大型連休や夏休みなどに家族で旅行に出かけたい! そう考えている人にとって、時間に縛られず気ままに楽しむことのできるドライブ旅行は魅力的な選択肢です。EV(電気自動車)の場合、以前は充電環境の問題からドライブ旅行に不向きとされていましたが、近年は充電スタンドが設置された施設やEV向け特典などが用意されたサービスも増えてきました。そこで、EVだからこそ行ってみたい、おトクで便利なスポットや施設をまとめて紹介します。
- EVで楽しみたい! 寄り道・観光スポット
- 自然を満喫! EVでキャンプを楽しむサービス・スポット
- 必要な電力をEVでまかなう特別なディナー
- 極上の宿泊体験を! EVが充電できるお宿
- EV旅で得られる「新しい体験」を楽しもう!
EVで楽しみたい! 寄り道・観光スポット
目的地に向かう途中の寄り道はドライブ旅行の醍醐味のひとつです。電車を使った旅なら乗り継ぎに時間がかかるような場所でも、車だったら比較的簡単に立ち寄ることができます。
とくに最近は「充電しながら楽しめる施設」「EVが優遇されるスポット」が増えています。まずは、そうしたEV旅で寄り道したいスポットや利用したいサービスから紹介していきましょう。
富士山を望むアウトレットで充電しながらお買い物
EVは充電に時間がかかるため、ドライブ旅行の際には「ここで充電しよう」という簡単な計画を立てておくと便利です。ただ、道の駅やSA(サービスエリア)で充電する場合は、充電完了までにかかる時間を持て余してしまうこともあるかもしれません。
そこで活用したいのが、充電時間と「何か」をうまく組み合わせる方法です。たとえば、充電設備のあるアウトレットに寄り道すると、充電中に買い物が楽しめるので時間を効率的に使えます。
アウトレットは全国各地にありますが、伊豆や箱根などに出かける人には国内最大級の「御殿場プレミアム・アウトレット」がおすすめ。富士山が見える広大な敷地には、有名ブランドショップや飲食店が約290店も集まり、施設内には日帰り温泉の「木の花の湯」や子どもから大人まで楽しめるミニ遊園地なども併設されています。
充電スタンドは場外P1(大型車両専用)内に急速充電器が1台、普通充電器が2台設置されています。さっと買い物を済ませる場合は急速充電器を利用し、じっくり1日楽しむ場合は普通充電器を利用するなど、用途によって使い分けることも可能です。なお、充電完了後は次の利用者のために車を速やかに移動しましょう。
さらに、日帰り温泉「木の花の湯」や「HOTEL COLAD(ホテルクラッド)」にも充電スタンドがあり、こちらには普通充電器が2台設置されています。温泉利用者、もしくは宿泊者が使うことができます。
施設名 | 御殿場プレミアム・アウトレット |
所在地 | 静岡県御殿場市深沢1312 |
電話番号 | 0550-81-3122 (受付時間 10:00~18:00) |
Webサイト | https://www.premiumoutlets.co.jp/gotemba/ |
EVなら駐車場代が無料! 国立公園で自然・文化を堪能
国立公園は、美しい自然、動植物、歴史文化などを日本の宝として未来に引き継いでいく役割を担った景勝地です。ドライブ旅行に出かけたとき、目的地に向かう途中や滞在地の近くに国立公園があるなら、ぜひ立ち寄りたいスポットと言えるでしょう。
国立公園の駐車場を利用する場合、ガソリン車などは駐車料金がかかりますが、EVなら全国12の国立公園と国民公園の駐車場を無料で利用することができます(詳しくはこちらをご覧ください)。
関東近郊の国立公園で駐車料金が無料なのは、世界遺産に登録された神社仏閣などの歴史的建造物と、それを取り巻く四季折々の美しい自然景観が見どころの「日光国立公園」です。
EVの駐車料金が無料となるのは、湯ノ湖から流れ落ちる高さ70m、長さ110mの滝で有名な湯滝の駐車場。栃木県方面にドライブ旅行に行く人は利用してみてください。
施設名 | 日光国立公園 |
問い合わせ先 | 環境省 日光湯元ビジターセンター |
電話番号 | 0288-62-2321 |
Webサイト | http://www.nikkoyumoto-vc.com/road/parking.html |
EVは規制の対象外! 夏の富士スバルラインをドライブ
山梨県は東京都や神奈川県などからアクセスしやすく、首都圏に住む人がドライブ旅行に出かけやすい場所のひとつです。とくに山梨県側から富士山に行く際のゲートウェイとなる「富士スバルライン(富士山有料道路)」は絶好の観光スポットと言えます。
もっとも、富士スバルラインは人気であるがゆえに渋滞することが多く、毎年夏の一定期間、富士山の自然環境保護を目的としたマイカー規制が行われるのが通例です。2022年も7月15日午後6時から8月31日午後6時まで乗用車の通行が規制される予定です。
しかし、この規制はあくまでガソリン車などが対象で、EVはマイカー規制から除外されています。EVに乗っている人なら、夏休みなどに富士スバルラインをドライブして富士五湖などの景色を楽しむことができるわけです。
マイカー規制の実施期間に富士スバルラインを走るには、富士山パーキング(富士北麓駐車場)で確認証の交付を受ける必要があります。詳しい情報を知りたい方は、窓口である山梨県観光文化部世界遺産富士山課に問い合わせてみるといいでしょう。
