電動車のなかでも電気自動車(EV)と並んで今後ますます注目されるのが、ガソリン車とEVの特徴を併せもつプラグインハイブリッド車(PHEV)です。国産車と輸入車のなかから2024年10月時点で購入できるおすすめの車種をリストアップしました。PHEVの最新事情やEVとの違いと併せて選び方を紹介します。
※この記事は2023年10月17日に公開した内容をアップデートしています。
- PHEVのメリットは? HEVやEVとどう違う?
- PHEVをおすすめしたい2タイプのユーザー
- 【国産車編】国内で買えるPHEVの主要車種
- トヨタ「アルファード」PHEVはいつ発売される?
- 【輸入車編】国内で買えるPHEVの主要車種
- 2025年はPHEVが電動車の主役になる?
- PHEVの購入時にチェックすべきポイントは?
- PHEVの中古車という選択はアリ?
- ライフスタイルにあわせて選べるPHEV。EV以外の選択肢としてもおすすめ
PHEVのメリットは? HEVやEVとどう違う?
ガソリン車からの買い換えなどPHEVの購入を検討しているなら、最低限の基礎知識は知っておきたいものです。まずPHEVがハイブリッド車(HEV)やEVとどうに違うのか、HEVやEVと比較したときにどのようなメリットがあるのかについて解説します。
HEVと違い、PHEVは「外部から充電できる」
PHEVはエンジンとモーターで走るHEVの一種ですが、HEVよりも数倍以上大きな駆動用バッテリーを積み、そのバッテリーへ外部から充電できるという特徴があります。充電器に接続して充電するときにプラグを挿すことから“プラグイン”ハイブリッドと呼ばれています。
〈図〉EVとPHEVの構造の違い
PHEVはEVのようにバッテリーとモーターだけでなく、燃料タンクとエンジンも兼ね備えています。HEVとEVのそれぞれの特徴をいいとこ取りしたのがPHEVともいえるでしょう。
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PHEVのほうがHEVよりも走行コストが安い
エンジンとモーターで走るHEVは、一般的にガソリン車よりも燃費性能が高く、走行コストを低く抑えることができます。また、ガソリン車に比べてリセールバリューも高い傾向にあります。こうした点が国内の自動車市場でHEVが人気を集めている理由です。
PHEVはそれに加え、外部から充電した電気をバッテリーに蓄えEV走行距離を延ばせるメリットがあります。一般的に電気のみで走るEVはHEVより走行コストがかからないように、EV走行を長くできるPHEVのほうがHEVよりも低コストの傾向にあるのです。
PHEVは災害時やアウトドアにも活用できる
また、国産車のPHEVのなかには最大出力1500WのAC100Vコンセントを車内に備えている車種や、V2H(Vehicle to Home)・V2L(Vehicle to Lord)に対応している車種もあります。
HEVに比べて大容量のバッテリーに蓄えられた電気を取り出すことができ、太陽光発電やV2Hと組み合わせて災害時の非常用電源として活用できるのは大きなメリットといえます。
こうしたPHEVの外部給電機能は、家族や友人と山や川などに出かけ、大自然を楽しむアウトドアライフでも活躍します。車種によりますが、消費電力の合計が1500W以下なら複数の電化製品を同時に使えるので、ポータブル電源を持ち歩かずに済みます。
HEVにも車内コンセントが付いている車種がありますが、長時間電気を供給するためにはエンジンをかける必要があり、夜間には周囲の迷惑になる可能性があります。その点、PHEVは一晩程度ならエンジンをかけずに電気を供給することができます。
「PHEVはHEVより価格が高い」は過去の話?
