おひさまエコキュートとは?特徴やメリットとデメリットを解説

おひさまエコキュートのイメージ

太陽光発電の電気を使ってお湯をつくる「おひさまエコキュート」は、発電した電気を賢く使うのに役立ちます。昼間の暖かい空気の熱を使ってお湯を沸かすため、効率がよく放熱ロスも少なく、エネルギーをより有効に活用することができます。そこで、本記事では「おひさまエコキュート」について、導入のメリットやデメリット、メーカー5社の製品などを解説します。

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おひさまエコキュートとは

「おひさまエコキュート」とは、太陽光発電の電気を活用して、昼間にお湯を沸かす給湯機です。以下で詳しく説明します。

 

通常のエコキュートとの違いは?

〈図〉ヒートポンプの仕組み

ヒートポンプの仕組み

 

そもそも、エコキュートとは、空気の熱を使って効率よくお湯を沸かすヒートポンプという仕組みを用いる貯湯式の高効率電気給湯機」です。空気に含まれる熱と電気の力を組み合わせてお湯を沸かすので、電気のみでお湯を沸かす電気温水器よりもエネルギーを使用する量が少なくてすみます。

〈図〉通常のエコキュートとおひさまエコキュートの使い方

使い方

 

通常のエコキュートは、一般的に夜間の電気代を割安に設定している電気料金プランとセットで利用するため、電気代が安くなる夜間に電気を利用してお湯を沸かします。これに対して、おひさまエコキュートは、太陽光発電でつくった電気を使って昼間にお湯を沸かすため、省エネ性が高く、太陽光発電の電気を無駄なく使うことができます。

なお、おひさまエコキュートは2022年に登場したばかりの新しい製品です。そのため、通常のエコキュートはタンク容量が200〜550L以上まで幅広く、機能も多様ですが、おひさまエコキュートはどのメーカーの製品でも、タンク容量は370Lと460Lの2種類で、湯はりや保温を自動で行うフルオートタイプなど売れ筋のラインナップのみとなっています。

 

 

おひさまエコキュートを導入すると電気代はどれくらい変わる?

おひさまエコキュートを導入すると、通常のエコキュートを使用する場合と比べて一般的に電気代を削減することができます。参考として、給湯機メーカーが行った試算結果から、どれくらい電気代を削減できるのか紹介します1)

〈図〉給湯にかかる光熱費の比較(年間)

光熱費グラフ

 

東京電力エナジーパートナーの電気料金プランを用いて試算した場合、おひさまエコキュートでは、通常のエコキュートと比べて約21%、金額にすると年間1万589円の電気代を削減できる結果になります。

 

【試算条件】

試算料金メニュー

・従来形エコキュート:東京電力エナジーパートナー「スマートライフプラン」 

・おひさまエコキュート:東京電力エナジーパートナー「くらし上手L」 基本料金(給湯分)は、基本料金(全体)を給湯と給湯以外の買電電力量で按分。

従量料金には料金メニューの単価に再エネ賦課金(2022年度単価:3.45 円/kWh)を加算。自家消費した分については、太陽光発電の余剰電力買取単価である17 円/kWh(2022年度)として算出。

 

 

初期費用はどれくらい?

おひさまエコキュートを導入するには、機器本体の価格に加えて、設置工事などの費用が必要です。おひさまエコキュート(370L)の本体希望小売価格は、おおよそ税込100万円前後です(2024年1月現在。実勢価格とは異なります)。工事の費用は住宅の状況などによって異なるため、業者に見積もりを取って確認するのがよいでしょう。

また、おひさまエコキュートは太陽光発電とセットになりますので、太陽光発電をまだ備えていない場合は、その設置費用もかかります。太陽光発電の設置費用はソーラーパネルの枚数にもよります。経済産業省のデータによると、太陽光発電の設置費用は、2023年が1kWあたり平均28万8000円(新築の場合)2)です。住宅用のソーラーパネルの容量は、一般的に3~5kWが多いことから、設置費用の相場は2023年の場合、計算上86万4000円~144万円となります(※補助金の対象となった場合の価格ではありません)。

なお、おひさまエコキュートや太陽光発電を初期費用ゼロ円で導入できるサービスも存在します。東京電力グループのTEPCOホームテックが提供する「エネカリ」もそのサービスのひとつです。詳しくは、以下をご覧ください。

 

