVシステム。車両運動統合制御システム「S-AWC」を搭載することで、クロスオーバーSUVとは思えないスポーティな走りを実現しています。「アウトランダー」同様に1500WのAC100Vコンセントを装備し、V2Hにも対応。隠れた実力派のPHEVとして評価されている1台と言えます。

 

ボディサイズ 全長 4545mm x 全幅 1805mm x 全高 1685mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 13.8Wh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
57km
価格(税込) 386万3200円~

 

 

vii.レクサス「NX450h+」

レクサス「NX450h+」

 

レクサス「NX450h+」7)は、2021年にフルモデルチェンジしたミドルサイズSUV「NX」のPHEVモデルです。ラグジュアリーブランドのレクサスにとって初のPHEVでもあります。

プラグインハイブリッドシステムは、2.5L直列4気筒エンジンにフロント・リヤモーターを搭載した4WD。ナビゲーションと連携し、運転履歴や道路・交通状況からドライブモードを自動で切り替えてエネルギー効率を高めてくれる「先読みエコドライブ」を搭載しています。

車内の1500W・AC100Vコンセントに加え、「ヴィークルパワーコネクター」で普通充電口からもコンセントを使用できるので、容量約18kWhのバッテリーに蓄えた電気を外部で簡単に利用することも可能です。

 

ボディサイズ 全長 4660mm x 全幅 1865mm x 全高 1660mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 18.1kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
87km
価格(税込) 729万5000円~

 

 

viii.レクサス「RX450h+」

レクサス「RX450h+」

 

レクサス「RX450h+」8)は、「NX」よりもひと回り大きなボディをもち、「ラグジュアリークロスオーバーSUVのパイオニア」をうたう「RX」シリーズのPHEVモデルです。2022年11月にフルモデルチェンジを実施し、第5世代となりました。レクサスの象徴であるスピンドルグリルからメッキ枠をはずし、塊を強調したスピンドルボディを採用。次世代レクサスのデザインの新しいアイデンティティです。

プラグインハイブリッドシステムは基本的に「NX」と同一のものを搭載しています。「NX450h+」にも言えますが、「RX450h+」はEV走行距離が80km以上あるので、日常のほとんどをEVモードで走行することが可能です。

 

ボディサイズ 全長 4890mm x 全幅 1920mm x 全高 1700mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 18.1kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
83km
価格(税込) 872万円~

 

 

 

II.輸入車編


輸入車のPHEVは国産車に比べラインナップが豊富です。EVのメリットを活かした乗り味を追求した車種も多く、ライフスタイルに合わせ幅広い選択が可能になっています。2023年9月時点で購入できるおもな輸入車PHEVのなかから人気の車種を紹介します。

 

以下、メーカーを50音順で表示しています。

 

i.アルファロメオ「トナーレ プラグインハイブリッド Q4」

トナーレ

 

2023年2月に発売された「トナーレ」は、アルファロメオ初となるマイルドハイブリッド(MHEV)システムを搭載したミドルサイズのSUV。8月に発表された「トナーレ プラグインハイブリッド Q4」9)はそのPHEVモデルです。15.5kWhのバッテリーを搭載した同モデルは、EVの⼒強さや静粛性とガソリン車の航続距離を併せ持ち、WLTCモードで72kmのEV走行レンジを誇ります。

ドライブトレインは1.3Lマルチエアガソリンターボエンジンと前後2モーターの組み合わせで、システム最高出力280PSのパワフルな走りを実現しています。

 

ボディサイズ 全長 4530mm x 全幅 1835mm x 全高 1615mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 15.5kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
72km
価格(税込) 675万円~

 

.シトロエン「C5 X プラグインハイブリッド」

シトロエン「C5 X プラグインハイブリッド」

 

2022年8月に日本上陸をはたした「C5 X」は、「セダンのもつエレガンスとステーションワゴンの実用性、そしてSUVの力強さを組み合わせた」という独創的なスタイリングをもつ、シトロエンの新たなフラッグシップモデルです。ガソリンモデルとPHEVモデル「C5 X プラグインハイブリッド」10)をラインナップしています。

PHEVモデルは1.6Lターボエンジンにフロントモーターを搭載。ドライブモードに連動した「アドバンストコンフォート アクティブサスペンション」は、古くからシトロエンを知るユーザーも納得する“シトロエンらしい乗り心地“とされています。

 

ボディサイズ 全長 4805mm x 全幅 1865mm x 全高 1490mm
駆動方式 FF
乗車定員 5名
バッテリー容量 12.4kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
66km
価格(税込) 656万円

 

 

ⅲ.ジープ「レネゲード 4xe」

ジープ

 

