太陽光発電システムや蓄電池を使ううえで欠かせないのが、パワーコンディショナーです。発電・蓄電した電気を家庭で使えるように変換する重要な機器ですが、もちろん使用期間には限りがあります。この記事では、パワーコンディショナーの平均寿命や交換の目安、費用の相場、メンテナンスの方法など、太陽光発電システムをできるだけ長持ちさせ、おトクに使い続けるためのポイントをわかりやすく解説します。
- そもそも「パワーコンディショナー」とは?
- パワコンの平均寿命はどれくらい?
- 見逃し厳禁! パワコンの異常や寿命を知らせるサイン
- 交換費用の目安
- 長く使い続けるためのコツ
- 日常点検で寿命のサインを見落とさず早めの対処を
そもそも「パワーコンディショナー」とは?
パワーコンディショナーとは、広義の意味において電気を「直流」から「交流」へ、もしくは「交流」から「直流」へ変換するための機器です。英語では「Power Conditioning System」、略して「PCS」と呼ばれますが、日本では「パワコン」と略して呼ぶほうが一般的です。
たとえば、太陽光パネルで発電された電気をパワコンによって直流から交流に変換することで、家庭内で使えるようになります。また、蓄電池に電気を貯める場合もパワコンが必要です。
直流の電気を交流に変換する「インバータ機能」

電気には直流(DC)と交流(AC)があり、電気が流れる向きや大きさ、勢いが異なります。理科の授業で習った人もいるでしょう。太陽光パネルが発電する電気は直流ですが、私たちが家庭で使う電気や、電力ネットワーク(電力系統)を流れる電気は交流です。
そのため、発電された電気を家庭で使ったり、電力会社に売ったりするには、直流から交流に変換しなければなりません。この役割を「インバータ機能」といいます。パワコンの大きな役割のひとつがこのインバータ機能であり、これによって、発電した電気を活用することができるのです。
なお、自宅に太陽光発電と蓄電池がある場合、原理としてはそれぞれに個別のパワコンが必要になります。ただし、両方を兼用するハイブリッド型であれば、パワコンは1つで済みます。ハイブリッド型の場合、発電した直流の電気をそのまま蓄電池に貯めることができ、変換時のロスが少なく済むので、太陽光発電と蓄電池をセットで導入する場合はこちらが主流になっています。
〈図〉単機能型とハイブリッド型のパワコンの違い

太陽光発電システムにおける司令塔
パワコンは、太陽光発電システムを動かす司令塔のような役割も担っています。太陽光パネルの発電出力は、天候や季節によって変動します。パワコンには、発電出力が変動するなかでも、できるだけ多くの発電量を得られるように自動で最適制御するMPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力点追従制御)という機能が搭載されています。
また、停電時には、太陽光発電システムを電力系統から切り離し、非常用電源として運転させる機能もあります。これを「自立運転機能」といいます。自立運転時は、専用コンセントをとおして一般的に最大1500Wまで電気を使えるようになるため、非常時のバックアップ電源とすることができます。現在、ほとんどのパワコンに自立運転機能が搭載されています。
ほかにも、大規模な事業用太陽光発電システムでは、パワコンが電力会社の指示を受けて発電出力を一時的に抑制・停止することがあります。これは、再生可能エネルギーの出力制御と呼ばれ、電気の供給が需要を超えるおそれがあるときに、電気の安定供給を維持するための機能となります。
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パワコンの平均寿命はどれくらい?

パワコンを使い続けられる期間とはどれくらいなのでしょうか? メーカーが公表している寿命の目安をもとに説明します。
パワコンの製品寿命は10〜15年が目安
太陽光発電協会によると、パワコンの寿命は一般的に10〜15年とされています。その一方で、太陽光パネルの平均寿命は20年以上1)と、パワコンよりも長持ちです。しかし、パワコンが故障すると、太陽光パネルに異常がなくても発電された電力を交流に変換できないため、結局は電気を使用できなくなってしまいます。そのため、太陽光発電システムの導入後、10〜15年を目安にパワコンを交換する必要があります。
なお、パワコンの法定耐用年数は17年とされています2)。法定耐用年数とは、会計や税務の観点で、その資産が経済的に利用できるとされる期間であり、おもに減価償却を行う際の基準として用いられるものです。法定耐用年数もひとつの目安とするのがよいでしょう。
パワコンの寿命を左右するおもな要因とは?
パワコンの設置条件や動作温度などは、メーカーが機種ごとに設定しています。たとえば、潮風にさらされない屋外に設置すること、温度は-20〜+40℃の範囲内であることなどです。メーカーの設定する条件から逸脱した環境での使用を続けてしまうと、パワコンの寿命に影響を与える可能性があります。
見逃し厳禁! パワコンの異常や寿命を知らせるサイン

