蓄電池を購入したい!選ぶコツは?メーカーの担当者に聞きました!

蓄電池の選び方

太陽光発電を導入しようと考えたとき、同時に家庭用蓄電池の導入を検討する人も多いでしょう。ただ、多数のメーカーからさまざまな種類と容量の蓄電池が発売されているため、どれを選ぶか迷ってしまうのではないでしょうか。そこでEV DAYS編集部が、蓄電池の選び方のコツを専門家に教えてもらいました。

 

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そもそも家庭用蓄電池ってどんなもの?

今回取材に伺ったのは、家庭用蓄電池で高い国内シェアを誇り、白物家電でもおなじみのシャープさん。住宅のエネルギー関連企画事業に携わる五島一樹さんに、家庭用蓄電池を導入する際に浮かぶ疑問をいろいろ投げかけてみました。

 

【今回の取材でお話を聞いた方】

五島一樹さん/シャープエネルギーソリューション株式会社

五島一樹さん(シャープエネルギーソリューション株式会社)
エネルギーマネジメント事業統轄部 エネルギーマネジメント商品企画部 参事。国内住宅用システム機器及び蓄電池の商品企画業務などに従事する。商品企画部一筋14年

▶︎シャープの蓄電池システムに関してはコチラ

 

まずは基礎的なことから聞いてみましょう。そもそも家庭用蓄電池とはどのような設備なのですか?

五島さん「家庭用蓄電池とは、一言でいうと、電気を貯めたり、必要なときに電気機器などに電気を供給したりできる設備のことです。長寿命、エネルギー密度が高い、比較的小型・軽量にできるなどの面から、家庭用の定置型蓄電池にはリチウムイオン電池を使うのが一般的です」

シャープ製の容量6.5kWhの蓄電池

シャープ製の容量6.5kWhの蓄電池。サイズは横幅560mm×高さ575mm×奥行320mmと、エアコンの室外機と同程度の大きさ。

 

家庭用蓄電池は、太陽光発電と相性がいいとよく言われます。これは何と言っても昼間に自宅で消費しきれなかった、太陽光発電でつくった電気を貯めておけるからです。これにより、発電できない夜などに貯めておいた電気を使えるようになります。電気代の値上がりが家計の負担となるなか、災害時の備えだけではなく、電気代の節約に役立つという点でも注目されています。

ちなみに、蓄電池単体でも、電気を貯めて災害時に備えることもできますし、深夜の電気料金単価が安いプランに加入して電気を貯めておく、ということもできるそう。ただし、「効果は限定的になってしまう」と五島さん。そのため、蓄電池を効果的に利用するためには、太陽光発電と一緒に導入するのがおすすめと言えます。

 

 

シャープさんおすすめ! 蓄電池を選ぶ4つのポイント

初めて蓄電池を購入するとき、自宅に適したものはどのように選べばいいのでしょうか?

 

選び方のポイント①日常の電力使用量を考える

家の電気スイッチ

画像:iStock.com/Nickbeer

 

まず気にしたいのは、蓄電池の容量です。これは普段、電気をどのくらい使っているか、で変わってきます。

五島さん「設置される太陽光発電の容量にもよりますが、当社のラインナップで説明しますと、普段の電力使用量が少ないお客さまには4.2kWhの容量を、使用量が大きいお客さまには8.4kWh以上をご提案しています」

「kWh(キロワットアワー)」は、電気の使用量を示す単位。1時間当たりの使用量を表します。ちなみに、東京電力では、一般家庭の平均モデルの電力使用量は月に260kWh、1日あたり約8.7kWhです1)。ただし、家族の人数や導入している設備・機器、電気の使い方、季節によってもかなり変動するため、毎月の電力使用量をチェックして、1日でどのくらいの電気を使っているのかを確かめてみましょう。

 

 

選び方のポイント②停電時の電力使用量を考える

ろうそく

画像:iStock.com/Pheelings Media

 

普段の電力使用量に加え、停電時にどのくらいの電気を使いたいのかも検討材料にするべき、と五島さんは話します。

五島さん停電時の備えは必要最小限でいいと考える場合は、4.2kWhの蓄電池でも対応できます。一方、停電時でも普段と同じくらい快適に過ごしたいとお考えであれば、やはり大容量の蓄電池を選んでいただいたほうが安心ですね」

 

〈図〉停電時の機器使用時間例(2日間使用を想定した1日あたりの使用パターン。満充電蓄電池と太陽光発電4.2kWの併用時)

〈図〉停電時の機器使用時間例

※イラストはイメージです。
※上記例の機器はすべて同時に使えるものではありません。

 

あくまで一例になりますが、シャープさんの試算によると2)、蓄電池容量4.2kWhの場合、1日当たり、冷蔵庫24時間、テレビ3時間、照明5時間、スマートフォン4台の充電が容量的には可能といいます。一方、9.5kWhの場合には、さらにWiFiルーターを24時間稼働できるほか、エアコンを4時間、電気ケトルと電子レンジを各3回ずつ使うことができるそうです。

五島さん「停電時の備えは、蓄電池を設置する大きなメリット。その点を重視するお客さまは多く、中容量から大容量の蓄電池が市場のトレンドとなりつつあります。もちろん、容量が大きくなれば価格も上がりますので、どこまで安心を求めるかとの兼ね合いになるかと思います」

 

 

 

選び方のポイント③停電時の電気の使い方を考える

停電時の電気は「使用量」だけではなく、「使い方」についても考える必要があります。そのキーワードとなるのが、「全負荷」と「特定負荷」です。

 

〈図〉全負荷と特定負荷の違い

〈図〉全負荷と特定負荷の違い

 

