「Honda e」を衝動買い!自宅で充電できなくてもEVライフを楽しむ方法

篠原知存さんとHonda e

EV(電気自動車)には乗りたいけれど、「自宅がマンションだから」という理由で購入を躊躇している人は多いことでしょう。しかし、フリーのライター・エディターとして雑誌やウェブなどで活躍する篠原知存さんは、自宅マンションに充電設備がなかったにもかかわらず、ホンダ「Honda e」を衝動買い。篠原さんは「住まいが集合住宅でも快適なEVライフを過ごすことができる」と言います。

【今回の取材でお話を聞いた方】

篠原知存さん



篠原知存さん

「週刊新潮」のノンフィクション書評や「夕刊フジ」のコラム「EV放浪記」など、雑誌やWeb媒体で取材や執筆を手がけるフリーランスのライター・エディター。2021年にホンダ「Honda e」にひと目惚れして購入した(2021年4月納車)。

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EVに関する知識ゼロ。「Honda e」に試乗して即購入

篠原知存さんとHonda e

 

まず篠原さんが「Honda e」を購入した経緯から紹介していきましょう。一般的に車を買うには100万円単位の初期費用がかかります。大きな買い物ですから、多くの人は購入にあたって慎重に検討するのではないでしょうか。ましてや、これから本格的に普及していくEVを買うなら、なおさら慎重になるはずです。

しかし、篠原さんは違いました。購入を決めた時点ではEVに関する知識はほぼゼロ。それなのに、ほとんど衝動買いのようにホンダ初の量産EV「Honda e」の購入を決めたそうです。

篠原知存さん

 

篠原さん「2020年の冬、子どものために妻と2人で書店に『鬼滅の刃』の最新刊を買いに行ったんですね。しかし、当時は『鬼滅の刃』が大ブームだったので、書店には大行列ができていました。そこで妻に並んでもらい、私は暇つぶしに雑誌コーナーへ行ったんです。そのときたまたま手にとったのが、発売まもない『Honda e』が特集された自動車雑誌でした。ひと目見て『こんなデザインの車があるのか…』と衝撃を受けたのを覚えています」

篠原さんには憧れていた車が2台ありました。1台はイギリスのBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)が産み出し、2000年まで生産・販売されていた、いわゆる「クラシックミニ」。もう1台はフィアット「500」。いずれもレトロかつオンリーワンの個性をもったコンパクトカーの名車たちです。

篠原さん「『Honda e』の写真を見て、その2台と似た雰囲気を感じたんです。きっとああいう車が好きなんでしょうね。すぐにホンダのディーラーで試乗させてもらいました。ただ、実際に乗ってみると、デザイン以上に乗り心地が気に入りましたね。とくにEVならではのリニアな反応と、アクセルを踏んだときのダイレクト感。それはエンジン車とまったく違う感覚でした」

Honda e

 

試乗には2人のお子さんも同乗したそうです。篠原さんはお子さんとドライブに行くのが好きなので、彼らが「Honda e」を気に入るかどうかも大事なポイントのひとつでした。

篠原さん「子どもが一番喜んだのは、『OK、Honda』と呼びかけると起動する先進のAIを搭載した『Hondaパーソナルアシスタント』です。AIが反応してくれるのが面白くて気に入ったみたいですね。本当にデジタルガジェットみたいな車なんですよ」

試乗を終えると、篠原さんはその場で「Honda e」のスタンダードグレード(現在は販売終了)をオーダー。当時乗っていたエンジン車の下取り価格や国と東京都の補助金を合わせると、EVへの買い替えにかかった費用は345万円ほどだったそうです。

 

 

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外充電だけでEVを運用しても困ったことは一度もない

充電する篠原知存さん

 

気になるのは篠原さんが日々の充電をどのように行っていたのかということでしょう。篠原さんはご家族と都内のマンションに住んでおり、購入当時は自宅に充電設備がありませんでした。