おひさまエコキュート・太陽光発電の導入を手軽にする「エネカリ」

「エネカリ」は、太陽光発電などの導入を手軽にしてくれる東京電力グループ・TEPCOホームテックのサービスです。

初期費用はゼロ円で、毎月、定額の利用料を支払うだけで、太陽光発電などの機器を導入でき、メンテナンス費用も含まれています。また、契約期間が満了すると、機器を自分のものにすることができるのです。

▼「エネカリ」について詳しく知りたい方は、以下のサイトをご覧ください。️

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おひさまエコキュートのメリット

メリット

画像:iStock.com/tomoyamurakami

 

おひさまエコキュートを利用すると、いろいろなメリットがあります。以下で詳しく説明します。

 

昼間にお湯を沸かすことで自家消費を増やせる

おひさまエコキュートは、太陽光発電で作った電気を使ってお湯を沸かすため、自家消費を増加させることができます。近年FITの売電単価が下がっているため、発電した電気は売るよりも自宅で使うほうがおトクな時代となっています(電気の地産地消)。昨今は、電気代の高騰が話題になっていますが、おひさまエコキュートは、電気代の値上がりの影響を避けて、光熱費を抑えるのにも役立ちます。

 

断水などの「もしもの災害対策」に役立つ

エコキュート自体が貯湯式の給湯機なので、災害などで断水したときには、貯湯タンクに貯まっているお湯や水を生活用水として使うことが可能です。タンクは370〜460Lと大容量のため、ある程度の期間の生活用水を確保することができるでしょう。

 

省エネや環境保全に役立つ

エコキュートは空気の熱を使って効率よくお湯を沸かします。当然ですが、昼と夜では一般的に気温差があり、昼は暖かく、夜は気温が低下します。日中にお湯を沸かすおひさまエコキュートは、夜に比べて暖かい空気を活用できるため、ヒートポンプの効率が高まり、通常のエコキュートよりも約6~9%省エネ性能が向上します(東京電力エナジーパートナー調べ)。

また、通常のエコキュートは、深夜に沸かしたお湯をおもに翌日夜の入浴に使いますが、おひさまエコキュートは昼間にお湯を沸かし、使うまでの時間が短いので、貯湯タンクでの放熱ロスが少ないというメリットもあります。

〈図〉給湯にかかる年間消費電力量の比較

給湯のん年間電力消費量

 

️前述の給湯機メーカーが行った試算結果によると1)、上図のとおり、通常のエコキュートと比較して、おひさまエコキュートは約57%もエネルギー消費量自家消費量向上分を含むを削減できるといいます1)。さらに、この年間消費電力量から、太陽光発電の余剰電力を利用した際のCO2排出量を「0」として二酸化炭素CO2)の排出量を算出すると、通常のエコキュートに比べて約57%削減することができたとも報告されています。

 

専用のおトクな電気料金プランが利用できる

太陽光発電とおひさまエコキュートを導入すると、専用のおトクな電気料金プランを利用できる場合があります。たとえば東京電力エナジーパートナーでは、太陽光発電とおひさまエコキュート利用者専用の電気料金プラン「くらし上手」をラインナップしています。こうしたプランをうまく活用すれば、電気代の節約も期待できます。

 

おひさまエコキュート専用の電気料金プラン「くらし上手」

東京電力エナジーパートナーの「くらし上手」は、太陽光発電とおひさまエコキュートの両方をご使用のお客さまを対象として、毎日のくらしを太陽光発電でまかないながら、足りない時も安心して電気を使える料金プランです。

「くらし上手」に加入すると、おひさまエコキュートやIHクッキングヒーターなど、お使いの対象電化設備が故障した際に、基本無料で修理を受けられる「住宅設備修理サービス」も利用できます。詳しくはコチラからご確認ください。

 

 

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おひさまエコキュートのデメリット

デメリット

画像:iStock.com/takasuu

 

多くのメリットがある一方で、おひさまエコキュートにはデメリットもあります。どのようなデメリットがあるのか、以下で詳しく解説します。

 

太陽光発電を導入する必要がある

おひさまエコキュートを使うには、太陽光発電が必須です。そのため、太陽光発電をまだ設置していない場合には、太陽光発電とおひさまエコキュートを併せて導入する必要があり、初期コストが高額になりやすいというデメリットがあります。