施設名 | 富士スバルライン |
問い合わせ先 | 山梨県観光文化部世界遺産富士山課 |
電話番号 | 055-223-1316 |
Webサイト | http://subaruline.jp/eigyou/my_car.html |
フェリーでゆったり過ごしながらEVを充電
ここまでは首都圏在住の人向けを中心にEV旅で寄り道したい施設や使いたいサービスを紹介してきましたが、関西圏・九州圏にもドライブ旅行に行く際にぜひ利用したいEV向けサービスがあります。
それは大阪南港と北九州門司港間で瀬戸内海を夜間クルージングするフェリー旅行です。じつは、このクルージングを提供している名門大洋フェリーは、現在就航している4隻のフェリーにそれぞれ10基のEV用普通充電器を設置しています。
フェリーに充電器があれば、船旅ならではのゆったりした移動時間を利用してEVを充電し、翌朝に満充電の状態で目的地に向けて旅をスタートできます。旅の途中にもかかわらず、まるで自宅で行うようにEVを充電できるわけですから、これはありそうでなかった画期的なサービスと言えるかもしれません。
施設名 | 名門大洋フェリー |
乗り場 | 大阪府大阪市住之江区南港南2丁目2-24 (大阪南港フェリーターミナル) |
電話番号(問い合わせ先) | 050-3784-9680 (名門大洋フェリー 旅客予約センター) |
Webサイト | https://www.cityline.co.jp/terminal/osaka |
自然を満喫! EVでキャンプを楽しむサービス・スポット
ドライブ旅行だけでなく、キャンプ旅行もEVだからこそ楽しみたい旅のひとつです。EVは大容量のバッテリーを搭載しているので、ガソリン車のキャンプでは使えなかった電化製品を使用できます。キャンプに電化製品を導入すれば荷物が少なくなり、キャンプ地で手軽かつ快適に過ごせるメリットがあります。
ただし、EVを所有する人でなければEVキャンプを楽しめないわけではありません。最近では、EVキャンピングカーをレンタルできるサービスや、EV用充電スタンドが設置されたトレーラーハウスに宿泊できるキャンプ場も登場しています。
EVキャンピングカーでペットと一緒に旅をする
EVはガソリン車などに比べると車種が多くありません。ましてやEVのキャンピングカーとなると、なおさら数は少なくなります。そこで有力な選択肢となるのが、キャンプ旅をしたいときにだけEVキャンピングカーをレンタルすることです。
たとえば、ペット専用レンタルキャンピングカーを展開する「Pet-RV」の山中湖店では、日産の商用EV「e-NV200」をベースにしたキャンピングカーをレンタルしています。バッテリー容量24kWhで、実質の航続距離は100kmほどですが、山中湖周辺をドライブするだけなら十分な性能です。むしろEVキャンピングカーのメリットは、夏の暑い時期にキャンプサイトに停車しているときも静かにエアコンを利用できることでしょう。
ペットと一緒にキャンプ旅に行く場合も、エンジン車のような臭いや振動がないのでペットもリラックスできるはずです。もちろん、車両後部の荷室にもAC100Vのコンセントが設置されているので、料理に電化製品をフル活用することが可能です。
施設名 | Pet-RV 山中湖店 |
貸し出し場所 | 山梨県南都留郡山中湖村3072-14 |
電話番号 | 0466-47-4500(本社) |
Webサイト | https://www.pet-rv.com/yamanakako |
充電しながら憧れのトレーラーハウスに宿泊
さらなる快適さを求めるなら、キャンピングカーではなくトレーラーハウス(キャンピングトレーラー)を利用する方法もあります。トレーラーハウスとは居住に特化した車両空間で、言わば「移動する家」です。
トレーラーハウスと聞くと牽引するのが大変と思うかもしれませんが、豊かな自然に囲まれた埼玉県の長瀞町には、アメリカ直輸入のトレーラーハウスに宿泊できるキャンプ場があります。自分の車でトレーラーハウスを牽引することなく、大自然のなかでこうしたアメリカンカルチャーを体験できる機会はそう多くありません。
このキャンプ場には普通充電のEV用充電スタンドが設置されているので、キャンプ場の行き帰りに充電スポットを探したり、バッテリー残量を心配したりする必要が少なくなる点も助かります。
施設名 | Forest Sons Nagatoro |
住所 | 埼玉県秩父郡長瀞町大字本野上363 |
電話番号 | 0494-26-6111 |
Webサイト | http://forestsons.jp/ |
必要な電力をEVでまかなう特別なディナー
旅といえば観光だけでなく食も欠かせません。とはいえ、せっかくEVで旅をする以上は、環境意識の高い空間で特別な食事を楽しみたいもの。そういう意味で、EV旅にうってつけなのが、雄大な大自然に囲まれながらエコなグランピングディナーを楽しめる中部山岳国立公園内の「乗鞍 星と月のレストラン」です。
自然と一体となったフレームレス透明ドームの空間
「星と月のレストラン」は、単なるお店というより、EVを活用したこれまでにない観光体験プログラムと位置づけられています。