もっとも、PHEVには「車両価格が高い」というデメリットがあります。PHEVの動力系にはエンジンと燃料タンクだけでなく、バッテリーとモーターなどが組み込まれています。また、PHEVはHEVより容量の大きいバッテリーを搭載していますから、ガソリン車やHEVに比べると車両価格が高くなる傾向にあるのです。
ただし、PHEVはEVと同様に、環境への負荷が小さい「エコカー」や「低公害車」に交付される国のCEV補助金の対象車です1)。東京都など一部の自治体からも補助金が出ることもあり、車種によってはHEVよりお金がかからないこともあります。
たとえば、2024年10月に販売を開始した後述するトヨタ「プリウス」PHEVモデルの「G」グレードは、車両価格が390万円に抑えられており2)、国の補助金55万円を利用すれば、HEVモデルの「G」グレード(車両価格320万円)とそれほど変わらない価格で購入することが可能です。東京都など一部の自治体の補助金と併せれば、実質的な車両価格は300万円以下になることもあります。
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PHEVをおすすめしたい2タイプのユーザー
ここまで見てきたように、PHEVの特徴はEVともHEVとも異なります。PHEVに乗るのはどんな人が向いているのでしょうか。PHEVをおすすめしたいユーザーを2タイプに分けて紹介します。
おすすめタイプ①自宅充電ができる環境にある人
外部からバッテリーに充電できるPHEVは、自宅などに設置した普通充電器で日常的に充電を行い、なるべく多くEV走行し、バッテリー残量が少なくなったらエンジンで走るというのが基本的な使い方です。そのため自宅で充電できることが基本となるでしょう。
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おすすめタイプ②移動距離が1日60km未満の人
前述のように長距離EV走行ができるPHEVは一般的にHEVより走行コストが安くなる傾向があります。EV走行するからこそPHEVの良さを発揮できるわけですから、1日の走行距離がその車種のEV走行距離の範囲内に収まる人がPHEVに向いているといえます。
おもな国産車のPHEVのEV走行距離は57〜106kmで、平均すると約85kmです。実際の航続距離がスペックの約7割とすると、1日の走行距離が60km未満の人はEV走行のみで移動できるので、走行コストを抑えることが可能になります。
【国産車編】国内で買えるPHEVの主要車種
ここからは、2024年10月時点において日本国内で購入できる国産車のPHEVには、どんな車種があるのかを紹介していきましょう。
輸入車と比較した場合、国産車のPHEVならではの特徴となるのが、バッテリー容量の大きさとEV走行距離の長さです。また、価格も輸入車よりも比較的安くなっています。
以下、メーカーを50音順で表示しています。
i.トヨタ「RAV4 Z」
トヨタ「RAV4」3)は、オフロード車らしいスタイルで人気となっているクロスオーバーSUVのパイオニア的存在です。PHEVは最上級グレードの「Z」としてラインナップされ、艶ありブラックのエクステリアパーツや専用デザインの19インチアルミホイールでスタイリングも差別化がはかられています。
「RAV4 Z」はシリーズのハイパフォーマンス仕様車としての役割も担っており、2.5L直列4気筒エンジンに高出力のフロント&リヤモーターを備え、システム最高出力は306PS(225kW)。0-100km/h加速は6.0秒とスポーツカー並みです。急速充電には対応していませんが、EV走行距離が95kmに達するのは大きな魅力でしょう。
ボディサイズ | 全長 4600mm x 全幅 1855mm x 全高 1695mm |
駆動方式 | 4WD |
乗車定員 | 5名 |
バッテリー容量 | 18.1kWh |
EV走行距離 (WLTCモード 等価EVレンジ) |
95km |
急速充電対応 | × |
V2H対応 | × |
V2L対応 | 〇(ACタイプ) |
車内AC100Vコンセント | 〇 |
価格(税込) | 563万3000円 |
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ii.トヨタ「ハリアー Z」
「RAV4」と基本的なメカニズムを共有しながら、都会的で流麗なデザインが目を引くSUVが「ハリアー」です。PHEVのラインナップでは「RAV4」が先行しましたが、2022年9月に「ハリアー」にもPHEVモデルの「ハリアー Z」4)が追加されました。
306PS(225kW)のシステム最高出力を発揮するプラグインハイブリッドシステムは「RAV4 Z」と共通。また、車種名に「PHEV」と入らず、最上級グレードのひとつとしてPHEVがラインナップされているのも「RAV4」と同じです。トヨタがPHEVを最上級グレードのひとつとしたことは、「もはやPHEVは特別な車ではない」というメーカーによるメッセージなのかもしれません。
ボディサイズ | 全長 4740mm x 全幅 1855mm x 全高 1660mm |
駆動方式 | 4WD |
乗車定員 | 5名 |
バッテリー容量 | 18.1kWh |
