おひさまエコキュートを理解する5つの質問〜エコキュートと何が違うの?〜

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太陽光発電の普及とともに、発電した電気で効率よくお湯を沸かす「おひさまエコキュート」が注目されています。しかし、特徴や機能が理解しにくく、「通常のエコキュートと何が違うの?」という声がよく聞かれるのも事実です。そうした声に応えるべく「おひさまエコキュートの5つの疑問点」についてEV DAYS編集部が解説します。

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【疑問1】通常のエコキュートとおひさまエコキュートは、何が違うの?

さっそくですが、多くの方が最初に直面する疑問を解決していきましょう。ズバリ、「通常のエコキュート」と「おひさまエコキュート」は何が違うのでしょうか?

そもそもエコキュートとは、空気に含まれる熱を使って効率よくお湯を沸かす「貯湯式のヒートポンプ給湯機」のことです。

空気に含まれる熱を少ない電気でポンプのように汲み上げる「ヒートポンプ」という仕組みを利用して、効率よくお湯をつくり、貯湯タンクに貯めておき、必要に応じて給湯します。この点は通常のエコキュートもおひさまエコキュートも変わりません

〈図〉エコキュートの基本の仕組み

エコキュートの仕組みのイメージ図

 

ただ、大きく違うのはお湯を沸かす時間帯です。

通常のエコキュートは“おもに夜間にお湯を沸かし”ますが、おひさまエコキュートは“おもに昼間にお湯を沸かし”ます。

〈図〉お湯を沸かす時間帯の違い

お湯を沸かす時間帯の違いを表す図

 

そもそも、通常のエコキュートは「夜間の電気代が安い電気料金プラン」とセットで利用するのが基本です。そのため、おもにおトクな時間帯(=夜間)にお湯を沸かして、貯めておきます。

ちなみに、通常のエコキュートは「夜間蓄熱式機器※1」に該当するため、夜間※2がおトクなオール電化住宅向けの電気料金プランに加入することができます。

 

※1:主として夜間時間に通電する機能を有し、通電時間中に蓄熱のために使用される機器をいいます。
※2:安くなる夜間の時間帯は深夜時間帯の場合が多く、プランによって時間帯は異なります。

 

一方で、おひさまエコキュートは「太陽光発電でつくった電気を使うこと」を目的にしているので、おもに発電量の多い昼間にお湯を沸かします。「夜間蓄熱式機器」ではないおひさまエコキュートも、おひさまエコキュート向けの電気料金プランとセットで利用するのがおススメとなります。

もちろん、通常のエコキュートも従来の電気温水器やガス給湯器と比較すると効率的にお湯を沸かせるのですが、おひさまエコキュートは太陽光発電のある家庭でもっとおトクになるように設計されている給湯機なのです。

 

 

【疑問2】通常のエコキュートの「昼間の沸き上げ機能」とはどう違うの?

ただ、エコキュートに詳しい方なら、ここで疑問が浮かぶはずです。「エコキュートにも、昼間の沸き上げ機能ってあるよね?」と…。

そのとおりで、通常のエコキュートでも昼間にお湯を沸かすことは可能です。太陽光発電を付けた家なら使いたいですよね。多くのメーカーのエコキュートは、太陽光発電の電気でお湯を沸かす機能を備えているのです。

この機能があれば、通常のエコキュートでも夜間の沸き上げ量を減らして、その分を昼間にシフトして沸かすことができます。ちなみに、昼間の沸き上げ機能の名称はメーカーごとに異なります。

〈表〉おもなメーカーの「昼間の沸き上げ機能」の名称

メーカー

名称

コロナ

ソーラーモード 1)

ダイキン

昼間シフト 2)

長府製作所

ソーラーアシストモード 3)

パナソニック

ソーラーチャージ 4)

三菱電機

お天気リンクEZ  5

※メーカー名は50音順

 

そう聞くと「通常のエコキュートとおひさまエコキュートとの違いがますますわからなくなった」と感じる人もいるでしょう。

しかし、ポイントになるのは、先ほど沸き上げの時間帯でお伝えした“おもに”という言葉です。

昼間の沸き上げ機能があるといっても、通常のエコキュートは太陽光発電の余剰電力がある場合に、手動や自動によって沸き上げを昼間に分散させることができるというだけです。

あくまでも、お湯を沸かす時間帯は電気代の安い「夜間」に重点が置かれています

〈図〉通常のエコキュートの昼間の沸き上げ機能の位置付け

通常のエコキュートの昼間の沸き上げ機能の位置付けの図

夜間の沸き上げが中心の通常のエコキュートと、太陽光発電でつくった電気を最大限使って昼間にお湯を沸かすことを前提にしているおひさまエコキュートとでは、設計思想が大きく異なっているのです。

 

通常のエコキュートの「昼間の沸き上げ機能」は料金が割高になる!?


