電気自動車のレンタカーはおトク?メリットや利用可能な車種を紹介

EVのレンタカー

 

電気自動車(EV)に興味があるなら一度は利用してみたいのが「EVのレンタカー」です。自動車ディーラーでの試乗よりも気軽にEVを試すことができるほか、充電料金がかからないのでおトクにEVに乗ることが可能です。EVのレンタカーのメリットや利用料金、レンタルできるEVの車種や割引サービスについて、自動車ジャーナリストの鈴木ケンイチさんが解説します。

 

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EVのレンタカーは充電料金が無料って本当?

レンタカーの看板

画像:iStock.com/IJzendoorn

EVを一度は試してみたいが、ディーラーで試乗するのは少し気が乗らないという人は意外と多いはずです。そんなときはEVをレンタカーで試してみるのもひとつの方法です。最初にEVのレンタカーをおすすめする理由を簡単に紹介しましょう。

 

レンタカーなら気軽にたっぷりとEVを試すことが可能

ディーラー

画像:iStock.com/RealPeopleGroup

 

EVを販売する自動車メーカーは、多くがディーラーで試乗キャンペーンなどを行っています。EVに一度乗ってみたい場合、そうしたキャンペーンを利用するのもひとつの方法でしょう。

しかし、ディーラーで試乗するには営業担当者とメールでやり取りするなど手続きが面倒なうえ、「時間が短い」「ルートが決まっている」「営業担当者が同乗する」など自由に気が済むまでEVを試せないという制約があります。また、しつこく営業されるのではないかといった不安を抱くかもしれません。

一方、レンタカーなら「何時間でもどこにでも好きなだけ乗れる」「一人で気兼ねなく性能を試せる」など多くの利点があり、気軽に気の済むまでEVを試すことが可能です。

基本料金に充電代が含まれているのでおトク度が高い

車のイラストと円マーク

画像:iStock.com/takasuu

 

また、旅行先などで「旅先の移動コストをなるべく安く済ませたい」「あまりお金をかけずに車を短時間借りたい」という場合にもEVのレンタカーはおすすめです。大手レンタカー会社などでは基本料金にEVの充電料金が含まれている場合が多いからです。

EVは車両に搭載した駆動用バッテリーに蓄えた電気を動力源にしており、充電料金はガソリン車におけるガソリン代に該当します。つまり、充電料金が基本料金に含まれるというのは、燃料費が実質無料になるということです。加えて、レンタカー会社によっては体験プランが用意されている車種もあり、その場合はさらにおトクな料金でEVをレンタルすることが可能になります。

 

 

EVとガソリン車のレンタカーはどちらがおトク?

ガソリン給油ノズルと充電プラグ

画像:iStock.com/:baona

 

同じ車格のレンタカーを利用する場合、EVとガソリン車で料金はどの程度異なるのでしょうか。「基本料金(レンタル料金)」「燃料代(充電料金)」の2つのポイントから比較してみます。

 

基本料金はガソリン車よりEVのほうがやや高い

「サクラ」と「デイズ」

「サクラ」よりも基本料金が安い「デイズ」(画像・日産自動車)

 

まずプラットフォームを共有し、ボディサイズや室内スペースの大きさがほぼ同等の日産の2台の軽自動車、EVの「サクラ」とガソリン車の「デイズ」の基本料金を比べてみましょう。

レンタカーは「一般」と「会員」で料金が異なりますが、「一般」ユーザーが日産レンタカーでそれぞれの車種を24時間レンタルした場合、基本料金は「デイズ」の8800円に対して「サクラ」は9790円1)。EVのほうがやや高く基本料金が設定されています。

 

「サクラ」

「デイズ」より基本料金がやや高い「サクラ」(画像:日産自動車)

 

この基本料金の傾向は車のクラスが上がるとより顕著になっていき、たとえばミドルクラスSUVなどの場合、EVの基本料金がガソリン車に比べて数千円程度高くなるケースもあります。

 

 

EVのレンタカーは走行コストを負担しなくてOK

トヨタ「bZ4X」(画像:トヨタ自動車)

トヨタ「bZ4X」(画像:トヨタ自動車)

 

基本料金だけを見ると「EVはレンタカー代も高いのか」と思うかもしれません。しかし、車を走らせるときに必要となるコスト(ガソリン代や充電料金)を含めるとその差は少し縮まります。

