エコキュートのメリット・デメリットを解説! 災害時や電気代はどうなる?

エコキュート メリットデメリット

省エネで高効率な給湯機である「エコキュート」。では、実際にガス給湯機からの切り替えにあたって、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか? 決して安い買い物ではないだけに、導入前にはコストやデメリットをしっかりと押さえておきたいものです。

この記事では、エコキュートのメリットやデメリットをわかりやすく解説し、初期費用や毎月の電気代をおトクにするコツをお届けします。

 

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エコキュートとは?

エコキュート

 

エコキュートとは、空気の熱を利用することで、少ない電気を使って効率よくお湯を沸かす給湯機。気体を圧縮させると温度が上がる仕組みを利用した「ヒートポンプ技術」を使った機器です。

給湯機といえば、ガスを燃やしたり電気ヒーターを温めたりしてお湯を沸かすものだというイメージを抱いている方もいるかもしれません。しかし、前述した「ヒートポンプ技術」を利用しているため、エコキュートは省エネで地球にやさしいのが特徴です。

 

エコキュートの仕組みやヒートポンプ技術について詳しくはこちら
▶︎【図解】エコキュートとは? 仕組みやガスとの違いをわかりやすく解説

 

エコキュートのメリット

省エネで高効率な電気給湯機であるエコキュートを導入すると、さまざまなメリットがあります。その一方で、デメリットがあるのも事実です。導入にあたっては、メリットとデメリットの双方をしっかり押さえておくことが大切。この記事では、メリットとデメリットの双方についてわかりやすく説明します。

CO2の削減に繋がる

エコ

 

空気の熱を利用し、少ない電気で効率よくお湯を沸かすエコキュートは、使用する電気エネルギーに対して、3倍以上の熱エネルギーを生み出します。このようにエネルギー効率がいいということは、二酸化炭素(CO2)の削減にも繫がるのです。

というのも、電気をつくる時には、化石燃料の使用によりCO2が発生する場合があります。そのため、電気を使う量を減らせば、CO2の発生を抑えることができます。エネルギーを効率よく利用できるエコキュートは、環境にやさしい機器だと言えます。

電力消費量の削減→電気代が減る

エコキュートのメリット・デメリット

出典:資源エネルギー庁『エネルギー白書2021』第2部 第1章 国内エネルギー動向 P14

 

国が発表した「エネルギー白書2021」によると、家庭で使われるエネルギーのうち、約3割が給湯で使われています。

ということは、逆に考えると、お湯を沸かすのに使うエネルギーを減らすことが家庭全体で使うエネルギーを減らすうえで大切と言えます。給湯に使うエネルギーが家庭の省エネ化のカギを握っていると言っても過言ではないでしょう。

エコキュートは、少ないエネルギーでお湯をつくることができるため、給湯に使う電力の節約に役立ちます。電気給湯機においてエネルギーの節約とは、すなわち、電気の削減にほかなりません。

CO2は温室効果ガスの一種であり地球温暖化の原因であるとも言えます。電気の使用を抑えることでCO2の発生を減らし、地球環境の改善に貢献することができます。

このように省エネに役立つエコキュートは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」と呼ばれる、家そのもののゼロ・エネルギー化を目指す住宅にも採用されています。ZEHとは、太陽光発電設備などを導入するとともに断熱性の向上や省エネ化を行い、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとなることを目指した住宅のことです。

「自宅の電気代を抑えたい」「よりエコな暮らしをしたい」という方に最適な給湯のひとつがエコキュートなのです。

 

 

災害時にお湯や水を使うことができる

画像:iStock.com/Toru Kimura

 

台風などの災害によって、万が一停電したとしても、給水が停止していなければ、貯湯ユニットにあるお湯が使用できるので安心です。また、給水が停止した場合でも、貯湯タンクに非常用の取水栓があるため、タンクの中のお湯や水を生活用水として使うことができます。さらに、3〜4人用の370リットルのタイプであれば、20リットルのポリタンク18個分もの生活用水を確保することができるのです。

タンクに貯めたお湯・水なので飲用には適しませんが、排水設備が異常なく使える場合は手洗いやトイレの水を流すには十分です。たっぷりの生活用水を備蓄できると考えるととても安心です。

停電時のお湯・水の取り出し方は、エコキュートのメーカーや機種によって異なりますが、タンク下部の非常用取水栓にホースを繋げ、やかんやバケツへ注ぐのが一般的です。簡単に取り出すことができますが、熱湯が出る場合もあるので注意が必要です。エコキュートの沸き上げ温度は約90℃に達することもあり、火傷の恐れがあるため、お湯に手を触れないようにしましょう。また、ホースやバケツの耐熱温度にも十分注意してください。

ただし、当然ですが停電していると、太陽光発電システムや蓄電池で電気が利用できる場合を除いては電気が使えないため、エコキュートが新たにお湯を沸かすことができません。お湯を使う際は、タンクに貯まっている量だけしか使うことができないということを意識しておきましょう。

また、電気が使えない状態ではリモコンも使えないため給湯温度の調整ができません。給水が停止して非常用の取水栓からお湯・水を取り出したいときは、タンクから出したお湯・水を冷ましたりする一手間が必要になる場合もあります。逆に、タンク内が沸き上がっていない場合には、水しか出ないこともあり得ます。

 

停電時のエコキュートの使い方について詳しくはこちら
▶エコキュートは停電時に使える? 故障や災害時の対処法を解説!