また、通常のエコキュートで昼間に沸き上げるときにはリスクもあります。前述のとおり通常のエコキュートは夜間の単価が安い電気料金プランを基本適用しますが、そういったプランは逆に昼間の単価が割高になっているのが一般的です。

そうすると、天気予報が万が一外れて雨などにより発電しなくなると、沸き上げるのに足りない電気を割高な単価で買うことになります。せっかく経済的メリットを出そうとしたはずが、逆の結果を引き起こすことになりかねません。

ちなみに、おひさまエコキュート向けの電気料金プランは一般的にその点が考慮されているため、心配は不要です。

 

 

 

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【疑問3】おひさまエコキュートはどのくらい電気料金がおトクになる?

ここまで説明したとおり、おひさまエコキュートは太陽光発電のある家庭に最適化した給湯機です。そのため、通常のエコキュートと比べて、電気代の削減効果が期待できます。

では、おひさまエコキュートでどれくらい電気代がおトクになるのでしょうか?

じつは主要メーカーが共同で行った検証結果があります。その検証によると、おひさまエコキュートでは通常のエコキュートと比べて約21%、金額にすると年間1万589円の電気代を削減できるという結果が出ています6)

〈図〉給湯にかかる光熱費の比較(年間)

給湯にかかる光熱費の比較グラフ

 

【試算条件】

●試算料金メニュー
通常のエコキュート:東京電力エナジーパートナー「スマートライフプラン」
おひさまエコキュート:東京電力エナジーパートナー「くらし上手L」

※基本料金(給湯分)は、基本料金(全体)を給湯と給湯以外の買電電力量で按分します。
※従量料金には料金メニューの単価に再エネ賦課金(2022年度単価:3.45円/kWh)を加算し、自家消費した分については、太陽光発電の余剰電力買取単価である17円/kWh(2022年度)として算出しました。

 

また、東京電力エナジーパートナーでも独自に給湯機別の年間光熱費を試算しています7)。それによれば、新築住宅へ導入の場合、通常のエコキュートの給湯費用が4万6400円なのに対し、おひさまエコキュートは1万5400円(自家消費分は0円として試算)と、おひさまエコキュートでは通常のエコキュートと比べて年間3万1000円の給湯料金を削減できる結果となっています。

もちろん、太陽光発電の発電量や自家消費の状況はご家庭によって異なりますが、年間数万円ほどの経済メリットの差が生じる可能性はあるでしょう。

〈図〉給湯機別の年間光熱費試算(新築住宅)

給湯機別の年間光熱費試算グラフ

 

【試算条件】

●建物条件:木造住宅 地上2階 4LDK 120.08㎡
●家族人数:4人
●断熱性能:住宅品確法断熱等性能等級 等級5相当(ZEH水準)
●地域区分:6地域(東京)
●電気料金:ガス併用住宅「スタンダードS(60A)」電化住宅「スマートライフL(10kVA)」「くらし上手L(10kVA)」
●都市ガス料金:「東京ガス 一般料金」(2023年4月1日実施料金)
●太陽光発電システム:5.25kW(パネル方位:真南から西へ45度)
●給湯機器:ガス併用住宅/潜熱回収型ガス給湯器、電化住宅/エコキュート(効率3.4)、おひさまエコキュート(効率3.4)
●暖冷房機器:エアコン
●調理機器:ガス併用住宅/ガスコンロ、電化住宅/IHクッキングヒーター
●浴室乾燥暖房機:ガス併用住宅/ガス式、電化住宅/電気式

*燃料費調整額や原料費調整額、口座振替等の割引の適用状況、ご使用状況等によってはおトクにならない場合があります。
*年間料金は100円未満切り捨てとしています。
*電気料金には、再生可能エネルギー発電促進賦課金(2024年5月分から2025年4月分)を含みます。
*電気料金は2024年4月1日改定料金で試算しています。(電気料金には2024年5月分の燃料費調整額を含みます。)
*ガス料金は2023年4月1日実施料金で試算しています。(ガス料金には2024年5月分の原料費調整額を含みます。)
*国の電気・都市ガス料金軽減措置による値引きは含まれていません。
*太陽光発電の買取単価は、2024年度の16円/kWhで算定しています。
*東京電力エナジーパートナーのシミュレーションソフトにて試算しています。
*金額はすべて税込となります。

 

 

 

【疑問4】おひさまエコキュートにしたら、電気料金プランも変えるべき?

