電気自動車(EV)の中古車のメリット・デメリットは? 価格や補助金、バッテリーなど注意したいポイントを解説

自動車ディーラー

2035年までに、新車のすべてを電動車にする目標を国が掲げるなど、ますます注目を集めている電気自動車(EV)。しかし、新車価格が高額なため、手が出せないと感じている人も多いでしょう。そこで気になるのが、比較的安価に購入できるEVの中古車(中古EV)です。新車と比べた場合のメリット・デメリットや、人気車種の中古相場など、中古EVの購入を検討する際に知っておきたい基礎知識について紹介します。

注:本記事で「EV」と表現する場合、おもに「BEV(Battery Electric Vehicle)」を意味しています。PHV・PHEVやFCVとは区別していることをご認識ください。

 

V2H EVリフォーム

 

EVの中古購入は実際アリなの? 購入前に素朴な疑問を解消

車のギモン

画像:iStock.com/ AndreyPopov

最初に結論を言うと、2021年時点でEVの購入を検討しているのなら、中古車(中古EV)は、非常に魅力的な選択肢と考えることができます。

なぜなら、ガソリン車の場合と同様、性能やコンディションは新車に比べて劣るものの、EVの場合は、中古車のコストパフォーマンスが非常に高いからです。

とはいえ、中古EVの購入にあたっては、事前に知っておくべき注意点や、購入時のポイントがあります。まずは、誰もが気になる基本的な疑問を解消していきましょう。

疑問① 中古EVはどれくらい出回っている?

まず気になるのは、中古EVがどれくらい流通しているかでしょう。EVが日本市場に登場してから約10年が経っていますが、その間の年間販売台数は、1~2万台前後となっています。

たとえば一般社団法人日本自動車販売協会連合会が公表している情報1)によれば、2020年のEV(新車)の販売台数は、約1万4000台となっています。ガソリン車(新車)の販売台数は約230万台なので、この数字をみれば、中古車の流通数が少ないということが自然とわかるでしょう。

参考数字になりますが、インターネットの中古車情報サイトに登録されている中古EVの数を見ても、市場に出回っているのは1400〜1600台程度(2021年6月時点)といったところです2)3)。この数字は、中古のガソリン車に比べ、かなり少ないといえます。

 

疑問② 出回っている中古EVの主な車種は?

流通している台数が少ないことに加え、出回っている中古EVの車種は、新車に比べ限定されています。基本的には、新車の販売台数が突出して多い日産リーフが、中古市場でも、もっとも多く出回っているといえます。その他の車種の中古EVも市場に出ないわけではありませんが、流通数はとても少なく、価格も割高になっている傾向があります。中古EVといったら、基本的には日産リーフの中古と考えてもいいでしょう。

疑問③ 中古EVの購入方法は?

中古EVというと、特別な購入ルートになると思うかもしれませんが、基本的にガソリン車の場合と変わりません。購入する場所としては、中古EVを取り扱っているディーラーや中古車専門店、そしてオークションサイトなどネット経由の3つが考えられます。

このうち、オークションサイトなどの購入では、車のコンディションを直接確認することができない場合が多いため、あまりおすすめができません。こちらもガソリン車の場合と同様ですが、中古車は車体を直接確認したうえで購入を検討するといいでしょう。

疑問④ 中古EVの購入に向いている人、向いていない人は?

詳しくは後述しますが、新車と比較した中古EVのもっとも大きなデメリットは、バッテリーの劣化による航続距離の低下です。そのため、長距離ドライブを用途として考えた場合、中古EVはあまりおすすめができません。一方、普段の買い物など近距離の利用を中心に考えているなら、中古EVの性能でもほとんど問題はないといえるでしょう。

中古EVのメリット・デメリット

中古EVを購入するうえで特に知っておきたいのが、新車EVと比較した場合の中古EVのメリットとデメリットです。主なメリットとデメリットを紹介します。

メリット① 新車に比べて、価格がかなり安い

車のおもちゃとコイン

画像:iStock.com/ Nopphon Pattanasri

中古EVの最大のメリットは、新車の半額以下の値段で購入できる車種もあることです。たとえば日産リーフの初期型(2010年モデル/販売終了)は、新車価格が約376万円〜でしたが、現在の中古車市場の相場は40万円程度〜と、約9分の1の価格になっています。