 

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エコキュートのデメリット

一方で、エコキュートにはデメリットもあります。メリットと同時にデメリットもチェックして、自宅の設置環境やライフスタイルに適するかどうかを確認しておきましょう。

寿命がある

家電や住宅設備などと同様に、エコキュートにももちろん寿命があり、設置状況や使い方にもよりますが、10年が目安と言われています。将来的には交換の必要があるということを念頭においておきましょう。

リモコンに頻繁にエラーコードが出るようになると、エコキュートの修理や買い替えのタイミングである場合があります。ただ、エラーの種類によっては自分自身で対処できるケースもあります。エラーコードが出たら、まずは取扱説明書を確認し、エラーの内容をチェックするようにしましょう。

ほかにも、設定した温度まで温まらない場合や、ヒートポンプユニットの稼働時に異音がする場合などは、エコキュートに何らかの問題が起こっている可能性があります。浴槽の湯はりができなくなったり、時間がかかるようになったりするときも同様です。

 

 

設置費用が高い→リースを利用で解消できる

エコキュートを導入する際のデメリットとして挙げられるのが、初期費用。商品本体の定価だけでも、ガス給湯機と比べると価格差があります。エコキュートを導入するにあたっては、機器本体に加えて設置工事も必要になります。主な設置工事としては、大きなタンクを据え付けるための基礎関係や200ボルトの配線工事が必要となり、ガス給湯機と比べると初期費用が大きくなりがちです。設置にあたっては電力会社への申請も必要です。

しかし、給湯機を選ぶときは、初期費用だけでなく毎月のランニングコストも考慮することが大切です。最初の導入コストが安くても、月々の支払いがかさんでしまっては、長期間で見るとかえって損をしてしまうかもしれません。

また、初期費用を軽減するための選択肢のひとつとして挙げられるのが、エコキュートのリースサービス。定額のサービス料を毎月支払うことで、エコキュートを利用できるというものです※。初期費用はすべて自己負担する場合と比べ、大幅に軽減される可能性があります。

基本的に毎月のリース代を支払うことで、リース期間が満了したあとは機器を無償で譲渡してもらえる場合もあります。リース方式などを上手に選択するとイニシャルコストが軽減されるので、エコキュートを導入するハードルはぐっと下がります。なお、一括購入などほかの選択肢と最終的な自己負担額などをよく比べ、自身のライフスタイルに応じて選択することが大切です。

※エコキュートのリースには電気料金プランとのセットが必要になるものもあります。

 

湯切れの心配がある→適切な量のエコキュートを選んで、追い焚きや差し湯を適宜使い分ける

エコキュートのメリット・デメリット

画像:iStock.com/Andrey_Kuzmin

 

エコキュートの特徴のひとつは、お湯を貯めて使う貯湯式であるところです。夜間に沸かしたお湯を使うエコキュートには、「自動沸き増し機能」といった湯切れを防ぐ機能がついているものもあります。とはいえ、「自動沸き増し機能」の設定をオフにして、タンクにある量を超えてお湯を使ってしまう場合などは、湯切れをしてしまうことがあります。湯切れとは、蓄えられた熱湯を使い切ってしまい、タンク内が低温の水になってしまう状態のことです。

また、「自動沸き増し機能」が昼間に稼働すると電気代が増える場合もあり、都度設定を変更するのは手間といえます。そもそも、こうした湯切れの可能性を防ぐためには、エコキュートを導入する際に家族の人数やライフスタイルなどからお湯の使用量をよく確認し適切なタンク容量のエコキュートを選ぶことが重要です。近いうちに家族構成が変わる予定がある場合は、その点も考慮してタンク容量を選ぶとよいでしょう。

さらに、お湯を上手に利用する省エネな使い方をすることも湯切れの防止に繋がります。メーカーごとに違いがあるものの、エコキュート機器そのものに備えられた「省エネモード」などの機能を活用すると簡単に省エネすることができます。この機能でできることは、給湯量や浴槽への湯はりの量の調整などです。

また、湯はりしたあとの保温時間をできるだけ短くしたり、ぬるくなったお湯をもう一度温めるときに「追い焚き」ではなく「高音差し湯(足し湯)」を使ったりすることも有効です。数日お湯を使用しない場合は沸き上げを休止するなどすれば、湯切れしにくくなるとともに省エネに繋がる可能性があります。

このように、エコキュートを湯切れさせないように上手に使うことは、省エネをより一層深めていることに等しいのです。

 

エコキュートがお湯切れしたときの対処法について詳しくはこちら
▶エコキュートは湯切れしたらどうなる? 原因と対策を解説!