おひさまエコキュートに関する疑問を解消していくと、とくにエコキュートを現状利用されている方は、「いまの電気料金プランのままでいいの?」という疑問が浮かんでくることでしょう。

というのも、前述 のように、通常のエコキュートは、夜間の電気代が安い電気料金プランとセットで利用するのが基本ですし、おトクです

一方で、おひさまエコキュートの場合、おもに昼間にお湯を沸かすため、夜間の電力消費量はあまりありません。夜間の単価が安い電気料金プランは、一般的に昼間の単価が逆に割高なので、同様の電気料金プランのままだと損をしてしまう可能性があるのです。

〈図〉夜間の電気代が安い電気料金プランとの組み合わせ

夜間の電気代が安い電気料金プランとの組み合わせの図

 

そこで利用したいのが、太陽光発電の発電量が足りないときも安心して電気を使える、おひさまエコキュート向けの電気料金プランです。

たとえば、東京電力エナジーパートナーの電気料金プラン「くらし上手」8)(太陽光発電・おひさまエコキュートの併用者専用プラン)では、一定の電力量までを定額に設定しているほか、夜間と昼間の電気料金単価の違いはありません。そのため、発電量が足りず、購入した電気を使ってお湯を沸かしても、割高な料金を支払う必要はありません。

〈図〉電気料金プラン「くらし上手」の料金表(一部抜粋)

電気料金プラン「くらし上手」の料金表

1カ月ごとの料金(税込)を指します。また、実際の電気料金は、各表中の電力量料金に燃料費調整額および再生可能エネルギー発電促進賦課金を加えて算定します。

 

 

ただし、おひさまエコキュート向けの電気料金プランはすべての地域で加入できるわけではなく、残念ながらまだ提供されていない地域もあるのが現状です。東京電力エナジーパートナーの「くらし上手」の場合、関東エリアでおひさまエコキュートと太陽光発電の両方を導入している住宅を対象としていますが、地域によってはおトクなプランを選べない場合があるので注意しましょう。

 

 

 

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【疑問5】メーカーによって、おひさまエコキュートにどんな違いがあるの?

最後に、おひさまエコキュートの導入検討を進めるにあたって、メーカーでの違いを簡単に紹介しましょう。

2024年9月時点で、おひさまエコキュートを取り扱っているメーカーは、コロナ、ダイキン、長府製作所、パナソニック、三菱電機の5社が挙げられます。

おもに昼間にお湯を沸かす機能はもちろんですが、貯湯タンクの容量や給湯タイプはどのメーカーでも共通しています。

 

貯湯タンク容量 370L(3〜5人向け)と460L(4〜7人向け)の2種類
給湯タイプ フルオート(お湯はりから保温、足し湯まですべてお任せの全自動タイプ)

 

ただし、メーカーによって機能に多少の違いがありますので、以下をチェックしてみてください。

 

Ⅰ.コロナ


コロナのおひさまエコキュート9)の特長は、浴室外のリモコンで入浴している人の状況がひと目でわかるなど、便利なお知らせ機能が充実している点です。また、貯湯ユニット内に耐腐食性と耐久性が高いステンレス配管が使用されているので、長く安心して製品を使用することができます。

 

型番 CHP-37AY5V CHP-46AY5V
貯湯タンク容量 370L 460L
最高給湯圧力(最高使用圧力) 190kPa
年間給湯保温効率(JIS) 3.3
省エネ基準達成率 94%

 

Ⅱ.ダイキン


ダイキンのおひさまエコキュート10)は、天気予報と連動※3して沸き上げのタイミングを晴れの時間帯に自動でシフトしてくれる「天気予報連動」などが特長です。また、最高330kPaで給湯することのできる「パワフル高圧給湯」や深紫外線でお湯を除菌する「おゆぴかUV」、微細な泡が出る「ウルトラファインバブル入浴」※4など機能も充実しています。なお、唯一、耐塩害仕様も用意されています。

 