EV走行距離 (WLTCモード 等価EVレンジ) |
93km |
急速充電対応 | × |
V2H対応 | × |
V2L対応 | 〇(ACタイプ) |
車内AC100Vコンセント | 〇 |
価格(税込) | 620万円 |
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iii.トヨタ「プリウス G」
トヨタ「プリウスG」5)は、2024年10月から販売が開始された390万円というリーズナブルな価格が魅力のPHEVです。3代目となる「プリウス」のPHEVには当初、上位グレードの「Z」のみがラインナップされていましたが、新たに追加された「G」グレードは基本的な装備を控えめにすることにより、「Z」グレードに比べて70万円安いお手頃な価格を実現しています。
2.0Lエンジンと組み合わせたプラグインハイブリッドシステムに変更はありません。システム最高出力164kW(223PS)、0-100km/h加速6.7秒と非常にパワフルで、EV走行距離は2代目に比べ約50%も向上しました。また、2代目から導入された「ソーラー充電システム」(オプション)を装着すると、1年間で走行距離約1200km分に相当する電力を生み出します。
ボディサイズ | 全長 4600mm x 全幅 1780mm x 全高 1430mm |
駆動方式 | FWD |
乗車定員 | 5名 |
バッテリー容量 | 13.6kWh |
EV走行距離 (WLTCモード 等価EVレンジ) |
87km(19インチタイヤ装着車)〜105km(17インチタイヤ装着車※) |
急速充電対応 | × |
V2H対応 | × |
V2L対応 | 〇(ACタイプ) |
車内AC100Vコンセント | 〇 |
価格(税込) | 390万円〜 |
※17インチタイヤはメーカーオプション
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iv.トヨタ「クラウンスポーツ RS」
4タイプが展開される「クラウン」シリーズのうち、もっともスポーティな個性をもつ「クラウンスポーツ」の最上位グレードとなるのがPHEVの「クラウンスポーツ RS」です6)。
「クラウンスポーツ RS」の特徴のひとつは、普通充電のみに対応する「プリウス G」や「ハリアー Z」など他のトヨタのPHEVと異なり、急速充電にも対応していることです。
また、災害時に役立つ外部給電機能が充実している点も大きなポイントでしょう。車内に1500WのAC100Vコンセントを装備し、V2Hにも対応しているほか、付属の「ヴィークルパワーコネクター」を普通充電口に差し込むことで外部給電コンセントとしても活用できます。
ボディサイズ | 全長4720mm x 全幅1880mm x 全高1570mm |
駆動方式 | 4WD |
乗車定員 | 5名 |
バッテリー容量 | 18.1kWh |
EV走行距離 (WLTCモード 等価EVレンジ) |
90km |
急速充電対応 | 〇 |
V2H対応 | 〇 |
V2L対応 | 〇(ACタイプ/DCタイプ) |
車内AC100Vコンセント | 〇 |
価格(税込) | 765万円 |
v.マツダ「CX-60 PHEV」
マツダ「CX-60」は、2022年に登場したミドルサイズSUVです。新開発された後輪駆動プラットフォームに直列6気筒エンジンを搭載するなど話題性の高い車種で、ガソリンモデルとディーゼルモデルのほか、モーターの出力が控えめな「マイルドハイブリッド」を搭載したディーゼル、そしてPHEVが設定されています。
PHEVモデル7)は、2.5L直列4気筒ガソリンエンジンにモーターを組み合わせた「i-ACTIV AWD」と呼ばれる後輪駆動ベースの4WDで、トルクコンバーターではなく多板クラッチ式の8段ATを採用している点がユニークです。最大出力1500WのAC100Vコンセントを備え、急速充電やV2Hにも対応するなど、PHEVに求められる機能の多くを搭載。類まれなFRベースのSUVといえます。
ボディサイズ | 全長 4740mm x 全幅 1890mm x 全高 1685mm |
駆動方式 | 4WD |
乗車定員 | 5名 |
バッテリー容量 | 17.8kWh |
EV走行距離 (WLTCモード 等価EVレンジ) |
75km |
急速充電対応 | 〇 |
V2H対応 | 〇 |
V2L対応 | 〇(DCタイプ) |
車内AC100Vコンセント | 〇 |
価格(税込) | 609万9500円~ |
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vi.三菱「アウトランダー PHEV」
三菱「アウトランダー PHEV」8)は、PHEVのSUVとして先鞭をつけたモデルであると同時に、同社のフラッグシップに位置づけられています。2024年10月に登場した改良モデルは駆動用バッテリーの容量が約10%増加され、EV走行距離が従来の83〜87kmから102〜106kmへと大幅に向上しました。
駆動用バッテリーの容量拡大に合せて充電速度も向上しており、急速充電では80%までの充電時間が従来比で6分短い約32分となっています(最大出力電流が105A以上の急速充電器の場合)。もちろん、1500WのAC100VコンセントやV2Hにも対応し、大容量バッテリーを生かした機能も変わらず充実しています。
