自宅に太陽光発電を導入したいと考えながら、「太陽光発電をつけて後悔した」という記事やブログなどを読んで、二の足を踏んでいませんか? EV DAYS編集部では、太陽光発電の導入経験者へのアンケート取材を独自に実施。この記事では、その感想を交えながら、「太陽光発電をつけてよかったこと」と「太陽光発電に関するよくある後悔」について、解説します。
導入経験者が語る「太陽光発電をつけてよかったこと」
太陽光発電を導入する場合、電気代削減や環境保全など、個人によってさまざまな目的があるでしょう。「導入して実感した、よかったこと」について導入経験者に教えてもらいました。
①電気代が安くなった
太陽光発電でつくった電気を使用するということは、その分、電力会社から購入する電力量が減るため、毎月の電気代が安くなります。たとえば、晴天で昼間に必要な電気をすべて太陽光発電でまかなえた日の場合、電力会社から電気を購入するのは、ソーラーパネルに日の当たらない夜の時間帯のみです。
家庭用蓄電池や電気自動車(EV)があれば、昼間に発電した電気を貯め、夜間の電気に利用することができるため、さらに電気の自給率・自家消費率が増えます。導入経験者によると、EVの充電代が浮くという利点もあるようです。
【導入経験者の感想】
昼間は電気代がもっとも高くなるのですが、太陽光発電があれば、この時間帯の電気を電力会社から購入せずに、自家発電で間に合わせることができます。家では使わなかった電気でEVの充電もできるので、EVの充電代もほぼかかっていません。〈静岡県・50代男性・2011年導入/太陽光発電(5.4kW)・日産リーフ2台(62kWh・24kWh)〉
②売電収入が得ることができた
太陽光発電でつくった電気のうち、自家消費できなかった余剰分を電力会社に売電することができます。このときの売電価格に関わるのがFIT制度です。
FIT制度とは、経済産業省が2012年7月に開始した「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」のこと。再生可能エネルギーからつくられた電気を、電力会社が“一定価格”で“一定期間”買い取ることを国が保証する制度です。太陽光発電によって、家庭で使う電気をまかなうことに加え、売電をすることで家計の負担が減るのはありがたいメリットといえます。ただし、PPA(Power Purchase Agreement)などで導入する場合は売電収入を得られない場合があります。
導入経験者の意見を聞いてみましょう。
【導入経験者の感想】
電気料金が高騰する中でも、電気料金が抑制できています。売電を考えると、電気料金の収支が実質ほぼ0円を維持できていると思います。〈東京都・50代男性・2020年4月導入/太陽光発電(3.4kW)〉
具体的に売電収益を計算したい人は、ソーラーパネルメーカーなどのサイトのシミュレーションツールを試してみましょう。居住エリアやパネルの設置方角など細かい条件で発電量や電気代削減額などを算出することができます。
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③停電時にも電気が使えた
停電時にも電気を使うことができるのは、太陽光発電の大きなメリットです。経済産業省の調べ1)によると、2018~20年に起きた台風による停電では99%の復旧までに2日から12日を要しました。地域によって復旧スピードはもちろん異なりますが、2日間であったとしても、まったく電気が使えないとなると、非常に不便な状況が想像されます。
太陽光発電を導入していれば、少なくとも発電できる昼間はこうした不便を避けることができます。さらに蓄電池やEVを活用すれば、昼間に発電した電気を貯めておくことも可能です。以下の導入経験者の声にもあるように、停電時でも普段と変わりがない生活を送ることさえ可能です。
【導入経験者の感想】
太陽光発電と蓄電池を設置してから、大規模な停電を経験しました。信号も街灯も消えて真っ暗な中、蓄電池に昼間貯めておいた電気を使えた我が家だけ明るく、エアコンなどもそのまま使え、普段通りの生活をし続けられました。〈神奈川県・40代男性・2017年8月導入/太陽光発電(8.25kW)・蓄電池(11.5kWh)〉
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④電気の節約意識が高まった
2023年1月に実施されたLINEリサーチの調査2)によると、「ふだん、節電を意識してる?」という問いに対し、「意識している」と答えた人は全体の27%、「どちらかといえば意識している」は54%でした。「ふだん、節電のためにやっていることは?」という問の回答では、「こまめに家電のスイッチを切る」が46.3%で1位、続いて「服装を調整する」が44.4%で2位、「冷暖房家電の設定温度を見直す」が37.2%で3位でした。
とはいえ、節電のために役立つことを理解していても、「どの家電がどの程度の電気を使用しているか」を知っている人は少ないかもしれません。導入経験者によると、太陽光発電の導入の思わぬ利点には「電気の見える化」があります。
【導入経験者の感想】
太陽光発電を導入したことで、モニター画面やスマホで家の電気が“見える化”されたため、自然と節電意識が上がりました。発電量や売電量、使用電力量がリアルタイムで見えてわかるので、家族で『掃除機やテレビには何kW使っているのだろう?』と実験していました。〈神奈川県・30代男性・2021年3月導入/太陽光発電(4.97W)〉
参考資料
