太陽光発電のある家を建てたい!でも何から考えればいい?ハウスメーカーに聞きました!

高砂建設 永島さま

家を新築するとき、太陽光発電の設置を検討している人もいると思います。でも、太陽光発電の導入って考えることも多そう。予算や間取り、設計などで注意点はないのか、そもそもどんな導入方法があるのか、などなど……。そこで、実際に注文住宅を販売するハウスメーカーに取材。太陽光発電を設置する際、どんなことから考えればいいのか聞いてみました!

 

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新築時の太陽光発電の導入、何に注意すればいいの?

今回取材に伺ったのは、埼玉県を中心とした地域で注文住宅を取り扱う高砂建設さん。営業職として、実際に新築住宅を検討するお客さまと対面している永島宏晃さんに、太陽光発電を導入する際の質問をいろいろ投げかけてみました。

 

【今回の取材でお話を聞いた方】

永島宏晃さん/高砂建設

永島宏晃さん/高砂建設 埼玉エリア新都心店の営業担当として、日々、新築住宅を検討するお客さまと向き合う。戸建の営業歴13年。それ以前は現場監督を務めるなど、建築一筋。宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、2級ファイナンシャルプランニング技能士の資格を持つ。

 

最初に考えるのは「初期費用」をかけるか、かけないか

永島宏晃さん/高砂建設

 

さっそくですが、太陽光発電のある新築住宅を建てようと思ったとき、どんなことから考えればいいのでしょうか?

永島さん「まずは予算ですよね。予算を決める上では、太陽光発電の導入方法として『購入』or『リース・PPA』のどちらを選ぶかが重要になります」

「購入」とは、太陽光発電の設備を自分で購入すること。その分、初期費用がかかります。「リース・PPA」は、簡単に言えば、太陽光発電の設備を借りて、月々のサービス利用料を払いながら利用すること。初期費用は基本かかりません。

※PPAとは「Power Purchase Agreement(電力販売契約)」の略称です。詳しくは以下の記事で解説しています。

 

 

ちなみに「購入」を選択した場合、初期費用はどのくらいかかるのでしょうか。

永島さん「これは屋根に載せるソーラーパネルの容量で変わります。一般住宅の場合、3〜4kWのソーラーパネルを載せるのが一般的。あくまで目安ですが、3〜4kWで80万〜100万円程度はかかると考えるのがいいでしょう。容量が大きくなると購入価格も上がります」

「購入」を選ぶ場合、太陽光発電の導入コストを住宅ローンに組み込むイメージになります。

永島さん「一方、『リース・PPA』は初期費用が基本かからず、月々のサービス利用料のみ。故障時の修理費やメンテナンス費も利用料に含まれているので、突発的なコストがかかることはありません。契約期間は10〜15年が多く、月額1万〜1万5000円くらいがひとつの目安になります」

〈図〉PPAとリースの仕組み

〈図〉PPAとリースの仕組み

 

ところで、リースとPPAには違いがないのでしょうか?

永島さん「いくつかありますが、大きい点は『施主さんに直接売電収入が入るかどうか』『サービス利用料の違い』ですね。リースは売電収入が入り、PPAは売電収入が入らないのが基本ですが、その分、PPAの方が利用料は低いケースが多いですね」

東京電力グループでも、リース方式のサービスとして「エネカリ」が、PPA方式のサービスとして「エネカリプラス」があります。

PPA方式のエネカリプラスでは、新築戸建住宅に太陽光発電設備4.6kW+蓄電池4.2kWhを10年契約で導入した場合、利用料は月1万3000円程度、15年契約では月9100円程度です。

 

東京電力グループが提供する「エネカリ」「エネカリプラス」を利用すると、初期費用ゼロ円でソーラーパネルを導入できるうえ、設置からメンテナンス、保証もついているので、維持コストを含めて将来の家計を計画的に設計することができます。

エネカリ」「エネカリプラス」について詳しく知りたい方は以下のサイトをご覧ください。

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※「エネカリプラス」は別途足場代等の費用がかかる場合があります。

 

 

「購入」と「リース・PPA」、9割のお客さまが選ぶのは…

購入 or リース

 

「購入」と「リース・PPA」についてよくわかりました。でも、どちらを選べばいいか迷う人も多くないですか?