たとえば、トヨタのミドルクラスSUV「ハリアー」の2WDガソリンモデルをトヨタレンタカーでレンタルして200km走行した場合、走行条件や運転スタイルなどにもよりますが、単純計算で2275円のガソリン代がかかります(※)。それに加えて、ガソリン車の場合は返却時に「満タン返し」する手間も必要です。

 

トヨタ「ハリアー」

トヨタ「ハリアー」(画像:トヨタ自動車)

 

しかし、同じくトヨタのミドルクラスSUVのEV、「bZ4X」をレンタルした場合は走行コストを加味する必要がありません。EVの基本料金に充電カードのレンタル料も含まれているため、充電料金がかからないからです。返却時の「満タン返し」も不要です。

ただし、日産レンタカーはEVの貸出条件が変更され、2024年4月から走行距離に応じた充電料金が徴収されるようになっています2)。利用する際はその点に注意したほうがいいでしょう。

 

※「ハリアー」の2WDガソリンモデルの燃費性能は15.4km/L(WLTCモード3)、ガソリン価格は資源エネルギー庁が発表している「給油所小売価格調査」に基づき175円/Lとします4)。この条件で計算すると、200km÷15.4km/Lでガソリン量は約13L、13L×175円/Lでガソリン代は2275円となります。

 

 

 

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EVのレンタカーの3つのメリット

自動車の鍵を受け取る女性

画像:iStock.com/mangostock

ここまで見てきてわかるように、EVのレンタカーには充電料金が実質無料などのいくつかの大きなメリットがあります。あらためてそのメリットを3つのポイントに絞って紹介しましょう。

 

メリット①気軽にEVを試すことができる


ディーラーの試乗キャンペーンは無料でEVを試すことができますが、その一方、ディーラーに試乗を申し込み、営業マンとメールなどでやり取りしなければなりません。当然、「車を買ってほしい」というプレッシャーにさらされることになります。

しかし、EVのレンタカーには煩わしい手続きもプレッシャーもいっさいありません。料金こそかかりますが、自分の好きなメーカーの気になる車種を選び、EVを試してみることが可能です。

 

 

メリット②充電料金がかからないのでおトク


前述のように、大手レンタカー会社の多くはEVの充電代が基本料金に含まれています。長距離を走行するような車の使い方をする場合、基本料金が少々割高でも走行コストを含めたトータルの費用ではガソリン車よりおトクに利用することが可能になります。

また、レンタカーの常識というべき満タン返しをする必要がないのは前述したとおりですが、加えて返却時にガソリンスタンドに立ち寄る手間が省けるのも地味にうれしいポイント。慣れない土地で急いでいる時などは尚更です。こうした点もEVのレンタカーの大きなメリットといえるでしょう。

 

 

メリット③キャンプなどのアウドドアに便利


EVは大容量バッテリーを搭載しているため、駐車状態でもエアコンを長時間使用することができます。つまり、一定以上のサイズのEVをレンタルして真夏や冬の寒い時期にキャンプに出かければ、エアコンを使いながら車中泊が可能になるわけです。

また、EVには車内にAC100Vコンセントを装備する車種もあるため、アウドドアシーンで電化製品を活用することもできます。家族や仲間とキャンプに行く際にEVをレンタルすれば、荷物が少なく快適で便利なキャンプライフを楽しむことが可能です。

 

 

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EVのレンタカーの3つのデメリット

運転席で頭を抱える男性

画像:iStock.com/Motortion

 

そう聞くと、まるで「いいこと尽くし」のように感じますが、もちろんEVのレンタカーにもいくつかのデメリットがあります。そのなかから代表的なデメリットを3つに絞って紹介します。

 

デメリット①レンタルできる車種や店舗が少ない


大手を中心に近年はEVを取り扱うレンタカー会社が増えてきましたが、EVはガソリン車に比べて車種が少なく、とくに輸入車EVはレンタルできる車種がかなり限定される傾向にあります。

また、車種だけでなく、EVを取り扱っているレンタカーの店舗がガソリン車に比べて格段に少ないという課題もあります。ガソリン車のように全国どこでも、どんな車種でもレンタルできるような状況になるのはまだ時間がかかるのではないしょうか。

 

 

