「充電お役立ちアプリ」おすすめ5選。 EVユーザーの充電ライフがより快適に!

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エンジン車と違って電気自動車(EV)は自宅で充電できるメリットもありますが、遠出の際などには見知らぬ土地で充電スポットを探す必要があります。そんなとき、あらかじめインストールしておくと便利なのが、充電スポット検索などができるEV用スマホアプリです。うまく使えばEVの長距離ドライブが快適になるスグレモノのアプリ5つとその活用方法を紹介します。

この記事の著者

篠原 知存さん

篠原 知存

雑誌やWeb媒体で活躍するフリーランスのライター・エディター。2021年4月にホンダ初の量産EVである「Honda e」を購入。EVsmartブログの連載コラム「EV放浪記」をはじめ、EVに関する取材・執筆に精力的に取り組んでいる。

 

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アプリを活用すればより効率的にEVを充電できる

地図

 

EVに乗り始めてまもないころ、「充電スポットってどこにあるの?」と戸惑ったことはないでしょうか。ほとんどのEVは純正ナビが近くにある充電スポットを教えてくれますが、そのナビもけっして万能ではありません(車種によります)。

たとえば、ホンダ「Honda e」の場合、純正ナビに「充電スタンド情報」という機能があり、必要なときに自車から近い充電スポットを表示してくれます。しかし、この機能は充電が必要になってから最寄りの充電スポットを検索する際には問題なく使えるのですが、長距離ドライブのプランニングには向いていません。

EVで遠出するときには「目的地に向かう途中のどこに充電器があるか」という大まかな充電プランを事前に考えておくと便利ですが、車種によっては純正ナビでプランを立てられない場合があるのです。

さらに、「Honda e」の純正ナビには充電器の最大出力値(kW)も表示されません。急速充電(経路充電)では充電器の出力も重要な要素です。急速充電器によっては、同じ充電時間と料金でもEVに充電できる電力量が倍近く変わるケースもあるからです。

こうしたさまざまな充電シーンにおいて、あらかじめスマホにインストールしておくと便利なのがEV用のアプリです。使い方によっては車まかせにするよりも効率的で、何よりアプリを活用すればEVのドライブをもっと能動的に楽しむことができます。

 

 

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EV充電がもっと快適になる「充電スポット検索アプリ」

地図

 

EV用のスマホアプリのなかでも、もっとも一般的なのが充電スポット検索アプリです。基本的な使い方はどのアプリもほとんど変わりません。アプリを起動するとマップ上に自車位置が示され、周囲の充電スポットがマーカーによって表示されます。

地図をピンチイン、ビンチアウトすることも可能で、ドラッグして移動することで現在地から目的地までたどり、経路や目的地の充電器を探すような使い方もできます。充電スポット検索アプリのうち、代表的なアプリを5つ紹介しましょう(50音順)。

 

独自のナビ機能が魅力の「EVカーナビ by NAVITIME」

地図アプリ

 

「EVカーナビ by NAVITIME」は、乗換案内やルートマップなどでおなじみのナビタイムジャパンが手がけるEV専用のアプリです。約2万カ所の充電スポットを検索することができます。

最大の特徴はなんといってもナビ機能です。ほかのアプリは充電スポットまでのルート案内にGoogleマップやAppleのマップを使うことが多いですが、「EVカーナビ」の場合、アプリを起動するとそのまま充電スポットに到着するまで案内してくれます。その意味では、充電スポット検索アプリというより、充電スポット検索もできるカーナビアプリと言ったほうがいいでしょう。

検索したルートはマップ上に表示されますが、「EVカーナビ」が面白いのは、ルートを示す線が青から緑、オレンジ、赤のグラデーションになっていること。このグラデーションはSOC(充電率)を意味していて、走るほどに減っていくSOCが視覚化されるのです。また、高速道路の使用・不使用、利用料金、到着時間などで複数のルートを選択できるのもナビタイムジャパンらしい部分です。

車種情報をインプットすれば、バッテリー容量に合わせてルート検索をしてくれるのもうれしいポイント。たとえば、同じ日産のEVでも、バッテリー容量20kWhの「サクラ」と66kWhの「アリア」では航続距離が異なり、立ち寄る充電スポットも変わってきます。出発時点のバッテリー残量も変更することができます。

さらに、有料のプレミアムコース(月額600円)ならナビゲーション機能のほか、駐車場の満車空車情報、VICS(道路交通情報通信システム)情報とルートの高低差情報が考慮されます。目的地に向かうルートが坂道かどうかによってもEVの電費は大きく変わってきますから、この視点は意外に大切です。

 

【アプリ情報】
iOS
Android
運営会社:NAVITIME JAPAN CO.,LTD.