もちろん価格とコンディションは比例していますから、価格が安すぎる車体はおすすめできませんが、日産リーフに限らずどんな車種でも、新車価格の半額程度なら、十分検討できる範囲といえるでしょう。

そもそも、車は耐久消費財の一種なので、使えば使うほど価値が下がるものです。ガソリン車の場合なら、だいたい10年を超えると価値がほぼゼロになるといわれています。

EVの場合も、バッテリーの劣化や寿命を考えると、10年が目安とされています。つまり1年間で1割ずつ価値が下がると考えられるわけです。その計算でいえば、使用期間5年で半額、がひとつの目安と考えることができますが、実際には2~3年経過している車体でも、半額以下になっているケースが多く見られます。その場合、費用対効果でいえば、かなりおトク度が高いといえるのではないでしょうか。

メリット② 家庭用蓄電池としても活用可能

電気自動車と家

画像:iStock.com/sl-f

災害時の非常用電源などの用途として、定置型蓄電池の導入を検討している方もいると思いますが、EVには定置型蓄電池の代わりとして活用できる車種もあります。

「バッテリーから電気を取り出す外部給電器に接続できるもの」、「バッテリーの電気を家の電気として使えるようにするV2Hと接続できるもの」、「家庭と同じ100V出力のコンセントがついているもの」などがありますが、これはもちろん中古EVにもあてはまります。

一般家庭で使用する定置型蓄電池(機器本体価格)の相場は、容量にもよりますが100万円以上のものが多く、容量1kWhあたりおよそ20万円前後が目安となっています。

これと比較して、後ほど説明する初代中期型の日産 リーフ(24kWh・外部給電器、V2H接続可)を中古で70万円で購入したとすると、バッテリー容量1kWhあたりの金額は約3万円とかなりおトクであることがわかります。

また、もしバッテリーの劣化が発生しており、満充電時の容量が20kWhになっていたとしても、1kWhあたりの金額は約3.5万円といずれにせよ安価であることは間違いありません。

このように、中古EVの中には、上記のような機能が付いていて、定置型蓄電池よりも安価で手に入れられるものも販売されている場合があるため、この点も中古EVのメリットといえるでしょう。

 

一方、新車EVと比較した場合の中古EVの主なデメリットは、以下になります。

 

デメリット① 補助金の対象外になる

手とコイン

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環境対策などの目的から、国や自治体がEVの購入に対し補助金を出していることを知っている人は多いと思います。2021年の場合、国の補助金だけで最大80万円が出ますが、これはあくまでも新車に限った場合の話です。基本的に、現状中古EVを購入する際に利用できる補助金制度はないと考えていいでしょう。

ただし、補助金分を差し引いた新車価格と比べても、中古EVのほうが割安になっている場合が多いので、補助金が出ないから中古EVは損、とも言い切れない点には注意が必要です。

また、補足にはなりますが税制優遇については中古EVでも「エコカー減税」「環境性能割の非課税」が対象となります。その点も覚えておくといいでしょう。

 

 

デメリット② 新車EVに比べて、バッテリーが劣化している

リチウムイオンバッテリー

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EVの基本性能を左右する、もっとも重要なパーツのひとつがバッテリーです。他のパーツが正常で動いていても、バッテリーが壊れてしまえば、EVは利用不能となってしまうからです。また、バッテリーが劣化すると航続距離も短くなるほか、満充電にしても本来のバッテリー容量の100%まで充電されず、80%や90%までしか充電ができないといった事象が生じてしまいます。長距離の利用を考えている場合には、その分充電回数も増え、手間が発生するため、新車EVのほうがストレスフリーでしょう。