PHEVのラインナップを広げるジープの中で、もっともコンパクトで価格も手頃なPHEVモデルが、「レネゲード 4xe」11)です。ジープらしい見た目ながらコンパクトなサイズ感で、道幅が狭い市街地でも日常的に使いやすいPHEVだと言えるでしょう。

パワートレインは、4気筒1.3Lエンジンに前後2モーターを搭載する4WD。バッテリー容量は11.4kWhで、200V・3kW出力の普通充電でもわずか4時間弱で満充電となる点も便利です。

 

ボディサイズ 全長 4255mm x 全幅 1805mm x 全高 1695mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 11.4kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
50~52km
価格(税込) 589万円~

 

 

iv.ジャガー「E-PACE PHEV」

ジャガー「E-PACE PHEV」

 

ジャガー「E-PACE PHEV」12)は、2021年に改良されたコンパクトSUV「E-PACE」のPHEVモデルです。ジャガーは現在、ラインナップしている全車種に電動パワートレインの設定を進めていますが、この計画に沿って登場したのが「E-PACE PHEV」です。

1.5L直列3気筒エンジンとリヤモーター(エレクトリック・リア・アクセルドライブ)を組み合わせたPHEVパワートレイン「P300e」の最高出力は227kW/309PS。床下に配置されたバッテリーの容量は15kWhです。充電口は「E-PACE」のスタイリッシュなエクステリアデザインを損なわないように、ボディの左後方に設置されています。

なお、ラゲッジ容量は約500LとコンパクトSUVとしては広いため、この使い勝手の良さも「E-PACE PHEV」の魅力でしょう。

 

ボディサイズ 全長 4410mm x 全幅 1900mm x 全高 1650mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 15kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
69.4km
価格(税込) 973万円〜

 

v.DS「DS 4 E-TENSE」

DS「DS 4 E-TENSE」

 

DSは個性溢れる欧州のプレミアムCセグメントのなかにあって、アヴァンギャルドなデザインを追求するブランドです。2代目となる「DS 4」13)は第37回国際自動車フェスティバルで「世界でもっとも美しいクルマ」を受賞した美麗なモデル。2022年4月に日本国内に導入され、PHEVモデルもラインナップされました。

PHEVは、1.6Lターボエンジン+モーターを組み合わせたFWDで、EV走行距離は56km。なお、DSでは「DS 4 E-TENSE」のほか、「DS 7 E-TENSE 4x4」とセダンの「DS 9 E-TENSE」と、計3モデルのPHEVをラインナップしています。

 

ボディサイズ 全長 4415mm x 全幅 1830mm x 全高 1495mm
駆動方式 FF
乗車定員 5名
バッテリー容量 12.4kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
56km
価格(税込) 649万6000円~

 

vi.BMW「330e」

BMW「330e」

 

BMWは「3シリーズ」「5シリーズ」のセダンと、SUVの「X5」「XM」でPHEVモデルを国内販売していますが、そのなかでも、もっとも身近な価格なのが3シリーズのPHEVモデル「330e M Sport」14)です。走りのBMWらしく、PHEVモデルも駆動方式はFR(後輪駆動)が採用され、システム最高出力は215kW(292PS)、0-100km/h加速5.8秒という俊足を誇ります。

フロント:225/45R18、リヤ:255/40R18と前後で異なるサイズのタイヤを履くのはほかの「M Sport」と同じ。PHEVモデルでもBMWのスローガン「駆けぬける歓び」は変わりません。

 

ボディサイズ 全長 4720mm x 全幅 1825mm x 全高 1445mm
駆動方式 FR
乗車定員 5名
バッテリー容量 12kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
56.4km
価格(税込) 750万円

 

vii.プジョー「308 ハイブリッド」

プジョー「308 ハイブリッド」

 

9年ぶりのフルモデルチェンジを行い、2022年4月より発売が開始されたプジョー「308」15)にもPHEVモデルがラインナップされています。ガソリンモデルとディーゼルモデルは5ドアハッチバックとスポーツワゴン(SW)という2つのボディタイプを選べますが、PHEVモデルも同じです(写真のモデルはSW)。

プジョーはシトロエンやDSと同じ「ステランティス」という自動車グループで、プラグインハイブリッドシステムはシトロエン「C5 X プラグインハイブリッド」やDS「DS 4 E-TENSE」と基本的に共通のものです。このほかにも、プジョーは「3008」「408」「508」にもPHEVをラインナップしています。

 

ボディサイズ 全長 4420mm x 全幅 1850mm x 全高 

1475mm(ハッチバック)

全長 4655mm x 全幅 1850mm x 全高 1485mm(SW)
駆動方式 FF
乗車定員 5名
バッテリー容量 12.4kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
64km(ハッチバック)、69km(SW)
価格(税込) 533万1000円(ハッチバック)、576万6000円(SW)