2)LINEリサーチ「節電のためにやっていることは」
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太陽光発電のよくある後悔
続いて、太陽光発電をつけたことを後悔する人、つけたこと自体は後悔していないけれど、その購入方法などで後悔する人からよく聞かれることを紹介します。
①思ったよりも初期費用の支払いが大変だ
太陽光発電を導入するためには、ソーラーパネル以外にもパワーコンディショナーや架台など、さまざまな設備を組み合わせて設置する必要があります。また、発電量を大きくしようとすればするほど、ソーラーパネルの容量を大きくする必要があり、その分設置費用の総額は上がります。
経済産業省のデータ3)によると、太陽光発電の設置費用(パワーコンディショナーなどの設備も含む)は、新築の場合、2021年が1kWあたり平均28万円となっています。住居用のソーラーパネルの容量は、一般的に3~5kWが多いことから、設置費用の相場は計算上84万~140万円となります。また、リフォームの場合、2021年の設置費用は1kWあたり平均30万2000円でさらに高くなります。
これに加えて家庭用蓄電池を設置する場合、蓄電池・パワーコンディショナーの機器本体費用に加え、設置工事、配線などの費用が発生します。経済産業省の資料4)によると、2019年度の家庭用蓄電池の工事費を含んだ平均的な蓄電システム価格は、蓄電容量1kWhあたり18万7000円です。たとえば、8kWhの蓄電池を設置する場合には、設置費用の相場は計算上、149万6000円となります。
こうしたことから太陽光発電について「思ったよりも初期費用の支払いが大変だ」「高い買い物だった」といった後悔をする人もいるようです。ただし、購入前にしっかりと下調べをし、補助金や助成金を活用した場合には、こうした後悔を避けることができています。
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②期待していたより発電量が少なかった
売電での収入を念頭に太陽光発電を導入したものの、「期待していたよりも発電量が少なかった」というのもよくある声のひとつです。
太陽光発電協会(JPEA)5)によると、住宅の屋根における太陽光発電の1kWあたりの年間発電量は、1000kWhが目安とされています。そのため、1日あたりの発電量の目安は、この1000kWhを365日で割って、約2.7kWhと算出することができます。一般家庭の太陽光発電で使われるソーラーパネルの多くは、システム容量が3〜5kW程度ということを考えると、一般家庭での1日の発電量の目安は約8.2〜13.7kWhだと考えることができます。
注意したいのは、こうした発電量の目安は、さまざまな条件によって変動するということです。たとえば、発電量に大きな影響を与える日射量は、地域によって異なりますし、ソーラーパネルが南向きか東向きかといった方角によっても変わります。
実際に、JPEAも、前述した年間発電量の目安(1000kWh)を算出した条件について、「太陽電池を水平に対して30度傾け、真南に向けて設置した場合の計算例。地域や太陽電池の方位、傾斜角度により発電量が変わります」という注釈を添えています。「期待していたよりも発電量が少なかった」という後悔の裏には、様々な想定条件と実際とで何らかの違いがあった、あるいは、シミュレーションに誤りがあったという事情があるのかもしれません。
参考資料
5)太陽光発電協会(JPEA)「よくあるご質問」
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太陽光発電の導入で後悔しないコツとは?
前述したように、太陽光発電の導入でよくある後悔は以下の2つです。
【よくある後悔】
①初期費用が思ったより高かった
②期待していたより発電量が少なかった
種類の異なる問題のようですが、いずれの場合も調査や検討の不足が要因と思われ、後悔を避けるコツは実は同様です。
【後悔しないコツ】
・十分にリサーチをする
・信頼できる業者に相談する
・機器や業者の比較検討を行う
①「初期費用が思ったより高かった」という後悔に関しては、メーカーや業者によって価格が異なるため、十分に調査した上で比較検討すれば、少なくとも「思ったより」という後悔は避けることができるでしょう。また、国や自治体からの補助金や助成金を利用することで、費用の負担を軽減するのも一手です。また、初期費用を抑えたい場合、リースやPPAという選択肢もあります。
②「期待していたよりも発電量が少なかった」という後悔にもやはりリサーチ不足が推察されます。また、十分にシミュレーションをしても、気象状況によっては試算と異なることがあります。このように発電量のブレがあることも認識しておいた方がいいでしょう。
太陽光発電を導入する上で、最も大切なのは、「信頼できる業者に相談する」こととも言えます。電気工事士などの必要資格やメーカー認定の有無、施工実績、会社の規模、行政指導の対象になったことはないかといった点についてチェックして、業者が信頼に値するかどうかを確認しましょう。
ただし、すべてを業者任せにせず、「十分にリサーチ」をし、「機器や業者の比較検討を行う」ことも大切です。インターネットなどで情報収集をしつつ、設置業者の現地調査結果、作業内容、見積もり、発電シミュレーション、補助金情報などの説明を納得のいくまでしっかり確認し、不明点をなくしましょう。
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