 

情報量がケタ違いの統合型アプリ「EV充電エネチェンジ」

充電スポットアプリ

 

「EV充電エネチェンジ」は、もともとエネチェンジの充電器を利用することを主目的としたアプリでした。しかし、2023年6月に22万ダウンロードの充電スポット検索アプリ「EVsmart」と統合したことにより、情報量が格段にアップ。「調べる」「充電する」「記録する」ことができる総合型のアプリへと生まれ変わりました。収録されている充電スポットはやはり全国約2万カ所です。

うれしいのは、最近のアップデートで急速充電器の出力がマップ上に表示されるようになったこと。出力が一目瞭然なので、これは非常に便利です。また、そのほかの機能やインターフェースもどんどん進化していて、エネチェンジの普通充電器(6kW)に関しては、利用可能ならアイコンが青、利用不可の場合は黄色、というように利用状況がリアルタイムで表示されます。利用可能な場合は現在空いている充電スタンドの台数も表示されます。

このアプリのポイントは「経路検索」です。自車のメーカーや車種(バッテリー容量)を入力し、希望する充電器の出力などを設定して検索すると、立ち寄る充電スポットを含めたルートを提案してくれます。クレジットカード情報などを登録しておけば、アプリでエネチェンジの充電器を利用することも可能です。

 

【アプリ情報】
iOS
Android
運営会社:ENECHANGE Ltd.

 

充電スポット検索アプリは「口コミ」機能にも注目!


充電スポット検索アプリのなかには「口コミ」が充実しているアプリもあります。たとえば、「EV充電エネチェンジ」と後述する「GoGoEV」は豊富な口コミが特徴で、それぞれの口コミ欄である「使えた・使えなかった」と「故障・休止・復旧情報」には多くのEVユーザーが日々助けられています。

「充電器の不具合で充電できない」といったトラブルに遭遇するのは誰だって避けたいもの。これらのアプリの口コミ機能は、そうした不具合の情報をEVユーザー同士で共有して誰かの役に立てようという仕組みです。「ユーザーみんなで充電インフラの利便性を高めていこう」という機運が感じられるEV発展期ならではのお役立ち機能とも言えるでしょう。

 

リアルタイムで満空情報がわかる「e-Mobility Power アプリ」

充電スポットアプリ

 

充電スポットに着いてみたら別の車が利用中だった…。このガッカリ感はEVユーザーなら誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。こうした「充電渋滞」に遭遇することを避けたい人におすすめなのが、e-Mobility Powerが提供している「e-Mobility Powerアプリ」です。

e-Mobility Powerは日本最大手の充電サービス事業者で、約20,000口の充電器がe-Mobility Powerが運営する充電インフラネットワークに接続されています。そのため、「e-Mobility Powerアプリ」は、そうした多くの充電スポットの「満空情報」をリアルタイムで確認することができ、さらにマップ上の充電器のアイコンが緑色なら利用可能、青なら利用中、赤なら営業時間外というように、ほぼリアルタイムの利用状況が可視化されています。

満空情報がひと目でわかるので、EVユーザーが「ここは利用中だから別の場所に行こう」といった対応を事前にとりやすい利点があるわけです。ほかのアプリと違って、起動画面ではマップは非表示。アプリを立ち上げると最寄りの充電器が表示されるようになっていて、メニューから「充電器を探す」でマップが表示されます。

また、なかでも便利なのは、アプリを使ってリモートで充電の開始と停止ができること。e-Mobility Powerが管理する充電器に限られますが、充電器の操作パネルに触れずに充電が行えるので必携のアプリでしょう。

 

【アプリ情報】
iOS
Android
運営会社:e-Mobility Power Co., Inc.

 

充実インフラに関するニュースが充実した「GoGoEV」

充電スポット探すアプリ

 

ほかのアプリと同様に、「GoGoEV」も国内に設置されたEV充電器のほぼすべてを網羅している充電スポット検索アプリです。e-Mobility Powerネットワークの充電器をはじめ、コイン式のEV充電器、さらにCHAdeMO規格ではないテスラのスーパーチャージャーに至るまで、約2万カ所の充電スポットを収録しています。

アプリを立ち上げてマップ上で充電スポットを選ぶと、営業時間や充電器の出力(kW)、駐車料金の要否や注意事項などが表示されます。地図アプリに飛ぶこともでき、そのままルート案内に移行することももちろん可能。また、メニューに「EVコラム」という情報コーナーがあるのも「GoGoEV」の特徴のひとつ。EVの充電インフラなどに関するさまざまなニュースを読むことができます。

 

【アプリ情報】
iOS
Android
運営会社:GOGOLabs Inc.