パワコンに異常が起こると、さまざまなサインが現れます。これらのサインを見逃すことなく、適切に対処することがパワコンを長持ちさせるポイントです。また、異常の種類によっては、交換したほうがよいケースも考えられます。
サイン① エラーコードが表示される
パワコンにトラブルが起こると、本体などの液晶モニターにエラーコードが表示されたり、本体のランプが点滅したりします。表示される英数字を組み合わせたエラーコードは、メーカーや機種によってさまざまです。パワコンの取扱説明書には、エラーコードの一覧表などが掲載されているため、確認して対処しましょう。
サイン② 異音が発生する
パワコンから普段はしないような異音がする場合、何らかのトラブルが発生している可能性があります。パワコンには、内部の温度上昇を防ぐために冷却ファンが内蔵されており、ファンの動作音がするのは正常なことです。しかし、いつもと違う音がする場合には注意が必要です。取扱説明書を確認しても解決しない場合には、販売店や工事店に連絡するのがよいでしょう。
サイン③ 発電量が低下する
パワコンが経年によって劣化すると、発電量が徐々に下がる場合があります。ただし、発電量の低下は太陽光パネルに起因するケースもあります。毎年の発電量を比較して、初期の頃に比べて発電量が極端に低下したと感じる場合は、パワコンの寿命を疑ってみましょう。
故障と寿命の違いを見分けるには?
自宅のパワコンにトラブルが起こったとき、修理で済むのか、交換が必要なのかを判断したいと考える人もいるでしょう。前述したサインのなかには、軽微なトラブルを示すものもあります。たとえば、パワコンのモニターに表示されるエラーコードのなかには、停電や電気の復旧を知らせるものがあります。これらは電気の供給が正常になると消え、通常運転に戻ります。こうした事象の場合には、パワコンの故障や寿命を心配する必要はないでしょう。
一方で、エラーコードが表示され、取扱説明書に記載されているとおりに対応しても解消しない場合や、異音が継続する場合には、自分で判断せず、販売店や工事店といった業者に相談するのが賢明です。パワコンは精密な電子機器であり、電気が流れる部品もあります。自己判断で修理をすることは危険なので、絶対にやめましょう。
交換費用の目安
前述のとおり、パワコンの一般的な寿命は10〜15年と考えられており、この時期を迎えたら、交換を検討するのがよいでしょう。パワコンが故障すると結局は発電した電気を使用できなくなってしまいます。太陽光発電システムは、電気を生み出すインフラのひとつであり、非常時のバックアップにもなります。壊れてから対処するのではなく、早めの交換をおすすめします。
交換費用の相場
経済産業省・資源エネルギー庁に設置された「調達価格等算定委員会」が2025年2月に公表した資料によると、容量5kWの太陽光発電システムの場合、2024年のパワコン交換費用の相場は42.3万円となっています3)。前年は34.5万円でしたから、人件費の上昇などを受けて値上がりしたと考えられています。
条件が合えば補助金の活用も可能
自治体によっては、パワコンの交換に補助を行っている場合もあり、交換費用を抑えられる可能性があります。たとえば、東京都はパワコンの更新を対象として、2025年度は機器費と工事費の2分の1(上限10万円/台)を補助しています4)。
長く使い続けるためのコツ

前述したとおり、パワコンの交換費用は決して安いものではありません。できるだけ長く安全にパワコンを使い続けるため、適切なメンテナンスを実施しましょう。
こまめな日常点検
パワコンを長持ちさせるには、取扱説明書に従って点検とお手入れを行うことが大切です。パワコンの上下などにある通風口がホコリやゴミなどでふさがれていないかチェックし、目詰まりしていた場合には、パワコンの運転を止めて掃除しましょう。汚れを防止するため日常的に清掃するだけでなく、台風や地震などの災害の後には、飛来物があたっていないかなどを目視で点検することも大切です。
適切な環境に設置する
前述したとおり、パワコンにはメーカーが定める設置条件があります。パワコンを交換する際にも、こうした条件に適した設置場所であるか改めて確認することが大切です。特に、近年は夏場の気温が極端に高くなることがあり、動作温度を超えるケースがあるかもしれません。気になる場合は、販売店や工事店に相談するといいでしょう。
日常点検で寿命のサインを見落とさず早めの対処を
繰り返しになりますが、パワコンが故障すると太陽光発電システムそのものが機能しなくなります。それはつまり、せっかく発電したクリーンな電気を、自宅で使用(自家消費)することも、売電することもできなくなるということです。
故障してから慌てるのではなく、故障や寿命のサインを見落とさず、早めに対処することが大切です。通風口の清掃などの日常点検を習慣にしつつ、いち早く察知できるようにしましょう。パワコンを安全に長持ちさせ、太陽光発電による、おトクでエコな生活を続けていきましょう。
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