すでに太陽光発電を導入している住宅の場合には、おひさまエコキュートだけを導入すればよいため、通常のエコキュートと初期費用がそれほど大きく変わらないでしょう。

 

専用のおトクな電気料金プランは利用できる地域が限られている

おひさまエコキュートを使う際には、専用のおトクな電気料金プランを利用することができますが、こうした電気料金プランは現状まだ少なく、提供されていない地域も多いです。たとえば、東京電力エナジーパートナーの「くらし上手」は、関東エリアで太陽光発電とおひさまエコキュートの両方を導入している住宅を対象としています。つまり、自宅の場所によっては、おトクなプランを選べないケースがあります。

 

天気によって太陽光発電で発電できない日がある

おひさまエコキュートは、太陽光発電が電気をつくれない雨天の日などは、電力会社から購入した電気を使ってお湯をつくります。もちろん、雨の日でもいつもどおりお湯を使うことはできますが、お天気次第で太陽光発電による電気を使えない日もあるということも知っておきましょう。

 

 

おひさまエコキュートを扱っているメーカーと価格相場

2024年1月現在、おひさまエコキュートを取り扱っているメーカーは5社です。以下では各社のおひさまエコキュートの特徴と価格相場をそれぞれ紹介します。

価格は2024年1月16日時点でメーカー公式サイトに記載されている本体希望小売価格(実勢価格とは異なります)を記載しています。価格は変動することがあるため、最新の情報は各メーカーのWebサイトなどでチェックしましょう。

 

※以下、50音順で表示しています。

 

コロナ

コロナでは2種類の製品をラインナップしており、タンク容量370Lの品番「CHP-37AY5V」の本体希望小売価格は104万600円(税込)、タンク容量460Lの品番「CHP-46AY5V」の本体希望小売価格は、113万8500円(税込)です3)

コロナのおひさまエコキュートの特長は、台所リモコンのお知らせサインで入浴している人の状況が一目でわかるなど、便利なお知らせ機能が充実している点です。

●商品スペック

メーカー コロナ
型番 CHP-37AY5V CHP-46AY5V
本体希望小売価格(税込) 104万600円 113万8500円
タンク容量 370L 460L
最高給湯圧力 190kPa
年間給湯保温効率(JIS) 3.3
省エネ基準達成率 94%

 

 

三菱電機

三菱電機のおひさまエコキュートは、タンク容量370Lの「SRT-B376U-PV」と460Lの「SRT-B466U-PV」の2種類で、本体希望小売価格はそれぞれ109万円(税込)と、120万円(税込)です4)

災害などの非常時でもタンクから水を取り出しやすく、2カ所で同時にお湯を使ってもシャワーの勢いが変わりにくいなどの特長があります。

●商品スペック

メーカー 三菱電機
型番 SRT-B376U-PV SRT-B466U-PV
本体希望小売価格(税込) 109万円 120万円
タンク容量 370L 460L
最高給湯圧力 290kPa
年間給湯保温効率(JIS) 3.6
省エネ基準達成率 102%

 

 

ダイキン

ダイキンは、「EQ37XFPV」と「EQ46XFPV」の2種類のおひさまエコキュートを取り揃えており、本体希望小売価格はそれぞれ112万2000円(税込)と、124万3000円(税込)です5)

深紫外線でお湯を除菌する「おゆぴかUV」という機能や、オプション機能として、微細な泡が出る「ウルトラファインバブル入浴」に対応している特長があります。また、天気予報と連動して、お湯を沸かすタイミングを自動で判断する「天気予報連動」という機能も搭載されています。

●商品スペック

メーカー ダイキン
型番 EQ37XFPV EQ46XFPV
本体希望小売価格(税込) 112万2000円 124万3000円
タンク容量 370L 460L
最高給湯圧力 320kPa
年間給湯保温効率(JIS) 3.4
省エネ基準達成率 97%

 

 

 

長府製作所

長府製作所のおひさまエコキュートは「EHP-3704BX-PV」と「EHP-4604BX-PV」の2種類。「EHP-3704BX-PV」は本体希望小売価格が97万2400円(税込)6)、「EHP-4604BX-PV」は107万300円(税込)です7)

台所リモコンには二次元コードを表示する機能が搭載されていて、異常・故障時にはエラーコードとともに表示されます。これをスマートフォンなどで読み取ることで、エラーの処置方法を調べたり、取扱説明書や操作ガイド動画を参照したりすることができます。