ボディサイズ | 全長 4720mm x 全幅 1860mm x 全高 1750mm |
駆動方式 | 4WD |
乗車定員 | 5~7名 |
バッテリー容量 | 22.7kWh |
EV走行距離 (WLTCモード 等価EVレンジ) |
102~106km |
急速充電対応 | 〇 |
V2H対応 | 〇 |
V2L対応 | 〇(DCタイプ) |
車内AC100Vコンセント | 〇 |
価格(税込) | 526万3500円~ |
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vii.三菱「エクリプス クロス」PHEVモデル
三菱「エクリプス クロス」9)は「アウトランダー」の弟分にあたるコンパクトSUVです。2020年の大幅改良時にディーゼルを廃止してPHEVがラインナップされました。
パワートレインは先代「アウトランダーPHEV」ゆずりの2.4Lエンジン+ツインモーター4WD方式のPHEVシステム。車両運動統合制御システム「S-AWC」を搭載することで、クロスオーバーSUVとは思えないスポーティな走りを実現しています。「アウトランダー」同様に、車内に1500WのAC100Vコンセントを装備し、V2Hにも対応。隠れた実力派のPHEVとして評価されている1台です。
ボディサイズ | 全長 4545mm x 全幅 1805mm x 全高 1685mm |
駆動方式 | 4WD |
乗車定員 | 5名 |
バッテリー容量 | 13.8Wh |
EV走行距離 (WLTCモード 等価EVレンジ) |
57km |
急速充電対応 | 〇 |
V2H対応 | 〇 |
V2L対応 | 〇(DCタイプ) |
車内AC100Vコンセント | 〇 |
価格(税込) | 409万4200円~ |
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viii.レクサス「NX450h+」
レクサス「NX450h+」10)は、2021年にフルモデルチェンジしたミドルサイズSUV「NX」のPHEVモデルです。ラグジュアリーブランドのレクサスにとって初のPHEVでもあります。
プラグインハイブリッドシステムは、2.5L直列4気筒エンジンにフロント・リヤモーターを搭載した4WD。ナビゲーションと連携し、運転履歴や道路・交通状況からドライブモードを自動で切り替えてエネルギー効率を高めてくれる「先読みエコドライブ」を搭載しています。
外部給電機能は、車内の1500W・AC100Vコンセントに加え、ACタイプのV2L「ヴィークルパワーコネクター」で車両の普通充電口からもコンセントを使用できるので、容量約18kWhのバッテリーに蓄えた電気を外部で簡単に利用することも可能です。
ボディサイズ | 全長 4660mm x 全幅 1865mm x 全高 1660mm |
駆動方式 | 4WD |
乗車定員 | 5名 |
バッテリー容量 | 18.1kWh |
EV走行距離 (WLTCモード 等価EVレンジ) |
87km |
急速充電対応 | × |
V2H対応 | × |
V2L対応 | 〇(ACタイプ) |
車内AC100Vコンセント | 〇 |
価格(税込) | 749万5000円~ |
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ix.レクサス「RX450h+」
レクサス「RX450h+」11)は、「NX」よりもひと回り大きなボディをもち、「ラグジュアリークロスオーバーSUVのパイオニア」をうたう「RX」シリーズのPHEVモデルです。2022年11月にフルモデルチェンジを実施し、第5世代となりました。
レクサスの象徴であるスピンドルグリルからメッキ枠をはずし、塊を強調したスピンドルボディを採用。次世代レクサスのデザインの新しいアイデンティティです。
プラグインハイブリッドシステムは基本的に「NX」と同一のものを搭載しています。「NX450h+」にも言えますが、「RX450h+」はEV走行距離が80km以上あるので、日常のほとんどをEVモードで走行することが可能です。
ボディサイズ | 全長 4890mm x 全幅 1920mm x 全高 1700mm |
駆動方式 | 4WD |
乗車定員 | 5名 |
バッテリー容量 | 18.1kWh |
EV走行距離 (WLTCモード 等価EVレンジ) |
83km |
急速充電対応 | × |
V2H対応 | × |
V2L対応 | 〇(ACタイプ) |
車内AC100Vコンセント | 〇 |
価格(税込) | 872万円~ |
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参考資料
3)トヨタ「RAV4 Z」
4)トヨタ「ハリアー Z」
5)トヨタ「プリウス G」
6)トヨタ「クラウン(スポーツ)」
7)マツダ「CX-60 PHEV」
8)三菱「アウトランダー PHEV」
9)三菱「エクリプス クロス PHEV」
10)レクサス「NX450h+」
11)レクサス「RX450h+」
トヨタ「アルファード」PHEVはいつ発売される?