もちろん、中古EVのバッテリーを新品に交換することも可能ですが、たとえば日産リーフの場合は交換費用が約60万〜80万円となっており、場合によっては中古車体価格に匹敵してしまいます。その点を考慮すれば、新車を買ったほうが賢いという判断もできるでしょう。

デメリット③ 最新機能が搭載されていない

次世代自動車

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日本市場におけるEVの歴史自体が、約10年と短いため、基本的な性能については、そこまで大きな差はないといえます。しかし、自動ブレーキシステムなどについては、年式により性能差が出てくる点に注意が必要です。

たとえば日産リーフなら、2015年12月から販売されている30kWhバッテリーの初代後期型リーフから、自動ブレーキシステムを含む運転支援技術「エマージェンシーブレーキ」などが搭載されるようになりました。こうした最新機能を利用したい場合には、中古EVの年式に注意すべきでしょう。

また、航続距離やバッテリーの寿命に関係する走行性能についても、新しいモデルほど性能が高いことが多い点も、覚えておくといいでしょう。

中古EVの価格相場っていくら? 人気車種で比較

メリットとデメリットの数だけを比べれば、デメリットのほうが多いように感じられる中古EVですが、これはEVに限らず中古車全体にもいえることです。一方、冒頭で述べたように、新車と比べた場合、中古EVのコストパフォーマンスは非常に高いため、デメリットを理解した上で購入するのであれば、満足度は高いはずです。以下に、人気の高い車種の中古価格相場を紹介しましょう。

なお、以下に紹介するのは監修者である自動車ジャーナリスト・国沢光宏さんの経験を参考に導き出した、最低価格の相場です。実際には、最低価格+10万円くらいの価格帯が中心となる点に注意してください。

日産 『リーフ』

日産リーフ

画像:iStock.com/ joel-t

中古EV市場で、もっとも多く出回っているのが日産リーフです。そのため、年式によって価格も異なります。特に初代モデルについては暴落ともいえるほど安い価格で手に入る場合もあります。自分が求めている条件に当てはまる場合にはぜひ購入を検討してみるといいでしょう。

〈表〉日産 リーフの中古価格相場、新車価格

型式 中古価格相場(最低価格) 新車価格
初代初期型
(2010年発売 24kWh)
40万円~ 376万円〜
初代中期型
(2012年発売 24kWh)
60万円〜 335万円〜
初代後期型
(2015年発売 30kWh)
70万円〜 320万円〜
現行型
(2017年発売 40kWh)
170万円〜 315万円〜
現行e+
(2019年発売 62kWh)
280万円〜 416万円〜

 

三菱 『i-MiEV』

三菱 i-miev

画像:iStock.com/ Tramino

2009年に販売がスタートした三菱 i-MiEV(アイミーブ)は、2021年3月末に生産終了となり、現在では新車を手に入れることができません。10年の歴史の中で数々のアップデートがありましたが、中古市場に出回っている台数が少ないため、年式による価格差が出にくくなっています。そのためここでは、年式による区別をせず、i-MiEV全体の中古車相場を紹介します。

〈表〉三菱 i-MiEVの中古価格相場、新車価格

車種 中古価格相場(最低価格) 新車価格
三菱 i-MiEV 60万円~ 226万円〜

 

輸入車のEV

輸入車

画像:iStock.com/ Sundry Photography

輸入車のEVは、そもそも国内での販売台数が少ないこともあり、日本の中古車市場ではかなり希少な存在となっています。リーフなどの国産車と比べて、中古車の価格がそこまで安くない車種も多いです。参考までに、代表的な車種の中古車相場を紹介しておきましょう。

〈表〉外国車のEVの中古価格相場、新車価格

車種 中古価格相場(最低価格) 新車価格
フォルクスワーゲンe-Golf 270万円~ 499万円〜
BMW i3 150万円~ 505万円〜
テスラ Model 3 400万円~ 429万円〜
ベンツ EQC 850万円~ 895万円〜

 