永島さん「実はそんなこともないんです。というのも、私たちがお手伝いしたお客さまの中で、太陽光発電を導入した方の約9割は『リース・PPA』を選ばれているんです。初期費用は基本かかりませんし、故障などでの急な出費の心配がなく、光熱費も削減できますから。対して『購入』は、35年の住宅ローンに組み込んだ場合、ソーラーパネルの耐用年数を考えるとローンだけ残る可能性も。『リース・PPA』の方が安全と考える方が多いんです」

実は、いまのような「リース・PPA」の説明をすると、当初は太陽光発電を検討していなかった人も「せっかくなら導入しよう」と考えることが多いのだとか。

永島さん「新築を建てるときの予算計画に大きな変更なく導入できますし、今後の電気代の高騰を見据え、とりあえず導入して毎月の光熱費を安くしたい、あるいは、クリーンなエネルギーで環境にやさしい暮らしをしたいという方が多いですね。もちろん、災害時に使うことを目的として導入する方もいらっしゃいます。実際に当社で新築住宅を建てる方の半数以上、私のお客さまに限っては8~9割は太陽光発電を導入していますね」

太陽光発電に加えて、蓄電池などの機器も導入するべき?

蓄電池も導入すべき?

 

太陽光発電を導入するなら、蓄電池など、電気を有効に使えるプラスαの機器を入れたほうがいいのか? といった疑問もあると思います。

これも悩みそうなポイントですが、考え方のコツはありますか?

永島さん「まずは、太陽光発電を導入する『目的』、言い方を変えると『どのように使いたいか』を明確にするといいでしょう。それが決まれば、導入する機器を考えるのはラクになりますよ」

目的を明確にする……。一体どういうことでしょうか?

永島さん「わかりやすくするために、導入の目的を、大きく3パターン挙げてみます。どれに当てはまりそうか考えるといいでしょう」

そう言って、永島さんは3つのパターンを教えてくれました。

目的 3パターン

 

このように目的を明確にして設備を考えることが大事なのだとか。ちなみにCパターンに出てくる「おひさまエコキュート」とは、日中太陽光発電で発電した電気で効率的にお湯を沸かす給湯機です。

永島さん太陽光発電をさらに効率よく使うコツは、昼間に発電した電気を余らせないこと。使い切るか、蓄電するのが理想です。蓄電するためには、蓄電池が必要ですし、さらに効率よく利用したいなら今年登場したおひさまエコキュートを導入してもいいですね」

なお、電気を使い切る“工夫”として、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV・PHV)を所有して、これらの充電に使うのもいいでしょう。

まずは目的を確認し、その上で設備導入を考えるのがいいかもしれません。

 

 

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さらにチェックすべきポイントは3つ。それぞれの考え方を知ろう!

3つのポイント

 

これ以外にも、新築住宅に太陽光発電を導入する際に考えることはあるのでしょうか?

永島さん「もちろん、ほかにもいろいろあります。代表的なものを挙げるなら、屋根などの『設計面』、新築の土地を探す際の『周辺環境』、そして『補助金』のチェックも忘れてはいけません。ただ、これらも先ほど話した目的と用途がイメージできていれば、考えやすくなりますよ」

ということで、ここからは、「設計面」、「周辺環境」、「補助金」について考え方を聞いていきましょう。

①住宅設計:パネルの容量によって屋根のデザインが制約を受ける場合も

ポイント①住宅設計

 

まずは「設計面」について教えてください!

永島さん「設計面で気にするのは、やはり屋根ですね。たくさんのソーラーパネルを載せたい場合は、なるべく日当たりのいい方向に屋根を広く取ることが重要。一番いいのは『片流れ屋根』でしょうね」

片流れ屋根とは、一枚の屋根が一方向に傾斜しているデザイン。日当たりのいい方角に傾斜させ、ソーラーパネルを並べれば発電量も上がりやすくなります。

永島さん「少量の発電でよければ、屋根のデザインは自由が効きますし、日当たりのいい方角にだけソーラーパネルを少し載せる形も可能です」

ちなみに、屋根以外に間取りや設計で気にすることはないのでしょうか?

永島さん「容量が大きいほど屋根の荷重が増すので、梁や柱の太さなどが変わります。お客さまには設計段階で太陽光発電の容量を確認しています。ただ、間取りに大きく関係するようなことはほとんどないので、ご心配なく」

 

 

②周辺環境:日当たりは十分か、法令による制限がないか

ポイント②周辺環境

画像:Adobe Stock/y-studio

 

次に周辺環境はどう考えればいいのでしょう? 新築の場合、土地探しから始めることも多いと思いますが、注意点はあるのでしょうか?