 

viii.ポルシェ「カイエンE-ハイブリッド」

ポルシェ

 

「カイエンE-ハイブリッド」16)は、ポルシェ初のSUVとして2002年に登場した「カイエン」のPHEVモデルで、2023年に新型が発表されました。ポルシェは「カイエン」のほかに、4ドアモデルの「パナメーラ」と、そのスポーツワゴン仕様となる「パナメーラ スポーツツーリスモ」、クーペSUVの「カイエンクーペ」にPHEVモデルを設定しています。

なかでも「カイエンE-ハイブリッド」は中核モデルで、V6の3.0Lターボエンジンを搭載し、モーターを合わせたシステム最高出力は346kW(470PS)。「ターボ E-ハイブリッド」はV8の4.0Lツインターボエンジン搭載で、システム最高出力544kW(739PS)のハイパフォーマンス仕様です。純ガソリン車とは異なる「速さ」や「フィーリング」を持つスポーティなSUVです。

 

ボディサイズ 全長 4930mm x 全幅 1983mm x 全高 1696mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 25.9kWh
EV走行距離
(WLTPモード EAER)
66~74km
価格(税込) 1395万円~

 

 

ix.ボルボ「XC60 Recharge プラグインハイブリッド」

ボルボ「XC60 Recharge プラグインハイブリッド」

 

EVやPHEV、マイルドハイブリッドのラインナップで2020年に全車種の電動化をはたしたボルボは、「60」シリーズと「90」シリーズに「Recharge プラグインハイブリッド」をラインナップしています。なかでも人気の高いのがミドルサイズSUVの「XC60」17)です。

2022年に駆動用バッテリーの容量を約60%増の18.8kWhとしてEV走行距離を伸ばし、同時にリヤモーターの出力を約65%アップの107kWとしました。システム最高出力は350PSです。グレードは2種類で、Googleのシステムを採用したインフォテイメントシステムやボルボ独自の安全装備は全車に標準装備となっています。

 

ボディサイズ 全長 4710mm x 全幅 1915mm x 全高 1660mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 18.8kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
81km
価格(税込) 1019万円~

 

x.MINI「MINI クロスオーバー PHEV」

MINI「MINI クロスオーバー PHEV」

 

MINIシリーズで唯一、PHEVモデルをラインナップするのがSUVの「クロスオーバー」18)です。1.5Lのコンパクトな3気筒ターボエンジンにリヤモーターを組み合わせた4WDのシステムを採用しています。2020年のマイナーチェンジにより、SUVらしいたくましさを増したエクステリアや、フルデジタルメーターなどが採用されました。

MINIの魅力のひとつは、多彩なボディカラーやオプションを選んで自分だけの1台をつくれること。2021年には「トリム(Trim)」と呼ばれる「ミニの走りやデザインの方向性」をまずは4種類のテイストの中から選ぶ方式が取り入れられました。標準仕様の「ESSENTIAL TRIM」のほか、MINIらしさを強調する「CLASSIC TRIM」、SUVテイストを高める「ALL4 TRIM」、そして専用アイテム満載の「MINI YOURS TRIM」も選択可能です。

 

ボディサイズ 全長 4315mm x 全幅 1820mm x 全高 1595mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 10kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
53km
価格(税込) 543万円

 

xi.ランドローバー「レンジローバー イヴォークPHEV」

レンジローバー イヴォークPHEV

 

レンジローバーといえば高級SUVの代名詞ですが、いまやフラッグシップの「レンジローバー」だけでなく、コンパクトモデルの「レンジローバー イヴォーク」19)にもPHEVを設定しています。

「P300e」と名付けられたパワートレインには、3気筒1.5Lターボエンジン+リヤモーター(エレクトリック・リア・アクセルドライブ)を組み合わせ、システム最高出力は227kW(309PS)。グレードとして「DYNAMIC HSE」「AUTOBIOGRAPHY」を用意するほか、フラッグシップの「レンジローバー」と同様にエクステリアはルーフやホイール、ビジュアルパックで、インテリアはカラーやシート素材、インテリアパネルなどをフルオーダーすることも可能になっています。

 

ボディサイズ 全長 4380mm x 全幅 1905mm x 全高 1650mm
駆動方式 4WD
乗車定員 5名
バッテリー容量 15kWh
EV走行距離
(WLTCモード 等価EVレンジ)
65.1km
価格(税込) 972万円~

 

 

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2024年のPHEVはどうなる?

