「エクリプスクロス」PHEVモデル。走りも装備も抜かりない万能SUVをレビュー

エクリプスクロスPHEV

プラグインハイブリッドと聞くと、その字面からハイブリッド車の延長だというイメージで捉えられるかもしれませんが、早くからEVの開発に取り組み、2009年に量産EVの「i-MiEV」を発売している三菱自動車では、EVの技術をベースとして、もっと使いやすさを広げるためにハイブリッド技術を追加しています。三菱がプラグインハイブリッドをPHVではなく、PHEVと呼ぶのはEV技術に自信があるからこそ。そんな三菱のPHEV第二弾として登場した「エクリプスクロス」PHEVモデルは、どんな魅力があるのでしょうか。使い勝手も含めてレポートしたいと思います。

●Check1:エコノミカル

家計だけでなく、地球環境にもしっかり貢献

ガソリンで走るハイブリッド車とちがって、PHEVは電気の使い方によって賢く無駄なく走ることができるクルマです。「エクリプスクロス」PHEVモデルは、電気のモーターだけで最大57.3km(WLTCモード)走行できるところがポイント。その範囲内で繰り返し充電をすれば、ガソリンを使わずに走り続けることもできるのです。

エクリプスクロスPHEV

 

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充電方法は3つ。200Vの普通充電器(AC200V/15A)では、約4.5時間で満充電になります。街中や高速道路に設置されている急速充電器なら、約25分で80%程度の充電が可能です。

もし充電器が見つからなくても、停車中にエンジンで発電して充電することもでき、その場合は約45分で80%程度の充電ができますが、この方法のみガソリンを使います。

街中で充電する際には、三菱自動車の「電動車両サポート」カードが便利。個人の場合は入会金が1650円、基本料金は月額550円の「ベーシック」プランと月額1650円の「プレミアム」プランがあり、どちらも三菱自動車販売店の急速充電器が1分5.5円(30分165円)で利用可能。高速道路などに設置されている急速充電器は、「ベーシック」が1分13.2円(30分396円)、「プレミアム」が1分8.8円(30分264円)で利用でき、「プレミアム」は500円(税抜)分の無料充電が含まれています。普通充電器の利用は、「ベーシック」が1分1.54円(1時間92.4円)、「プレミアム」が無料となっています。

エクリプスクロスPHEV

家庭で充電する場合の電気代は、1kWhあたり31円(全国家庭電気製品公正取引協議会の公表情報参照)と考えると、500km走行するのに約3300円となります。ガソリン代と比べるとかなりランニングコストが抑えられますね。さらに太陽光発電を取り入れたり、電気を賢く使う習慣をつけたりすることで、家計だけでなく地球環境にも貢献できるのが魅力です。
※電力量料金のみの金額です。基本料金・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金は加味していません。

●Check2:プライス

ガソリンモデルとの価格差はあるものの、各種補助金でオトクに

「エクリプスクロス」PHEVモデルは3グレードが用意されています。エントリーグレードの「M」が384万8900円。外観が華やかになり、快適装備も充実する「G」が415万2500円。上質感がアップし、スマートフォン連携ナビも標準装備となる「P」が447万7000円です。

エクリプスクロスPHEV

実はPHEVのほかに、253万1100円からのガソリンモデルがあるので、比べるとちょっと割高に感じられるかもしれません。でも、「エクリプスクロス」PHEVモデルはクリーンエネルギー車(CEV)の補助金の対象となりますので、補助金交付条件を満たしていれば、環境省から38万5000円が交付されます。さらに地方自治体からも補助金が受けられる場合もあり、東京都では環境省補助金併用時には最大60万円となっています。

エクリプスクロスPHEV

また、購入時と1回目の車検時にかかる重量税が免除されるほか、購入翌年度の自動車税が75%減税です。さらに65歳以上であれば、対歩行者衝突被害軽減ブレーキ機能とペダル踏み間違い急発進抑制装置機能がついた車両が対象となる「サポカー補助金」で10万円が交付されますので、活用したいですね。

 

 

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●Check3:ユーティリティ

快適装備が充実。さらにAC100Vのコンセントを標準搭載

スポーティーな中にもモダンで洗練された印象のあるインテリアは、オプションでブラックかライトグレーの本革シートも設定されていて、しっとりとした座り心地が上質です。室内がパッと華やぐ印象となるライトグレーは、上級セダンから乗り換える人にも満足度が高いのではないでしょうか。