「全負荷」の場合、停電時でもすべての部屋と電気機器で蓄電池に貯めた電気を使うことができます。一方、「特定負荷」は100Vの電気をブレーカーの1〜2回路に流し、停電時には事前に指定した部屋や電気機器だけが使える仕様です。なお、最大同時に使える電気は蓄電池やパワーコンディショナー(電気を直流・交流に変換する装置)の最大出力によります。

以前から「特定負荷」はありますが、最近では「全負荷」のモデルが増えています。「特定負荷」のみ対応した蓄電池ではエアコンやIHクッキングヒーターなどの200V機器は使えませんが、「全負荷」では使えるのが利点です。

五島さん停電時でも家中の電気を使いたい場合は、『全負荷』の蓄電池を選ぶ必要があります。停電時にできるだけ長く電気をもたせたい場合には、『特定負荷』が適切です」

停電時にも普段通りの生活ができるという点が非常に便利な「全負荷」ですが、出力が高い分、貯めた電気を使い果たすスピードも早くなります。こちらを選択したい場合は、蓄電池は大容量のものを選んだほうが安心でしょう。

また、停電時の備えという意味では、蓄電池の「残量設定」機能も要確認です。「残量設定」は停電が起きたときに蓄電池に貯めた電気を使えるように、あらかじめ設定した割合の充電残量を、普段使わないように残しておく機能です。

五島さん「これもメーカーによって、初期設定時の数値や設定可能な範囲などが異なります」

 

選び方のポイント④保証について考える

蓄電池の購入にあたっては、「機器保証」と「容量保証」、2種類の保証制度についても確認する必要があります。

 

保証について

 

「機器保証」は文字通り、蓄電池本体の修理や故障への対応です。蓄電池は、多くのメーカーが10~15年程度の期間、保証をつけています。ただし、内容によっては有償となる場合もある点に注意しましょう。

五島さん「保証期間だけでなく、保証の対象範囲が蓄電池本体だけか、リモコンやケーブルなどの周辺機器まで含むかもメーカーによって異なるので、その点も検討材料かと思います」

一方、「容量保証」は充電可能容量の保証です。長期的に使用していくと、蓄電池は劣化し、充電可能容量が下がっていきます。一定のパーセンテージを下回ったときに、修理や交換に対応するのが「容量保証」です。容量の保証は50~70%とメーカーによって数字が大きく異なるので、購入前にチェックしたいところです。

 

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蓄電池を買う前に確認したい! よくある疑問に回答

蓄電池

 

Q.EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)があれば、家庭用蓄電池はなくても大丈夫?

ご存じの方も多いと思いますが、すでにEVPHEVを所有している場合、これを蓄電池として使用することも可能です。では、EVやPHEVがあれば、家庭用蓄電池はなくても大丈夫なのでしょうか?

五島さん「もしも、EVを通勤などで使用し日中自宅にEVがない場合には、太陽光発電の電気を貯めることが難しくなります。その場合にはやはり蓄電池を併設したほうが急な停電への対応としては安心です。また、EVやPHEVは所有しているだけだと、蓄電池代わりには使えません。車と家をつなぐV2Hシステムが必要なので、その点は理解しておきましょう」

 

 

Q.太陽光パネル、蓄電池、パワコン…すべてメーカーは揃えるべき?

蓄電池と併せて太陽光発電を導入する場合、太陽光パネルや蓄電池のほかに、パワーコンディショナーやHEMS(Home Energy Management System:家庭で使うエネルギーを管理・制御・見える化する装置)といった周辺機器があります。これらは同一のメーカーで揃えるべきでしょうか?

五島さん「太陽光パネルがすでに設置されていて、後付けで蓄電池を設置する場合など、事情があって太陽光と蓄電池システムのメーカーがバラバラになるケースはあります。パワーコンディショナーの仕様範囲に対応していれば、使用できない、ということはほぼありません。ただし、メーカーが入り混じると、故障などのサービスで対応ができないことが出てしまう可能性があります。できるだけ同じメーカーで合わせたほうが、そうしたトラブルが最小限に留められると思います」

ちなみにシャープさんの場合は、蓄電池とHEMSをセットで使用すると、AI制御など、さらにかしこく蓄電池を使う機能を活用できるそう。「これは同一メーカーだからこそできる付加機能なので、できればセットで導入していただきたいですね」(五島さん)。

 

まずは「普段と停電時の電力使用量」を考えることから始めよう!

電力使用量

 

これまでのお話をまとめると、まずは普段の電気の使用量を振り返りながら、停電時の電気の使い方を具体的に考えてみることが重要です。そのうえでお財布と相談するようにしましょう。

家庭用蓄電池の設置には高額の費用がかかりますが、地方自治体によっては補助制度を通じて支援しているところもあります。また、設置時の費用に関する不安が大きい方には、初期費用ゼロ円で蓄電池や太陽光発電などを導入する方法もおすすめです。

自身のライフスタイルに合った蓄電池を選んで、もしもの停電や電気代の節約に活用しましょう。

 

初期費用をかけずに蓄電池を導入する方法

蓄電池や太陽光発電を自宅に導入したいけれど、初期費用はかけたくない。そのような場合は、東京電力グループが提供しているサービス「エネカリ/エネカリプラス」がおすすめです。初期費用ゼロ円で自宅に蓄電池や太陽光発電を導入できるうえ、設置からメンテナンス、保証もつくため、維持コストも含めて将来の家計を計画的に設計することができます。

エネカリ/エネカリプラス」について詳しく知りたい方は以下のサイトをご覧ください。

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※エネカリプラスは別途足場代等の費用がかかる場合があります。

 

 

この記事の著者
EV DAYS編集部
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