型番 EQA37YFPV EQA46YFPV
貯湯タンク容量 370L 460L
最高給湯圧力(減圧弁設定圧力) 330kPa
年間給湯保温効率(JIS) 3.6
省エネ基準達成率 102%

※一般地仕様の機器

 

※3:[2022年モデル]以前の機種ではご利用いただけません。/自家消費時間帯のなかで沸き上げのタイミングを調整します。/気象情報会社から提供される気象情報に基づいて沸き上げを行います。/天気予報通りにならなかったときは、購入する電力が増える場合があります。/システムの不具合等により、サービスがご利用いただけない場合があります。/アプリのサービスは、予告なく変更・終了する場合があります。
※4:別売のウルトラファインバブルアダプターが必要です。

 

 

Ⅲ.長府製作所


長府製作所のおひさまエコキュート11)は、狭隘な場所にも設置できるスリムタイプや寒冷地仕様を唯一設定しているなど、ラインナップの豊富さが特長です。また、浴室外のリモコン画面に、異常・故障が起こった場合にエラーコードとともに二次元コードが表示される点も大きな特長です。コードをスマホで読み取ると処置方法を調べることのできるWebページが開く仕組みで、取扱説明書やサポート情報を確認することができます。

 

型番 EHP-3704AZP-PV(スリム) EHP-3704BX-PV EHP-4604BX-PV
貯湯タンク容量 370L 460L
最高給湯圧力(減圧弁設定圧力) 330kPa 170kPa
年間給湯保温効率(JIS) 3.5 3.3 3.4
省エネ基準達成率 100% 94% 97%

※一般地仕様の機器

 

Ⅳ.パナソニック


パナソニックの製品の特長12)は、アプリを通じて翌日の日射量データを取得し、発電量の増加が予想される時間帯を中心に沸き上げる「日射量シフト」を業界で初めて搭載した点です。また、台風や豪雨、大雪などに備えて警報・注意報などをあらかじめ登録しておくことで、発令時に自動でたっぷりのお湯を確保する「エマージェンシー沸き上げ」機能も搭載されています。

 

型番 HE-YU37LQV HE-YU46LQV
貯湯タンク容量 370L 460L
最高給湯圧力(減圧弁設定圧力) 325kPa
年間給湯保温効率(JIS) 3.5
省エネ基準達成率 100%

※シャワー圧が「ウルトラ高圧」タイプの機器

 

Ⅴ.三菱電機


三菱電機のおひさまエコキュート13)は、最高290kPaの「ハイパワー給湯」を備えているほか、おひさまエコキュートのなかで年間給湯保温効率が3.6と最高クラスである点が特長です。また、万一の断水等の際には、貯湯ユニット内のお湯(水)を生活用水として活用できますが、脚部カバーを外さずに、取水窓を開けて非常用取水栓にカンタンアクセスできる「パカッとハンドル」もいざというとき安心です。

 

型番 SRT-B376U-PV SRT-B466U-PV
貯湯タンク容量 370L 460L
最高給湯圧力(減圧弁設定圧力) 290kPa
年間給湯保温効率(JIS) 3.6
省エネ基準達成率 102%

 

 

太陽光発電があるなら、おひさまエコキュートにするのがおすすめ!

おひさまエコキュートは、通常のエコキュートと比べて約6〜9%の省エネ性能向上が見込めるなど(東京電力エナジーパートナー調べ)、電気代のさらなる節約効果を期待できるとともに、太陽光で発電した電気を使うため、環境負荷の軽減にもつながります。

本体価格は通常のエコキュートよりやや高めですが、経済産業省などが行う「住宅の省エネリフォーム支援(住宅省エネ2024キャンペーン)」の「給湯省エネ2024事業」では、おひさまエコキュート1台あたり12万円もしくは13万円の補助が受けられるのは魅力です14)

また、導入費用がどうしても気になる場合は、初期費用ゼロで太陽光発電やおひさまエコキュートを導入できるサービスもあります。新築住宅や既設住宅にかかわらず、給湯機の購入や買い替え、リフォームを考えているなら、おひさまエコキュートの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

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「エネカリ」は、おひさまエコキュートや太陽光発電などの導入を手軽にしてくれる東京電力グループ・TEPCOホームテックのサービスです。

初期費用はゼロ円で、毎月、定額の利用料を支払うだけで、おひさまエコキュートや太陽光発電などの機器を導入できます。また、契約期間が満了すると、機器を無償で譲り受けることができるのです。

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この記事の著者
EV DAYS編集部
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