2023年6月に発売されたトヨタのフラッグシップミニバン、4代目「アルファード」と3代目「ヴェルファイア」は発表時からPHEVの追加が予告されていました。しかし、発売から約1年半が経過した2024年10月時点で、まだPHEVは登場していません。
その理由として、ひとつに形式指定申請の問題12)による影響、なにより両モデルの非常に高い人気があると考えられます。
高価格帯にもかかわらず、両モデルには発売初日から購入希望者が殺到し、早々に受注が停止されたと伝えられています。このような状況では、ガソリンモデル、HEVモデルの増産が優先され、PHEVまで生産体制が追いつかないと考えるのが自然です。
こうした点からも、「アルファード」と「ヴェルファイア」のPHEVが登場するにはもう少し時間がかかると予想されます。
参考資料
12)トヨタ「型式指定申請における調査結果について」
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【輸入車編】国内で買えるPHEVの主要車種
次に2024年10月時点で購入できる輸入車のPHEVのなかから人気の車種を紹介しましょう。輸入車のPHEVは国産車に比べラインナップが豊富です。EVのメリットを活かした乗り味を追求した車種も多く、ライフスタイルに合わせ幅広い選択が可能になっていますが、車両価格は国産車に比べ高い傾向にあります。
以下、メーカーを50音順で表示しています。
i.アルファロメオ「トナーレ プラグインハイブリッド Q4」
2023年2月に発売された「トナーレ」は、アルファロメオ初となるマイルドハイブリッド(MHEV)システムを搭載したミドルサイズのSUV。「トナーレ プラグインハイブリッド Q4」13)はそのPHEVモデルです。15.5kWhのバッテリーを搭載した同モデルは、EVの⼒強さや静粛性とガソリン車の航続距離を併せ持ち、WLTCモードで72kmのEV走行レンジを誇ります。
ドライブトレインは1.3Lマルチエアガソリンターボエンジンと前後2モーターの組み合わせで、システム最高出力280PSのパワフルな走りを実現しています。
ボディサイズ | 全長 4530mm x 全幅 1835mm x 全高 1615mm |
駆動方式 | 4WD |
乗車定員 | 5名 |
バッテリー容量 | 15.5kWh |
EV走行距離 (WLTCモード 等価EVレンジ) |
72km |
急速充電対応 | × |
V2H対応 | × |
V2L対応 | × |
車内AC100Vコンセント | × |
価格(税込) | 762万円~ |
ii.ジープ「レネゲード 4xe」
PHEVのラインナップを広げるジープの中で、もっともコンパクトで価格も手頃なPHEVモデルが、「レネゲード 4xe」14)です。ジープらしい見た目ながらコンパクトなサイズ感で、道幅が狭い市街地でも日常的に使いやすいPHEVだと言えるでしょう。
パワートレインは、4気筒1.3Lエンジンに前後2モーターを搭載する4WD。バッテリー容量は11.4kWhで、200V・3kW出力の普通充電でもわずか4時間弱で満充電となる点も便利です。
ボディサイズ | 全長 4255mm x 全幅 1805mm x 全高 1695mm |
駆動方式 | 4WD |
乗車定員 | 5名 |
バッテリー容量 | 11.4kWh |
EV走行距離 (WLTCモード 等価EVレンジ) |
50~52km |
急速充電対応 | × |
V2H対応 | × |
V2L対応 | × |
車内AC100Vコンセント | × |
価格(税込) | 635万円~ |
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iii.BMW「330e」
BMWは「3シリーズ」「5シリーズ」と、SUVの「X5」「XM」でPHEVモデルを国内販売していますが、このうち比較的手が出しやすい価格なのが、3シリーズのPHEVモデル「330e M Sport」15)です。走りのBMWらしく、PHEVモデルも駆動方式はFR(後輪駆動)が採用され、システム最高出力は215kW(292PS)、0-100km/h加速5.9秒という俊足を誇ります。
PHEVモデルでもBMWのスローガン「駆けぬける歓び」は変わりません。
ボディサイズ | 全長 4720mm x 全幅 1825mm x 全高 1445mm |
駆動方式 | RWD |
乗車定員 | 5名 |
バッテリー容量 | 12kWh |
EV走行距離 (WLTCモード 等価EVレンジ) |