永島さん「やはり日当たりのいい土地が重要ですね。まずは土地の南側、次に東側西側からどのくらい太陽の光が入るかをチェックします。これも目的によって必要な条件は変わりますね」

たくさん発電したい場合は「南側からしっかり日がとれる環境が必要」とのこと。

一方、少量の発電でよければ日中しっかり太陽の光が入らなくても、東側西側を含めて「1日のどこかできちんと太陽の光が当たる時間があれば大丈夫ですね」と永島さんは言います。

ちなみに、土地探しについてはほかにも気を付けてほしいことがある様子。どんなことでしょうか?

永島さん「法令によって建物の高さや屋根の形状を制限されるエリアがあります。特に確認してほしいのは『第一種低層住居専用地域』。東京都の場合、多くのエリアが該当します。土地を探すときは調べておきましょう」

③補助金:自治体で異なるため、逐次確認を!

ポイント③補助金

画像:Adobe Stock/deepblue4you

 

そして3つ目のポイントは「補助金」について。

永島さん「太陽光発電は、国や自治体から補助金が出るケースがあるので、該当する場合は必ず活用しましょう。国の補助金は各年度の初めに発表されますし、自治体の補助金はそれぞれ内容が異なります。私たちも、お客さまが太陽光を導入する場合は必ず調べておきます」

特に2022年度からは東京都の補助金が手厚いそう。「東京ゼロエミ住宅導入促進事業」1)と「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」2)という2つの補助事業が実施されます。

「東京ゼロエミ住宅導入促進事業」では、一定の断熱性能や省エネ性能の条件をクリアした場合、戸建住宅に対して30万〜210万円/戸の補助が出ますが、その上乗せ補助として太陽光発電設備1kWあたり10〜13万円が支給されます。

また、一定の条件をクリアできなくても、「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」を利用すると、蓄電池などの設置を条件に、新築住宅の場合1kWあたり10万 or 12万円の補助が受けられる場合もあります。

ちなみに、新築住宅の設計段階で、太陽光発電の補助金を考えてやっておくことはあるのでしょうか?

永島さん「ZEH(ゼッチ)住宅にして補助金を申請しようと考えている場合は、最初からそれを踏まえた設計にする必要がありますね」

ZEH住宅とは、断熱性能の向上と大幅な省エネ(省エネ基準比20%以上)を実現しつつ、再エネを導入して年間の一次エネルギー収支のゼロまたはマイナスを目指した住宅のことです。所定の条件を満たせば、2022年度は55万円もしくは100万円の補助金が国から支給されます3)

 

 

太陽光発電の導入でつまずきやすいポイントは?

太陽光発電のついた屋根

画像:Adobe Stock/Orthosie

 

いろいろと考えておく点が挙がりましたが、導入の際、お客さまがよく悩むポイントはどんなところでしょうか?

永島さん「悩みやすいのは、ソーラーパネルの容量と外観デザインの兼ね合いですよね。ソーラーパネルをたくさん載せて発電量を増やすのか、屋根のデザイン性を取るのか。時間をかけて話し合うお客さまは多いですよ」

なるほど、確かにその点は意見が割れることもありそう。だからこそ、「最初に太陽光発電の目的をはっきりさせて、どれだけの発電量を求めるか明確にするのが大切なんです」とアドバイスします。

では最後に、いま太陽光発電を検討されている方にメッセージをお願いします!

永島さん「今後、電気代の高騰が見込まれますし、一方で『リース・PPA』によって、基本初期費用の負担なく太陽光発電を導入できる環境になってきました。これからは、自宅で発電した電気を使う、エネルギーの『自給自足』が進むと思います。新築する際には、お話だけでも聞いておいて損はないと思います」

太陽光発電はいろいろと考えることが多いイメージでしたが、目的や用途を整理し、順序立てて考えれば難しくなさそう。ぜひ、ここでの話を参考にしてはいかがでしょうか。

 

太陽光発電を賢く導入する方法

初期費用などの導入コストをかけない方法として、東京電力グループが提供する「エネカリ/エネカリプラス」を利用する方法があります。

初期費用ゼロ円でソーラーパネルを導入できるうえ、設置からメンテナンス、保証もついているので、維持コストを含めて将来の家計を計画的に設計することができます。

エネカリ/エネカリプラス」について詳しく知りたい方は以下のサイトをご覧ください。

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※「エネカリプラス」は別途足場代等の費用がかかる場合があります。

 

この記事の著者
EV DAYS編集部
EV DAYS編集部