デメリット②ガソリン車より航続距離が短い


EVは航続距離が短く、そこがデメリットとしてよく指摘されます。ガソリン車の場合、航続距離は軽自動車で500km以上、ミドルクラスSUVなら800km以上が一般的な性能です。しかし、EVの場合、軽自動車の「サクラ」が180km 5、ミドルクラスSUVのトヨタ「bZ4X」も540〜567kn程度となっています6)

このEVにおける航続距離の課題はバッテリーの進化にともなっていずれ解消されていくものと考えられますが、現時点では長距離移動をする場合EVのレンタカーにおける大きなデメリットとなっています。

 

 

デメリット③旅先などで充電器探しに苦労する


ガソリン車に比べてEVの航続距離が短いというのは、ガソリン車よりも燃料補給を頻繁に行う必要があるということです。

しかし、EVに初めて乗る人にとって、車の充電はまったくの未知の世界です。充電スポットが少ない地方などで利用する場合、急速充電器を探すのに苦労することになるかもしれません。

 

 

 

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【大手レンタカー4社】利用できるEVと基本料金一覧

レンタカーコーナー

画像:iStock.com/TkKurikawa

 

ひと口にEVのレンタカーといっても、レンタカー会社によって取り扱う車種も基本料金もサービスもさまざまです。なかには輸入車の高級EVだけを専門的に扱うレンタカー会社もあります。

そこで、車両保有台数1万台以上のEVを取り扱う大手レンタカー4社7)の基本料金や利用可能なEVの車種、充電カード付随の有無、割引・キャンペーンなどのサービスをそれぞれ一覧表にして紹介します。

※2024年6月20日時点

 

トヨタレンタカー 8)

利用可能なEV トヨタ「bZ4X」
基本料金(24時間) 3万800円
充電カード 付随
割引・キャンペーン 会員割引あり
備考 EVを取り扱うのは、宮城、栃木、神奈川、京都、大阪、熊本の6つの地域の一部店舗

※地域や店舗によりキャンペーン内容が異なります。またキャンペーン実施期間は各店舗によって異なります。

 

オリックスレンタカー 9)

利用可能なEV アウディ「Audi Q4 e-tron」
スバル「ソルテラ」
テスラ「モデル 3」
日産「サクラ」
日産「リーフ」
BMW「iX1」
BMW「iX3」
BYD「ATTO 3」
ヒョンデ「IONIQ 5」
フォルクスワーゲン「ID.4」
ポルシェ「タイカン」
ボルボ「C40 Recharge」
メルセデス・ベンツ「EQA」
メルセデス・ベンツ「EQB」
レクサス「RZ」
基本料金(24時間) 1万1880円~7万7220円
充電カード 付随
割引・キャンペーン 会員割引あり、EV割引キャンペーンあり
備考 EVを取り扱うのは一部店舗

 

ニッポンレンタカー 10)

利用可能なEV スバル「ソルテラ」
日産「リーフ」
基本料金(24時間) 1万7600円~1万7820円
充電カード 付随
割引・キャンペーン 会員割引あり
備考 EVを取り扱うのは北海道・神奈川・福岡・鹿児島の一部計5店舗

 

日産レンタカー 11)

利用可能なEV 日産「サクラ」
日産「リーフ」
基本料金(24時間) 9790円〜2万570円
充電カード 貸出(走行距離に応じて充電料金を徴収2)
割引・キャンペーン 会員割引あり
備考 ──

※バッテリー残量が80%以上で返却された場合、充電料金は徴収されません。なお、貸出時のバッテリー残量は95%以上が目安となっています。

 

 

 

おトク度が高いうちにEVのレンタカーを利用してみよう

静かで力強く、低重心の安定したEVの乗り味は、ガソリン車と異なる大きな魅力であり、実際にハンドルを握ってみないとわからないものです。

EVのレンタカーは現在、充電代が基本料金に含まれるおトクなプランが多数派ですが、今後は日産レンタカーのように走行距離に応じて充電料金を徴収するプランが増えていくかもしれません。

もしEVに興味があるなら、レンタカーのおトク度が高い今が絶好の機会です。ぜひEVを一度試してみてはいかがでしょうか。

 

※本記事の内容は公開日時点での情報となります

この記事の監修者
鈴木 ケンイチ
鈴木 ケンイチ

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。