56.4km |
急速充電対応 | × |
V2H対応 | × |
V2L対応 | × |
車内AC100Vコンセント | × |
価格(税込) | 758万円 |
iv.プジョー「308 ハイブリッド」
9年ぶりのフルモデルチェンジを行い、2022年4月より発売が開始されたプジョー「308」16)にもPHEVモデルがラインナップされています。ガソリンモデルとディーゼルモデルは5ドアハッチバックとスポーツワゴン(SW)という2つのボディタイプを選べますが、PHEVモデルも同様です(写真のモデルはSW)。
プジョーはシトロエンやDSと同じ「ステランティス」という自動車グループで、プラグインハイブリッドシステムはシトロエン「C5 X プラグインハイブリッド」やDS「DS 4 E-TENSE」と基本的に共通のものです。このほかにも、プジョーは「3008」や「408」などにもPHEVをラインナップしています。
ボディサイズ | 全長 4420mm x 全幅 1850mm x 全高
1475mm(ハッチバック) 全長 4655mm x 全幅 1850mm x 全高 1485mm(SW) |
駆動方式 | FWD |
乗車定員 | 5名 |
バッテリー容量 | 12.4kWh |
EV走行距離 (WLTCモード 等価EVレンジ) |
71km(ハッチバック)、70km(SW) |
急速充電対応 | × |
V2H対応 | × |
V2L対応 | × |
車内AC100Vコンセント | × |
価格(税込) | 572万7000円(ハッチバック)、611万5000円(SW) |
v.ポルシェ「カイエンE-ハイブリッド」
「カイエンE-ハイブリッド」17)は、ポルシェでもっとも販売台数が多い人気車種「カイエン」のPHEVモデルで、2023年に新型が発表されました。ポルシェはSUVの「カイエン」のほかに、スポーツセダンの「パナメーラ」と、クーペSUVの「カイエンクーペ」にPHEVモデルを設定しています。
なかでも「カイエンE-ハイブリッド」は中核モデルで、V6の3.0Lターボエンジンを搭載し、モーターを合わせたシステム最高出力は346kW(470PS)。「ターボ E-ハイブリッド」はV8の4.0Lツインターボエンジン搭載で、システム最高出力544kW(739PS)のハイパフォーマンス仕様です。純ガソリン車とは異なる「速さ」や「フィーリング」を持つスポーティなSUVです。
ボディサイズ | 全長 4930mm x 全幅 1983mm x 全高 1696mm |
駆動方式 | 4WD |
乗車定員 | 5名 |
バッテリー容量 | 25.9kWh |
EV走行距離 (WLTPモード EAER) |
66~74km |
急速充電対応 | × |
V2H対応 | × |
V2L対応 | × |
車内AC100Vコンセント | × |
価格(税込) | 1429万円~ |
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vi.ボルボ「XC60 プラグインハイブリッド」
EVやPHEV、マイルドハイブリッドのラインナップで2020年に全車種の電動化をはたしたボルボは、「60」シリーズと「90」シリーズに「プラグインハイブリッド」をラインナップしています。なかでも人気の高いのがミドルサイズSUVの「XC60」18)です。
2022年に駆動用バッテリーの容量を約60%増の18.8kWhとしてEV走行距離を伸ばし、同時にリヤモーターの最高出力を約65%アップの107kWとしました。システム最高出力は350PSです。Googleのシステムを採用したインフォテイメントシステムやボルボ独自の安全装備は全車に標準装備となっています。
ボディサイズ | 全長 4710mm x 全幅 1915mm x 全高 1660mm |
駆動方式 | 4WD |
乗車定員 | 5名 |
バッテリー容量 | 18.8kWh |
EV走行距離 (WLTCモード 等価EVレンジ) |
81km |
急速充電対応 | × |
V2H対応 | × |
V2L対応 | × |
車内AC100Vコンセント | × |
価格(税込) | 1019万円~ |
参考資料
13)アルファロメオ「トナーレ プラグインハイブリッド Q4」
14)ジープ「レネゲード 4xe」
15)BMW「330e」
16)プジョー「308 HYBRID」
17)ポルシェ「カイエンE-ハイブリッド」
18)ボルボ「XC60 プラグインハイブリッド」
2025年はPHEVが電動車の主役になる?