EVは自宅に設置した200Vの充電コンセントなどで日々の充電を行うほうが低コストで手間も省けるため、「自宅充電」が基本とされています。しかし、自宅に充電設備がない場合、公共充電スポットの急速充電器を日々の充電に利用することになります。

篠原さん「正直、購入当初は充電について何も考えていませんでした。とりあえずやってみようと。たまたま自宅近くに急速充電器が設置された公共施設が3カ所あったので、帰宅時にそれらの施設で充電し、外出中にバッテリー残量が少なくなったら公共充電スポットを探して充電するという日々でした」

急速充電器

 

そうした運用を2年近く続けても「別に困ったり苦労したりしたことはありませんでした」と篠原さんは振り返ります。

篠原さん「よく『EVは外出先で充電に時間がかかるからダメだ』と言われます。たしかに、私の『Honda e』の場合、遠出して120kmぐらい走ると必ず30分間休まなければならないので、悪く考えれば不便と言えるかもしれない。しかし、エンジン車だって高速道路を長く走れば休憩するじゃないですか」

30分あったら、ノートパソコンなどを持ち歩けばその間に車内で仕事をすることができます。その土地の名物となっているおいしい食事を楽しむことも可能です。

篠原さん「マイナスに考えず、充電時間を充実させる方法を見つければ、EVに乗っていて何も困ることはないと思います。おそらく今後は面白いことや景色が楽しめるような楽しい公共充電スポットがたくさん出てくるんじゃないでしょうか。いまでも道の駅なんて退屈しないですよね。(道の駅スタンプラリーの)スタンプも押せますし(笑)」

篠原知存さん

 

なお、「Honda e」の購入から3年目となった現在、篠原さんの自宅マンションではEVやPHEV(プラグインハイブリッド車)のユーザーが少しずつ増え、それにともない管理組合が共用の普通充電器2基を敷地内の洗車場に導入することを総会で議決。篠原さんのEVライフはさらに快適になっているそうです。

 

 

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EVに乗ればこれまでにない新しい体験・面白い体験ができる

篠原知存さんとHonda e

 

エンジン車のユーザーには、EVに興味があったり買い替えを考えていたりするものの、「自宅が集合住宅だから充電設備がない」「航続距離がエンジン車より短いから不便そう」など、さまざまな理由で導入を躊躇している人がたくさんいます。

篠原さん「私自身は充電に関する知識もなく、何もわからずにEVを購入しました。しかし、EVのメリットもデメリットも、実際のところは乗ってみないとわからないんです。どっちみちわからないのなら、『EVに乗れば新しい体験、これまでにない面白い体験ができるんじゃないか』と前向きに考えたほうがいいですよ」

たとえば、篠原さんが実際にEVに乗ってみて気づいたのが長距離ドライブにおける体の疲労感の少なさだと言います。

篠原さん「EVは走行時に振動が少なく音も静かで、そのせいなのかわかりませんが、長距離移動が苦痛じゃないんです。高速道路などを一定速度でクルージングしていても驚くほど疲労感がない。私だけではなく、ほかのEVユーザーからも同じ話を聞きます。私もトヨタ『ランドクルーザープラド』からホンダ『N-BOX』までいろいろな車に乗ってきましたが、これは初めての感覚でした」

Honda e

 

最後に「EV購入を迷っている人に何かメッセージを」とお願いすると、篠原さんはこんなふうに締めくくってくれました。

篠原さん「自宅に充電設備がないのにEVを衝動買いするというのは、少し特殊なケースなのかもしれません。しかし、自宅に充電設備がなくても、それほど心配する必要はないと思います。むしろ、自宅に充電器を設置できる環境にあるのなら、いますぐEVを買ったほうがいい。それくらいEVは楽しい車です。おそらく1回乗ったら、もうエンジン車に戻れなくなると思いますよ」

 

 

この記事の著者
EV DAYS編集部
EV DAYS編集部