中古EVを購入するときに注意すべきチェックポイント

自動車の点検項目

画像:iStock.com/ cihatatceken

中古EVを購入する際に注意すべき点は、基本的に通常の中古車と大きく変わりません。タイヤやブレーキパッドなどの状態、事故車でないか、修復歴はあるかなどはどんな車でも必ず購入の前にチェックしましょう。

以下ではその中で、特に中古EVならではのチェックポイントを重要な順番に紹介します。

〈表〉中古EVを購入するときに注意すべきチェックポイント

チェックポイント① バッテリーのコンディションを確認する
チェックポイント② 累計走行距離が5万km以下のものを選ぶ
チェックポイント③ V2Hが対応しているかどうか確認する
チェックポイント④ 同じコンディションでの価格を比較する

 

チェックポイント① バッテリーのコンディション

EVの心臓部ともいえるバッテリーのコンディションは、必ずチェックすべき重要なポイントとなります。たとえば、日産リーフの場合は、パネルに表示されている12段階の「セグメント(セグ)」という指標で、バッテリーのコンディションを確認することが可能です。目安としては、フルセグメント(12)に対し、10くらいまでの数値が許容範囲といえるでしょう。9以下のセグ数だった場合は、航続距離など性能にある程度影響が出る可能性があります。詳細なコンディションをディーラーに確認しましょう。

その他の車種、メーカーのEVについては、残念ながらバッテリーのコンディションをすぐにチェックする方法がありません。購入前に、必ずディーラーに確認を取りましょう。

チェックポイント② 走行距離

ガソリン車と同様のチェックポイントですが、EVの場合は、走行距離とバッテリーのコンディションが相関関係にあるため、特に重要な項目になります。累計走行距離5万km以下を、ひとつの目安と考えてもいいでしょう。

チェックポイント③ V2H対応

家とEVをつなぎ、EVを大容量バッテリーとして活用するためのシステム「V2H」の導入を検討している場合には、V2H非対応の車種もある点に注意が必要です。こちらもディーラーに確認しましょう。

 

 

チェックポイント④ 価格

ここまでのチェックポイントを踏まえた上で、考慮すべきなのが価格です。一般的に価格が安ければその分コンディションも悪くなることになりますが、そもそも中古車は定価販売の商品ではないため、同じコンディションの同一車種でも価格にばらつきが生じるものです。新車のEVの場合はおよそ10年が寿命といわれているので、たとえば5年間乗ることを想定するなら新車の半額、3年でよければ10分の3というように、自分の用途にあわせて、ある程度の予算感を持っておきましょう。その上で、コンディションを比較して考えるといいでしょう。

中古EVのメンテナンスはどうする?

自動車のタイヤのメンテナンス

画像:iStock.com/ champlifezy@gmail.com

中古EVを購入した場合、新車と同様のメンテナンスが受けられるのか気になる人もいるでしょう。この点についても、基本的にはガソリン車の場合と変わりがないと考えて構いません。新車、中古車にかかわらず、故障した場合などは年式を問わずディーラーで対応してくれます。購入後のメンテンナンスを考慮するなら、あらかじめ対応してくれる最寄りのディーラーを探しておくといいでしょう。

市場価格が上がる可能性も? 中古EVは今が買い時⁉

bmw

画像:iStock.com/AM-C

現在は新車価格の半額程度で、ある程度のコンディションが期待できる車体が購入可能な中古EVですが、EVに対する関心の高まりとともに、今後は中古価格も上がっていく可能性が高いといえます。逆に考えれば、現在の中古価格は底値に近いともいえるのです。今回紹介した注意事項やチェックポイントをおさえて、EVを賢く手に入れてみてはいかがでしょうか。

 

この記事の監修者
国沢光宏
国沢 光宏

自動車ジャーナリスト。自動車評論家。現在多くの媒体で執筆活動をしているほか、ラジオ日本とFM群馬でラジオのパーソナリティも行い、車選びからドライビングテクニック、業界ニュースなど、広く深い知識をもつ。運営しているブログサイトでは、専門家も参考にしたくなる、新鮮で豊富な情報を発信している。