企業にとって脱炭素は社会的使命になりつつあり、自動車メーカーも各社が2050年のカーボンニュートラル達成に向け、脱・内燃機関、電動化を進めています。
とはいえ、実際に世界中の自動車が100%EVとなるにはもうしばらく時間がかかるでしょう。その移行期における「EV時代までのパワートレイン」とみられているのがPHEVです。
世界的にEV普及が伸び悩む一方で、PHEVは存在感を高めています。それがもっとも顕著なのが世界一の自動車市場である中国です。2024年1〜9月の累計で、中国におけるPHEVの販売台数は前年同期比約84%増の伸びを見せています19)。
国内でもカーボンニュートラルに向けた全方位戦略を掲げるトヨタがPHEVにも力を入れており、乗用車では今後、国内外の自動車メーカーからPHEVのさまざまな車種が登場すると予想されます。2025年はPHEVがより身近に感じられる年となるかもしれません。
PHEVの購入時にチェックすべきポイントは?
よく言われることですが、車選びでは「どのように使うのか」という点がとても重要です。同じようにPHEVの購入時も、その人がどのように車を使いたいのかが最重要ポイントになります。それを踏まえたうえで、PHEVを選ぶときのポイントをまとめてみました。
ポイント①EV走行距離(バッテリー容量)
国産車や輸入車を問わず、PHEVを選ぶときにまずチェックしたいのがEV走行距離(バッテリー容量)です。電気だけで走れる距離が長いほど走行コストが抑えられるからです。とくに毎日車に乗り、40〜60km走行するような人はEV走行距離が重要です。逆に買い物や送り迎え程度の日常使いならEV走行距離はあまり気にする必要はありません。
ポイント②給電用コンセントやV2H対応の有無
前述のように、災害時に非常用電源としてPHEVを活用したい場合は、その車種が車内コンセント(AC100Vコンセント)を装備しているか、V2HやV2Lなどの外部給電に対応しているかどうかを確認したほうがいいでしょう。輸入車は外部給電機能をもたない車種が多いですが、国産車は少なくともいずれかには対応しています。
ポイント③修理費用とリセールバリュー
スマートフォンのバッテリーが徐々に性能低下して持ちが悪くなるように、PHEVのバッテリーも繰り返し充電をしていくと、満充電で使用できる容量が少なくなっていきます。各メーカーとも5年/10万kmや8年/16万kmなど長期の容量保証を付帯して販売しますが、問題はそのあとです。
万が一保証期間が過ぎたあとにバッテリーの交換が必要になると、数十万円の費用がかかります。輸入車の場合は100万円を超えるケースも少なくありません。
そのため、残価設定型ローンやカーリースで規定の期間が過ぎたら乗り換えるなど、計画性を持って購入することもポイントとなります。特に修理費用が高額となる輸入車の場合、リセールバリュー(再販価値)も低くなる点に注意が必要です。購入から売却時までのトータルで考えて購入することをおすすめします。
PHEVの中古車という選択はアリ?
トヨタ「プリウス」のPHEVモデルや三菱「アウトランダーPHEV」は、最初のモデルが登場してから10年以上が経過し、中古車の流通も増えてきました。前述のように、保証期間を過ぎたPHEVを買う場合は、高額な修理費用がかかるリスクがある点を踏まえる必要があります。
その点で、「プリウス」のPHEVモデルなど国産車の場合かつ高年式の(年式の新しい)車種であれば、安価にPHEVを試してみたい方にとっては損がない買い物といえるでしょう。
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ライフスタイルにあわせて選べるPHEV。EV以外の選択肢としてもおすすめ
ここまで見てきたように、PHEVはガソリン車などに比べて走行コストがかからないだけでなく、大容量バッテリーを搭載しているので災害時の非常用電源やアウトドアライフにも活用できます。ライフスタイルに合わせて選べるのはPHEVの大きな魅力です。
また、これまではHEVに比べて車両価格が高いのがデメリットでしたが、「プリウス G」のように補助金を重複利用すればHEVより安く購入できるPHEVも登場してきました。EVの購入を迷っているなら、PHEVも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
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