レストランの会場となっているのは、中部山岳国立公園内に設置された自然と一体となったフレームレス透明ドーム。このロケーションのなかで、信州プレミアム牛や地元の山菜など、信州産にこだわったメニューとドリンクを地元出身のコンシェルジュのサービスとともに心ゆくまで堪能する趣向となっています。
「星と月のレストラン」は会場内の明かりや調理に必要な電力をすべてEVのバッテリーでまかなっていますが、それでいてラグジュアリーな空間を演出しているのが特徴です。この体験プログラムは毎年期間限定で実施されており、今年は2022年10月31日までなので、興味のある方は早めに申し込んでみるといいでしょう。
施設名 | 乗鞍 星と月のレストラン |
問い合わせ先 | 信州未来づくりカンパニー 長野県松本市安曇大野田122-1 |
電話番号 | 0263-94-2323 |
Webサイト | http://shinshu.miraidukuri.jp/program/alpsev/ |
極上の宿泊体験を! EVが充電できるお宿
ドライブ旅行の大きな楽しみのひとつが、上質なホテルや旅館に泊まることです。とくにずっと車を運転していたドライバーならば、ワンランク上の空間で心も体もリラックスしたいと思うことでしょう。そこで最後に「EVで行きたい充電できるお宿」を紹介します。
テスラSCを4基も備えた信州の高級ホテル
EVが普及し始めるとともに充電スタンドを設置したホテルや旅館も増えてきました。しかし、設置されていても普通充電器が1基だけというケースも多いようです。
そういう意味では、歴史文化が色づく長野市松代町の「ロイヤルホテル長野」は特筆すべきホテルと言えます。ここにはテスラスーパーチャージャーが4基、急速充電器が1基、普通充電器が2基と、合計7基の充電スタンドが設置されています。
テスラスーパーチャージャーは現在のところテスラ車しか利用できませんが、それでも設置されているホテルはそう多くありません。急速充電器と普通充電器を合わせて計3基の充電スタンドがある点もテスラ以外のEVオーナーにはありがたいでしょう。
ホテルそのものも高級感があり、長野インターチェンジから約1kmの好立地なので信州観光の拠点には最適。信州にドライブ旅行に行くならここはチェックしておくべきかもしれません。
施設名 | ロイヤルホテル長野 |
所在地 | 長野県長野市松代町西寺尾1372-1 |
電話番号 | 026-278-1811 |
Webサイト | https://www.daiwaresort.jp/nagano/index.html/ |
星野リゾートのラグジュアリーな温泉旅館で体を休める
さらに、より上質な空間で長距離ドライブに疲れた体を癒やしたいのなら、星野リゾートが全国に展開する高級温泉旅館ブランド「界」を利用する選択肢もあります。
なかでも関東近郊に出かける方におすすめなのが、オーシャンビューを味わえる伊東市の「界 アンジン」、箱根湯本の旧街道沿いに佇む「界 箱根」の両施設です。いずれも普通充電器の充電スタンドを備えているので、EVユーザーも安心して体を休めることができます。
特筆すべきは、「界 アンジン」「界 箱根」ともに非日常感を堪能できるラグジュアリーな温泉旅館でありながら、サステナビリティを意識した環境にやさしい施設である点でしょう。
雄大な太平洋を目一杯感じたり、芦ノ湖越しの富士山を眺めに足を伸ばしたり…。いずれにしても、伊東や箱根にドライブ旅行に出かける予定があるなら、宿泊を検討してみる価値がありそうです。
施設名 | 界 アンジン |
所在地 | 静岡県伊東市渚町5-12 |
電話番号 | 0570-073-011 (界予約センター) |
Webサイト | https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaianjin/ |
施設名 | 界 箱根 |
所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋230 |
電話番号 | 0570-073-011 (界予約センター) |
Webサイト | https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaihakone/ |
EV旅で得られる「新しい体験」を楽しもう!
EVがドライブ旅行に向かないというのは過去の話です。ご紹介したように、現在は多くのレジャー施設や宿泊施設に充電スタンドが用意されていますし、多くのEVは目的地をセットすればバッテリー残量と移動距離を計算して適切な充電スポットを教えてくれます。
また、アクセルを踏むと瞬時に反応するEVは非常に運転しやすく、渋滞時など、長距離ドライブにおけるドライバーの負担やストレスが比較的少ないという利点があります。EV向けの特典などが用意されたサービスの多さも考えると、むしろドライブ旅行は「EVだからこそ行きたい旅」と言えます。きっとこれまでになかった新しい体験を得られる機会となることでしょう。
まだEVを所有していない場合は、EVをレンタルしてドライブ旅行に出かけるのもひとつの手です。大手レンタカーの多くはEVをラインナップしていますし、EVのレンタカーは返却時にガソリン車のような「満タン返し」をする必要がないのでおトク感もあります。
本記事を旅先の参考にして、この夏はEVに乗ってドライブ旅行を楽しんでみてはいかがでしょうか。