 

夜間の運転音が気になる→おひさまエコキュートで昼間にお湯を沸かすこともできるのでそれを活用する

エコキュートは通常、夜間にお湯をつくります。そのため、ヒートポンプユニットが夜間に稼働します。ヒートポンプユニットの設置場所などによっては、自宅あるいは近隣で夜間の運転音が気になるという方もいるかもしれません。設置の際は自身や周囲に影響を及ぼすことがないか、よく確認するようにしましょう。

夜間の運転音の対策として、ヒートポンプの設置場所に注意することも重要ですが、太陽光発電との連携により昼間の稼働を増やすことで夜間の稼働時間を減らすという方法もあります。また、2022年2月1日に発売された「おひさまエコキュート」を採用する方法もあります。「おひさまエコキュート」は基本的に昼間に稼働します。太陽光発電の自家消費により給湯でのCO2の排出量の低減に繋がるうえ、夜間の運転音の懸念を軽減させることができます。

ただし、昼間の稼働でも夜間と同様に運転音は発生します。基本的には、工事前に設置場所をよく確認し、自宅や近隣への影響について十分注意することが大切です。

 

「おひさまエコキュート」について詳しく知りたい方は以下のサイトをご覧ください。

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設置スペースが必要→薄型エコキュートも視野に入れて検討してみる

貯湯タンクユニットとヒートポンプユニットの双方を設置しなければならないエコキュートは、ガス給湯機と比べると広い設置スペースが必要となります。メンテナンスなどのための作業スペースも確保する必要があります。

しかしながら、以前に比べて省スペースのタイプや二缶式の薄型タイプなどが発売されており、住宅事情に応じて開発を続けるメーカー側の工夫が進んでいることも事実。また、エコキュートを非常用水の備蓄スペースと捉えればデメリットとまでは言えないかもしれません。

ちなみに、薄型タイプのエコキュートの例として、奥行45㎝の機種があります。薄型タイプのエコキュートは、薄く、細長い形状をしているため、住宅と垣根の間などの狭い空間でも設置できる可能性があります。

水圧が弱い→高圧タイプを視野に入れて検討してみる

エコキュートは、シャワーの水圧が弱いといった声を聞く場合もあります。多くのエコキュートは水道を直接温めてお湯を出すのではなく、タンクに一旦貯めるために元の水道の圧力を減圧し、給湯の水圧が弱くなってしまうのです。1階にエコキュートを設置し、2階でお湯を使用する場合などで水圧が弱いと感じることがあるかもしれません。

こうした問題を解決するために、給湯の圧力を上げるためのメーカーの製品改良が進んでおり、給湯圧力がより強いタイプや水道水直圧タイプも販売されています。給湯温度の設定を変更するなど使用方法を工夫することで、水圧を強くするといった対処方法もあります。

使える入浴剤に制限がある

エコキュートのメリット・デメリット

 

エコキュートの中でも、お風呂の保温や追い焚きができる「フルオートタイプ」では使える入浴剤に制限があります。フルオートタイプでは、浴槽のお湯がタンク内の細い配管を通ることで、もう一度温められます。このとき、入浴剤の種類によっては配管を詰まらせたり傷めたりしてしまうことがあるのです。そのため、入浴剤の種類が制限されるのです。近年は、以前より使える入浴剤の種類が増えているようです。

フルオートタイプでも使える入浴剤はメーカーによって異なりますので取扱説明書を確認しましょう。

一方で、保温や追い焚き機能のない「オートタイプ」「給湯専用タイプ」には入浴剤の制限はないようです。

 

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ライフスタイルに合ったエコキュートでエコな暮らし

エコキュートは、省エネ性能が高く電気代を抑えるメリットがあり、二酸化炭素の排出量を減らす効果も期待できます。太陽光発電の電気を自家消費すればさらにエコに繋がるでしょう。ほかにも、災害時に給水が停止した時には、貯湯タンクユニット内に備蓄されたお湯や水を生活用水として使うこともできます。

一方で、初期費用や設置スペース、運転音や湯切れの可能性といったデメリットがあるのも事実です。しかし、「おひさまエコキュート」といった昼にお湯を沸かすタイプの画期的なエコキュートをはじめ、デメリットをカバーするような機能を持った新しい製品やサービスが登場しています。

エコキュートを導入する際にはこうした新製品・新サービスも検討に含め、家族構成やライフスタイルに合った選択をするようにしましょう。

 

 

この記事の著者
EV DAYS編集部
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