エクリプスクロスPHEVの車内

大きなドアポケットやセンターコンソールのトレイ、小物入れとしても使えるドリンクホルダーなど、収納スペースも使いやすく揃っています。しっかり握れるドアインナーハンドルやステアリングヒーター、シートヒーターといった、オフロードや冬のドライブを快適にする装備があるのもSUVらしいところです。後席の足元や頭上も大人がゆったりとくつろげるスペースで、オプションで後席にもシートヒーターをつけることができます。

エクリプスクロスPHEVのトランク

ラゲッジはフラットなフロアと、充電ケーブルなどがしっかり収納できるアンダーボックスがあり、すっきりと効率よく使える空間。後席は6:4分割で折りたたむことができ、簡単に大きな荷物を積み込むスペースが生まれます。

エクリプスクロスPHEVのコンセント

そしてラゲッジには合計1500Wまで使えるAC100Vのコンセントがあり、電化製品がそのまま使えるのが便利。キャンプなどアウトドアでホットプレートや電気ポット、暖房器具などが使えると、レジャーの楽しみが広がりますね。

●Check4:エモーショナル

三菱のDNAを受け継いだ、力強い走りが魅力

三菱自動車のDNAには、通称パリダカと呼ばれた過酷なダカールラリーで、並みいる強敵を抑えて通算12回も頂点に立ったタフで快適で速いSUV、パジェロで培ったノウハウが受け継がれています。そこに、EVの技術を注いでプラグインハイブリッドSUVの先駆者として登場したアウトランダーPHEVは、世界中で認められている実力派。その素晴らしい技術であるツインモーター4WD方式のPHEVシステムが、「エクリプスクロス」PHEVモデルPHEVにも搭載されています。

エクリプスクロスPHEV

小型・軽量・高出力のモーターを前後に1基ずつ搭載し、13.8kWhの駆動用バッテリー、2.4L直列4気筒のMIVECエンジンで構成され、エンジンは基本的に発電をメインに行うので、バッテリーが残っているうちは電気のみで走り、なくなってくると発電します。

高速での追い越し加速のような強い踏み込みがあると、エンジンがかかってハイブリッド走行となり、運転のしやすさ、爽快感、安心感、どれも文句なし。走り出しからスーッと軽やかで、パワーも十分なのですが、コーナリング性能には4WDスポーツモデルとして一時代を築いたランサーエボリューションの技術も活きており、速さと安定感の絶妙なさじ加減に感心するほど。

エクリプスクロスPHEV

もちろん、悪天候下での操縦性も抜群なので、いつでもどこでも安心して走ることができるでしょう。

 

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●Check5:ハウスベネフィット

ガソリン満タン&満充電なら、最大10日分の電力がまかなえる

「エクリプスクロス」PHEVモデルの充電口は、右リヤフェンダーに設置されています。左リヤフェンダーはガソリンを入れる給油口です。これから自宅に充電器を設置する場合には、使いやすい位置を考慮するといいですね。充電ケーブルは200V用が装備されており、100V用はオプション設定です。

エクリプスクロスPHEVとまるも亜希子さん

「三菱リモートコントロール」を使うと、スマートフォンからタイマー充電の設定などができて便利です。また「エクリプスクロス」PHEVモデルは、クルマに蓄えた電気を家庭で使える「V2H」にも対応しています。満充電の状態なら一般家庭の最大約1日分、ガソリンによるエンジンでの発電を組み合わせると、ガソリン満タンで最大約10日分がまかなえます。災害時にも心強いですね。

日常からアウトドアまで、どこまでも頼れる1台

SUVらしいタフさは健在ながら、都市部にも似合う華やかさと上質感が高まったデザイン。リヤスタイルもシングルガラスを採用して、よりすっきりとモダンになり、後方視界が広がったことで運転しやすさもアップしました。

エクリプスクロスPHEV

そこに、三菱自動車が培ってきた安心でスポーティーな4WD技術と、アウトランダーPHEVで世界に認められたプラグインハイブリッドシステムが組み合わさり、いつどこで乗っても爽快な走り。走行モードが「ノーマル」「スノー」「グラベル」「ターマック」と4種類設定されているので、使い分ける楽しみもあります。さらに、屋外で電化製品が使える自由なライフスタイルが手に入る「エクリプスクロス」PHEVモデル。「今度の休日はどこへ行こう」と待ち遠しくなる1台です。

●家庭と暮らしのハマり度 総合評価

総合評価

 

 

※本記事の内容は公開日時点の情報となります。

 

この記事の監修者
まるも 亜希子
まるも 亜希子

カーライフ・ジャーナリスト。映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツに参戦するほか、安全運転インストラクターなども務める。06年より日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。女性パワーでクルマ社会を元気にする「ピンク・ホイール・プロジェクト」代表として、経済産業省との共同プロジェクトや東京モーターショーでのシンポジウム開催経験もある。