 

高速道路SAの充電器だけを検索する裏ワザとは?

新東名高速の浜松SAにある充電場所

新東名高速の浜松SA(下り)に設置された高出力の急速充電器(手前右)と6口マルチタイプ急速充電器(画像提供:e-Mobility Power)

こうした充電スポット検索アプリでは、充電器の種類を指定できる検索フィルターを使いこなすとさらに便利になります。

たとえば、高速道路を走行しているときに次に立ち寄る充電スポットを考える場合、一般道の充電器を探す必要はありません。高速道路のSAだけに絞って検索したほうがはるかに効率的です。そのためのもっとも早い方法が、施設別のキーワード検索で「サービスエリア」だけを指定することです。

具体的には、「EV充電エネチェンジ」なら「施設種別」、「GoGoEV」なら「カテゴリ」からサービスエリアを選択。「EVカーナビ by NAVITIME」の場合はトップ画面で「充電スタンド」-「施設」から「サービスエリア」だけを選びます。すると高速道路のSAにある急速充電器だけが表示されるようになります。

マップ上にSAの充電器だけが点々と表示されるので、そこまで距離がどれくらいあるのかも含めてパッと概観することができるのです。きっとドライブプランの目安になるでしょう。

 

 

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高速道路SA・PAの「充電渋滞」を避けたいならこのアプリ!

最後に紹介するのが高速道路を走るすべてのEVユーザー必携といえる高速道路専用のアプリです。

高速道路ではSAやPAに急速充電器が設置されているため、できれば休憩や食事を取りつつ、SAなどで充電しながら高速道路のドライブを楽しみたいもの。しかし、そう考えるのは多くのEVユーザーも同じです。そのため、大型連休などの高速道路のSAでは充電渋滞に出くわすこともあります。

このEVユーザーの悩みのタネである充電渋滞を回避できる可能性を高めてくれるのが「高速充電なび」というアプリでe-Mobility Powerが提供しています。

高速道路専用アプリ

 

「高速充電なび」は、「路線で探す」から、高速道路に設置されているすべての充電器を上下線別に一覧表示できます。高速道路に乗る前にアプリを起動して表示しておけば、高速道路のSA・PAに設置された急速充電器の利用状況がリアルタイムに表示されます。

しかも、単なる満空情報だけでなく、「何時何分開始」と充電開始時間が表示される点がポイント。高速道路の急速充電器は利用時間の上限が30分のため、充電が終了する時刻の目安を予測することができます。ただし、アプリでは充電待ちの車がいるかどうかまではわからないため、その点は注意が必要です。

また、表示画面の下部にある「ルートを探す」をタップし、目的地を入れて検索すれば、目的地に向かう途中のSA、PAの充電器をルート順に表示してくれるため、遠出の際の大まかな充電プランを事前に考えるうえでも便利です。充電予定スポットの音声案内を有効にすると接近を音声で知らせてくれるのも、ドライバーにはうれしい機能でしょう。

さらに、よく使う充電スポットを「マイスポット」に登録しておけば、充電スポットの情報を即座に見ることができます。

 

【アプリ情報】
iOS
Android
運営会社:e-Mobility Power Co., Inc.

 

アプリを使いこなしてEVライフをより快適にしよう!

アプリ操作

 

最初にホンダ「Honda e」の純正ナビを例に挙げましたが、最近ではどこで充電するかを考慮してナビゲーションしてくれるインフォテインメントシステムを搭載した輸入車や国産車のEVも登場しつつあります。ただし、それはまだ一部にすぎません。

この先EV普及がもっと進んでいけば、国産車を含めて車メーカーがラインナップする各モデルのEV向け機能も充実していくと思われますが、現状ではまだ過渡期と言わざるをえません。

しかし、今回紹介したようなアプリを使いこなせば、充電に対する不安をある程度解消でき、EVライフをより快適に過ごすことができます。自分なりのノウハウを積み重ねるのは楽しくもあるので、みなさんもいろいろなアプリを試してみてください。

 

この記事の著者
篠原 知存
篠原 知存

雑誌やWeb媒体で活躍するフリーランスのライター・エディター。2021年4月にホンダ初の量産EVである「Honda e」を購入。EVsmartブログの連載コラム「EV放浪記」をはじめ、EVに関する取材・執筆に精力的に取り組んでいる。