●商品スペック

メーカー 長府製作所
型番 EHP-3704BX-PV EHP-4604BX-PV
本体希望小売価格(税込) 97万2400円 107万300円
タンク容量 370L 460L
最高給湯圧力 170kPa
年間給湯保温効率(JIS) 3.3
省エネ基準達成率 94%

 

 

パナソニック

パナソニックのおひさまエコキュートは、「HE-Y37KQV」が本体希望小売価格95万400円(税込)、「HE-Y46KQV」が104万8300円(税込)です8)

専用アプリ「スマホでおふろ」を使うことで、仕事帰りに外からお湯はりを遠隔操作したり、自宅の2階などから追いだきを操作したりすることができます。また、あらかじめ台風や豪雨、大雪などに備えて警報・注意報などを登録しておくと、発令されたときに自動でたっぷりのお湯を確保する「エマージェンシー沸き上げ」機能も搭載されています。

 

●商品スペック

メーカー パナソニック
型番 HE-Y37KQV HE-Y46KQV
本体希望小売価格(税込) 95万400円 104万8300円
タンク容量 370L 460L
最高給湯圧力 170kPa
年間給湯保温効率(JIS) 3.3
省エネ基準達成率 94%

 

 

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おひさまエコキュートの「よくある質問」に回答

 

質問

画像:iStock.com/bonghyunjung

 

おひさまエコキュートを導入しようという人の中には、補助金や消費電力量などについて疑問に思っている人もいるかもしれません。そうした疑問にわかりやすく回答します。

 

Q.補助金をもらうことはできる?

経済産業省、国土交通省、環境省が合同で行う「住宅の省エネリフォーム支援(住宅省エネ2024キャンペーン)」の「給湯省エネ2024事業」では、おひさまエコキュート1台あたり12万円もしくは13万円(電気温水器からの取り替えの場合はさらに5万円)の補助を行っています9)。同事業は、新築住宅・既存住宅の購入者、既存住宅のリフォームが対象になります。詳細は、「給湯省エネ2024事業」の公式Webサイトで確認してください。

また、自治体でも補助金制度を用意している場合があります。たとえば、東京都では、おひさまエコキュートは「令和5年度 熱と電気の有効利用促進事業 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大制度」という補助制度の対象になっています10)。要件を満たせば、2023年度は最大22万円(助成対象経費の1/3以内)の補助を受けることができます。

これから太陽光発電を導入する場合は、その設置費用にも補助金制度を活用することができます。詳しくは以下の記事をご覧ください。

 

 

 

Q.雨の日はどうすればいい?

雨の日は、太陽光発電でつくった電気ではなく、電力会社から購入した電気でお湯を沸かすため、普段どおりお湯を使うことができます。雨の日だからといって、あらかじめ操作したり設定を変えたりする必要はありません。

 

Q.おひさまエコキュートは深夜電力を使うの?

通常のエコキュートは、前述のとおり夜間特に深夜帯の電気を使うのが一般的ですが、おひさまエコキュートは太陽光発電でつくった電気をおもに活用するため、夜間の電気を使うケースは少ないでしょう

 

Q.おひさまエコキュートの消費電力量は?

️前述の給湯機メーカーが行ったシミュレーションによると1)、一般的なエコキュートの年間消費電力量が1711kWhであるのに対して、おひさまエコキュートは1550kWhであり、おひさまエコキュートは、一般的なエコキュートより消費電力量が少ないといえます。

 

おひさまエコキュートに向いているのはこんな人

お風呂

画像:iStock.com/klenova

 

太陽光発電の電気を使ってお湯をつくるおひさまエコキュートは、通常のエコキュートよりも電気代をさらにおトクにするのに役立ちます。すでに自宅に太陽光発電を設置している場合、通常のエコキュートよりもおひさまエコキュートのほうが太陽光発電の電気を賢く使い、電気代を抑える効果が期待できます。

また、給湯器の買い替えやリフォームを検討している人も、初期費用はかかりますが、省エネや電気代の節約、災害に備えるという点ではおひさまエコキュートもおすすめです。

おひさまエコキュートを導入して、エコでおトクなライフスタイルを実現してはいかがでしょうか。

※本記事の内容は公開日時点での情報となります。

 

この記事の著者
EV DAYS編集部
EV DAYS編集部