PHEV車種

画像:iStock.com/Oleksandr Hruts

 

企業にとって脱炭素は社会的使命になりつつあり、自動車メーカーも各社が2050年のカーボンニュートラル達成に向け、脱・内燃機関、電動化を進めています。たとえば、ホンダは2040年までにすべての新型車をEVか燃料電池車(FCV)に切り換えることを目標に掲げ、ジャガーは2023年内にガソリン車の受注を終了し、2025年にはピュアEVブランドとなることを表明しています。脱・内燃機関は、もう目の前まで迫っているようです。

とはいえ、実際に世界の自動車が100%EVとなるのにはまだ時間がかかるはず。「EV時代までのパワートレイン」ともみられるPHEVもまだまだ需要があるでしょう。

では、直近である2024年はどうなるか。トヨタ「アルファードPHEV」といた車種の具体的な発売時期が示されるかもしれません。しかし、それよりも大きなトピックは、「既存車種が買えるようになること」でしょう。

ここ数年はコロナ禍や部品供給の不足から、PHEVも納期遅れが発生し、車種によっては受注停止をしていました。しかし、半導体不足などが徐々に回復し、納期遅れが解消しつつあります。これにより2024年は「欲しくても変えなかった車」が買えるようになり、PHEVが身近になる時期となるでしょう。

 

 

PHEVの購入時にチェックすべきポイントは?

EV充電の様子

画像:iStock.com/Tramimo

 

よく言われることですが、車選びでは「どのように使うのか」という点がとても重要です。同じようにPHEVの購入時も、その人がどのように車を使いたいのかが最重要ポイントになります。それを踏まえたうえで、PHEVを選ぶときのポイントをまとめてみました。

 

ポイント①EV走行距離(バッテリー容量)


国産車や輸入車を問わず、PHEVを選ぶときにまずチェックしたいのがEV走行距離(バッテリー容量)です。電気だけで走れる距離が長いほど走行コストが抑えられるからです。とくに毎日車に乗り、40〜60km走行するような人はEV走行距離が重要です。逆に買い物や送り迎え程度の日常使いならEV走行距離はあまり気にする必要はありません。

 

 

ポイント②給電用コンセントの有無や数

車内コンセント

 

前述のように、災害時に非常用電源としてPHEVを活用したい場合や、キャンプなどのアウトドアに利用したい人は、その車種が給電コンセントを装備しているかどうか、V2HやV2Lなどの外部給電に対応しているかどうかを確認したほうがいいでしょう。とくに輸入車の場合、外部給電機能がほとんど付いてないので注意が必要です。

 

ポイント③修理費用とリセールバリュー


スマートフォンのバッテリーが徐々に性能低下して持ちが悪くなるように、PHEVのバッテリーも繰り返し充電をしていくと、使用できる容量が少なくなっていきます。各メーカーとも5年/10万kmや8年/16万kmなど長期の容量保証を付帯して販売しますが、問題はそのあとです。

万が一保証期間が過ぎたあとにバッテリーの交換が必要になると、数十万円の費用がかかります。輸入車の場合は100万円を超えるケースも少なくありません。

そのため、残価設定型ローンやカーリースで規定の期間が過ぎたら乗り換えるなど、計画性を持って購入することもポイントとなります。特に修理費用が高額となる輸入車の場合、リセールバリュー(再販価値)も低くなる点に注意が必要です。購入から売却時までのトータルで考えて購入することをおすすめします。

 

 

PHEVの中古車という選択はアリ?

鍵

画像:iStock.com/ViewApart

 

プリウスのPHEVモデルやアウトランダーPHEVは、最初のモデルが登場してから10年以上が経過し、中古車の流通も増えてきました。前述のように、保証期間を過ぎたPHEVを買う場合は、高額な修理費用がかかるリスクがある点を踏まえる必要があります。

その点で、プリウスPHVなど日本車の場合かつ高年式の(年式の新しい)車種であれば、安価にPHEVを試してみたい方にとっては損がない買い物といえるでしょう。

 

 

ライフスタイルにあわせて選べるPHEV。EV以外の選択肢としてもおすすめ

ここまで見てきたように、PHEVはガソリン車などに比べて走行コストがかからないだけでなく、大容量バッテリーを搭載しているので災害時の非常用電源やアウトドアライフにも活用できます。ライフスタイルに合わせて選べるのはPHEVの大きな魅力です。EVの購入を迷っているなら、PHEVも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

 

この記事の監修者
国沢光宏
国沢 光宏

自動車ジャーナリスト。自動車評論家。現在多くの媒体で執筆活動をしているほか、ラジオ日本とFM群馬でラジオのパーソナリティも行い、車選びからドライビングテクニック、業界ニュースなど、広く深い知識をもつ。運営しているブログサイトでは、専門家も参考にしたくなる、新鮮で豊富な情報を発信している。